今回の話は説明会ですが、ご容赦ください。ではどうぞ
郡千景
彼女の記憶は悪夢としか思えなかった。
家庭での不幸が災いし、周囲の人々に嫌われた。
誰一人も彼女の味方にならず、ただ体と心が傷つけられる毎日だった。
彼女が勇者として選ばれたとき、周囲の人々は一変した。それが原因で彼女は変わってしまった。
みんなが勇者である自分に価値があると信じてしまい、彼女は勇者として戦い続けた。
たとえそれが間違っていたとしても…
もし、自分が彼女の味方になれるのなら、自分は喜んで彼女の味方となろう。
それで彼女が救えると信じて。
自分はここ、四国の高知県で双子として生まれた。自分は郡徹、そして、後から生まれた子を郡千景と名付けられた。
生後一ヶ月が経ち、自分たちは病院からこれから住む家に移された。
自分たちが住む家は普通の一軒家だった。この時両親は、これからこの家で幸せな家庭を築いていこうと考えているだろう。でも、自分は違った。まだ自分は赤ん坊のため顔には出てないと思うが、自分は転生者で彼女達の記憶を見たからこそ言える、そんなのただの理想郷にすぎないと、これから起こることは郡千景の記憶で知っている。
でも、今の自分はただの赤ん坊のためなにもできない、だから今は焦らずその時がくるまで準備をしよう。
夜、家具の配置や家事、自分たちを寝かしつけるなどで両親は疲れがたまってしまいすぐに寝てしまった。
そんななか、自分だけが寝たふりをしていた。両親が寝たことを確認し、これからのことを考えた。
まずは自分のことから整理しよう。
最初は転生特典から確認しよう。
まず重要なのは自分の使命と彼女たちの記憶だ。これがなければ始まらないからな、あとおまけ程度に前世で得た知識と転生するまでの姫神との話した記憶も付いてきた。でも、その代償なのか知識以外のことは全部なくなっていた。まあ、どうでもいいことなので別にいいが
次にバーテックスに対抗できる力だが、転生したさいその力の名前と詳細が頭に入ってきた。
その名は、『武器召喚』武器を念じれば召喚でき、それを意のままに操ることができる。複数召喚もでき、空中に浮かせたり飛ばすこともできる。そして、自分を武器の所に呼び寄せることができ、それを『シフト』と言うらしい。結構便利な力だがその分魔力が必要らしい。姫神は多分それを見越してかちゃんと魔力も付けてくれたそれも多く。まあ、別に何か使えるかもしれないし問題なしだな。
転生特典を確認し終えたところで次はこれからどうするかだ。
まず、武器召喚はまだできないから、武器召喚以外での魔力の使い道を探そう。それで見つけたら次は慣れる練習だ。いざ使えないと困るから慣れは絶対必要だ。でも、一番重要なことを忘れてはいけない。それは、千景を独りにしてはいけないことだ。これは転生者としてではなく兄としての決意だ。
とりあえず今後のことを決めたことだし明日から実行に移そう。
そして、自分は目を閉じた。
考えたことで疲れがたまっているのか一瞬で寝れた。まあ、体はまだ赤ん坊だからね仕方ないね。
次の日から実行した。親が赤ん坊から目を離す時間は昼寝の時間と夜の寝る時間のたったわずかな時間だ。だが、そのたったわずかな時間でどれだけできるかが重要だ。
まず最初に魔力を理解することから始まるが、察しがいいのか姫神が魔力の詳細を転生する際に魔力と一緒に入れてくれた。
魔力をこの世界で表すと、神樹が持つエネルギーと同じらしく、選ばれた勇者達が勇者システムを起動することにより変身し、そのエネルギーを身に纏いバーテックスと戦うことができるらしい。自分の場合は勇者システムを起動しなくても神樹のエネルギーが使える感じらしい。
とりあえず、だいたいのことを理解した。
結論を言えば、身体強化しか使い道がねえことがわかった。身体強化は魔力を身に纏うことで勇者と同じ身体能力になれることができる。
これを使えば千景をいじめから守れるかもしれない。そうときまれば次は、身体強化に慣れる練習をしよう。
昼寝の時間は魔力を理解することで使ったから夜の寝る時間にすることにした。
夜、昨日と同じく両親が寝てから始めた。
身体強化といってもやり方は簡単だ。
まず、少しの魔力で体全体に行き渡らせるように念じる。少しの魔力なため簡単に行き渡らせることができた。
行き渡らせる際、体が少し軽くなったり力がみなぎった感じがした。
これを何回も続きる。
疲れたらもう寝て、次の日の昼寝の時間にまたやる。それで疲れたらまた寝て、夜の寝る時間に再開するその繰り返しだった。
そして時は経ち、自分達は小学六年生になった。
飛ばしすぎだろと思うが、ただ身体強化の練習したり、妹と遊んだことしかないため省略させてもらった。
結果だけいうと身体強化を完璧に慣れることができた。今なら10メートルも容易く飛ぶこともできるし、コンクリートの壁を一発で壊せるレベルまでいった。
