郡徹は転生者である   作:シンマドー

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待たせたな!!(建前

本当に遅れて申し訳ありませんでした(本音


第二十六話   静寂なる暗闇を望む

 

「――起きて」

 

「――起きてください」

 

「若葉ちゃん、起きてください!!」

 

「……ひなた?」

 

 ひなたの声が聞こえ若葉は目を覚ます。

 

「よかった、目を覚ましたんですね」

 

「なんでひなたがここに?……みんなは?」

 

 若葉は体を起こし周囲を見渡す。そこには()()()の全員が倒れていた。

 若葉は徹がどこにいったのか気になるが、その前に目の前にある疑問を片付ける必要があった。

 

「ここは…一体どこだ?」

 

 若葉たちがいたのはなにもない白い空間だった。

 

「私も気づいたらここにいて、目の前に若葉ちゃんたちが倒れていたので起こしにいったんです。そういえば徹さんは?周囲を見渡しても徹さんの姿が見えないのですが」

 

「…すまない、徹と千景の故郷で進化体二体と戦っていたのは覚えているがそこから先はなにも覚えていないんだ」

 

「そうですか…とりあえず、みなさんを起こしましょう」

 

「そうだな」

 

 若葉とひなたは一旦話をやめ、まだ目を覚ましていない勇者たちを起こした。

 

 

 

「……全員、覚えていないんですね」

 

 全員を起こしたあと、ひなたは状況説明し、全員にどこまで覚えているのかを聞くが結果は同じだった。

 

「誰も覚えてないって不味くないか?」

 

「そうですね、タマっち先輩いう通り、私たちが忘れてしまった空白をどうにかして思い出さない限り、どうすることも出来ません」

 

「うーむ……可能性があるとしたら、徹以外全員死んでしまったが考えられるが」

 

「……じゃあここは死後の世界だっていうの?」

 

「ちょ、なに物騒なことをいってるんだ二人とも!」

 

「そうだよ!まだ他の可能性だってあるかもしれないよ!」

 

「そうですね…もしその可能性があっているとしたら若葉ちゃんたちはともかく私は死ぬ直前の記憶は持っているはずなのですが…ないのでその可能性はなしですね」

 

「そうか…なら次の可能性を考えよう」

 

 若葉たちが次の可能性を考えてようとしたときだった。

 

「その必要はありませんよ」

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

「誰だっ!?」

 

 若葉たちは声のした方を振り向く、するとそこには短い白髪で巫女装束を着た一人の女性が立っていた。突然現れた女性にひなたを除いた全員は武器を構え警戒した。

 

「安心してください私は敵ではありません、私はあなたたちをお待ちしておりました。若葉様にひなた様、友奈様、千景様、球子様、杏様、お会いできて光栄です」

 

 そう言い女性はお辞儀をした。

 

「私たちをまっていた?」

 

「はい、申し遅れました、私は時を操る神であり郡徹のこの世界に送り出した張本人、姫神と申します」

 

「か、神様ぁ!?」

 

「マジかよ、まさかこの目で神様が見れるんなんて夢にも思わなかったぞ」

 

「タマっち先輩に同感です」

 

「なんで今日に限ってこんなに驚かなくちゃいけないのかしら…それに、姫神さ「姫神でいいですよ」――姫神はさっき兄さんをこの世界に送り出した張本人って言ってたけどそれはどういうこと?」

 

「そうですね、では勇者様たちが失った空白と一緒に話しますね、私が犯してしまった罪の全てを…」

 

 

 

 

「…………」

 

 ただ真っ暗な空間に自分は立っていた。

 なぜここにいるのかは分からない、だけど恐怖は感じなかった。それどころかこの空間がいまの自分にとっては快適な空間だと感じてしまっている。

 

「なんで俺…こんなところにいるんだ…?」

 

 思い出そうとしても自分が最後に覚えているのは、巨大な黒い霧が自分の中に入り込むところだった。それ以降の記憶はすっぱりと無くなっている。

 

「っ!?」

 

 突然とてつもない激痛が頭の中をはしる。

 あまりの痛さに両手で頭を抑える。しかし激痛は収まる気はない、徐々に激痛は強くなり、自分の頭の中に知らない記憶が映し出された。

 

 

『姫ちゃん…お願い……これは姫ちゃんにしかできないことなの』

 

『ぐすっ…分かりました。アマテラスさんの願い、確かに承りました』

 

『最後ぐらいは白犬って呼んでほしいな……』

 

『はい……白犬さん…』

 

『…やっとその名前で言ってくれたね…姫ちゃん…後は…よろ…しく』

 

「この記憶は確か…姫神が前に言っていた…」

 

 前に姫神に教えてもらったことと一致している、瀕死状態のアマテラスという女、そして彼女の傍にいた姫神、これを察するにツクヨミに殺されたその後の記憶だな。でもなぜ今になってこの記憶が見えたんだ?

