突然起こったことだが、目が覚めて起きたところ知らないところにいた。
周りを見ても何もなく、ただ真っ白な空間に自分だけがいる状態だった。
自分はたしか部屋のベットで寝ていたはずだ、それなのにここに来たということは、それはもう神様のいたずらに巻き込まれたか自分が寝ている時に何かがあったとしか考えられない。
「とりあえずこれからどうしよう……」
そう悩んでいた時だった
「ようやく目を覚ましましたか〇〇様」
声がした方向を振り替えるとそこにいたのは
白髪ショートの、巫女装束を着た、天使のような顔立ちをした女性がいた。
「今回あなたを無断でここにこさせてしまい申し訳ございません。
私は人々に幸福を与える神、姫神と申します。」
姫神は俺に謝罪してから自分の名を言った。
ふ~ん、どうやら俺は姫神という神に連れてこられたと言うことか、てか神様が目の前にいるのに驚かない自分が怖いんだが、順応性高すぎだろ。
「あの~あなたは驚かないんですか?
普通の人だと私が神様だと信じず文句ばっかり言ったり、神様が目の前にいることに驚いて軽いパニックを起こしたりしますが、そういうのはあなたが初めてですよ。」
「ですよね、自分もそう思いました。
そんなことより、なぜ自分がここにいるのか聞いてもいいですか?
自分が寝ている間に何があったのかも知りたいですし。」
もうちょっと話していたかったがそろそろ本題に入ったほうがいいだろう。
そう言った途端、さっきまで微笑みながら話していた姫神が急に真剣な顔になった。
「そうですね、そろそろ本題に入りましょう。
まず最初にあなたが寝ている間に起きたことですが……」
姫神が自分に何があったのか語りだすことに自分は生唾を飲む
「何もありませんでした」
「……えっ?」
あまりにも予想外な答えに思わず唖然する。ということは俺は死なずにここに来たということか、これは一度聞いたほうがいいだろう。
「あの、そうなると僕は死なずにここに来たということですか?」
「はい、そういうことになりますね。」
まじか、普通転生ものって死んでからが始まりじゃないの?
いや待てよ、まだ突っ込んではいけない、何か事情があったに違いないここは落ち着いて話をきこう。
こういう転生が普通という可能性があるかもしれないし。
「姫神さん、こういうのはよくあるんですか?」
「ありませんね、今回が初めてです」
なんてこったい、これはあれか、あらての神様のいたずらかまさか最初に自分がいったことがほんとになるとは思ってもいなかったよ。しかも、こんなきっぱりといっちゃうなんて。
「そ、そうですか…えっと…でしたら次に、なぜ自分がここにいるか聞いてもいいですか。」
「はい、今回あなたが死なずにここにいる理由は…あなたが選ばれた人ですからです。」
「選ばれた人…一体誰に?」
「私達神と同じ…いえ…神になったといったほうがいいでしょう、あなたは英雄と呼ばれた男に選ばれたのです。」
「なっ……!?」
俺が選ばれた人だって…一般人の俺が?
