郡徹は転生者である   作:シンマドー

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物語もそろそろ後半に入った感じかな?

ここまで来て、一向に徹のヒロインが思いつかない…

まあ、それは置いといて本編どうぞ


第十三話   模擬戦にて

 

 土居球子と伊予島杏

 この二人の記憶は、実に運命的な出会いをしていた。

 安芸真鈴の受けた神託に従い、球子が杏を救った時、そこから二人は意気投合し、姉妹のような関係を持つようになった。

 自分には無い女の子らしさを持つ杏を守る球子、物語の王子様のような人に救われる事に憧れていた杏。

 それはまるで、物語で言う姫を守る王子と、守られる姫のようだった。

 だが、運命的な出会いをした二人は、バーテックスの戦いでの最初の犠牲者だった。

 

 変えてやる、死なせはしない、自分の持つこの力で、絶対に変えてやる。

 

 

 

 遠征から帰ってきた数日後の昼食時間。

 自分たちは食事をしながら、設置されたテレビから流れるニュースを聞いていた。

 

「嘘ばっか流してて嫌になるな」

 

「仕方ないですよタマっち先輩、人々の士気を下げないためにはこうするしかないんですから」

 

「そうだけどさぁ……」

 

 球子が不満を漏らすのも無理もない。

 今流れているニュースの内容は、これまでの勇者の功績を嘘を混ぜて盛った内容だった。しかも、前に起きた諏訪の人々を救った光は、勇者たちが起こした奇跡と報道されていた。

 

「(いつか神樹から罰が当たるぞ)」

 

 そんなことを思いながら自分は久しぶりに食う天丼の残りを片付けた。

 

 

 

 放課後、自分は本屋で、目当ての本を探していた。

 千景は、友奈と一緒に訓練をすると言っていたため、今は自分ひとりだ。

 目当ての本を見つけ、それを手にとって買い、その本が入った袋を受け取り外に出た時だった。

 

「あれ?徹じゃん」

 

「ん?球子と杏か、こんなところで出会うなんて偶然だな」

 

 そこには、帰りの途中である、球子と杏がいた。

 

「そうですね…徹さん、よければ一緒に帰りませんか?」

 

「ああ、いいぜ」

 

「タマっち先輩もそれでいいですか?」

 

「タマは別にそれでいいぞ」

 

 そんなわけで、自分は、球子と杏と一緒に帰ることになった。

 

「そういえば徹、あの本屋でなにを買ったんだ?」

 

 帰りの道中、尋ねてきた。

 

「これだが」

 

 自分は袋から買った本を取り出し二人に見せる。

 

「なになに……ってこれラノベじゃん!」

 

「私は読んだことないですが、よくテレビとかのCMとかでやってましたね」

 

 そう、ラノベだ。

 ちなみに内容は、主人公が異世界転生して無双する話だ。

 ……正直、話は面白いが、ちょっと主人公がチートすぎる。

 

「で、話は変わるが、今日二人は一体何してたんだ?」

 

「はい、私たちも徹さんと同じで本を買ってたんです」

 

「ふーん、どんな本を買ったんだ?」

 

「はい、私が買った本は――」

 

 そっからは寄宿舎に着くまで、杏の買った少女漫画の話を聞かされた。

 ちなみに杏が話してる途中、球子が買った本を見せてもらった。

 球子が買った本は、ヒーローものの漫画で、いかにも男心をくすぐる内容だった。

 …いつか買って読んでみようと思った。

 

 

 

 それから翌日、調査遠征であまりにもショッキングすぎる光景を見て、雰囲気が悪くなっているのをどうにかしようと、若葉はある事を提案した。

 

「これより、レクリエーションとして、バトルロワイヤル形式の模擬戦を始める」

 

 そこからルール説明された。

 

 1 範囲は丸亀城の敷地全体(先生から許可は取っている)

 2 武器は模擬戦用の武器を使うこと

 3 最後まで勝ち残った者が他のメンバーに対し、常識の範囲内で自由に命令する権利が与えられる

 

「それでは、今から一分後に開始だ。それでは…始め!」

 

 若葉の開始の合図で、自分たちはそれぞれ別れた。

 

 一分後

 

「徹!覚悟!」

 

「とおさん!かくごー!」

 

「兄さん…全力で行くよ…」

 

