「この広さ、四人部屋よね」
「そうなのです」
「やっぱりそう思うよね」
暁型四番艦の電なのです。トラック基地から雷ちゃんと横須賀に転属してきたのです。響ちゃんは昨日のうちに到着したと聞きました。ここ横須賀には暁ちゃんがいると聞いていたのですがまだ会えてないのです。着任の挨拶をしたあと響ちゃんも旅行してないそうなのでまず部屋へと秘書艦の吹雪ちゃんに案内されたのですが。
「暁ちゃんは違う部屋なのです?」
「暁さんは特別任務があったりするから別の部屋に移ったの、それまではこの部屋を使っていたんだけどね」
「一人でこんな広い部屋使ってたの?」
「姉妹艦がいなかったから一人で使ってましたよ」
「暁ちゃんの部屋はどこなのです?」
「旅行の時に案内するけど工廠脇にありますよ」
トラック基地では第六駆逐隊が揃って同じ部屋だったのです。新しく建造された電と雷ちゃんは二人部屋で過ごしましたがみんなよくしてくれたのです。何で暁ちゃんはここを出たのでしょうか?
「二人共聞いてくれ、トラックには暁はいたかい?」
「いたわよ。っていうか第六駆逐隊は揃っていたわ、私と電は新規建造の艦だから研修が終わってここに転属になったの」
「そうか、ならここの暁に会っても取り乱さないように気をつけるんだ!」
響ちゃんは何を言っているのです?暁ちゃんは暁ちゃんじゃないのです?
「何言ってるの響、レディしてるのが暁じゃない!トラックには少ししかいなかったけどあの印象は変わらないんでしょ」
「全然違う。今までみた暁ではないと思った方がいい。私は昨日会ったんだが全然違うんだ、悩み過ぎて寝不足だよ」
違うのです?電はトラックの暁ちゃんしか知らないからどう反応していいか分からないのです。吹雪ちゃんも苦笑いしてるのです。
「暁さんは今日は特別任務で夕方までいませんよ。皆さんの歓迎会迄には戻ると思いますから会うのはその時になりますね」
「特別任務って何なのです?」
「それは海軍の機密に関わりますから私から言えることではありません」
「はわわ、そんな重要任務に行ってるんです!暁ちゃんは凄いのです」
「ここの暁は凄いのね」
「ズドーラヴァ!」
海軍の機密に関わるような任務につくなんて暁ちゃんは凄いのです!電も元帥さんの艦隊にいればそんな任務につくこともあるのでしょうか?その時は暁ちゃんにアドバイスを貰うのです。
「ねぇ響。そんなに悩んでるなら旅行でいろいろ回る時に聞いたらいいんじゃない?」
「さすが雷!なら吹雪にも聞いてみよう」
「えぇ!暁さんの何が聞きたいんですか?」
「う~ん、吹雪が一番暁と付き合いが長いんだよね?」
「そうですね、元帥と建造に立ち会いましたし」
「吹雪からみた暁の印象は?」
「簡単な言葉で言うのなら天才でしょうか」
「天才?」
「戦闘だけでなくいろいろなことに才能を発揮してます。元帥が今の地位についたのも暁さんがいたからこそですし、私達艦娘の地位向上さらに未来を作ってくれたのも暁さんです」
凄いのです!元帥の秘書艦の吹雪ちゃんがベタぼめなのです。私達の地位向上や未来って凄いのです!
「ここの暁は凄いのねぇ、艦娘代表みたいな感じじゃない?」
「でもそんな活躍聞いてないのです」
研修で勉強したなかには暁ちゃんの話なんてなかったのです。何か事情があるんでしょうか?
「残念ですが暁さんの活躍は、ほとんど表に出ることはないと思いますよ」
「なぜなのです?」
「人間にとって不都合な事が多いからです。暁さんには多岐に渡る才能があります。しかし、有りすぎると言っていいでしょう、だから暁さんを恐れているのですよ。これが暁さんが表に出ない理由です」
「それじゃ利用されてるだけじゃない。暁は知ってるの?」
「多分理解してると思いますよ。その中で自分に都合のいいようにやってます。むしろ都合が悪くならないように立ち回っているといった感じでしょうか」
持ちつ持たれつなのです。でも内容は大人な感じがするのです。トラックの暁ちゃんは大人なぶったり、レディ目指したりするお子様だったのです。違和感が凄いのです。
「次は誰に聞こうか?」
「情報なら青葉さんじゃない?トラックでも新聞書いてたし」
「この時間なら広報室にいると思いますので、執務棟を案内しますね」
いろんな人に話を聞いて暁ちゃんに会う前に違和感を解消するのです!