神のヒーローアカデミア   作:鮫田鎮元斎

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映画の内容は完全にうろ覚えなので悪しからず。

そしてエグゼイドでなくビルドのストーリーが中心となる可能性があります。あしからず。


映画編 二人の天才
二人の天才


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――

 

 

 ――――10年前。

 

 

 

 

 

 

「――ネビュラガスの濃度は……よし。メリッサの体調も、よし」

「ん! んん!」

 

 水槽のような装置に無理やり押し込まれ、7歳の少女、メリッサ・シールドは声にならない悲鳴を上げる。口にはチューブが押し込められ、何も言うことができないのだ。

 

「安心しな……パパが個性よりも強い力をあげるからな」

 

 体を縛り付けられ、怯えている娘にデヴィット・シールドは優しく声を掛ける。

 

 ネビュラガスはとある遺物から放出された成分を気化したもの。投与した人間を人ならざる姿に変える、危険な物質なのである。

 

「出力は、まず1%から行こうか」

 

 装置のレバーをあげて注入を開始する。

 

「んんんんっっ!?」

 

 幼い体には刺激が強く、メリッサは苦しみもがいている。

 

「仮説通り、個性強度が低いほどガスとの親和性が高い♪ この調子で出力を10%……うん、20%」

「~~~ッッ!!!」

 

 自分の娘が苦しんでいるというのに、仮説が証明された喜びの方が強いようだ。デヴィットは喜々として実験を強行している。

 

「――大変だデイブ! ガスが漏洩して」

 

 実験室の扉を開けたのは同僚の葛城 タクミだった。

 

「お前……いったい何を!?」

 

 呆然としているタクミに、デヴィットは銃を撃つことで応える。黒いハンドガンで、なぜか持ち手のほかにグリップパーツが存在していた。

 

「がはっ……」

「実験の邪魔だよ、そこで大人しく見ていてくれ」

 

 冷たく言い放つデヴィットの瞳が赤く輝く。

 

 そしてガスの出力を一気に100%に引き上げた。

 

 

「――――――ァァァッッ!!」

 

 チューブ越しでもわかる悲鳴。

 

 装置の中にガスが充満していく。

 

『はは、やはり無個性ならばそこまで行けるよなぁ』

 

 急に声質の変わった彼は手の平に赤い炎を充填させ、メリッサに向けて放つ。

 

「いいぞ! 実験は成功だ!」

 

 再び元の声に戻っていた。喜び方は、彼を知るものからすればごく自然な物だった。

 

 姿を変えずに気を失っているメリッサの姿は、まさに求める実験成果そのものだったのだろう。

 

 その喜びを遮ったのは撃たれて蹲っていたタクミだった。

 

「おまえ、デイヴじゃないな……?」

「何を言ってるんだ。ボクはデヴィット・シールドさ」

「いや違う。俺はデイヴに“トランスチーム”システムの事は教えていない! ごほっ……お前は一体、何者なんだ!?」

 

 タクミもまた黒い銃を構え、紫色のボトルを取り出す。

 

()はデヴィットさ。今はな」

 

 そしてデヴィットもまた、銃とボトルを構える。

 

\バット/

 

\コブラ/

 

「じょう、けつ」

「蒸血♪」

 

\\ミスト・マッチ//

 

 

 二人の姿が霧で覆い隠される。

 

\バット…バ・バット……Fire!!/

 

\コ・コブラ…コブラ……Fire!!/

 

 タクミの姿は蝙蝠を模したナイトローグに、デヴィットはコブラを模したブラッドスタークに変身する。

 

「やれやれ、そんな瀕死の姿で何をするって言うんだ?」

「だまれ……! 俺は研究を悪用する奴を、許しはしない!」

 

 バルブの付いた短剣――スチームブレードを打ち合わせた瞬間、ナイトローグが吹き飛び変身が解けてしまう。

 

「く……そ……」

『おいおい、興ざめだなぁ』

 

 ブラッドスタークは呆れて笑いながらタクミの傷を踏みつけた。

 

「ぐぅぅっ!?」

「そんなにすぐには殺さないさ。お前には聞きたいことがある」

 

 声には苛立ちが紛れていた。

 

『俺のベルトをどこに隠した!?』

 

 だがスタークの暴挙を許さぬ平和の象徴がいた。

 

 

 

「――SMAAAAAASH!!!!」

 

 拳圧で壁が吹き飛び、スタークも余波で飛ばされる。

 

『なにっ!?』

「――済まないッ! 来るのが遅くなった……だがもう安心してくれッ!」

 

 狭い室内では窮屈そうなその巨体はNo.1にふさわしいと言えるだろう。

 

「私が来た……!」

 

 すぐさまオールマイトは機材を破壊しメリッサを救出する。

 

「どうしたトシ? そんなに殺気立って」

「……私は君の事を友だと思っていた。かけがえのない親友だと……!」

「今は違うのかい?」

 

 一陣の風が吹く。次の瞬間にはメリッサが静かに横たえられ、スタークの眼前に巨体が現れる。

 

『!? おいマジかよ――ッ!!』

 

 平和の象徴たる所以はその拳にある。長年、平和を願ってきた人々の力がその拳には宿っている。

 

「DETROIT SMASH!!!!」

 

 強化された肉体ですらその一撃に耐えることができなかった。

 

 一瞬で変身を解除されてしまう。

 

『この状態じゃさすがに分が悪い……また会おう、トシ。チャオ♪」

 

 技の余波で出来た穴からデイブは逃げていく。

 

「くっ待て――!?」

 

 咄嗟に追おうとするも、もう一人の友が瀕死な状態であることに気付く。今から病院へ運べばきっと命を助けることができる。

 

 だがここで個人的な感情を優先しヴィランを逃がすことは許されない。

 

「……トシ…………いって、くれ」

「タクミ……!」

 

 その葛藤を見抜いたタクミは友に激励を投げかける。

 

「……ラブ、あんど、ピース、だ」

「すまない……っ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――それが友との最後の別れとなった。

 

 そしてデヴィット・シールド――ヴィラン名:ブラッドスタークは、逃走に成功してしまい、国際指名手配されることとなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――

――

 

 

 ――そして現在。

 

 

『西の第八地区でスマッシュの反応! 職員が襲われてるッ!』

「うん、分かった!」

 

 あの事件を経てメリッサの父デヴィットは“悪魔の科学者”と呼ばれるようになった。

 

 そして密かに持ち出されていたガスの成分を悪用されていた。

 

 ネビュラガスを注入された人間はその姿を異形系の個性のように変化させる。理性は完全に失われて暴走するのだ。

 

「っあそこね」

 

 メリッサは路地でベルトを装着し、飛来したドラゴン型のメカを手に取る。

 

 青くドラゴン型のボトルを振り、それにセットする。

 

\ウェイクアップ!!/

 

 それを変形させベルトに挿入する。

 

\クローズドラゴン!!/

 

 レバーを回転させると、プラモデルのランナー状のパーツが形成される。

 

\Are you ready?/

 

「変身っ!」

 

 挟み込まれるようにアーマーが形成される。その姿は青の一色で統一され、ドラゴンを思わせる姿だった。

 

\Wake up burning! Get Cross-z Dragon!! yeah!!/

 

「よしっ」

 

 これこそがメリッサの裏の姿。父の研究を悪用する人間を討伐する。

 

 例えそれが、父であっても。

 

 

 

 

 





なぜメリッサがクローズになっているか? だってヒロインだもの。
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