私はとおさんとぐんちゃんと一緒に遊んでいた記憶をまだ覚えている。あの避難所で迷子になっていた私に優しく道を教えてくれた時が初めての出会いだった。そして友達になったあと毎日疲れるまで遊んだ。色んなことをお話したり、鬼ごっこで走り回ったりもした。ほんとに毎日が楽しかった。こんな日々がずっと続けばよかったと思ったりもしていた。でも、私たちが勇者に選ばれたとき全てが変わった。私はとおさんが絶対に帰ってくるって信じてるから、帰ってきたらみんなと一緒に思い出を作ろ、ご飯を食べたり、遊んだりして忘れることのない最高の思い出作ろうよ、とおさん。
あれから病院を後にした自分たちは話ながらぷらぷらと夜道を歩き、そうしているうちに瀬戸大橋記念公園に着いていた。
「結局ここに来ちまったな」
「えへへ、でもここから見る夜景がきれいだから別に来て無駄じゃないね」
「そうかもな」
そこから場所を移すために歩いた。
友奈が先頭で後の自分たちは後ろだったため自分は友奈に聞こえないような声量で千景に聞いた。
「ところで千景、結局どうだったんだ父さんと母さんは?」
「安心して兄さん、体調も良くなってるみたいで元気だった」
「ああ、まあそれも聞きたかったんだがなんか他になかったか?」
「…そんなに知りたいなら兄さんも行けば良かったのに」
「それは……すまん」
千景の言葉に自分は謝ることしか出来なかった。
「…冗談よ、別に隠すことでもないし、教えてあげるわ、でも次があったときは兄さんも一緒に行ってもらうから」
「分かった。次は俺も一緒に行くから教えてくれ」
「約束よ、兄さん」
そこから千景の話を聞いて驚くことがあった。
それは両親ともにまるで別人になっているかのように変わっていたらしい。どうやら病室に入ってきた千景を見た両親が突然泣き出し何度も謝ってきたらしい。これには千景も困惑したらしい。それもそうだ、自分もそこにいたら千景と同じく困惑するだろう。自分たちが知っている両親とはあまりにも違うからな。多分浄化の剣で斬ったからその時に心が浄化されたと考えられる。今思うと相当強いなこの剣。
「そこからはまあ色んなことを話して終わったわ」
「教えてくれてありがとな、千景」
「別にいいわ……そういえば兄さん、最後に兄さんに伝えてって伝言を頼まれてるの」
「んっ、なんだ?」
「『家族を守ってくれてありがとう』だって」
「っ!?……そうか」
その言葉を両親からの口から聞いたら確実に自分は泣いているだろう、そして今だからこそ感じられる。自分は、
「……兄さん?」
「んっ?ああすまん、少し考え事しちまってな」
「どんなこと考えてたの?」
「明日の戦い、絶対に負けてられないなって」
「…ええ、そうね。絶対に勝ちましょう兄さん」
お互いに笑顔でそう言った。
「おーい、とおさんにぐんちゃんー!こっちこっちー!」
遠くのほうから友奈が手を振っていた。
どうやら何かを見つけたのだろう、小走りで友奈のほうへと向かった。
「奇遇だな、こんな夜遅くに出会うとは」
「おーと徹たちもここに来たのか」
「ハロハロー徹君、久しぶりー」
浜辺に着くと、若葉たちがそこにいた。
これはもう偶然じゃなくて奇跡レベルだな、なんの打ち合わせもなしにこの浜辺に普通全員集まるか?若葉とタマと歌野はいつも通りだが、残りのひなたと杏と水都を見てみろ、苦笑いしてるぞ。
「まさかここで会うとか誰も思わねーよ」
あまりの出来事に頭に手を当てる。
「まあまあ、別に減るものではないですしいいじゃないですか」
「そうは言ってもなあ」
ひなたの言葉に自分は何か言おうとしたが何を言っても無駄だと思ったため口を閉じた。
「そうだ!ねえみんな!全員揃ってることだし、みんなで自己紹介しよ!」