「徹!勝負だ!」

 

「徹さん、最初に脱落させていただきます!」

 

「一対五とかふざけんなー!!」

 

 そこには若葉、友奈、千景、球子、杏の総攻撃から逃げる、自分がいた。

 

「徹!逃げるのか!」

 

「こんなん普通逃げるっての!」

 

 なんとか逃げるも、一向に撒けない。それよりも、段々と追い詰められていってしまう。

 

「(やられるのも時間の問題か……だったら)」

 

 自分は逃げるのを止め、木刀を構え、若葉たちに立ち向かった。

 

「逃げるのを諦め立ち向かうときたか、ならこちらも好都合、受けてみよ!」

 

 若葉が先に攻撃を仕掛けてきた。

 若葉の居合は早いが防ぐことはできる。だがそうした場合、その居合を守ることに集中してしまい他の勇者の攻撃を受けてリタイヤだ。でもそうしなければ、居合で即リタイヤだ。

 

 実質詰んでいると断言できる。

 だが……

 

「……ふっ」

 

 自分は口角を上げる。

 確かにこの状況は詰んでいる。でも、自分は違う。

 自分は、この状況を逆転させることができる(・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

「はああああっ!」

 

 若葉の居合が自分を斬る。

 誰もが『やった!』と思っただろう。

 だが、若葉斬った先には、自分はいなかった(・・・・・)

 

「っ!?後ろ――」

 

「遅い!」

 

 若葉が言う前に、他の三人を斬り、そして若葉に重い一撃を加える。

 

「くっ!」

 

 しかし、そんなに若葉は甘くない、若葉は重い一撃を木刀と鞘を使い、重い音と風圧を立ててぶつかり合う。

 

「い…一体…なにが…」

 

「なんで…とおさんが…私たちの後ろに…」

 

「た…タマはまだ…」

 

 だが、若葉が防いだとしても、千景と友奈、そして球子はそれに対応することはできず、木刀の重い一撃を受けリタイヤとなった。

 

「一体なにをした!どうやって私たちの後ろをとった!」

 

 若葉の問いに、自分は答える。

 

「『縮地』を使ったのさ」

 

 ウソですごめんなさい。本当は『シフト』を使いました。

 この『シフト』長距離のワープは剣を使わなければいけないけど、短距離のワープは剣を使わなくても出来る。ただし意外と体力を使う。

 

「(みんなには、長距離の『シフト』しか話してないからなぁ…)」

 

 適当に『縮地』と言ったものの、普通こんな速さ出ないため、そくバレると思っていたのだが…

 

「これが『縮地』なのか!実際にこんな速さを出せるなんて、驚きだ」

 

 あっ、信じちゃったよ、どうしよう…このままほったらかすと面倒だし、バラすか

 

「すまん、嘘だ」

 

「……えっ?」

 

 本当に信じていたのか、ばらした瞬間、若葉の力が緩んだ。

 

「すまん」

 

 自分はまだ呆然としている若葉に、謝罪しながら木刀を振り下ろす。

 

「いたっ!?くっ、不意をつかれるとは…無念」

 

 若葉は呆然としていたため攻撃を防ぐこともできず、降りおろされた木刀を受け、リタイア。

 

「(これで若葉はリタイアしたわけだが…うん…ほんと…ごめん)」

 

 自分は少し罪悪感を感じるが、最後の一人、杏を探しに行った。

 いや、行こうとしたが正しい。

 

「いたっ!」

 

 突然どこからか来る矢に対応するも、先程の戦いで体力の使いすぎか、対応することができず、武器を持つ右手に当たり、衝撃で落としてしまった。

 

「すいません、徹さん。優勝者の特典、私がもらいますね」

 

 そう言いながら、木の影に隠れていた杏が出てきた。

 

「(体力がもうないから、『シフト』は不可、武器を回収しに行っても矢でリタイヤ…打つ手なしか)」

 

 その考えに至った自分は両手を上げ、高らかに言った。

 

「降参します!!」

 

 こうして、勝者は杏となった。

 勝者となった杏は、その権利を何に使ったのかというと……

 

 

 

「私のものになれよ、球子……」

 

「わ、若葉君……そ、そんな事を言われても、タマには他に好きな人が……」

 

