一体どれぐらい経ったのだろうか、自分の体は傷だらけで血だまりができるぐらいに出血している。
「くっ……そがぁ…」
立ち上がろうとしても出血のしすぎで立つことすら難しい、それに呼吸も上手くできず声が掠れてしまっている。
あの時、防御に全力を注いでなかったらこれぐらいじゃすまなかった。最悪死んでいたのかもしれない。
『大丈夫、徹君?』
「あぁ……なん…とかな…そっちは…」
『平気平気、まだまだ行けるよ』
余裕そうに言ってるが実際かなりの負荷がかかっているため無理をしていることがだいたい分かる。
「ふぅー……」
息を整え集中する。奴がどこにいるのか分からない、だから奴の音、息、気配を頼りにして探しだす。
数秒後。奴の居場所が分かった。奴が今いるのはーー
「上かっ!」
視線を上に向けると同時に剣を振るう、視線の先には暴走しているツクヨミの姿があり、奴の剣は自分の首を狙っていたが、ちょうど自分が振るった剣に当たり金属と金属がぶつかる音が響く。
「■■■■■■■■!!!」
「なめんなあぁぁぁぁ!!」
ツクヨミの威圧に負けじと自分も叫んだ。
地上では――
「はあっ!」
若葉の一閃で次々とバーテックスは斬られていく。倒した数はとっくのとうに3桁はいっているが一向に攻めてくる量は減る気配がない。
「くっ、これ以上は体力が持つかわからないな」
弱音を吐く若葉だが実際訓練で鍛えた体力があったとしても激しい動きが数時間も続けば次第に体力も底を付く、それは若葉だけではなくみんなも同じだ。
「若葉ちゃん危ない!」
「っ!?」
友奈の警告で目の前に迫ってくるバーテックスに気づき避けようとするも反応が少し遅れ体当たりをもろにくらってしまった。
「ぐはっ!」
「若葉ちゃん!」
若葉の元に駆け寄る友奈。
「大丈夫、若葉ちゃん?」
「問題ない、少し不意をつかれただけだ」
そう言い若葉は立ち上がる。
「若葉ちゃん、足が」
「問題ない、まだ動ける」
友奈は若葉の足がふらついていることに気付き言ったが若葉は気にするなと言った。
「若葉さん、友奈さん!」
そんなとき杏と球子、千景と合流した。
「どうしたのあんちゃん?」
「このままだとまずくなると思ったので戦線を下げました。同時に若葉さんの安否の確認を」
「心配かけてすまない、でも大丈夫だまだ行ける。それよりも杏、今の戦況をどう思うか?」
「正直に言いますとここを突破されるのは時間の問題だと思います。私たちの体力が削られていく一方敵側の数は変わらず。なにか案を考えないと厳しい一方です」
杏は難しい顔をしてそう言った。その発言にはみんな同感していた。
「くっ……一体どうしたら……」
そう言った時だった。
「いえ、その心配はありませんよ」
「「「「「っ!?」」」」」
若葉たちは声がしたほうに振りく、そこにいたのは暴走した徹を救出する際に手助けしてくれた姫神の姿がそこにあった。
「なぜあなたがここに?あなたは確か大事な用事があるとーー」
「お話は後で話します。とりあえずみなさんこれを」
若葉の発言を遮り、姫神は発しながら手を差し出す。差し出した瞬間、若葉の目の前にスマホが突然現れた。スマホを手に取り画面を見ると『解放』とかかれたボタンが写っていた。それを見た若葉はみんなの方へと目線を変える。みんなも若葉と同じでスマホの画面を確認した後、若葉を見てコクリッ、と覚悟を決めたようにみんなは頷いた。
みんなの了承を確認した若葉は姫神の方へと振り返り質問をする。
「これで、みんなを救えるのか?」
その問いに姫神はーー
「はい」
と、答えた。
「そうか…それなら…行かせてもらうぞ!」
そう言い若葉はボタンを押した。みんなも若葉に続いて押す。ボタンを押すとスマホの画面から光が溢れだし、その光は若葉を包み込んだ。
疲れきっていた体が徐々に回復すると共に力が沸いてくる感覚がした。そして、体が完全に回復したときには包んでいた光は消え視界が晴れた。
「これは?」
若葉は背中に何かが付いているのを感じ、見える程度に見ると若葉の背中に天狗のような黒い大きな翼が付いていた。他のみんなも姿が変わっており、友奈は赤い角と巨大な手甲を千景は大鎌の刀身が深紅に染まり、球子は旋刃盤に炎が宿り杏は逆に金弓箭に氷が宿った。
「みなさんの力を最大限に出せるよう私の力をみなさんに分け与えたんです。私の力なので体に影響はありませんし、穢れも出ませんのでご安心ください」
姫神は若葉たちに説明する。
「すごい!さっきまでヘトヘトだったのに一瞬で疲れがなくなったよ!」
「うぉーー!!タマはまだまだ行けるぞー!!」
「この力があれば勝機はあります!」
「ええ、形勢逆転ってとこかしら」
友奈、球子、杏、千景は与えてくれた力を手に取り戦う意思を見せた。
「ありがとうございます、姫神さんのお陰で私たちはまだ戦えます」
「いいえ、礼を言うのは私ではなく徹さんにいってあげてください」
「?…それは一体?」
「それも後で話しますので、今は戦闘に集中を」
姫神が言ったことに疑問を持つ若葉だが、今は戦闘に集中するべきと姫神に言われたので後で話を聞こうと心の中に留め、友奈たちの元へと向かった。
「……徹さん、彼女たちのことは私が全力で支えます。ですのでどうかご無事で……」
空島へ視線を向け姫神は徹の無事を祈るように言った。
そして最初に戻る。
「■■■■■■!!」
「ちっ、多少は奴の動きは慣れてきたが休む暇がねぇ」
暴走したツクヨミの攻撃は力も強く早いがその分単純だと分かった今防御は完璧だ。だがそれは続かない、ツクヨミの攻撃は隙がなく息を吸うにもその機会を奴は与えてくれない。
『徹くん、このままだと時間が!』
「分かってる!」
アマテラスの言ってることは正しい、このまま続けばこちらが持たない、暴走したツクヨミを早く倒さなければ。それを出来る方法はたったひとつ、そのためにも時間を作らないと。
「一か八かだ!白犬、
『えっ!?
