今回の番外編はこれがメインです。
それでは本編どうぞ
高知県にある、徹と千景が住んでいた故郷の村。
その村全体が見える山の頂上に、一人の少年、新崎が静かに立って眺めていた。
「探しましたよ」
そんな時、背後から声が聞こえた。
「………」
新崎は振り返らずにただじっと眺めていた。
「この世界で会うのは初めてでしたね……元の姿に戻ったらどうです。新崎亜門……いや、千年前の勝利の剣を持つ守護者
「…貴様にその名は呼ばれたくないな、姫神」
そう言い、新崎は後ろを振り返りながら本当の姿へと戻った。
その姿は先程までの少年の体よりも圧倒的に違い、いかにも歴戦の戦士のような体格と顔をしており、陽気な口調から、冷酷な口調へと変わっていた。
「よくそんな性格であの口調ができましたね」
「ふっ、慣れだよ、慣れ」
「…なぜ、こんなことをしたんですか?」
「前の世界でいったはずだぞ。あいつを救うためにはどんな方法でもやると…」
「それでも…あなたのやり方は彼女を苦しませるだけです!」
「何をいっている。俺が手を出さなくても、あいつは苦しんでいた。世界を蹴り返した張本人なら分かっていたはずだが…そうだろう、姫神」
「…確かにその通りです。でもあなたがあんなことをしなければ、彼女の苦しみは無くなーー」
「貴様は分かっていないな。例えこの世界を救い彼女の苦しみを無くしたとしても、この世界の人間の負の感情でまた苦しむだけだ」
ツクヨミは一歩、また一歩と姫神に近づく。
「そ、それは…」
姫神はなにも言えず、後ろに後ずさる。
「だから俺はこの世界を破壊する。そのために俺は天の神についた。それに貴様の世界をやり直す力はもう無いのだろう、この世界で全てが決まる」
「なんで…あなたはそんな人ではなかった!人々を、彼女を幸福に導こうと戦い続けたあなたに一体何が!」
「……そんな頃があったな…」
姫神の言葉に、ツクヨミは懐かしむように呟く。
「確かに俺は昔はそうだった。いや、この世界に来たときもそうだったな。最初の頃はあいつと一緒に、みんなが幸福で幸せに暮らせるように戦おうと誓ったな……だが現実はそう上手くいかない。その原因は、貴様も関係しているのだぞ」
「私が…関係している?」
「ああ、そうだ。貴様はこの世界の勇者たちを救うことしか考えておらず、俺たちのことはどうとでもなるとほったらかしにした。そのせいで彼女は負の感情を背負い続け苦しんだ。この世界はいつ救える?どれほど耐え続ければいい?そんなことを考えているうちに俺は答えを見つけた」
「…彼女をこれ以上苦しませないように殺したと。そんなの間違ってます!」
「いや、間違ってなどいない。この答えが彼女を苦しみから解放する方法だった……しかし、貴様のせいでそれは失敗に終わった。この世界に現れたイレギュラー、郡徹といったか、彼から彼女の魂が感じ取れたことで分かったーー」
ツクヨミは一呼吸をおいて、ある疑問を言った。
「姫神、彼は何者だ?彼女の魂は眠っていると分かっている、だが表に出ているはずの彼の魂はどこにもない、そして彼と戦ったとき何かは分からないが人ではない何かを感じた。まるで、誰かに作られた存在かのように。心当たりがあるのだろう、姫神?」
「知っていたとしても敵側についたあなたに教える必要はありません」
「ふっ、まあいい。ただ俺の目的に一つ加わっただけだ、何の問題もない。天の神から貰った力もだいたい分かったのでな。それに、彼と勇者たちと戦う舞台も用意できた、後は待つのみだ」
「…そうですか、ならもうあなたに言うことはありません。それに、これ以上表に出ていると天の神にばれそうなので戻らせてもらいます」
「いい暇潰しになったな…最後に彼に言ってほしいことがある、試練を乗り越えてみせろ、そう言っておいてくれ」
「分かりました、それでは」
姫神はそう言い、どこかへと消えていった。
辺りが静かになった後、ツクヨミは村の方へと振り返った。
「……郡徹」
ツクヨミはふと、梅田駅で彼らと別れる際、自分が最後に言った言葉を思い出した。
「『呪縛から解いてくれ』か、あの時自然と口に出てしまったが…俺の本心が揺らいでいるのか?彼なら俺を、彼女を救ってくれると願って……ふっ、ありもしない可能性に賭けるなんて、まるで昔の自分に戻ったようだな」
ーだが、それは昔の話だ。もうあの頃には戻れない。悪も正義もない、ただ信じる道を突き進むだけだ。だから貴様も己が信じる道を突き進め、郡徹。そして決着をつけよう、この世界に訪れるのは破壊か、それとも救済か、決めようじゃないか。
なんか物語が壮大になってきたなー。
謎が深まる深まる。
感想お待ちしてます