最後まで見ていってください!
それは戦闘の時に起きたことだった。私たちがバーテックスと対峙してる時突然空島から一本の光の柱がたっていた。その光はすぐ収まったが少したつと空島から何かが出てきたのが見える。それは各方向に別れ飛んでいった。微かに見えたがあれは私の武器でたある大葉刈だった。飛んでいったのは全部で五つ、兄さんは一体何をしようと?
「っ、なに!?」
考え事をしていると突然強い地震がきた。揺れは強く、立つことが出来ないほどの揺れ驚くも事態はそれを見逃さなかった。
「またあの光、今度は五本も!?」
地震の原因はあの光の柱だ。地面から湧き出るように出ていき、各方向に五本囲むように立っていた。
「?バーテックスが、あの光を見て逃げてる?」
そしてバーテックスは光の柱を見た途端怯えるように全てのバーテックスが撤退していった。
その光景に呆然としていると光の柱が急激に強く発光しだした。
「っ!」
あまりの眩しさに私は目を瞑る。一体何が起こってるのか分からない、ただ今の私に出来るのは目を瞑ることだけ、そんなことを思いながら、光が晴れるのを待ち続けた。
「ん………終わったの?」
体感で一分ぐらいだろうか、光が収まり目を開けていいほどになったため目を開ける。
「………うそ」
最初に視界に写ったのは青い空だった。この空は本物だ。私たちが日常で良く見る空だ。
「ぐんちゃーん!!」
名前を呼ばれ振り返る。遠くの方から友奈が手を振りながらこっちへと走っていた。
「高嶋さん!」
「ねえねえぐんちゃん!これってもしかして!」
「ええ、兄さんがやったのよ」
そう言うと友奈はやったー!!と喜び抱きついてくる。少し驚くが喜びを隠せないのは仕方のないこと、私たちは勝ったんだから。誰一人も欠けることなく戦いに勝利した。それだけで喜びは溢れてくる。
「そういえば、みんなはどこに?」
「今若葉ちゃんたちは姫神さんと話してるよ、こっちこっち」
手招きをしながら若葉たちのいる方向へと歩いていく、私はその誘いに断るはずもなく付いていこうと一歩踏み出したとき。
「?……今空島が光ったような…」
一瞬空島が光ったように感じ、首を傾げるがそれ以降は無かったため気のせいと思い再び歩き出した。
その日、人々は勝利を喜んだ。私たち勇者が主役として宴をし、テレビ局にインタビューなんてされた。戦いの後で疲れていたが、宴が始まった後にはみんな騒いでいた。だが、良い知らせを持ってきた私たちにそれ相応の対価が返ってきた。
郡徹、樹海の戦闘にて行方不明――
突然のことだった。大赦関係の人が急いでこちらに来て一番の知らせがこれだった。先程まで騒いでいた宴も一瞬で静まり、誰もがこの知らせに呆然とした。
誰もが希望を失いかけた時、その人は一通の手紙を私に差し出してきた。私は恐る恐る手に取り手紙を開き、声に出して読んだ。
『これを読んでるってことは俺はもうここにはいない。まあ分かりきっていたことだ。いつの日か忘れたが、一瞬だけ自分の体が透けて見えていたんだ。俺にはもう時間がなかった。勝手にいなくなってすまん。でも、本当にいなくなったわけじゃねえぞ。帰ってくるって約束したからには絶対に帰ってきてやる。だからお前たちは俺が帰ってくることを楽しみに待ってろ、いいな?
郡徹より』
「…“楽しみに待ってろ”だって、どうする?」
そう言い、視線をみんなの方へと向ける。兄さんのことを良く知っている若葉たち、そして諏訪の二人も、徹らしいと思い苦笑いを浮かべていた。周りの人たちは絶対に帰ってくることを確信し、また活気がわいてきて騒ぎだす。
私たちは声に出さず深く頷いた。絶対に帰ってくると約束したからには私たちも帰りを待とう。いつ帰ってくるのか分からないけどそれでも私たちは待っているから、だから兄さんも…ちゃんと帰ってきてね。
――“約束”だよ、兄さん………
その思いを胸に留め、この騒がしい宴を過ごした。
――あれから数ヶ月
あれから数ヶ月の月日が経った。戦いは終わり私たちはそれぞれの日々を過ごしていた。
「いただきます」
手を合わせ、いただきますをし朝食をとる。最近になってこの生活には慣れてきた。毎日早めに起き支度をした後朝食を作り、食べる。そんな毎日を送っている。
「ごちそうさま」
また手を合わせ、ごちそうさまを言った後片付けに入る。それが終わると服装を整え、鞄を持って玄関の取っ手に手をつける。
「行ってきます」
振り返り誰もいない空間に言って扉を開け部屋を後にした。
歩いてるなかこの数ヶ月間なにがあったか振り返る。
若葉さんは戦いが終わってもこの先の未来でまた勇者が戦うことになると考えて、ひなたさんと伊予島さんと共に日々研究に励んでいるらしい。
