神のヒーローアカデミア   作:鮫田鎮元斎

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戦闘シーンが上手く決められなかった。

臨場感ゼロですまない。


二人の天才11

――――

――

 

「TEXAS SMAAAAAASH!!」

 

 オールマイトの全力の一撃を、エボルトは小さな装置で受け止める。

 

 爆風が巻き起こる。

 

 一足先に救援へと向かっていたエグゼイド――エミは思わず身構えた(無敵であるにもかかわらず)

 

「なに……これ」

 

 天候を変えるともいわれるその一撃は、エボルトを一ミリも動かすことなく、エネルギーの全てが装置に吸収された。

 

「ぐっ……ガハッ」

 

 余力の全てを吸われ、オールマイトはガリガリに痩せた姿――トゥルーフォームに戻ってしまっていた。

 

『うぅん……いいエネルギーだ。さすがは長年の力の結晶だ』

 

 石化していたその装置はいつの間にか変化しており、黒と白を基調としたトリガーとなっていた。

 

『おつかれさん♪ 平和を維持する必要はもうない』

 

\オーバー・ザ・エボリューション!/

 

 トリガーをベルトに装填し、再びレバーを回転させる。

 

『さあ地球よ――終焉の時だ』

 

\ブラックホール!! ブラックホール!! ブラックホール!! レボリューション!!!!/

 

 

 エボルトが一瞬だけ消滅するも、白くなった姿で再登場する。そのそばには不要となったデヴィットの体が投げ出されていた。

 

 

「――なに、あれ……」

『おお、どうやら観客がいたみたいだなァ』

 

 静かにエボルトが歩みを進める。

 

 何気ない動きなのに威圧感があった。

 

 ショートワープでエグゼイドが攻撃を仕掛ける。目にもとまらぬラッシュを繰り出したが、そのすべてがエボルトに防がれる。

 

『ん!? さすがに無敵を名乗るだけある』

「……!」

 

 激しい攻防が繰り広げられるが、方や攻撃の効かないムテキ、方や百戦錬磨の破壊者。

 

 完全に膠着状態だった。

 

『厄介だな……こうなりゃ』

 

 小型のブラックホールを発射する。

 

 エグゼイドはワープし回避しようとするも、強力な引力に引きずられて逃げ出せない。

 

「くっ!?」

『クク……ブラックホールからは光さえ逃げられない』

 

\レディー・ゴー!!/

 

 再びレバーが回転されると、エボルトの両手にブラックホールが出現する。

 

\ブラックホール・フィニッシュ!!!!/

 

 エグゼイドがブロックホールに飲み込まれ、爆発が起こる。

 

「うわっ」

 

 大きくノックバックしたものの、さすがはムテキ、変身を解除されることは無かった。

 

『チッ……効いてねえのかよ』

 

 エボルトも弱いわけではない。だがムテキの強さが規格外であったため攻撃が通らないのだ。

 

 そうなれば、強くない部分を攻めればいい。

 

『だったら――こんなのはどうだ?』

 

 力尽き蹲っているオールマイトにスチームガンの銃口を向ける。

 

 人質を取られれば、ヒーローの選択は一つ。

 

 エグゼイドは彼の盾になろうと間に割って入る。

 

 すべてはエボルトの思惑通りだった。引き金を引く気など元からなく、ベルトのハイパームテキガシャットに向けてスチームブレードを振り下ろす。

 

 ……ジジッヅッ

 

 システムの不具合で変身が解除される。

 

 完全にガシャットが破壊されてしまっていた。

 

「くっ!」

『大変だよなぁ……ヒーローってのはよ。守るものが多すぎる!』

 

 タワーから見下ろされる景色が黒一色に染まっていく。

 

 電源が落ち、照明を維持することができなくなったのだろう。ぼんやりと闇にエボルトの姿が浮かび上がる。

 

『こいつを見捨てれば、地球を救えたかもしれないのになぁ!』

「――安心したまえ」

 

\ゴッドマーキシマーム・エーックス!!!!/

 

 ゲンムが急襲を仕掛ける。

 

 攻撃を受け止めたエボルトだったが、大きく退けられた。

 

「この私がいる限り――貴様の勝利などヌァいのさァッ!」

『やれやれ……そういうの、往生際が悪いって言うらしいが、知ってるか?』

「ああ――この私の才能に、不可能は無いという意味だ! ブェハハハハハッ」

 

 やかましく感じたのか、エボルトはブラックホールを形成しゲンムを拘束する。

 

「ング!? 無駄なことをッ!」

 

 空中にレンズが出現し、レーザー光線が発射されるも、すべてがブラックホールへと吸い込まれる。

 

 ホールの幅が小さくなり、ゲーマドライバーが音をあげて軋みだす。

 

「くそっ――どういうことだ!?」

『どうやら見掛け倒しだったみたいだな』

 

 ゲンムの変身が解ける。

 

 ひしゃげたベルトが彼の足下に落ちた。

 

「まだだぁっ!」

 

 今度はバグヴァイザーを取り出すも、次の手を打たせるつもりは無いようだった。

 

 触手がそれを貫き、クロトの胸元に突き刺さった。

 

「ウグッ……」

 

\ゲーム・オーバー……/

 

 即死し、消滅するもすぐさま土管から復活する。

 

