郡徹は転生者である   作:シンマドー

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決着!!


第三十六話   決着

「■■■■■■!!」

 

 最初に動いたのはツクヨミだった。奴の十二本の触手は真っ直ぐに自分の方へと飛んできた。

 先程まではこの攻撃はどうしようもなくただ避けるのみだったがもうその必要は無くなった。

 

「行け」

 

 その合図と共に空中に止まっていた若葉たちの武器は向かってくる触手に向けて射出された。射出された若葉たちの武器は先程とは段違いに強い、その上速さも上がっている。

 

「■■■■■■!?」

 

 そのため触手が自分に届く前にツクヨミの体を貫いた。これにはツクヨミは驚いた様子だがすぐに貫いた部分から黒い霧が出て傷口を塞ぎ再生した。

 

「再生か…厄介だがずっとは続かねえだろ?」

 

 自分は今度はツクヨミの真上に出現させ射出する。それをツクヨミは反応出来ず喰らうもすぐにまた黒い霧によって再生しようとする。

 

「させねえよ!」

 

 自分は一瞬でツクヨミに詰め友奈の手甲を召還する。

 

「借りるぜ『酒呑童子』!!」

 

 そう言った瞬間、手甲は巨大化し頭から二本の鬼の角が生えた。そして勢いよくアッパーをしツクヨミを空中に上げる。

 

「まだまだぁ!!」

 

 『酒呑童子』を解除し、今度は杏の金弓箭を召還する。

 

「『雪女郎』『輪入道』!!」

 

 金弓箭に雪を纏わせ数発喰らわせ、すぐに解除したのち球子の旋刃盤を召還し炎を纏わせ投げる。

 

「『七人御先』!!」

 

 更に追撃を加えるため次は千景の大葉刈を召還し精霊の力で自分を七人に分身させそれぞれ斬りかかせたのち最後に壁へとぶん投げ大きな音と共に土煙を出した。

 

「すごい…これが、剣を最大に引き出した力なの…」

 

 それを見ていたアマテラスは驚きの声を出す。

 さっきまでこちらが不利だったのにも関わらず剣の力を最大に出した瞬間一気にこちらが有利になった。その光景にアマテラスは手を出さずにただじっと見続けた。

 

「さてと、これだけ攻撃したんだ、ここらへんで成果が出てくることを願うよ」

 

『七人御先』を解除し、大葉刈から若葉の生太刀に切り替え、構えながら自分は言う。すると土煙の中からツクヨミが黒い霧を纏わせながら出てきた。自分は失敗かと思ったがよく見るとふらついており触手の本数が減っていることが分かる。

 

「■■ク■、■■ガ■■ァ■■■」

 

 そして僅かではあるが言葉を発している、なら次の攻撃で決着がつくと自分は確信した。

 

「行くぞツクヨミ、この攻撃で終わらせてやるよ。来い『大天狗』」

 

『大天狗』の力により背中から黒く大きな翼が生える。

 

「■■ギ■■ア■■ぁ■■アアアぁぁぁア!!!!」

 

 ツクヨミも全ての力を出したのか、触手をなん倍も増やし自分に向けた。

 

「■■キ■■ぇ■■ロ■オ■ぉ■ぉぉぉ!!」

 

「なめんなぁ!!」

 

 そして自分が走り出したと同時にツクヨミも触手を放った。視界を埋め尽くすほどの触手を翼から出る最大の風圧で消し飛ばすもすぐにまた触手が埋め尽くす。また消し飛ばそうとするも触手が迫ってきたため翼を使って空中に飛び回り迫ってくる触手を避ける。だが避け続けていても埒が明かないためツクヨミの方へと突っ込むタイミングを避けながら見る。

 

「……………ここだ!」

 

 触手が一斉に来た瞬間、ツクヨミの方へと一気に加速する。触手と触手の間をくぐり抜け徐々にツクヨミとの距離を縮める。

 

「■■シ■■ネ■エ■ぇ■ぇ■!!!!」

 

「やらせるかぁぁあ!!」

 

 ツクヨミは迎え撃とうと片手に黒い霧を集め放つところを自分は生太刀を投げて阻止する。

 

「終わりだあぁぁぁあ!!!!」

 

 生太刀を投げたことにより『大天狗』の力が解除されるがツクヨミとの距離はあと一歩、攻撃するば終わる。自分は生太刀を手元に再召還し力を振り絞るような声を挙げながら刀を振り下ろした。

 

「……違う」

 

「なっ!?」

 

 終わったと確信し刃がツクヨミの体の当たる直前、生太刀が弾き飛ばされてしまった。奴め、片方の手をわざと見せびらかしてもう片方の手で黒い霧を集め生太刀を弾き飛ばしやがった。

 

「俺の、勝ちだ!」

 

 ツクヨミは黒い霧で剣を作り、突き刺そうと剣先を突きだしてくる。奴はここで勝利を確信したと思うが、残念だがツクヨミお前は一つ見落としている。そのたった一つの見落としが敗因だ。

 

「っ!!」

 

 アマテラスは目を見開いた。二人の体が合わさったとき決着がついたと確信した。静寂が訪れた空間の中勝利したのは―――

 

「………ごふ!なぜた…なぜ…お前がそれを…」

 

 口から血を出しながらツクヨミは聞いてくる。

 

「…ああこれのことか、過去の白犬からの贈り物だ」

 

 その問いに自分は素っ気なく返す。

 自分はツクヨミの剣は当たっておらず、ツクヨミは()()()()が心臓を突き刺していた。その()()()()とは――

 

