nekotokaさん、イゼルローン要塞さん誤字報告ありがとうございます。
その子は捨て子だった。
赤ん坊の時に孤児院の裏口に捨てられていた。見つけたのは院長で、すぐに保護し警察に届けた。赤ん坊の所持品は毛布と通帳と印鑑。すぐに親を警察は特定したが、すでに亡くなっており身寄りも見つからなかった為そのまま孤児院に引き取られた。しかし、出生届等の法的手続きが何もされていなかった為、名前をつけるところからがスタートだった。
赤ん坊の名前は
「なぁ、今の話って本当に暁さんの話なのか?」
「プロローグ1クマ。暁さんの産まれの秘密だクマ」
「いや、姉ちゃん絶対おかしいから!艦娘なんだから赤ん坊の話なんてあるわけないだろう!」
「改二はキャプテンキソーって秘かにみんなから言われてる割りに木曾はロマンがないクマね~」
「ちょっ!ちょっとそれ具体的に誰が言ってるか詳しく!」
よう!球磨型五番艦木曾だ。『おっぱいのついたイケメン』は暁さんに言われた事があるけど『キャプテンキソー』はなんか嫌だな、中二病っぽい。今、球磨姉ちゃんに連れられて任務中だ。他にも別の場所で待機しているメンバーがいるらしいがそもそも何の任務なのかも分からない。時間になったら教えると球磨姉ちゃんに言われて、待っている間に現在家出中の暁さんの事を聞いてみたんだが・・・・・・
「そもそも木曾が聞いて来たのに全否定は酷いクマ」
「でも今の話は作り話だろう?」
「それは誰にも分からないクマ、産まれた時から艦だった頃の記憶を持つ艦娘の私達には特にね。木曾だって分かるだろう?」
語尾がない・・・・・・真面目な姉ちゃんモードか、本当にあるのか?
「艦の記憶は乗組員の記憶でもあるか・・・・・・」
「暁さんから聞いた今の話の『暁』は壮絶な人生を送っていたクマ」
「でもそれっておかしくないか?」
「何がクマ?」
「そんな記憶があるなら他の艦娘の『暁』だって影響があるはずだろう」
「まぁ、暁さんが趣味で書いてた自伝のライトノベルだから他の『暁』は関係ないクマ」
「結局作り話かよ!」
「静かにするクマ、全く木曾は困った妹クマ」
やれやれと姉ちゃんがかぶりをふると特徴的なアホ毛が馬鹿にするようにゆらゆら揺れる。それを見て少しいらっとするが我慢する。
「それで後どれくらいしたら始まるんだ?何の任務かも聞いてないから分からないんだけど」
「鳳翔から連絡が来るまで待つクマ。これは特務隊全員参加の任務だから連絡が来たら話すクマ」
「特務隊の任務って!何でそんな!多摩姉ちゃんじゃダメだったのか?」
話でしか聞いた事はないが特殊任務部隊。略して特務隊。元帥が唯一建造した六隻の艦娘からなる自由裁量件を許された者達。過去の大規模作戦で劣勢だった大本営の艦隊を横目に鬼や姫といった深海棲艦達を屠り、シーレーンの確保を盤石にした艦娘達。その全てが二つ名を持ち日本の艦娘の頂点とも言える存在。その任務達成率は100%。普段はそれぞれが個人で自由に動いているのに全員参加の任務という事はこの国の危機と言う事。
「ん、多摩なら鳳翔の護衛についてるクマ」
「っ!北上姉ちゃんと大井姉ちゃんは・・・・・・って大規模作戦に行ってたか」
「落ち着くクマ。球磨は木曾ならこなせると信じて連れて来てるクマ。これは球磨型としての試験も兼ねてるクマ。この任務をこなせない様なら木曾は他の基地に移動になるクマ」
「なっ!」
さりげなく左遷が宣告されたぞ。
「まっ、そうなることはないクマ。今のお前なら簡単なお仕事クマ」
「姉ちゃん・・・・・・」
良かった。本当に左遷になるかと思った。グッと親指を立てて良い笑顔だ。でもなんだろうこの胸騒ぎは・・・・・・
「何せこれから始まるのはこの国の未来を決める闘いクマ!」
「何その無理ゲー!」
思わず叫んだ俺は悪くないはず!
ゼーハーやってると耳に付けた無線から声が聞こえてきた。
「球磨さん聞こえますか?」
「鳳翔、聞こえるクマ」
「そちらに多分本体と思われる十二隻と司令官用の船が向かっています」
「了解クマ、相手は例の奴クマ?」
「えぇ、雪風さんの方は暁さんがフォローしてますからそちらはお願いしますね!」
「なんとかするクマ」
「姉ちゃん、結局相手はなんなんだ?」
「・・・・・・艦娘クマ」
少し怒りを滲ませた表情の姉ちゃんに驚くが今なんと言った?
「洗脳処置をされた艦娘が今回の相手クマ。大規模作戦に合わせ大本営に対しクーデターを起こすバカ共がいるクマ」
「戦力の薄くなった所への強襲って事か?」
「さらに隊長が愛想を尽かして行方不明の情報も漏れてたクマ」
「そいつらにとっては最高の機会だな」
「まぁ、漏らしたのは憲兵隊の『剣鬼』クマ」
「はぁ?」
『剣鬼』ってあきつ丸さんか・・・・・・特務隊のメンバーじゃないか、何でそんな事を?
「クーデターの情報はもともと掴んでたクマ。だから一網打尽にする機会にする為にわざと流したクマ」
そう言う事か・・・・・・誘い込んで一気に殲滅、さすが特務隊のメンバーだ。
「あいつはただ自分が暴れる舞台を作りたかっただけクマ。あと、特務隊を復活させる口実作りクマ。特務隊は基本的に隊長が責任を取ってくれるクマ、今の『剣鬼』の立場でやると面倒くさいからクマ」
うん、理由が最低だった。暁さんは仕事したくないから家出したのに仕事を増やすなんて鬼畜だな。というか特務隊って姉ちゃんも含めてキャラ濃いな。もしかしてそれが嫌になって特務隊を解散したんじゃ・・・・・・
「何か失礼なこと考えてないクマ?」
・・・・・・読まれてる。さすが姉ちゃん、そこに憧れもしびれもしないけど。
「まぁ、なんと言うか暁さんは凄いな」
「そりゃそうクマ。球磨達の隊長なんて暁さんか吹雪さん位しか務まらないクマ」
吹雪さんも大丈夫なのね。まぁ、あの人なら可能か・・・・・・
「来たみたいクマ。相手はなるべく無力化して保護するクマ、球磨は司令官を抑えるから木曾は艦娘を頼むクマ!」
「んおぉォイイイッッ!十二隻も相手しろって言うのかよ!」
「当たり前クマ、言っただろう木曾の試験も兼ねてるって!さっさと行くクマ!」
「分かったよ。あいつらに本当の戦闘ってヤツを教えてやる!」