神のヒーローアカデミア   作:鮫田鎮元斎

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クロト神の威光でお気に入り登録がうなぎ上り。

続きを書くしかないよね。

オリキャラも出すしかないよね。


第二章 堕落したヒーローとヴィジランテ
神のヒーローアカデミア3


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 “便乗ヒーロー”フリーライダー。

 

 常に他人の手柄を横取りし続け,その成果を盾に出世を続けているどうしようもない腐れヒーローである。

 

 だが彼には悩みがあった。

 

 

「おいゲンム! お前パトロール行けって言ったろうが!」

「うるさーいッ! 私に指図するなァッ!」

 

 職場体験にやってきた雄英生,ヒーロー名はゲンム。

 

 体育祭での活躍から,ワンチャン来てくれたら楽できそうだなと期待していた。

 

 そして来てくれた。

 

 

 初日は,自分の為にこき使える奴が来てくれてうれしかった。

 

 だがその日のうちに,後悔した。

 

 ずっと事務所でパソコンをいじっているうえに,注意されてもなんも気にしていない。

 

 

 それどころか逆ギレしてふんぞり返る始末。

 

 頭が痛かった。

 

「お前な,そんなんじゃヒーローになれないぞ」

 

 自分の事を棚に上げているが,そんなことは神の関心を惹きつけなかった。

 

「私のクリエイティブな時間の邪魔をするなッ! ヒーロー科のカリキュラムの都合上仕方なくお前のところに来てやったんだ……光栄に思うがいい」

 

 仕方なく,彼は自分でパトロールに行くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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――

 

「ったく……楽できると思ったのによ」

 

 フリーライダーとは,集団の中において他人の利益に便乗する人間の事を言う。

 

 面倒くさがりで,何もする気のない彼の性格をよく示しているだろう。

 

 

 そんなヒーロー崩れを成敗するヴィランがいた。

 

 正確には――ヴィジランテだが。

 

「ぐっ!?」

『貴様が噂の偽物か』

 

 ドラゴンの仮面をかぶり,ライダースーツを身にまとった人物に襲われた。

 

 ドラゴンの牙のような武器から放たれた斬撃を,彼は寸でのところで“個性”を発動して躱した。

 

 

 

 

 ヒーロー『フリーライダー』

 

 個性:第六感

 

 めっちゃすごい直感。カン。めっちゃすごいよ

 

 

 

 

 

 

「な,なんなんだよぉ……」

『わたっ,俺は貴様のようなヒーローとも呼べない,ただの馬鹿を刈り取るのが仕事だ』

「お前――噂のヒーロー殺し」

『違うッ! わっ……俺をあんな陰キャと一緒にするなッ! 我が名は“竜戦士”グラファイト。真のヒーローとなる者だ!』

 

 

 

 

 

 

 ヴィジランテ『グラファイト』

 

 個性:裂撃(れつげき)

 

 なんでも引き裂く強力なエネルギー波を放つ! チャージすればするほど威力は上がるっ! ちなみにドラゴナイトハンターZの竜戦士じゃないぞ。

 

 

 

 

 彼は武器にエネルギーを蓄え,再び攻撃を放つ。

 

『激怒龍牙!』

「うぐおっ!」

 

 フリーライダーの拠点は保須市にほど近いところだ。

 

 変に逃げれば本物のヒーロー殺しと出くわしてしまう。

 

 個性が告げるままに逃げるも,常識はずれな動きをするヴィランに追い詰められてしまう。

 

 

 

『さらばだ――偽りのヒーローッ! “ドドド黒竜剣”!!』

 

 なお,ネーミングセンスはパラレルワールドのグラファイトさんと同じようであった。

 

「や,やだっ! 死にたくねぇっ!」

 

 

 ただ楽をして,みんなにちやほやされて,楽に金を稼ぎたかっただけなのに。

 

 黒いエネルギー波が飛んでくるのを呆然と眺め――寸でのところで避けた。

 

 本能的にもっとやばい奴が来たことを察知したからだ。

 

 

『な,なんだ……? この脳みそ男』

 

 

 ヴィラン連合が生み出した改人・脳無。

 

 奇しくもこの日は,ヴィラン連合とヒーロー殺しステインが手を組み,行動を開始した日であった。

 

 保須市周辺に,連合が攪乱のための兵を放ったのだ。

 

「じょ,冗談じゃねぇっ!」

『おい待――』

 

 ヒーローのくせに真っ先に,いち早くフリーライダーは逃げ出した。

 

