神のヒーローアカデミア   作:鮫田鎮元斎

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保須市編はなかなか終わらない。

というか地味に続けちゃってる。




神のヒーローアカデミア4 『グラファイト:オリジン』

――――

――

 

 ヴィジランテ,グラファイト。本名:竜ヶ峰 裂姫(さき)

 

 個性は裂撃。何でも引き裂くエネルギー波を放出できる。

 

 普通に考えて,ヴィランに向いている個性なのは確かである。

 

 

 それでも彼女はヒーローに憧れた。

 

 

「むこせー(無個性)のデクがチョーシのってんじゃブェッ!」

 

 昔から正義感が強く,近所の悪がきをよく成敗していた。

 

 なおその悪ガキの名は爆豪という。

 

 

 小学校,中学校共に皆から信頼され,将来はきっといいヒーローになると信じられていた。

 

 もちろん,彼女自身も雄英高校のヒーロー科を受験しようと思っていた。

 

 

 そして,受験当日。

 

 筆記試験は危なげなく突破した。しかし実技試験では――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――僅か2ポイントの差。

 

 当時,雄英の試験に救助ポイントという概念は無かった。

 

 人助けをし過ぎて彼女は結果的に不合格となった。無論,この結果は物議をかもしたのだが,結果が覆ることは無かった。

 

 彼女は絶望したが,こう言い聞かせた。

 

「私よりもっとすごい人がいた……日本一の高校だもん……仕方ないか」

 

 

 日本一,の高校。方や自分は地域の中で一番。

 

 もっとヒーローにふさわしい人がいたから,合格できなかったのだ,と。

 

 

 

 

 そして運命の日。

 

 雄英高校体育祭。彼女も,自分よりすごい人たちの活躍を見れるのが楽しみだった。

 

 しかし,待てど暮らせど,一年生の――同世代の紹介がなされない。

 

 不思議に思って,ヒーローをやっている叔父に聞いてみた。

 

『……詳しくは知らないが,どうやら,全員見込みなしで除籍されたらしい』

「じょ,せき……?」

 

 

 見込みなし。

 

 そう,彼らは身体測定,戦闘訓練,救助訓練を経て――全員見込みがないと除籍されたのだ。

 

 

 あの入試,ロボットヴィランを効率よく倒すだけだった。

 

 自分を犠牲にして他を助けるというヒーローの本質を一切測れていなかった。

 

 彼女のように,ヒーローらしい行動をとったものが不合格となり,アンチヒーローな行動をしてでもポイントを稼いだものが合格となった。

 

 後で彼女はそんな話を聞いた。

 

 

 そして,彼女がヴィジランテになるきっかけが起こる。

 

“ヘドロ事件”

 

 爆豪君がヴィランに捕まった有名事件である。

 

 

 苦しんでいる一般人を『不利だから』という理由だけで遠巻きにして見ているだけのヒーローに絶望した。

 

 ヒーローなど当てにできない。

 

 彼らを資格を持っているだけの偽物なのだ。

 

 

 

 ならば,資格を持っていなくとも,ヒーローになれる。

 

 

 彼女は“ドラゴナイトハンターZ”の敵キャラ『グラファイト』の名を借り,活動を始めた。

 

 すべては,真のヒーローとなるために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――

――

 

 

「ハァ……我ながら素晴らしい出来だァ……」

 

 しかし,フリーライダーは死んでいなかった。

 

 個性で爆発の瞬間を察知し,辛うじて逃げることに成功していたのだ。

 

 

 

「ち,チクショォ……ん?」

 

 

 ぐにょ。

 

 彼の足が肉片を踏んだ。

 

 僅か数百グラム。だが,確実に姿を取り戻しつつある脳無。

 

 

「ひっ……!」

「ほう……悪運だけは強いようだなァ」

 

 

 

 

 

\ガシャコンキースラッシャー/

 

 

 

 

 

「思えば,君は私に数々の暴言を吐いていた。神に対する冒瀆をあの程度で済ませてあげるという,私の慈悲を君は踏みにじった――」

 

 神の言葉を聞く余裕など,フリーライダーには無かった。

 

 彼の足下で再生する脳無に足を絡め取られ,動けない。

 

 前門の脳無,後門のゲンム。

 