 変身できなくなったクロトはガシャコンブレイカーを直接召喚し、立ち向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――

――

 

 

「――よし、これさえあれば」

 

 新たに保管庫から取り出されたのは水色のナックルパーツ。

 

 その名もブリザードナックル。

 

 エボルトリガーの機能を抑制し、弱体化させるためのアイテムだ。

 

「緑谷君、メリッサの容体は?」

「かなり消耗してます……さっきよりも息が荒いし」

 

 緑谷の胸には漠然とした不安があった。

 

 ワン・フォー・オールの――個性の力ではどうしようもない事態。無個性であっても知識さえあれば何とかなったかもしれないこの状況に、彼は自責の念で押しつぶされそうだった。

 

 麗日が救命キットを探しに行ったが、それを待っている余裕はなさそうだ。

 

「ッ一刻も早く――」

「――手前はその娘を治療してやれや」

 

 オールマイトがあけた穴をよじ登ってきたグリス――カズミはセントからブリザードナックルを強奪する。

 

「あ、おい!」

「悪ぃが俺は戦うしか能がねえんだよ……しっかり救助してやん――!?」

 

 カズミがちらりとメリッサを見た瞬間、彼の凛々しい顔が崩壊した。

 

 目を見開き、興奮したように胸を抑える姿はさながらドルオタだった。

 

「な、なんだこの美しさ――あり得ねぇミータン一筋のこの俺がここまで惹かれてしまうだと!? 侮れん、侮れませんねぇぜひともお近づきになってあーんなことやこーんなことを、っていいのか!? いいのか沢渡 カズミミ28歳(独身)!? ここでミータンを裏切ったら、そうだやむを得ぬ事情なら、やむを得ぬ事情なら触れ合うしかないですよねぇ!?」ブツブツブツブツブツ

「させねえぞ?」

 

 シリアスな雰囲気が台無しである。

 

「……何で俺の考えてることが」

「全部口に出てた」

「……チッ、俺はヴィランをぶっ潰す。お前はその娘を助けてやんな」

 

 ドルオタの顔からヒーローの顔になったカズミは、戦闘で出来た穴から外へ向かっていった。

 

「ノースヒーローグリス……彼にあんな側面があったなんて」

「お前も何言ってんだ」

 

 セントは呆れながらボトルを取り出す。

 

「可能性があるとすればフルボトル(これ)だけだ。片っ端から試していく」

 

 

 

 

 ――――無駄なことを……。

 

 

 

 

 緑谷の頭に不思議な声が響いた。

 

 

 ――エボルトがよみがえった以上、貴様らの星はもう終わりだ。

 

「まだオールマイトがいますッ!」

「どうした急に」

「い、いえ……」

 

 どうやらこの声は彼にしか聞こえないようなだった。

 

(だとすると、この腕輪)

 

 火星から持ち帰られた品であるブレスレット。とすれば、夢で見た光景は実際に火星で起こった出来事なのだろう。

 

 ――我らの種族は貴様らのような個性に似た力を持っていた。奴の扇動にのせられ、争い、そして滅びた。

 

(……でも僕達には、ヒーローがいる)

 

 ――無駄だ。奴は人の本質をむき出しにする。人は理性を取り払えば闘争本能をむき出しにする。

 

(名のあるヒーローはデビュー前から逸話があるんです。ほとんどの話はこんな言葉で締めくくられています)

 

 

 

『――気が付いたら体が勝手に動いていた』

 

 

 

「――確かに僕達の心には闘争心とか、誰かを傷つけようとか、そういった心があるかもしれません。でもそれだけじゃないッ!」

「……」

 

 セントは一人で叫んでいる緑谷を静かに見守る。

 

「この世界にヒーローがいる限り、僕達は絶対に負けない!」

 

 ――――そうか……。

 

 腕輪が輝く。

 

 緑谷の瞳が緑色に輝き、その手がメリッサに触れる。

 

 

「“もしお前が、私の星で生まれていたら……結末は違っていたのかもしれないな”」

 

 彼の口からは女性の声が出ていた。口調も別人のようであった。

 

「“そこの男。エボルトを斃すことはできるのか?”」

「あっああ、約束する」

 

 その変化にセントは戸惑うも、笑顔でそれに応えた。

 

「“……そうか。ならば火星の民の無念を、晴らしてくれ”」

 

 腕輪が一際輝く。メリッサの顔色が少しずつ良くなっていき、荒かった呼吸も落ち着いてきていた。

 

「解毒しているのか……!?」

 

 輝きが収まると、緑谷は意識を失って倒れる。

 

「しかも今の声……緑谷君の口調でもなかった。しかも未知の毒物をいとも簡単に除去するなんていったいどういう物理法則の下に成り立っているんだ?」

「――やっぱ、励ますんじゃなかった」

 

 弱弱しい声が聞こえた。

 

 薄目を開けたメリッサは、普段の彼のような言動を見て苦笑いをしていた。

 

「憎まれ口叩くんだったら、戦ってもらおうかな? 俺はベルトを奪われていて戦えないんだ」

「ちょ……まだ万全じゃないんだけど」

 

 困惑している彼女からドライバーを取り上げ、セントはにやりと笑った。

 

「冗談だ。このてぇんっさいが、華麗に勝利を決めてみせるさ」

 

 





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