郡徹は転生者である   作:シンマドー

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『花結いのきらめき』で十連ガチャをやったらSSRの千景が出て来て少し興奮してしまった自分。

今回は初陣の話です。駄文やら誤字やらがあると思いますが、お許しを。では、本編をどうぞ 



第五話   初陣での転生者の行動

 私は徹先輩を初めて見たとき、私たちとは何か違う感じがしました。まるで、徹先輩がこの世界の人間ではない、そんな感じでした。若葉ちゃんも徹先輩から何かを感じたと私に言い、私も感じたと言いました。

 でも、初陣でみんなが帰ってきたとき彼から感じてしまった。

 彼が、徹先輩が、あの大災害の日に感じた強い力だということに。

 

 

 

諏訪のみんなを救出した翌日の朝、いつもより一時間早めに起き、自分はバーテックスと戦うための準備をしていた。

 本当はしなくてもいいのだが、左腕を神樹に捧げたことで力がどれほど弱っているのか確認しなければならなかった。

 

「(まずはよく使う身体強化から)」

 

 最初はいつもお世話になっている身体強化からやった。

 一から、左腕以外の身体全体に魔力を流し、魔力回路をつくる。そのあと義手となった左腕にも魔力を流し込み回路作ったあと身体の回路と左腕の回路を繋げる。

 義手の左腕には苦労したが、なんとか身体強化は成功、これで安心して使える。

 

「(でも少し弱いな…こりゃ、体の一部一部を大切にしなければならないな。よし、次に移ろう)」

 

 次に全然使ってない再生だが、できなくなっており使い物にならなかっため、最後の武器召喚に移る。

 

「(武器召喚…まだ色々とわからないことがあるが、今はわかるとこだけを確認しなければ)」

 

 意識を集中させ、武器を空中に召喚させる。

 空中に召喚されたのは、一本の黒い剣だった。

 

「(武器は…増えてないか、とりあえずこの黒い剣から調べるか)」

 

 武器を手に取り、じっくりと見た。

 剣身から取っ手まで真っ黒に染まっていて、例えで言うとこの世の絶望を凝縮したかのような色をしていた。

 スッキリとしたフォルムをしていて非常にシンプルなため、使いやすさが抜群にあった。

 

「(これで武器召喚も完了、でも…何かが足りない。この武器以外に、まだ他の武器がある違和感がする)」

 

 武器を消し、そう考える自分。

 そして、時計を見たときには午前六時を指していた。

 自分は考え事を止め、朝食の準備にとりかかった。

 

 

 

 いつもどおりの日常を送り、夕日が落ちかけあたりが暗くなる頃、自分を含めた七人は丸亀城の外郭にいた。

 

「ひなた、神託では今日が奴等が来る日なのか?」

 

「はい、そろそろ来ますよ」

 

 若葉の問いにひなたが答えたとき、ひなた以外の六人のスマホが警戒音を鳴らした。

 直後、世界が静止した。鳥も雲も、海の流れも、風の音さえも、全てが止まってしまった。

 自分はスマホを手に取り画面を見ると、そこには、『樹海化警報』の文字が大きく表示されていた。

 

「(始まった!)」

 

 自分がそう思ったとき、海の向こうから巨大な樹木が伸び、街やそこにいる人々、あらゆる物を飲み込んでいった。

 

 樹海化、神樹がバーテックスの侵入を許したときに発生する現象であり、勇者達が安心して戦えるように街と人々を守る障壁でもある。

 

「……これが私たちの初陣だ。我々の手でバーテックス共を討ち倒す」

 

 若葉がみんなに向けて言った。その言葉からは責任という重みがあった。

 

「それはいいけど……当然、あなたが先頭で戦うのよね……あのバケモノたちと。リーダーなのだから……」

 

「誰が先頭とかじゃなくて全員で戦えばいいでしょ。それがチームワークってもんですよ」

 

「チームワーク……」

 

 千景が呟いてるとき、自分は一人の勇者を見た。

 その勇者は体を震わせていた。顔色も悪く、ひどく怯えてる様子が誰の目にも分かった。

 

「なら、伊予島さんは戦えるのかしら?ひどく怯えてるようだけど」

 

 千景はそう言い杏の方を見る。

 そう、先程から怯えているのは杏だった。

 彼女は元々大人しい性格で、自ら立ち向かう精神なんて持っていない。そして、彼女はまだ十代の女の子だ。

 一歩間違えれば一瞬で命を失ってしまう戦いに恐怖を持つのは当然の反応だ。

 

「千景、もうよしとけ。初めての戦いだからな、怖がるのは当たり前のことだ。」

 

「…兄さんが言うのなら…分かった」

 