「えっ?」
突然の友奈の発言に自分は少し困惑した。それは友奈以外の全員もそう思ったろう。
「あ、あのーなんでここで自己紹介するんですか?」
水都が友奈に質問をする。
「だって最初の頃のみんなは色々と自分のことを誤魔化してたでしょ、でも今はみんなの仲が良いから、本当の自分をみんなに知ってもらおうって!」
「なるほど、確かにそうですね」
友奈の発言に杏が納得する。
確かに最初の頃、自分はみんなに色々と隠していたからな、ここで全てをさらけ出すのも気持ちが晴れるものだ。
「ならさっそくやるとするか、最初は私からいこう」
こうして全員の自己紹介が始まった。
今になって知ることが沢山あって驚いたりもしたが、それよりも知らないことを知れてとても良かったと自分は思った。
「さて、最後に徹、頼んだぞ」
そうしているうちに自分の番になっていた。
……よし、いくとしますか。
「俺は転生者であり勇者、郡徹。高知県出身。誕生日は二月三日。血液型はA型だ。趣味は…まあ本を読んだり訓練することかな。俺が勇者になるその前、小さい頃俺は千景を助けるために色々と行動してたよ、まあそのせいでダメな方向にいっちゃったけどそれでもなんとか千景を連れて逃げることに成功した。で、次はみんなを助けるために転生したときにもらった力で次々とみんなを救ったわけだ。まあアクシデントは沢山あったけどな」
まさかここまで話せるとは自分でも思ってもいなかったがそれでも自分は続けた。
そして自分の発言をただみんなは静かに聞いていた。
「でもな、実際そう簡単には行かないものだ。俺はみんなを助けると同時に失ったものもあった。その中で一番大きかったのが左腕を失ったことかな、俺は諏訪のみんなを救うために神樹に頼み左腕を捧げた。まあ神樹も良心はあったんだろ、代わりに義手を付けてもらったよ。まじで人の腕そっくりだから忘れそうになったがな。そんで次は片目の視力を奪われたことだな、まあこれは力でカバーしてるから問題ないけどな。結構いろいろなことがあったけど俺は諦めないと誓った。絶対に明日の戦いは勝ってやる、勝たなくちゃいけないんだ………こんなもんかな、ありがとな俺の話を聞いてくれて」
結構スッキリするもんだな、というかよくこんなに溜めてたな自分。
「いや、こちらからもお礼を言いたい、ありがとう徹、この話を聞けて良かったよ」
「そうか」
若葉の目が少し充血してるのは多分涙を拭くために目を擦りすぎたのだろうと思うがあえて自分は触れないでおいた。他のみんなはまだ涙が止まらない感じだがな。これは落ち着くまで少し待った方がいいな。
数分後
「さて、そろそろ帰るとするか」
色々とあったが、みんなはなんとか落ち着き、明日の戦いに支障が出ないよう帰ることになった。
「そうだ、最後にみなさんこれをどうぞ」
そんなとき、ひなたは持っていた袋から何かを取り出し、みんなに渡していった。
「これは…お守りか、しかも手作りか?」
「はい、私が作りました。みんなが無事に帰ってくることを思って作りました」
「私は別にここの防衛なんだけどなあー、まあ意味は同じだからいっか」
そう言い微笑む歌野。
「さてと、ひなた特製のお守りももらったことだし明日の戦い、絶対に勝たなくちゃな」
自分の言葉に全員頷く。
待ってろよツクヨミ、てめえがやろうとしてることを絶対に阻止してやる。そしてこの手でてめえの悪夢を終わらせてやるよ。
次回、作戦開始
読んでくださりありがとうございます。
さて、次回からは最終決戦ですかね。はてさてどうなることやら、次回のお楽しみに。
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