郡徹は転生者である   作:シンマドー

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ちょい遅れましたが間に合いました。
色々とリアル事情で遅くなってしまいすいません。

今回は初陣のその後の話です。誤字や脱字、駄文があると思いますがお許しを。
では本編をどうぞ


第六話   優しさと感謝

 初陣での戦いで、自分たちは素晴らしい勝利を収めた。

 多分、今頃そのことでニュースでもやっていると思う。人々も勇者たちの素晴らしい活躍に今夜はお祭り騒ぎになるだろう。

 自分もみんなが無事に勝利したことに祝福したかったが、今はそんな状況ではなかった。

 

 なぜなら、今の自分の置かれている状況は……

 

「徹先輩…答えてください。その黒い剣は一体なんですか」

 

 若葉にできれば答えたくない質問を受けているからだ。

 

 

 

「(くそっ!どうやってこの状況を打開する)」

 

 自分は必死で考える。ここで正直に話せばめんどくさい事になることは確実、ここは嘘と本当を混ぜた証言で、なんとか切り抜けるしかない。

 

「さあな、俺にもこの剣がなんなのかまだ完全にわかってないんだ。分かることといったら、強く武器を念じると出ることと、しまうことしかわからん」

 

「そうですか…なら、それはいつ出来るようになったのですか?」

 

「今さっきだ……」

 

「「「「「………」」」」」

 

 やばい、ちゃんとみんなの方を真剣な眼差しで見て言ってるのに、友奈以外ジト目で見つめてくるんだが。

 

「(頼む!これ以上は勘弁してくれ!)」

 

 自分は祈るようにして顔をふせる。

 

「みんな!そんなことより、みんなで一緒にご飯でも食べに行こうよ!」

 

 この重い空気の中、友奈の言葉で一瞬で空気が軽くなった気がした。

 

「友奈…はあ、そうだな、確かに腹も減ってきたことだしみんなで食べに行くとするか」

 

「そうだな、タマもお腹すいたし。どうせ徹先輩のことだから問題ないしな」

 

「タマっち先輩……徹先輩、大丈夫ですよ。みんな徹先輩のことを責めたりしませんから」

 

「ふふっ、そうですね。今はそのことは置いて、みんなの勝利を祝いましょうか」

 

「それじゃ!郡ちゃんもとおさんも一緒に行こ!」

 

「ええ、行きましょう高嶋さん……ほら、兄さんも早く行きましょう」

 

「え、あ、ああ、すぐ行く」

 

 まさか友奈の言葉がここまで効果あるとは、友奈にはいつかお礼の一つや二つしてあげなければ。

 自分は剣を消して、そのままみんなの後について行った。

 

「(ありがとう、友奈。君は命の恩人だ...)」

 

 自分はそう思った。

 

 

 

 そして、数十分歩いてついた店はうどん屋だった。

 どうやらこの店は自分以外みんなのお気に入りのお店らしく、よく行くらしい。

 どうりでよく千景と外食するとき、大体はここになるわけだ。

 お店に入ったとき店員たちが自分たちを見たとき大いに歓迎してくれた。

 しかも、なんでも好きなものを頼んでいいと言われ、自分たちは喜んだ。

 

「(さーて、何があるかなっと……あれ?)」

 

 自分はメニューをパラパラっとめくり見たが、ほとんどがうどんで、最後ページにいくと蕎麦がちょこんとのっていた。

 

「(この店…まさかの丼系がなくなっているだと!)」

 

 先週までは、天丼やら親子丼があったはずなのに今はその名前がメニューから消えていた。

 

「店員さん、私たちにはいつもので、徹先輩にはうどんフルコースを」

 

「(若葉!?)」

 

 必死で探している中、若葉が勝手に注文しだした。若葉たちは問題ないと思うが、自分にいたっては問題大有りだ。てか、うどんフルコースてなんだ?

 

「徹先輩、いくら丼系を探しても無駄っすよ。なぜなら…タマたちが消したからだー!」

 

「なっ!?」

 

 まさかの犯人が身近にいたとは、まあ大体は予想してたが。

 

「すいません、徹先輩。私は止めようとしたんですけど、若葉さんとタマっち先輩が話を聞かなくて」

 

「ごめんね、とおさん。私も止めようとしたけど若葉ちゃんが『これも徹先輩の為なんだ!』て言われちゃって止めるに止められなかったんだよね」

 

「そうですね、あの時の若葉ちゃんの顔はかっこよかったですもんね、つい撮っちゃいましたよ」

 

 杏と友奈はいいが、ひなたは止める気はさらさらなかったか。

 

「はい、お待ちどうさま」

 