 千景は少しふてくされてしまった様子でそっぽを向いてしまった。これは後で何て言われるのかわかったもんじゃない。

 まあ、それは一旦おいといて、まずは杏を落ち着かせないと。

 自分は杏に近づき、優しく杏の頭を撫でる。

 

「あっ…徹…先…輩?」

 

 杏が驚いたように顔を上げる。その顔からは少し安心したかのように感じた。

 自分は杏の頭を優しく撫でながら、優しげな表情で語りかける。

 

「安心しろ杏。誰だって恐怖に立ち向かうことは怖いことだ。戦えないのなら、戦わなければいい、ただそれだけの理由でいいんだ」

 

「徹先輩…」

 

 杏は安心したのか体の震えが止まり顔色もさっきよりよくなった。

 

「そうそう、徹先輩の言うとおりだよ杏。後はタマたちに任せタマえ」

 

 そこからの球子のナイスフォロー。よくやった球子と自分は思った。

 

「はあ…徹先輩。勇者が一人欠けてしまえば戦力が大幅に下がるんですよ」

 

「若葉。確かに君の言うとおり、一人欠けることで戦力が下がってしまう。でも、そこで無理やり出してしまえば、戦力の問題ではなくなってしまう」

 

「それでも――」

 

 若葉が言いかけようとしたとき、この空気を一新するかのように友奈が声をあげた。

 

「みんな!仲良しなのはいいことだけど、話し合いは後にしようよ!」

 

「友奈の言うとおり、話し合いは後だ。今は目の前の敵に集中しよう」

 

「「「「…………」」」」

 

 自分は普通に対応したが、四人は微妙な顔をしていた。

 

「……そうだな、今は目の前の敵に集中しなければ」

 

「よーし!タマたちもそろそろ気合入れっか!」

 

「みんなで仲良く勇者になーる!」

 

 友奈の掛け声と共に自分たちは一斉に勇者システムのアプリを起動させる。自分たちは光に包まれ、それぞれの服装が変化した。

 

 若葉の戦装束は、桔梗を思わせる青と白の混合。

 

 友奈の戦装束は、山桜を思わせる桃色。

 

 球子の戦装束は、姫百合を思わせる燈。

 

 千景の戦装束は、彼岸花を思わせる紅。

 

 自分の戦装束は、黒百合を思わせる黒色。

 

 五人の変身が無事終わったが、杏だけが変身できずにいた。

 この勇者システムは、勇者の精神面に大きく左右する。戦う意思が無い場合、これは起動できない。

 

「ごめんなさい…私…まだ…」

 

「気にすんなって!タマたちが全部倒してくるからさ」

 

 申し訳なさそうにする杏だったが、球子が元気付ける。

 

「そういえば徹先輩。あなたの武器は一体どこに?」

 

 と、若葉からの質問が来てしまった。

 そう、勇者にはそれぞれ霊力を宿した専用武器がある。

 若葉は刀、友奈は手甲、千景は大鎌、球子は旋刃盤、杏はクロスボウを専用武器として持っていた。

 そして、今の自分は武器を持たずに手ぶらだ。怪しむのも無理もない。

 ここで武器召喚で武器を出してもいいのだが、まだばらさない方がいいと思う。

 

「ああ、大社から俺に合う武器がないって言われてな、変身出来るけど武器は今のところないんだ」

 

 ここはあえて嘘をつかせてもらおう。

 さて、若葉の反応はっと…

 

「そうですか、確かに徹先輩は初の男の勇者ですからね、あなたに合う武器もあんまりないことでしょう。

 仕方ありません…今回は徹先輩は伊予島さんと一緒にここで待機してください」

 

 若葉からそう言われ、自分は「へいよっ」と言ったあと伊予島とここで待機した。

 周りの反応からは、若葉の言葉でほとんど納得していたが、千景だけが納得いかないような目で自分を見てきた。ほんと、後で何言われるか恐ろしくなってしまった。

 

 

 

 そこからは、若葉が先陣に切り、球子、友奈、千景がそのあとに続いていった。

 みんなの背中が遠くなっていく中、横からの杏の声。

 

「みなさんはほんとに強いですね…徹先輩だって、武器さえあればきっと若葉さんのように一緒に先陣を切っていたと思いますし…」

 

 杏は最初は微笑んでいたが、途中から苦笑いになった。

 

「私みたいな弱い存在は…ほんとに勇者になってよかったんでしょうか」

 

 不安からかクロスボウをぎゅっと握り、うつむきながら杏はそう言った。

 …これは少し助言を与えなくては。

 

「杏。君は少し勘違いしている」

 

「勘違いですか?」

 

