ようやく映画編も終わりが見えてきました。
\\クローズビルド!!!!//
ボトルを装填し、レバーを回転させる。
ランナーが形成される中、メリッサは避けようとしたが運悪く巻き込まれてしまう。
「え、え? ちょ何で私まで!?」
アーマーが形成され、変身の準備が完了する。
「待ってセント! 巻き込まれてるから!」
\Are you ready?/
「駄目よ!」
「変身!」
「わ――!?」
そして彼女を巻き込んでアーマーがプレスされた。
\ラビット! ドラゴン! Be the one!! クローズビルド!!!! イェイ!! イェイ!!/
「……ん?」
『…………う、そ?』
完全に一人のライダーに変身した。
二人で一人、物理法則を超越したライダーだ。
「『合体してる――ッ!?』」
ビルドは右往左往する。
『どういう事よ!? ビルドにこんな機能無かったわよね!?』
「あ、ああそうだ。しかもこれは物理法則を完全に超越して」
『ていうかなんか臭くない? ちゃんとお風呂入ってるの?』
「失礼だな! 全身くまなく洗ってるぞ!」
あっちへ行ったりこっちへ行ったり、はたから見れば滑稽な姿であった。
「ってかそんなこと言ってる場合じゃなかった、急いで奴を追うぞ!」
『ええ!』
両足を同時に出そうとして思い切りつんのめった。
「馬鹿……なんで左足も出そうとすんだよ」
『歩くときって左足からじゃないの?』
「……よし、ならせーの、で行くぞ。せーの」
いち、に、いち、に、と掛け声をしながら二人は走る。
どう見ても世界を救いに行くようには見えなかった。
――――
――
「――やはり葛城くんの研究は凍結すべきか」
『うむ、彼の研究は世界中のパワーバランスを崩壊させかねないからね』
ホログラムによる会議で世界の重鎮たちが唸り声を上げた。
樋室 タイザンはデータを見てため息をつく。
提出されたデータは確かに兵器利用されたものだ。しかし応用すれば人々の平和に貢献できるかもしれない。
『惜しいが、これも各国の平和のため』
『しかないか――!?』
映像が一ヶ所途切れる。
それを皮切りに次々と映像が消えていく。
「な、何事だッ!?」
彼が困惑していると、空間に穴が開き真っ白な鎧をまとった人物――エボルトが出現した。
『よお……ヒーロー連盟の会長さんよ。俺はエボルト――ブラッドスタークと名乗った方が通りがいいか?』
「きっ貴様が葛城親子の研究を悪用していた」
『おいおい。俺は正当に使っていただけさ』
愉快そうに笑いながら、エボルトは触手を垂らす。
『さて、まずはヒーロー連盟を潰して、絶望の淵に叩き落としてやろうか』
それを胸に突き刺し、毒を注入しようとするも、窓ガラスが割れてビルドが侵入した。
『何っ!?』
「そこまでだ!」
『もうこれ以上あなたの好きにはさせないッ!』
エボルトは殴り飛ばされ、窓の外の空へと放り出された。
「き、君は……」
「樋室さん、あとは任せてください」
「あ、ああ!」
そのままビルドも追いかけていった。
――――
――
空中で姿勢を制御する。
エボルトは攻撃の主を睨み付けた。
『調子に乗りやがって……!』
ビルドはドラゴンに乗りながらこちらへと向かってくる。
「『ここで終わりだ! エボルトッ!』」
空中で激突した。両者とも絶妙なバランス感覚で姿勢を保ちつつ、攻撃を繰り出していく。
激しいぶつかり合い、それは次第に激化していき、ドラゴンが足場となってそれをサポートする。
『クソッ! 何故だッ!? 俺は全力を取り戻したはずなのにッ!』
「俺たちは負けられないッ!」
『ここで全てを終わらせるわッ!』
『ッ二対一とは卑怯じゃねえか!』
卑怯さで言えばエボルトも負けず劣らずと言ったところだ。
ビルドはウサギに蹴り飛ばされて加速し、エボルトに強力なライダーキックをお見舞いした。
そして日本の神野区へと吹き飛ばされていく。
――――
オールマイトとオール・フォー・ワンとの戦いに決着がつく。