後、妹の千景との仲も深まった。
最初は自分のあとをついてく感じだったけど、段々と遊んでいくうちに距離も縮まり手をつないでいくのが多くなり、「お兄ちゃん」と呼ばれる回数も増えた。今はもう恥ずかしいのか手をつなぐのがなくなり隣で一緒に歩くのが多くなり、呼び方も「お兄ちゃん」から「兄さん」になった。これには少しショックだったが、まあ子供も日々成長はするもんだと、そう解釈した。
そんなこともあったが、変わったのは自分たちだけではなかった。両親も悪い方に変わっていった。
それは、父さんが自分たちの誕生日よりも会社の飲み会を優先したことから始まった。
これには母さんも激怒していた。父さんが帰ったとき、母さんは玄関に向かい父さんと言い争った。
この時、父さんが素直に謝ればいいのだが、父さんの性格が原因で謝らずどんどんと話がエスカレートしていった。怒声が自分たちのいる居間にまで聞こえあまりの恐怖に妹は耳をふさいで縮こまっていた。
自分は妹を安心させるために妹の近くによりそっと抱き寄せた。これで安心したのか妹は手を耳からどけ自分の方に体をあずけた。それでもかすかに震えていることがわかった。
「千景、今日は兄ちゃんの部屋で一緒にねよっか。」
そういうと千景は小さな声で「…うん」と言った。
妹の了承をえて千景を支えるように立ちあがり、居間を後にし、自分の部屋に向かった。
自分の部屋は二階にあり、二階への階段が玄関の逆方向にあり二階に向かう際、後ろの方から両親の醜い言い争いがはっきりと聞こえた。自分はなんともなかったが千景はびくつきながらもゆっくりと歩いた。自分も千景にあわせて歩き自分の部屋についた。
部屋の扉を開き千景を中に入れた。部屋の内装は普通で服やら教科書などはきれいにまとめられていて必要最低限の物しかなかった。
そのあと、布団をひいて千景が怖がらないようにそっと抱きしめて寝た。
それからか、両親の言い争いは毎日起こるようになってしまった。
自分はこの時確信した。これは千景の記憶を見たから分かることだ。それは、千景の運命を変える時がもう目の前に来ていることだ。
その合図は学校帰りの際、大人達の会話ででた言葉でわかった。
自分はその言葉を聞いて急いで家に帰った。
家に入った時強烈な酒臭さがした。嗅いだだけで酔ってしまうレベルだ。まだ千景が帰ってきてないことが幸運だな、多分千景も噂を聞いて急いで帰っていると思うし、時間もあまりない。急いで話さなければ。
そう思い自分は居間に向かった。
居間に入り、目の前でまだ酒を飲んでいる人物に話しかけた。
「父さん、母さんがいなくなったのは本当か?」
「ん?ああ、徹かもう帰ってきてたのかお帰り」
「いいから答えろ!母さんが不倫したのは本当か!」
「うるせーな…そうだよ、母さんは不倫したよ」
父さんが背中越しで言っていたが、寂しさが不思議と一切感じなかった。
千景の記憶を見たから、父さんのクズさは知っていたが、ここまでクズ人間だとわ思わなかった。
「兄さんっ!」
声のした方を振り向くと居間の入口に千景がいた。
学校から家まで走ってきたのか汗をかき、息切れしていた。
「兄さん、お母さんが居なくなったのは本当なの…?」
千景は少し落ち着いてから自分に言った。
今本当のことを話してしまうのはまだ子供の千景には辛すぎる。
「大丈夫だ千景、母さんはきっと帰ってくるさ。」
「でも、みんな私に言うの、お前のお母さんがうわきしたのはお前のせいだって。それでみんな、私のことを――」
やばい、これ以上言ったら
「千景!」
段々と息が荒くなりふらつきだした千景を強く抱きしめる。
千景の体は小さく、細い。自分は千景を抱きしめたまま頭を撫でて落ち着かせた。
千景も落ち着いたのか体をあずけてきた。
「大丈夫、大丈夫だからな、千景…母さんはきっと…必ず…帰ってくるさ。」
「…兄さん…兄さん……」
千景は声を抑え静かに自分の中で泣いた。
自分は知っている。母さんは帰ってこない、両親が離婚しなかったのはどちらが自分たちを引き取るかでもめていたからだ。
自分たちは、みんなからも両親にもいらない子として認められてしまった。
だが、自分は諦める訳にはいかない、自分はこの時がくるまで身体強化の練習をしてきた。それに、千景を助けるために布石は打ってある。
明日が、千景の最初の運命の分岐点にもなるところだ。
絶対に変えてみせる。
これは、転生者としての使命、そして、千景の兄としての願いなのだから。
次回から千景の運命がどうなるかがわかります。
投稿ペースも早めに出せるようできるかぎり努力しますので、誤字・脱字などがあったら教えてくだしお願いします。
後、千景をいじめる子達は、フルボッコするか脅してトラウマを植え付けるかどちらがいいと思いますか、感想欄で教えてください。