「ああ、人っていうのは何の目的なしでは強くなれないんだ。例えば、自分の憧れる人物になりたいとか、自分がとても大切に思う人物、ものとかを守るとかそこらへんかな」

 

「………」

 

 杏はそれを聞いたあと考え事をした。

 これで少しは自信を持てたかなっと自分は思い、目の前の光景に集中した。

 

 

 

 目の前に映る光景は完全に掃討戦だった。

 

 若葉がバーテックスを次々と一閃で斬り捨て。

 

 友奈は拳でバーテックスを打ち砕き。

 

 球子は旋刃盤を飛ばし、バーテックスを斬り刻む。

 

 千景は大鎌でバーテックスを刈り取る。

 

 よく見れば、千景は友奈と共に効率的に倒してることが分かる。

 このまま行けばみんな無事に済むだろう、そう思ったときだった。

 球子が旋刃盤を投げ、戻ってくる間にバーテックスが迫ってきた。

 誰もが危ない!と思ったとき、球子に迫るバーテックスが幾本もの金色の矢に串刺しにされた。

 

「杏…その格好はまさか!」

 

 これには球子も驚いていた。そう、これをやったのは変身した杏がやったものだ。

 杏の戦装束は白いストックを思わせる白色。その姿でクロスボウを構えていた。

 

「変身…できました。徹先輩の言うとおりに、タマっち先輩が危なくなってるときに、助けなきゃって思ったらアプリが起動して…」

 

「そっか…杏、ありがとな!タマが前に立つから杏は後ろで援護をしてくれ!」

 

「はいっ!」

 

「徹先輩…ありがとうございます」

 

 杏は自分にお礼をいってからクロスボウを前に構え、打ち始めた。

 自分はそのまま戦いの光景を見ていた。

 

 

 

 結果は、記憶通りとなった。

 バーテックスが減ってきた時、バーテックスの動きに変化があり、何体かが一箇所に集まり進化体となった。

 最初に杏が攻撃するが、発射された矢は赤く透明な板状組織に当たって跳ね返るが、間一髪、球子が旋刃盤で跳ね返った矢を防いだ。

 進化体は普通のと違い少しだけ知性を持っている。そのため攻撃が、バーテックスとは違うため、手こずってしまった。

 それでもみんなは諦めず最後は友奈の切り札で、進化体を粉々に砕いた。

 

 

 

「たくっ、ほんとひやひやさせんなよ...」

 

 自分はこうなることは記憶で分かっていたが、いざ実際に見てしまうとほんとに焦ってしまう。

 

「(まあ、無事に終わったことだしいいとするか…ん?)」

 

 自分はそう思い、敵がもういないかスマホの画面を見た時だった。

 画面には自分の所に、バーテックスを示す赤い点が付いていた。

 

「(周りを見てもバーテックスの姿が見えないとしたら…まさか!)」

 

 気づいたときには遅く自分の立っている地面が大きく膨れ上がり爆発した。

 自分はその衝撃で、空高くに吹き飛ばされた。

 なんとか空中で体制を立て直し、下を見る。そこには、さっきの進化体とは形が違う巨大な蛇のような形をしていた。

 

「(こんなの記憶ではなかった…仕方ねえ、使うか!)」

 

 自分は覚悟を決めた。武器召喚で黒い剣をを右手に召喚し強く握る。

 そして、空中に足場を作り、勢いを作るために両足を乗せる。

 

「(相手が悪かったなあバーテックス)終わりだ!」

 

 そう言い両足で足場を強く蹴り、進化体に向かう。

 進化体との距離が近くなったとき剣を振り、進化体を一刀両断した。

 最後の一体を倒したことで樹海が揺れ、それと同時に花びらが空を舞う。

 

 

 

 このとき、四国勇者の初陣は華々しい勝利で終わった。

 

 

 

 視界が晴れると、見覚えのある景色に戻っていた。

 

「ふうー、みんなお疲れさん!」

 

 自分はみんなの方を向いて言ったが、五人とも自分の方を見て唖然としていた。ひなたの方をちらりと見ると、ひなたも唖然としていた。

 

「(おかしい、確か自分は進化体に空高く飛ばされ、そこでみんなに見えないように武器召喚をして進化体を一刀両断してそのあと……あっ)」

 

 自分は致命的なミスに気づいてしまった。だが時すでに遅し、そのミスは若葉の口から出た。

 

「徹先輩…答えてください。その黒い剣は一体なんですか」

 

 そう、自分の右手には黒い剣が握られていた。

 

「(やっちまった……ああ、先が思いやられる)」

 

 自分は致命的なミスを犯したことにひどく後悔した。

 




致命的なミスをやってしまった徹くん、これから彼がどうなるのか次回をお楽しみに。

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