 

「っ!?またか!」

 

 そんなことを考えているうちにまた次の記憶が再生される。

 

『これでいいん…だよね?これで…みんなを救えるんだよね?うんうん、私がしっかりしないといけないんだ。アマテラスさんもツクヨミさんもいない、私一人でやらなくちゃいけないんだ。私に出来ることをやらなくちゃ』

 

 次の記憶はいつも姫神がいる白い空間だった。目の前にいる姫神は自分の知っている姫神よりもどこか弱気な気がした。

 

「…姫神は一体何をしているんだ?」

 

 姫神がなにかをやっていることは分かるがなにをやっているのかは分からない、自分は姫神の作業を眺め続ける。

 そして、姫神がなにをやっているのかが分かったとき、自分は目を奪われてしまった。

 

「どういうことだ…なんで…なんであそこに俺が立っているんだ!!」

 

 そこにいたのは魂が抜けているように立っている自分がいた。

 

『これである程度は完成…後は記憶を植え付ければ…よし、終了』

 

 そう言うと目の前にいる自分が眠るように倒れ、目を閉じた。

 

『ちゃんとアマテラスさんの言う通り、世界を救うことができる人を作ることができた。後は彼がどんな風に救うのか…様子見しなくちゃ』

 

 そこから先は最初の時と同じだった。眠っていた自分が目覚めそこに姫神が登場し説明する。

 そして説明が終わり、自分は転生する、ここまでがあの時の場面だった。まだ記憶は続いている、ここから先は未知の領域、転生した自分に別れを告げた姫神はある言葉を口にしていた。

 

『……悲しいものですね、彼は使命を終えれば消えてしまうのに、彼は使命を止めることはできない、どんなに抗っても結果は変わらない、使命を果たさないといけないという決意に縛られているから…作られた英雄は強制的に使命を果たし、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 その言葉は自分には衝撃的だった。

 嘘だと言ってほしかった。

 どんなに嘘だと自分の中で言い続けているのに、本心がこれが真実だと受け止めていた。

 

「なんでだよ…もう訳がわかんねえよ。俺が本当に人間なのか、使命が終われば自分自身の存在が世界から忘れ去られるとか、俺は…俺は!」

 

 膝をつき両耳を手で塞ぎ目を閉じる。

 もうなにも見たくないし聞きたくない、ただ静寂な暗闇が自分を支配すればそれでいい。

 それが、永遠に続くのならば本望だ。

 

 

 

 

 

 

「………」

 

 香川県にある神樹様がへと続く門に、一人の男が向かっていた。

 その男は、体が脱力したかのようにふらふらと歩いていた。男の目は光が灯ってなく、まるで魂が入っていない肉人形のようだった。

 

「………」

 

 男は無言で歩き続ける、そして男が門の前に着いたとき、足を止めた。

 男は光のない目で門に陣取る一人の少女を無言で睨み付ける。

 

「…久しぶりだね、徹くん。名前覚えてる、歌野だよ?」

 

「……」

 

「反応はなしか…徹くん、貴方に何があったのかは私は知らない、でも…私は、貴方がこれからすることを止めなくちゃいけないの」

 

 歌野は勇者システムを起動させ、戦装束を身に纏った。

 そして己の武器の鞭を構え――

 

「だから早く目を覚まして、徹くん!!」

 

「■■■■■■■!!」

 

 歌野が張り上げた声を出し走り出す、それと同時に徹も声にならない叫びを上げながら走り出した。

 

 

 




次回、待て、しかして希望せよ

遅れた原因はなんと言うか、色々と個人の用事がいっぱいいっぱい詰まっていまして書く時間があまり取れませんでした。
ご迷惑をおかけしてすいませんでした。
こうなることが多くなると思いますが気長に待っててください

感想お待ちしております
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