 そう話している間にもう店員が運んで来た。

 若葉たちのうどんは乗っているトッピングが違うだけで後は全部同じに見えた。

 そして、若葉が勝手に頼んだうどんフルコースが自分の所に来た。

 運ばれてきたのは、かけうどん、ぶっかけうどん、生しょうゆうどん、釜玉うどん、肉うどんの五種類。

 普通にうまそうに見えるがそれ以上に驚くところがあった。

 

「おい若葉。このうどんフルコースほんとに一人分の量なのか?」

 

「なにを言っているんですか徹先輩。男ならこれぐらいの量が普通じゃないんですか?」

 

「明らかに普通じゃないだろこの量は、てか誰情報だよ」

 

「土居さんから聞いたぞ」

 

 自分は球子の方を見るが、それと同時に球子は目をそらした。

 へえー、どうりで量がおかしいことだ。今、自分の前に並べてあるうどんなのだが、全部大盛りの量という明らかにおかしいと言うしかなかった。

 

「まあいいや、全部食ってやる!」

 

 自分は、食べきれない不安を捨て、絶対に食べきるという自信を付ける。

 

「さっすが徹先輩。男前っすね」

 

「(いつか仕返ししてやる。覚えてろ球子)」

 

「うむ、全員来たことだし食うとするか」

 

「うん!それじゃあみんな、いただきまーす!」

 

「「「「「「いただきます」」」」」」

 

 友奈の掛け声と共に自分たちは食事を取り始めた。

 

 

 

「なあ、若葉。今回の戦いで分かったことがあるんだけどさ」

 

「なんだ?」

 

 みんなが食事を取っているとき、球子が口を開く。それに若葉は不思議そうに首を傾げる。

 

「今までは大社に言われたから若葉をリーダーだとしてきたけど、やっぱり若葉がリーダーをしたほうがいいんじゃないかって思ったんだ」

 

「……どうしたんだ、急に?」

 

「いやさ、今回の戦いで若葉が先頭で戦っていたからこそ、タマたちも戦うことができたんだ。それに若葉がいなければ危なかったところもあったわけだし」

 

「そう…か」

 

「私も、若葉さんがリーダーやるのがいいと思います!」

 

「うんうん。若葉ちゃんって、いかにもリーダーって雰囲気あるしね」

 

「……反論はないわ。あなたの活躍は確かだったし……高嶋さんも、あなたがリーダーに的確っていうから…兄さんはどうなの?」

 

「ん?ああ、俺も若葉がリーダーをやるのに賛成だ」

 

 確かに、若葉は性格、実力も自分たちよりずば抜けている。だから自分は若葉がリーダーをやるのに賛成した。

 でも……まあ、その件は後でいいか。

 

「みんな……ありがとう……」

 

「良かったですね、若葉ちゃん」

 

 ひなたが微笑んで言ったことで場の空気も少し暖かくなった。

 

「ところで……そうと決まれば若葉。一つ言いたかったことがあるんだけどよ」

 

 そんな中、球子がジト目で若葉に言った。

 

「なーんーで、お前はタマのことを名字で呼ぶんだ? 友奈とかは『友奈』って言うのに」

 

「私は名前で呼んでって、前に言ってたからね!」

 

「むぅ~……だったら私も『球子』とか、もっと親しみを込めて『タマっち』でもいいから」

 

 球子は不機嫌そうに言ってきた。

 

「実はタマっち先輩、若葉さんに名前で呼ばれないこと、実は気にしてるんですよ」

 

「はぁ!?そそそ、そんなことねーしっ!別に気にしてなんかねーからな!」

 

「あと、私のことも名前で呼んでください」

 

「杏!都合よくタマの言葉に乗っかるな!」

 

 二人が仲良く微笑ましいやり取りをする中、千景が小さな声で予想外な一言を言った。

 

「……私も……名前で呼んでいいわ……」

 

「「「!?」」」

 

 自分と友奈とひなた以外、千景の一言で驚いていた。

 

「何よ……その顔……?」

 

「いや、少し意外だったと言いますか……」

 

 若葉がそう言うと、千景はそっぽを向いた。頬がほんの少し桜色に染まっている。

 

「他のみんなが名前で呼ばれてるのに……私だけ名字なんて……変だから。あと、敬語使って話すのもやめてほしいわ……むずがゆい」

 

「…千景」

 

 自分はそう言い千景の頭を優しくなでる。本当なら抱きついて褒めたいところだが千景が恥ずかしがりそうだからやめておこう。ここは良い兄としていかなければ。

 

「いい一歩を踏めたな、千景。兄さんは嬉しいよ」

 

「兄さん……」

 

 そう言うと、千景の頬が一層赤くなった。ああ、可愛いなあ。

 

「なるほど…なら後は徹先輩、あなただけですよ」

 

「え、なにが?」

 