しかも、英雄と呼ばれた男に…なぜ俺が、謎すぎる。
「どういうことですか!なぜただの一般人の自分が選ばれたのです!?」
「それはいえません…本人からも言わないでくれって言われましたからね。」
「だったらそいつに会わせてくれ!話がしたい!」
「できません、彼は神になった代償として死にました。」
「ふざけんなよ…勝手に決められた挙句に理由も言わずに死んだだと…」
あまりにも理不尽すぎることに拳を固く握る、強く握りすぎて血は出るがそれでも握り続けた
「辛いことだと思いますが、彼は最後私にこれをあなたに渡して欲しいと頼まれました。」
「渡して欲しいもの…?」
姫神が自分に向けて手をかざしたとき何かが自分の頭に入る感覚がした。
感覚が収まった時急に多くの情報と知らない単語が頭に出てくる。
「くっ…!」
あまりにも立っていられないほどの目眩と頭痛がしたため頭を手で押さえ膝を付く。
そして、多くの情報と単語が流れているとき、自分の知らない記憶が映し出された。
それは、『勇者』そして『巫女』と呼ばれた少女達が『バーテックス』と呼ばれる化け物と戦う、悲しくそして、救われない記憶だった。
その記憶は次々と映し出された。
諏訪を守るためにたった一人の勇者と一人の巫女が立ち向かう記憶。
大勢の罪なき人々が殺されバーテックスに必ず報いを受けさせると決意し戦う勇者記憶
ある勇者と幼馴染の関係で、その勇者の精神的支えになっている巫女の記憶
みんなに明るく元気に振る舞い、人一倍に周りを気にする勇者の記憶
家庭に恵まれず、人々にも嫌われ自分の価値が勇者でしか必要とされず、ただ戦う勇者の記憶
自分が女の子らしくないと実感し、自分にはないものを持つ少女を守ろうと決意する勇者の記憶
大人しくも思いやりがあり、幼少期体が弱く周囲からの気遣いと距離感に疎外感を抱き、自分が物語の王子様のような人に救われることに憧れている勇者の記憶
二人の勇者をよく気にかけており、二人が亡くなった際後悔の涙を流す巫女の記憶
すべての記憶は見終わり元の光景に戻った。その時にはもう目眩や頭痛が収まっていた。
「これは…一体なんなんだよ」
「彼女たちがこれからたどろうとする記憶です」
「これが…彼女たちがこれからたどろうとする記憶だと……」
ふざけんな…そんなの…悲しすぎるだろうが!
「なあ…姫神、なぜあいつはこれを俺に渡そうとしたんだ。」
「それは、あなたがこれからやることに関係しております。」
「自分がこれからやることに関係している?」
「はい、彼はあなたに使命を出しました。」
「使命?一体何をしたらいいんだ?」
「彼があなたに出した使命の内容は、彼女達の運命を変えることです。」
「運命を変える…?」
出来るのか?一般人の自分が。
「普通運命を変えることは出来ますが、抑止力が働いて同じ結末になってしまうのです。でも、あなたは違った。あなたは運命を変えても抑止力が働かずそのまま新しい運命に上書きすることが出来るのです。」
「それってつまり、俺には抑止力を無効化する力があるということか?」
「はい、そういうことになります。
あなたには、これから彼女達の世界に転生してもらいその力で彼女達を救うのがあなたにしか出来ないことです」
「俺にしかできない……だが一体どうしたらいいんだ?
俺には戦う力なんて一切持ってないぞ、相手はバーテックス?ていう化け物だろ勝てる自信がないんだが」
「そこら辺は安心してください、あなたが転生する際に力を与えますので。」
「そうか、なら安心して行けるな」
「ふふっ」
突然姫神がくすりと笑った。
自分は何も面白いことなんて言っていないんだが
「俺、なんかおかしいこと言いました?」
「いえ違います。
ただあなたが断るんじゃないかとひやひやしましたが、行く気満々だったので少し安心して笑っちゃったんです。」
「あっ」
たしかに今なら引き返すことはできる、でも
「俺も最初は断ろうかと思いました。だけど俺は彼女達の記憶を見て思ったんです。なんで彼女達が苦しまなくてはいけないのか、彼女達が苦しむのなら俺が代わってやりたいと。そしたらあんたは俺にチャンスをくれたんだ、彼女達を救うチャンスを、だったら俺は受けてやるよ、選ばれた人として。」
「そうですか、ならはやく彼女達のいる世界に転生させますね。」
「ちょっと待ってくれ…最後に少し質問していいか?」
姫神に待ったをかける
「どうしました?」
姫神がきょとんとした顔になった
「これだけは聞ききたいんだが、転生したとき俺がどんななるのかわからないんだが……」
さすがにこれだけは聞かないと色々とだめだろって自分でも思った。転生したさい、変なところに飛ばされたら埒が明かない。
「それなら大丈夫です。あなたの転生先は決まっております。ちゃんと彼女達と接触できるように設定されてますので。」
「決まっているか……まあ、まだランダムよりはましか、後はこっちで何とかするよ。」
「わかりました、それではあなたを彼女達がいる世界に転生させますね」
そういい姫神はまた自分の方向に手をかざす。手をかざした瞬間急に眠気がきた、それは段々と強くなり、そして自分はゆっくりと意識を落とす。
「お休みなさい。またいつか会いましょう。」
それが最後に聞いた言葉だった。
次回から、「乃木若葉は勇者である」の世界に突入!
彼が一体どんな風に関わるのかこうご期待