球子さんは趣味のアウトドアをやっていて、たまに全員誘って強制的に行かされたことがあったが、まあ良い思い出にはなったのかもしれない。
伊予島さんは若葉さん同様研究をしている。少し前になにか良い恋愛ゲームはないかと聞かれおすすめのソフトを教えた。確かに息抜きも必要だけど、あれからどうなったのかは私は知らない。
高嶋さんは変わらず元気に過ごしていた。よく私の部屋に遊びにきてくれてゲームやら雑談などをしている。
他にも色々とあった。歌野さんは町の子供たちを集めて農業を体験させ興味を出させようとしたり、水都さんとひなたさんは巫女との修行を続けている。そういえば最近になって兄さんが浄化で助けた人々が無事に退院したらしい、北海道、沖縄で戦っていた勇者も退院し、今はこの町の生活に慣れていこうと努力しているらしい。
そう振り返っているともう目的地の目の前になっていた。
「相変わらず騒がしいわね」
ドアごしでも聞こえる騒がしさにため息をついてしまうがもう慣れてしまったのでどうでもいい、ここにいても始まらないので中に入ることにした。
「おっ、やっときたな!」
「お久しぶりです千景さん」
「ええ、二人とも久しぶり」
最初に出迎えてくれたのは球子と杏だった。
「おはようぐんちゃん!」
「おはよう、高嶋さん」
そして次に友奈が変わらず元気に挨拶してきた。
こうして全員が集まると若葉がみんなの前に出て口を開いた。
「よし、みんな集まったな。休みの日に来てくれて感謝する。それでは続きを始めよう」
そう言うとひなたさんが作文用紙をみんなに配る。
この集まりは一ヶ月に一回行われ、教室に集まって未来になにを伝えるか考えそれをやる会になっている。そして今回、前回は『未来の勇者に何を伝えるか』だったが今回は『自由』というなんでもありのテーマだった。
「………」
正直なにを書いたらいいか分からない。自由といっても未来に伝えるものだから余計分からない。みんなはもう書き始めてるし……どうしたら。
「どうしたのぐんちゃん?」
そんなとき、隣の席の友奈が聞いてきた。
「なにを書いたらいいか分からないの、高嶋さんはなにを書いてるの?」
「えっと…私は自分が今思ったことを書いてるかな」
「思ってること?」
「うん、未来になにを伝えるかなんて考えると大変だから私は思ったことを正直に書いてるの」
「思ったことを正直に……ありがとう高嶋さん、参考になったわ」
「うん、どういたしまして」
友奈に教えてもらった通り、さっそく自分が思ったことを正直に書くことにした。ただ私が未来に何を思ってるのかをそのまま正直に作文用紙に書いた。
それから時刻は昼になり、いつものうどん屋で昼食をとったあと、瀬戸大橋までみんなで歩くことになった。
瀬戸大橋に着くと入り口には小さな寺が真ん中に陣取るように置いてあった。
「それにしてもここに兄さんの寺を作るなんてやりすぎよ」
「これでも最小限に抑えたほうらしい、人々は徹を英雄と思っていてな、本来はもっと大きな寺を建てようとしたらしいぞ」
若葉の言葉にみんなは苦笑いをする。
「徹さん、いつ帰ってくるんでしょうね?」
「大丈夫だって!徹は必ず帰ってくるって!」
「たまちゃんの言う通り!とおさんは約束は守る人だからね!」
ひなたの言葉に球子と友奈は元気に答えた。
「……さて、そろそろ行くか、また一ヶ月後教室に集合しよう」
若葉の言葉にみんなは頷き、瀬戸大橋を後にしようと歩き始めた。
その時だった。
「たくっ、やっと帰ってこれた」
「えっ?……」
その声には聞き覚えがあった。いつも私たちのことを気にかけて自分のことは気にせず逆に私たちが心配してしまう始末。今となってはとても懐かしく、帰ってくることをずっと待っていた人でもある。
「兄……さん……」
振り向くとそこにいたのは兄である郡徹の姿がそこにあった。
いつもの私服を着ていて、髪の色は白く染まっていた。
「ん?…久しぶりだな、みんな」
そう言い徹は私たちの方へと近づく。そして私たちが呆然としてるなか徹は目の前に立ち、口を開いた。
「約束通り、ただいまだ、みんな」
徹は笑顔で言った。それに私は微笑み、答えた。
「お帰りなさい、兄さん」
― 郡徹は転生者である 完―
みなさま、ここまで見ていただきありがとうございます。
ここで郡徹の物語は終わりましたが、たまに番外編などを作ろうかなと思っています。
「こんな番外編作ってー」ていう方がいれば質問箱に送ってください、出来る限り拾っていきますので。
ちなみに、次回作についてですが、鷲尾編か結城編どちらにするか現在悩んでいて、書き留めが出来次第どちらかを投稿するつもりです。
色々とご迷惑をお掛けしましたが次回もよろしくお願いします。
感想お待ちしております。