 取り残されたグラファイトは,持ち前の正義感で踏みとどまった。

 

 

「…………?」

 

 脳無は思考できない。

 

 命令されたことを行うのみ。

 

『おい脳みそ男! お前何者だ?』

「?」

 

 だが,本能的に敵意を察知し,戦うことはできた。

 

 この個体には,強化再生,筋力増強,分裂再生の個性が付与されていた。

 

『!』

 

 衝撃でグラファイトの仮面にひびが入る。

 

 反射的に彼(?)は武器にエネルギーをチャージし,裂撃を放った。

 

『激怒龍牙!』

「!?」

 

 脳無の腕がもげかけたが,ひっついて再生する。

 

 再び激怒龍牙が放たれたが,今度はびくともしなかった。

 

『そうか,一度はなった攻撃は通用しないということだな――ならば』

 

 再びエネルギーをチャージする。

 

 『ドドド黒竜剣』は発動まで30秒かかる。

 

 コンマ1秒を争う戦闘時には,致命的なタイムロスだ。

 

『あぐっ! ――っ!?』

 

 強烈な腹パンを喰らい,気を失いそうになるが気合でこらえる。しかし,仮面が砕け散り,素顔があらわになってしまう。

 

 どこかあどけなさを残した,少女の顔だ。

 

 柔らかそうな栗色のロングヘアは,個性の影響で緑と黒に染まりつつある。

 

 早い話,グラファイトは少女だったのである。

 

 彼女の髪の毛が真っ黒に染まり,漆黒のオーラを放った。

 

「奥義――ド・ドドド黒竜剣ッッ!!」

 

 

 過度な裂撃のチャージは自傷行為である。

 

 エネルギーの余波は自分自身を傷つける。

 

 

 漆黒のエネルギー波は,脳無の上半身を真っ二つに裂いた。

 

 普通の人間なら死ぬ攻撃である。

 

 それでも改人は死なない。

 

 わずかによろめいて踏ん張り,強化再生された。

 

 

「はぁ……っ……な,んで――!?」

 

 改人に善悪の判断も倫理観もない。

 

 故に男女平等に殴るし殺す。

 

 グラファイトは横っ面を殴られ地面を転がる。

 

 

 気を失いそうな痛みの中,逃げ遅れた人々の,恐怖に染まった顔が目に入った。

 

 

“限界だーって思ったら,思い出すんだ。自分自身の原点――オリジンを”

 

 

 

 昔読んだヒーローの伝記。その中で心惹かれた一つのワード。

 

 どんなに辛くても,ヒーロー科を不合格になっても,ヴィジランテになってでも心を動かし続けた一つの信念。

 

“誰かを助けられる人でありたい。人々の笑顔を守れる人になりたい”

 

 それが彼女のオリジン。

 

 

 

 

「わ,私は――竜戦士,グラファイト」

 

 ふらつきながら,武器を杖にしながら立ち上がる。

 

「私が戦う理由は,今この瞬間――人々を守るためにあるッ!」

 

 裂撃をチャージする。

 

 究極奥義を放つために必要な時間は――1分。

 

 その間,この改人の攻撃を耐え続ける。

 

 倒れてはならない。

 

 避けてもならない。

 

 死ぬ気で耐えるのだ。

 

「!!」

 

 脳無のラッシュを喰らい,意識が飛びそうになる。

 

 このまま逃げ出したくなる。

 

 それでも心に信念を――オリジンを思い浮かべて耐える。

 

 

 

 彼女の心の震えに応じて髪が緑から黒に,稲妻を纏い,そして少しずつ,赤へと変化する。

 

「究極奥義――っ」

 

 殴られつつも,意識が飛ぶ寸前でも,人々を守りたいというその一心で,キメ技を放つ。

 

 

「究極奥義――“ドドドドド・紅蓮爆竜剣”!!」

 

 

 赤い竜が脳無に襲い掛かる。

 

 すべてを引き裂くエネルギー波は,脳無の全身を粉みじんに引き裂いた。

 

 

「やっ……た――」

 

 

 すべてを成し遂げ,グラファイトは地に臥せった。

 

 影から様子をうかがっていたフリーライダーは,すべて終わったのを見て現場に舞い戻る。

 

「えーっと,今何時? ま,いいや。なんかよくわかんないヴィラン討伐に,ヴィジランテのグラファイト逮捕―」

 

 

 何もしていない癖に,手柄を横取りしたうえ,守ってくれたグラファイトの手に手錠をかけたのだ。

 

 個性の反動と度重なる攻撃でボロボロな,その体を縛り上げたのだ。

 