「早く!!」
『…分かった。無茶はしないでね』
「…ああ、分かってる」
そう言うと自分の体から光の玉が出てきた。そして、光の玉は一瞬だけ発光するとアマテラスの姿になった。
「■■■■■■■■■■!!」
「させない!」
徹の方へと突っ込んでくるツクヨミをアマテラスは自身の力だ作った光の壁で対抗する。
アマテラスがツクヨミの相手をしている今がチャンス、そう思い自分はたったひとつの方法である
それは昨晩の事である――
明日に備えて早く寝ようと自室のベッドに腰を下ろしたとき、少し気になることがあったためアマテラスに聞いてみた。
『鍵となる剣について詳しく聞きたい?』
「ああ、確か段階があるって言っていたが、どれくらいあるんだ?」
『うーん、今の徹君とツクヨミの剣はどっちも三段階中二段階ってとこかな』
「ツクヨミも俺と同じ二段階?奴は俺よりも剣のことは知っているだろ?」
『えっと……言いにくいけど、私とツクヨミはそれを知っているだけで、方法は二段階しか分からないんだよ』
「まじかよ、二人とも知らないって…」
まさかの二人とも知らないという事実に呆れる自分。
……ん?ということは…
「ツクヨミは見つけたのか、剣を三段階目にする方法を」
『うーん、それはないと思うよ。多分だけど
「
『えっとね、私が前にやったことなんだけど、それをやるとね剣を三段階目にすることが出来るんだよ』
「おい、さっきと言ってることが矛盾してねえか?」
『確かに矛盾してると思うけどね…この方法は正規のやり方じゃないんだよ』
「ということは白犬とツクヨミは正規のやり方は知らないけど裏技てきなやり方は知ってるってことか?」
『そうだね』
なるほど…ならもしものために
「じゃあその裏技を教えてくれないか、もしもの保険のために」
『別にいいけど、でもこれはもうどうしようもないときに使うんだよ、裏技は負荷がすごいから一瞬でも気を抜いたら即暴走しちゃうから』
「分かった、善処する」
『ならよし!じゃあ教えるね、裏技のやり方はね―――』
「剣を自分自身の体に取り込むことだ!!」
自分は浄化の剣を自身に向け、心臓の部分に狙いを定め、そして浄化の剣を心臓へと突き刺した。
「ぐっ!!」
やべえ…一瞬でも気を抜いたらまじで意識を失う。その場合自分はツクヨミと同じ暴走状態になってしまう。でも、ツクヨミにはなくて自分にはある能力がある。
「全ての希望をもって命ずる、俺に絶対的な勝利の栄光を!!」
『希望の願い』でブーストをして意識を保たせ安定させる。
体全体から光は溢れだし剣は完全に体に取り込み体の奥底から溢れんばかり力が湧き出て全身を巡る。
「もっとだ……もっと……もっと力をぉぉぉぉ!!!!!!」
そう叫びながら全ての力を解放し、自分を中心とした一本の光の柱を作り出した。
「■■■■■!?」
「くぅ……徹君!!」
光の柱を見たツクヨミは後ろへと下がり警戒する。アマテラスは光の柱からくる風圧に耐えながら徹の名を呼んだ。
光の柱は勢いを失い消え、眩しさは無くなった。アマテラスの視界が晴れると先程光の柱が出たところから人影が見える。アマテラスは少し身構えるが、姿を見た瞬間身構えるのをやめた。
「……後は頼んだよ、徹君!!」
そしてアマテラスはそう言い操作していた武器を返した。
「ああ、後は俺に任せろ」
自分はそう言い前に出る。
今の姿は黒のラインが入っている白色の戦装束を着ており、髪色は黒から白へと変わり、目の色は光を灯す黄色になっていた。
「■■■■………■■■■■■!!!」
ツクヨミは威嚇するかのように咆哮する。
「来いよツクヨミ、決着をつけようぜ」
若葉たちの武器を空中に出現させながら自分は言った。
次回、決着
遅れてしまい本当に申し訳ない。
とりあえず残り話数あとちょっとだから気力をだして書いていきます。
感想お待ちしております