「みんな名前で呼ばれるのにあなただけ『徹先輩』じゃ寂しいでしょう?みなさんもそうですよね?」

 

 ひなたの問いに頷くみんな。

 

「やれやれ、好きに呼んでくれ」

 

「はい、そうさせていただきますね、『徹』さん」

 

 そうして自分の呼び名が決まった。

 若葉と球子からは『徹』と呼ばれ、杏とひなたからは『徹さん』と呼ばれた。

 友奈は『とおさん』と呼ぶのに定着していたため変わらずそう呼び続けることになった。

 

「それじゃあ、みんなで記念撮影をしましょう!ふふふ……これで若葉ちゃんの秘蔵コレクションが増えます」

 

 ひなたが満面の笑顔でスマホを取り出した。

 なんか最後、個人の欲が出てたような……まあいいや。

 

「ひなた!お前はまだそんな収集していたのか!いつか絶対に跡形もなく消してーー」

 

「ひなた、なんだ秘蔵コレクションって?」

 

「なんか面白そう!ひなちゃん、後で見せてね!」

 

「私も後で見たいです!」

 

「ええい、お前たちは興味を持つんじゃない!」

 

「賑やかなことはいいことだな!」

 

「……私は別にどうでもいいわ……」

 

「そう言うなって千景、ほら行くぞ」

 

 自分はそう言い、千景の手を握って若葉を中心にみんな集まった。

 そして、ひなたのスマホがその光景を写真に収めた。

 その写真には、七人全員の笑顔がくっきりと写っていた。

 

 

 

 なんとかうどんフルコースを完食した自分はなんとか立ち上がりみんなと店から出た。

 外はもう暗くなっていたが、まだ辺りはお祭りムードだった。

 

「徹さん、少しお話しませんか?」

 

「ん?どうした二人とも。話っていったい?」

 

 千景は今、友奈と話しているため、話が終わるまで一人で待っている自分にひなたと若葉が来た。

 

「ここだと少しまずいので、話が聞こえない場所に移動しましょう」

 

 一体なんの話なのかわからないが、自分は「分かった」と言って、ひなたと若葉と一緒に人通りの少ない場所に移った。

 

「で、一体話ってなんだ?」

 

 この問いにひなたが答える

 

「はい、今回の徹さんの件ですが…若葉ちゃんと決めて、大社にはまだ言わないことになりました」

 

「へえー、そりゃなぜ?」

 

「まず、謎が多いんです。徹さんがまだ完全にその剣の分かりきってない状態で大社に渡してしまえば、何が起こるか分かったもんじゃないですからね。しかも、まだ弱い力ならまだしも、若葉ちゃんから、みんなが苦戦していた進化体を一撃で斬るぐらいの力があると聞いて徹さんが持っていた方が安全だと分かったからです」

 

「なるほど……ていうか見ていたのか若葉」

 

「ああ、遠かったが進化体が一刀両断されてるところが見えてな、戻った後の徹の持つ剣で推測できる」

 

「さすがだな若葉。で、これで話は終わりか?」

 

「いや、最後にお礼を言わせてくれないか」

 

「ん?なんか俺、お礼を言われることなんかしたか?」

 

 自分は不思議そうな顔で言った。

 その内容はひなたと若葉の口から出た。

 

「徹さん、三年前の大災害の日救ってくださってありがとうございます。」

 

「徹、私からも三年前の大災害の日みんなを救ってくれてありがとう」

 

 そう言い、二人は頭を下げた。

 

「おいおい、なんで俺にお礼を言うんだよ」

 

「えーとですね、徹さんから、三年前の私たちを救ってくれた強い力と同じだったので一応そのお礼を...ですね」

 

「ああ、私も一緒だ。私も三年前、徹の持つ剣と同じやつが救ってくれたおかげで全員生存できたお礼をだな一応」

 

「そうか、それはよかったな」

 

「ええ、ほんとに。ご本人に会ってみたいものです」

 

「ああ、まったくだ」

 

 ひなたは微笑んで言ったが、若葉は少しぎこちなく微笑んで言った。

 

「(こいつら、完全にわざとやってるな)」

 

 ひなたは隠しきれているが、若葉はバレバレだ。

 

 

 

 そこからは少し雑談しながらみんなのところに戻った。

 戻る際、ひなたから「なにかあったらすぐ連絡してください」と言われ自分は「分かった」と言って、そのまま解散する流れになった。

 

「(まあ、左腕のことがみんなにバレてないことだけ、まだましなほうか…)」

 

 千景と一緒に帰っている際、自分はそう思った。

 

 




なんとか逃れられた徹くん、さて次回は…二度目の侵攻と千景との買い物を考えております。

次回の投稿は少し遅くなりますが、次回をおたのしみに。

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