 

 

「おい……あいつなんだよ」

「ヒーロー……?」

「で,でも真っ先に逃げてたじゃん」

 

 

 町の人々は困惑と,非難の目を向けた。

 

「うるっせーな。いいか? こいつは無資格のくせに個性を使用した犯罪者,そして俺は資格を持っている正規の“ヒーロー”。この手柄をもらうのは,当然俺っしょ?」

 

 発言は正当だが,行為的にはドクズだった。

 

 未知の化け物におびえていたくせに,逃げていたくせに手柄だけはちゃっかり攫って行く。まさにフリーライダーの名にふさわしい外道行為だった。

 

「ッひょー! これだけの手柄。今期のビルボードチャート爆上がり確定! もう今夜は焼肉しかないッしょーっ! ヒャッホホイ!」

 

 

 その高笑いは,神の跳び蹴りが止めた。

 

「うぶぇっ!?」

「……素晴らしい出来だ」

 

 突如現れたクロトは,落ちていたグラファイトの仮面を手に取り,とても嬉しそうに笑っていた。

 

「我ながら良いデザインだ――あのグラフィックをもとにここまでのファングッズを作ってもらえるのは――クリエイター冥利に尽きる」

「い,いへ……なにふんだよ!」

 

 フリーライダーは蹴られた鼻っ面を押さえて蹲っていた。

 

「私のゲームのファンを守ったのさ」

「は,はぁ……?」

 

 彼は仮面をグラファイトの傷ついた顔にかぶせてやる。

 

 神は激怒した。

 

 己のゲームのファンをここまで傷つけたヒーロー崩れに裁きの鉄槌を下さんと奮起した。

 

 なお彼は脳無の存在に気づいてはいない。

 

 

「ファンを守ることも,神の役目の一つだ」

 

 腰にはゲーマドライバー。右手には新しいゴッドマキシマムマイティXガシャット。

 

「彼女は逮捕させない――彼女は私のゲームの,大ファンなのだからッ!」

 

 

 

 

 

 

\ゴッドマキシマムマイティX!/

 

 

 

 

 

 ガシャットを起動し,合掌するようにそれを挟む。

 

 彼の目が紫に輝いた。

 

 

「グレードビリオン。変身!」

 

 

 

 

 

 

 

\マキシマムガッシャット! ガッチャーン! フーメーツー! (中略) ゴッドマキシマーム! エーックス!!/

 

 

 

 

 

 

 

「体育祭でのデータをもとにアップグレードしたβ版。喜べ。君は栄えあるテストプレーヤーに選ばれた」

 

 

 

 

 神の才能は,留まるところを知らない。

 

 

 

「へへっ! 知ってんだよ! ビームとか隕石とか,俺の第・六・感! で全部躱せんだよ!」

 

 フリーライダーは,虚勢をはって威嚇する。

 

「チッチッチッ……私のゲームは常に進化を続ける――ゾンビクロニクル,起動」

 

 

 突如として,白いゲンムが大量発生した。

 

 右を見ればゲンム,左を見てもゲンム。四方八方がゾンビゲンムに囲まれてしまっている。

 

「え,え……?」

「ゾンビクロニクルは,迫りくるゾンビを討伐し,仲間を助けるゲーム。ヒーローの君にぴったりだろう?」

 

 

 

 映画のゾンビは,基本死なず,主人公サイド全滅エンドも間々ある。

 

 戦闘訓練など碌にしていないフリーライダーに斃せる相手ではない。

 

 

 

「安心したまえ。爆豪 勝己(テストプレーヤー)の強い希望で,ゾンビは不死身ではなくなっている」

「じょ,冗談じゃねぇょっ! 俺はヒーロー資格を持った,れっきとしたヒーローなんだぞッ! これ以上やるならお前も逮捕――」

「不要なヒーローは削除あるのみ」

 

 

 

 

 

\ガッチョーン カミワザ!!/

 

 

 

 

 

 神の理想に,腐れヒーローは必要ない。

 

 

 

 

 

 

 

\GOD MAXIMUM CRITICAL BLESSING!!/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さらばだ――便乗ヒーロー“フリーライダー”」

「ゥワ"ァァァッ! マ"マ"ァッーッ!」

 

 

 

 

 ゾンビゲンムたちが発光し,大爆発を引き起こす。

 

 神の信者に仇名す者(とばっちり)は,粛清される運命にある。

 

 

 

 

「私の作り出す世界に,名ばかりヒーローは不要だァ」







続く……しかない?
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