ブルーモーメント   作:はじ

4 / 21
那珂と音楽

「川内ちゃん、那珂はもうダメかもしれないです」

 

「どうしたの?」

 

「きょ、曲が思い浮かばない」

 

「はぁ?」

 

「締め切りが近いのに、何も浮かばないの!」

 

川内です。朝食を食べに食堂に来たらテーブルに突っ伏すアイドル活動中の妹がいました。久しぶりに会ったのにこっちを見る事なく愚痴が始まり、ちょっと切ないです。

 

「あんた、曲作った事あったっけ?」

 

「ないです。那珂ちゃんは才能ないんでしょうか」

 

「那珂ちゃんはアイドルだから~」なんて言ってた自称アイドルの妹は元帥の軽いノリもあって、全国の那珂ちゃん代表で大本営公認のアイドルとして売り出しちゃいました。それでいいのか大本営?まぁ、本人が喜んでるならいいけど。

 

「ちなみに今までの曲って誰が作ったの?」

 

「プロデューサーだよ」

 

「じゃあ、今回も頼めばいいじゃん」

 

「それが、歌って踊れる正統派アイドルの形は出来たから今回は自分で作って見ようか?って話になって、今度発売される那珂ちゃんの十二曲入りのファーストアルバムに一曲入れる予定なの。プロデューサーは今頃残りの八曲を作ってるだろうから頼めないよ」

 

そう言えばシングルは三曲出してたわね。この一年でカップリング曲も入れれば八曲か、誰なのか知らないけど、シングル三枚でトップアイドルまで連れて行ったんだから敏腕なのね。

 

「アルバムにカップリング曲は入らないの?」

 

「全部書き下ろしにするって言ってたよ」

 

「なら出来てる曲があるだろうから被らない様に出来てる曲を教えて貰ったらいいんじゃない?アルバムって適当に作った曲を入れるんじゃなくてアルバムタイトルとかのテーマに添って曲作りするんでしょ」

 

「そうだね・・・・・・川内ちゃん、プロデューサーの所に行くのついてきてくれる?」

 

「はぁ?私も行くの?私、今晩の夜間哨戒任務あるから外出は出来ないよ」

 

「それは大丈夫。プロデューサーはこの鎮守府にいるから、今日は休みって聞いてるし」

 

「ちなみにプロデューサーって誰?」

 

「ん、暁さんだよ!」

 

 

 

 

どーも暁です。一応転生者です。ここの所休みが休みじゃない事態に見舞わられ、自由時間が減っています。さすがに今日くらいはゆっくりしたいので喫煙部屋に引きこもってます。お酒は夜飲むとして、これからする事を考えながらタバコ吸ってます。

 

「プロデューサー!アルバムの曲を教えてください」

 

「いきなりどうした?」

 

「曲作りの参考にしたいと思って!」

 

平穏がいきなり去って行ったぞ。畜生。

 

「そこのパソコンに入ってるから勝手に聞け」

 

「それと今回のアルバムのテーマは何なのか教えて欲しいです」

 

テーマか?知らないなぁ。俺の青春時代の曲だしな。この世界は似てるようで似てない。元の世界でいたアイドルや歌手もいないからパクり放題だしな。那珂のおかげで印税がたくさん入ってうはうはだ。テーマか適当に答えよう。そう言えばタイトルも決めてなかったな。今決めるか!

 

「う~ん、『今、会いに行きます』かな」

 

「うわ、こんなに曲がある。全部暁さんが作ったの!すごいわね」

 

川内よ。いつからいたんだ?ビックリするから気配は消さないで欲しい。

 

「そのフォルダーじゃない。那珂って書いてあるのがアルバムの曲だ」

 

「ねぇ、那珂。八曲って言ってなかった?このフォルダーの中には百曲以上あるんだけど」

 

「さっすがプロデューサー!候補がたくさんある!」

 

「那珂が作った曲とシングル三曲に合わせるから候補がないとテーマに添わなくなるからな」

 

違います。適当にアイドルと呼ばれた人達の曲を思い出す限り入れただけです。昔はバンドやってたからモテルために流行りの曲も覚えただけです。思い出すのに苦労したよ。でも、俺はロックが好きなんだ。鼻唄を元帥に聞かれたのが運のツキだった。曲作りが任務ってなんだよ。それでいいのか海軍!

 

「それにこれから売り出していくんだからたくさんあればタイミングで出して行けばいいしな」

 

「暁さんは凄い才能だよね」

 

なんだいきなり?那珂が普段見たことないくらい落ち込んでるぞ。川内も心配そうにしてるし、何があったんだ?

 

「暁さん。実は那珂が曲を作れないの。だからコツとかあったら教えて上げて欲しい」

 

シリアス過ぎる。だからパクりだって!俺に才能あれば前の身体の時にデビューしてるって!こんなこと誰にも言えないけどさ。真面目に答えるか!

 

「う~ん、そうだな。那珂はどうしてアイドルになりたかったんだ?」

 

「それは・・・・・・」

 

「その気持ちを曲にすればいいんだよ。自分らしくとか考えるとまとまらなくなるけど、初めて作る曲なんだから気にせずただ書いて見るのもいいぞ。難しい言葉はいらない那珂は好きでアイドルやってるんだろう」

 

「そうだね。難しく考えてたかもしれない。元気よく可愛いのが那珂ちゃんだもんね」

 

「その調子だ。候補はたくさんあるから好きに作りな。いいアルバムが出来るさ」

 

いい話でまとまった。良かった、これでなんとかなるだろう。俺も経験あるから分かるけど曲作りって大変だよな。たくさん作ってる人とか本当に尊敬するぜ。ラブソングとかバリエーション考えるのとか凄いと思う。

 

「それにしても、よくこんなに歌詞かけるわね」

 

馬っ鹿、川内。そのフォルダーは!俺の黒歴史じゃねぇか!やめろぉぉぉぉー!曲を流すな!うぅ~恥ずかしいよ~。

 

後日、川内が俺の黒歴史を鼻唄で歌っているのを聞いた他の艦娘達も聞きたいと喫煙部屋に集まり鎮守府中に広まった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。