激闘の後はすさまじく、町の大部分が瓦礫と化してしまっている状態だ。
それでも
「次は、君だ……」
それは弟子に向けたメッセージ。
“自分はすべて出し切ってしまった”という意図を込めた言葉だった。
カメラマンはそこで映像を切ろうとし、彼の背後に落ちてきたものに気付く。
「なんだ……あれ?」
もはやマッスルフォームを維持できないオールマイトは内心で舌打ちをしていた。
(shit! このままでは――)
だがどうすることもできず、降ってきた脅威に対してにらみを利かせることしかできなかった。
『くそ……思ったより、やるじゃねえかよ』
それは地球外生命体エボルトの真の姿、ブラックホールフォーム。
『なんだ? 見世物じゃねえぞッ!』
無様な姿をさらされ憤っていた彼は手の平から炎のようなエネルギー波を放って野次馬もろともすべてを焼き払おうとした。
オールマイトは消耗した体に鞭を打って人々を助けようとするも、どうにも間に合わずに火に包まれる――かに思われた。
カメラマンは自分たちを護るドラゴンの姿をカメラに捕らえた。
「『人々に手出しはさせない……!』」
地上に降り立ったビルドはベルトのレバーを回転させる。
金と銀、二色で構成された数式が周囲に展開される。
『調子に乗るなよ――下等種族がッ!』
エボルトも負けじとレバーを回転させブラックホールを生成した。
\Ready go!/
\レディー・ゴー!/
巨大なブラックホールを金と銀の螺旋のグラフが貫いて破壊した。
『なッ!?』
ビルドはウサギのアシストで螺旋の式に飛び乗り、ドラゴンのブレスで加速する。
『パパの研究は――あなたが破壊の限りを尽くすためのものじゃないわ!』
「愛と平和で溢れる世界を願い、それを実現するためのものだッ!」
キックを片腕で受け止めるエボルト。
だがそれだけでこらえきれなくなったのか、両腕を交差させて耐える。
『私たちは証明して見せるッ』
「俺たちで作り上げたこの“ビルド”を平和の象徴にするッ!」
徐々に、エボルトの両腕が消滅していく。
その体を保つことができなくなってきているのだ。
「『勝利の法則は――決まった!』」
ビルドは更にレバーを回転させ、クローズビルド缶のエネルギーを引き出していく。
\Ready go!/
眩い光が発生し、エボルトのドライバー、トリガー、ボトル、そのすべてに亀裂が走る。
――――
――
曇りがかっていた空が一気に晴れる。
夜空には星が煌き、僅かな月明かりが人々を照らす。
こんな状況にもかかわらず、カメラマンは根性でカメラを回して一部始終を全国へと知らしめていた。
「今度こそ、終わったのね」
エネルギーを使い果たし、変身が解除されてしまっていた。
クローズビルド缶は元のボトルへと姿を戻し、二度とあの形態に変身できないようになってしまった。
「ああ、多分そうだろうな」
エボルトが変身に使っていたアイテムは、もう原型が分からないほどに粉々だった。
「……カメラ、回ってるみたいよ。早く行ったら?」
「ああ、そうだな。このてぇんっさいの晴れ舞台には、十二分すぎたからな」
くしゃっとした笑顔のセントは、果たしてどのような心境なのだろうか?
きっと、人々を助けることができてうれしいに違いない。メリッサは心の中でそう思っておくことにした。
――――
『――あ、やってきました! 恐らくあの人物が空から降ってきたヒーローだと思われます』
オールマイトの弱体化に加えた一大ニュースに、レポーターは興奮した状態だった。
『あの、お話を伺っても!?』
歩いてきた男にカメラがズームインした。
『あなたのお名前は!?』
彼は照れるように頭を掻いていた。
そして穏やかな笑みを浮かべてこう答えた。
『俺のヒーローネームはビルド。“作る・形成する”って意味の、ビルドだ――以後、お見知りおきを』
これで終わると思った?
まだ伏線というかお残しがありますぞ!