「待ちなよ、若葉君! 球子さんが嫌がっている!」

 

「あ、高嶋君……って、なんじゃこりゃあああああぁっ!!」

 

「カット、カットぉっ! ダメだよー、タマっち先輩! ちゃんと台詞通りに言ってくれないと!」

 

 途中まではよかったが、球子の我慢の限界を迎えたことによってダメになってしまった。

 杏は権利を使って、杏のお気に入りの恋愛小説のワンシーンを球子と若葉、そして友奈を使って再現していた。

 ちなみに内容は、若葉が球子に壁ドンをし、甘い言葉を囁いてる所に友奈が割って入るというよくある三角関係だった。

 若葉は背も高いし、言葉遣いも問題なしなため男子役をやっても違和感はなしだ。

 友奈も優等生役をやっていても違和感がなかった。普段から真面目だからか。

 

 で、肝心のヒロイン役の球子だが、杏の手によってやんちゃな球子が、美少女になっていたではないか。

 

「(…ほんと、ちゃんと女の子らしい格好をすれば普通に可愛くなれるんだけどなー)」

 

「うーん…もう少し再限度を上げるためには…徹さん、若葉さんの役をやってください」

 

「……まじで」

 

「はい!やっぱ壁ドンは男子がやったほうがいいかと思いまして」

 

 そんなことを思っていると杏からの役交代を言い渡たされた。

 自分は命令に逆らえず、やることにした。

 

「よし!徹、さっさと終わらせるぞ!」

 

 球子は半分ヤケになりつつあった。

 

「そうだな、杏、始めてくれ」

 

「わかりました!それでは…三、二、一、スタート!」

 

 なんかよく映画をとる時に使うパチーンとなるやつが鳴ると教室が静まる。

 自分は落ち着きながら、全力で演技することにした。

 

「よう。急に呼び出して悪かったな」

 

「うんん、別に用事はないから大丈夫だよ、徹君。それで、話って何?」

 

 誰だこいつ!?と思いたくなるぐらいに球子のキャラが変わってて、違和感が凄い。

 だが、ここで台無しにするわけにもいかないため演技を続けることに。

 

「ああ、お前に言いたいことがあるんだが……なんて言えばいいかなー…」

 

「?」

 

 そこから先の言葉が出ず、口ごもる仕草をする自分に対し、球子は不思議そうに首を傾げる。

 

「(ここで一気に畳み掛ける!)……ああもうめんどくせえ!」

 

「きゃっ……!?徹…君?」

 

 自分はそう言って球子に詰め寄り壁際に追い詰める、そして勢い良く右手で壁に手を突く。

 バン!と音が鳴り、その音に驚いたのかのように球子は体を竦める。

 

「(……ちょっくらアレンジしてみようかな)」

 

 そこでなぜか自分の遊び心が出てしまった。

 後はセリフを言えばいいだけなのだが、そこに自分は余計な行動を入れた。

 

 左手を使って球子の顎を少しクイッと上げ、強制的にお互いの目を合わせた。

 そして、球子の耳に囁くように、セリフを言った。

 

「俺のものになれよ、球子……」

 

 さて、ここから先は自分のセリフはないため内心、ホッとしながら球子のセリフを待った。

 

「………」

 

 しかし、球子はセリフを言わず黙ったままだった。

 というか、段々と顔が真っ赤になっているような。

 

「おーい、球子大丈夫か?顔がめちゃくちゃ赤いぞ」

 

「も…」

 

「も?」

 

「もう…耐えられにゃい」

 

「ちょっ、おい球子!?」

 

 そう言った球子はそのまま自分の方に倒れた。

 自分は球子が床に倒れないように抱きつくように支える。

 

「みんな!球子が急に倒れたから保健室に…て…みんな?」

 

「「「「「………」」」」」

 

 なぜかみんなも、球子と同じように顔を真っ赤にして呆然としていた。

 

「え…ちょっ…みんなー!?」

 

 あのあと、数秒経って球子以外はみんな我に帰り、色々とみんなから言われたが、全部言葉があやふやで全く聞き取れなかった。

   




次回、とうとうあのサソリやろうが出てきます。

でも、その前に番外編を出させてもらいます。

内容は、農業と温泉ですかね。農業って言ったらもちろんあの二人も出ますね。

では、次回をおたのしみに

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