郡徹は転生者である   作:シンマドー

28 / 41
第二十四話   絶望の中に希望あり

 

「――兄さん」

 

「――兄さん起きて!」

 

「…千景か?」

 

 目を覚ますと勇者システムを起動した千景が仰向けになっていた自分を起こしていた。

 

「よかった…兄さん、怪我はない?」

 

「ああ、全然問題ない、勇者システムのおかげで助かった」

 

 自分は体をおこし、周囲を確認する。

 周りは奴等の攻撃で荒れ果てており、自分が仰向けになっていた場所はクレーターの中心部になっていた。そして奥には空に浮かぶ二体の進化体となんとか少し数を減らした人型バーテックスがこちらに迫っていた。

 

「兄さん、私も加勢するわ。倒すことが無理でも怯ませるぐらいなら出来る」

 

「分かった。でも油断はするなよ、奴等は連携して攻撃してくるぞ」

 

 それは少し時間が戻る。

 空にいる二体の進化体の攻撃が始まった時、自分は避けながら人型バーテックスを倒していこうと考え突っ込んだ。竜型の進化体から放たれる帯状の光線と眼球型の進化体から来る槍を避けながら人型バーテックスを浄化の剣で斬り、順調に数を減らしていく、ここまではよかった。

 それは突然の出来事だった。奴等が連携してきたのだ。

 光線と槍を避けた瞬間、人型バーテックスが突進してきた。それに油断した自分はその突進をくらってしまい、今に至った。

 

「大丈夫よ兄さん、いざとなったら切り札を使うわ」

 

 千景の切り札か……確かに『七人御先』なら安心出来るがまたあの黒いモヤを取り込まなくちゃいけない、姫神の所に来てから少し和らいだが、それを取り込んで持つかどうか……くそっ!何を躊躇しているんだ自分は!落ち着け、落ち着くんだ!

 

「……分かった。いざとなったら俺があの進化体二体を抑える、その間に逃げろ」

 

「……」

 

 静かにうなずく千景。

 

「よし、行くぞ!」

 

 自分と千景は奴等の方へと走り出した。

 

 

 

 

「兄さん、お願い!」

 

「ハアッ!」

 

 竜型と眼球型の進化体の攻撃を避け、千景の支援もあって最後の人型のバーテックスを斬った。

 

「これであらかた片付いたわね」

 

「ああ、後はあの進化体二体だ」

 

 …それにしても妙だな、あの進化体二体の攻撃が前の攻撃より雑になっている。結局千景は切り札を使ってないわけだし。逃げてる最中に攻撃されるんじゃないかと恐れていたんだが、これなら千景を逃がした方がよかったんじゃないのか?

 

「………」

 

 肝心のツクヨミは離れた場所で静かに立っているだけ……一体何が目的なんだ。

 

「兄さん避けて!」

 

「ん?あぶな!?」

 

 突然二体の進化体の攻撃が激しくなった。

 自分は千景の警告のおかげで少し遅れたもののなんとか避ける。

 

「くっ!」

 

 さっきよりも攻撃の命中が正確になっている!?

 完璧に避けたと思ったが、急に狙いが正確になりかすり傷だが何ヵ所か受けてしまった。

 

「兄さん!今そっちに――しまっ、きゃあ!」

 

「千景!」

 

 千景も油断してしまい、光線と槍を防いだものの着弾したときの衝撃で飛ばされてしまった。

 

「くそっ!なんなんだよ一体!」

 

 一刻もはやく千景の所に向かいたいが、一瞬でも隙を見せたらやられてしまう、そのため隙を見せないために自分は二体の進化体と睨む。

 

 ――――来る!

 

 そう思ったと同時に自分は走り出す、二体の進化体もそれと同じに攻撃が始まった。

 

「同じ鉄は踏まない!」

 

 そう言い、自分は旋刃盤で光線を防ぐ、そしてすぐさま手甲に切り替え次に来る槍を破壊は出来ないものの、弾くことは可能なため、槍を弾き飛ばした。

 

「よし、これならいける!」

 

 そう思った時だ。

 

「なっ!?」

 

 後ろから殺気を感じ、前のの方へ倒れこむ。すると何かがヒュンッと勢いよく通りすぎた。自分は通りすぎた何かを目視する。

 槍だ。先程弾き飛ばした槍が帰って来たのだ。

 

「まじかよ…」

 

 そう言っている間にも容赦なく槍と光線は自分を襲う。

 

「くそがああぁぁぁあ!!」

 

 自分は恐怖を打ち消すように叫び、旋刃盤で光線を防ぎ、手甲に切り替え、槍を弾き飛ばしながら突き進んだ。

 多少の傷も気にせず、自分に向かってくる光線と槍を防いで弾き、進むを繰り返す。

 少し、少しと進んでいき、進化体との距離も縮まる。

 いける!そう確信していた。

 

「なっ!?」

 

 だがそう簡単にはいかせてくれなかった。

 正面から来る槍を弾き飛ばすと、もう一本の槍が目の前に迫っていた。弾き飛ばすにも間に合わない。額に当たり、頭を貫かれる未来が分かりたくもないのに分かってしまった。

 そして槍が額に当たろうとした。

 

「させません!」

 

「うわっ!?」

 

 その直前、槍が何かに当たり大きく軌道をずらした。

 自分は驚きのあまり尻餅をついてしまう。

 

「ふぅー、危機一髪でしたね、徹先輩」

 

「さすがだな杏!」

 

「ぐんちゃん、大丈夫!?」

 

「大丈夫よ高嶋さん、少し傷を負っただけよ」

 

「うむ、運がこちらの味方したわけだな。とりあえず二人とも無事で良かった」

 

 自分の目の前に現れたのは、勇者システムを起動した姿、戦装束を着た杏とタマ、若葉、友奈がそこにいた。

 

「……後を付けてきたのかよ」

 

「ん?後を付けて何か悪いか?」

 

「……いや、大助かりだよ」

 

 自分は立ち上がり、みんなの方へと振り向く。

 

「みんな、あの進化体二体を倒すのに力を貸してくれ」

 

「元よりそのつもりです。徹先輩」

 

「安心しろ徹、タマに任せタマえってな」

 

「いいよ、とおさん!みんなで戦えば、どおってことないよ!ぐんちゃんはどうするの?」

 

「私もいくわ、あの進化体にはお返ししないと気がすまないわ」

 

「私も加勢するぞ、仲間を見捨てるわけにもいかないからな」

 

「全員満場一致か…よし!」

 

 自分は進化体へと振り返り手甲から浄化の剣へと切り替え、構える。

 

「それじゃあ行くぞ!」

 

 そして、自分の声を合図に再び戦いが始まった。

 

 

 

 その時のツクヨミがニヤリと笑っていることに自分はまた気づいていなかった。

 




次回、戦いはまだ続く

えー、まず一言、遅れてしまってすいませんでしたー!!
最近体調が優れなくて、回復に勤しんでいました。
今はもう大丈夫なので、これからも投稿を頑張っていきます。

感想お待ちしています
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。