「嘘、あれって、黒くなる前の浄化の剣!?」

 

 アマテラスが答えを言う。そう、ある武器とは黒くなる前の白色の浄化の剣のことだった。

 

「なるほど……剣の三段階目は…剣の力を制御する…ことだったのか…」

 

「ああそうだ。そしてお前の命の源である負の感情、穢れを全て浄化した。もうすぐお前は消える」

 

 自分は突き刺していた浄化の剣を引き抜く、引き抜いたことによりツクヨミは仰向けに倒れようとする。自分は仰向けに倒れようとするツクヨミを支え、ゆっくりと下ろした。

 

「ツクヨミ…」

 

 アマテラスがツクヨミに近づき、膝座りをしてツクヨミの手を両手で包んだ。

 

「ごめんね、私のせいで…貴方を苦しませてしまって」

 

「…いや…お前のせいじゃない…全部俺のせいだ…お前が苦しんでいることに気づかなかった自分が悪かったんだ。許してくれ」

 

「うん、いいよ。貴方は良くやったよ、だから…もう休んでいいんだよ」

 

 涙を流し、優しく語りかけるように言うアマテラス。

 

「そうか…どうやらそろそろ時間らしいな」

 

 ツクヨミがそう言うとツクヨミの足が徐々に砂のようにさらさらと消え始めた。

 

「徹、最後にお前に伝えたいことがあるが、いいか?」

 

「ああ、別に問題ない」

 

「そうか…俺が伝いたいこと、それは『自分が切り開いた道は自分で終わらせろ』いいな?」

 

「ああ、任せろ。ちゃんと終わらせてくるから。だから先に行っててくれ」

 

「それを聞けて安心したよ。お言葉に甘えて先に行ってるぞ、また会おう、徹」

 

「ああ、アマテラスと一緒に待っててくれ」

 

「そうさせてもらうよ。終わらせてこい、徹」

 

「じゃあね徹君、応援してるから!」

 

「はいよ」

 

 微笑みながら言う自分にツクヨミとアマテラスは安心しきった顔をし最後に笑みを浮かべて二人は消えた。

 

 

 

「さてと、俺も終わらすか」

 

 もうここには自分しかいない、自分は剣を刺す台座へと歩く。静かなため足音の一歩一歩が大きく聞こえる。それと同時に段々と体に力が入らなくなってきている。

 

「もう俺も持たなくなってきてるな…だけど、まだ最後に一つやることやんなくちゃな」

 

 そんなことを言っていると台座の目の前まできた。途中から足を引きずっていたが、なんとか着いたことに少しほっとする。

 

「ふぅー……」

 

 息を整え、手に持っている浄化の剣を両手で掴んで台座に刺す構えを取る。

 

「ふん!」

 

 覚悟を決め剣を台座に突き刺した。突き刺した瞬間そこから爆発したかのように力が噴き出した。力はあまりにも強く体に激痛が走り続ける。それでも自分は剣を離さずに耐え続ける。

 

「く、そがあぁ!!」

 

 あまりのキツさに愚痴を溢す。早く願いを言わないと。そう思い口を開こうとしたとき。

 

「っ!?目が!」

 

 突然目が火傷するような熱が現れた。そしてその熱と共に視界が変わり始めた。

 見えた光景は樹海だった。だが自分が知っている樹海とはどこか雰囲気が違うような感覚がする。見渡していると一人の少年を見つけた。その少年は背を向けているため顔は見えないが着ている服が戦装束だということは分かる。

 

「…たく、いい趣味してるぜこんなの初見殺しじゃねえか」

 

 アマテラスに事前に聞いておいてよかった。まさか今見ている光景が自分の願いを言った後の未来の世界とか分かるかよ。アマテラスから聞いた話によれば見ている光景はもっと先の未来、何百年も先の世界を見せると聞いた。一見先の未来が見えるのはいいことだがこれは罠だ。昔アマテラスが戦争を止めるために使ったらしく、その際に見えた光景が幸せに暮らしている人々の光景だったらしく何も疑問を持たず願いを言ったらしい。だがその結果、真逆のことが起こったらしい、戦争は終わったが被害が大きく、自身が見た未来の光景とはまったく違い、幸せな人なんて一人もいなかった。

 つまりだ。何でも願いは叶うがその願いがどのような結果を残すのか、結果の未来は見えるがその間はどうなるのか分からない状態。

 

「だからこそ、願い事は慎重にいかなければいけないって言われたけどな…安心したよ。この未来は正解だ。例えここで神を倒せと願ってもリスクが大きすぎる。だからこそ――」

 

 そう言いかけた時、視界が元に戻った。溢れていた光は収まり、剣は後少し押せば台座にはまる直前になっていた。息を吸い、気持ちを落ち着かせる。

 

「人類に時間を与えてくれ。神を倒せる人物が現れるまで、一時の平和を俺たちに与えてくれ!」

 

 言ったと同時に両手に力を入れ、剣を台座に完璧に刺した。すると剣が白く光出したと思えば突然体の内側から飛び出るように若葉たちの武器が出てきた。そして今度は剣が強く光ると若葉たちの武器は勢い良く天井を壊し、空中に止まったと思えば各武器がそれぞれの方向へと別れ始めた。

 

「……これで…終わりだな」

 

 武器がそれぞれの方向に飛んで行ったのを見届けた後、くつろぐのうに仰向けに寝る。

 

「後は頼んだぞ…姫神」

 

 そう言い自分はゆっくりと目を閉じた。

 

 

 




次回、エピローグ

今回の話は少し詰め詰めに書いてしまいましたすいません。
次回はラストです。

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