「や,やらぁ……し,死にたくねぇよぉ」

「後悔と共に――闇に消えるがいい」

 

 

 

 

 

\マキシマムガッシャット! キメワザ!!/

 

 

 

 

 

「グエッ!?」

 

 しかし,神のキメ技は発動されなかった。

 

 未知の乱入者に妨害されたのだ。

 

 

 

 

 

\ゲーム・オーバー/

 

 

 

 

「こんな時に仲間割れをしている場合かッ!」

 

 プロヒーロー“ブレイブ”

 

 多数の脳無出現に要請されたヒーローの一人だった。

 

 

「――――フゥッ! ……残りライフ88。たかが1プレーヤーが,ゲームマスターである私に盾突くとはいい度胸だなァ」

「貴様の講釈はノーセンキューだ。今は脳無討伐に協力しろ」

「私に指図ウグェッ!」 

 

 

 

\ゲーム・オーバー/

 

 

 

「これは個人的なお願いではなく,命令だ。逆らうならばお前をまず切除するぞ」

「ぐっ……」

 

 

 ブレイブは脳無を警戒しつつ,気を失っているグラファイトに対して個性を発動する。

 

 

 

 

 

 

 ドクターヒーロー『ブレイブ』

 

 個性:英雄(ヒーロー)

 

 ヒーローっぽいことなら何でもできる! 死にかけても生き残れる! 仲間のライフも回復できる! てかマジスゲェ,マジ最強。

 

 

 

 

 

 傷を全回復されたグラファイト――サキは目を覚ます。

 

「サキ,これ以上活動するなと言ったはずだぞ!」

 

 そう,ヒーローの叔父とはこの男であった。

 

「――私は悪くないッ! 私は……みんなを,助けたかった」

「お前も知ってるだろ!? 資格なしにヒーロー活動をすることは」

「資格を持っていることがヒーローなの!? あの男は――」

 

 と,気絶しているフリーライダーを指して言う。

 

「あの男は,自分の身が可愛くて,真っ先に逃げ出した……ヘドロ事件の時もそうよ。苦しんでいる人を見捨てておいて,何がヒーローよ! こういうときばかりヒーロー面しないでッ!!?」

 

 

 正論のように聞こえる彼女の言い分を,頬をはたくことで黙らせる。

 

 

「……お前の言い分は間違っては無い。あの男のように,ヒーローらしからぬプロは一定数居る。下手をすれば,ヴィランのような人間もいる。だがヴィランとは悪人の事じゃない。ルールを守れない,社会の腫瘍の事を言うんだ。それを切除し,社会を健全にするのがヒーローの務め」

「何よ……私もヴィランと同じだってことなの!?」

「ああ,それが社会のルールだからだ」

「……っ!」

 

 彼女は言葉を失った。

 

 大好きな叔父から,ヴィランだと罵られた。

 

 それは,彼女の心のに傷をつけた。

 

 

「――と,いうのがプロヒーロー,ブレイブとしての意見だ。俺は――加賀美 ヒイロは,お前の事を誇りに思う」

「へ……?」

「ヴィランの攻撃をずっと受け続けるなんて,そう簡単にできることじゃない。お前はこの場で,誰よりもヒーローだった」

 

 子供のころから誰かを助けることが大好きだった。

 

 見返りを欲しいと思ったことは無い。

 

 ただ,みんなに笑顔でいてほしかった。

 

 みんなの笑顔を,身勝手に奪う悪人が,許せなかった。

 

 それが,彼女の原点(オリジン)

 

「見返りを求めたら,それは正義と言わない。サキ,今からやることに,一切の見返りは無い。それでも,やってくれるな?」

「う,うん……っ!」

 

 

 ブレイブはヒーロースーツの中から(個性の力です)取り出したケースを差し出す。

 

 それは,ヒーローを目指している姪っ子の,入学祝に作らせた特性のヒーロースーツ。

 

 

「オイィィ……私をこれ以上焦らすァ」

 

 律儀に待っていたクロトも,もう我慢の限界だった。

 

「ふん,研修生(インターン)は黙ってろ」

「ヌァンだと!?」

「もう喧嘩しないで!」

 

 喧嘩しそうな二人をサキが止める。

 

 ファンを大事にするクロトはすぐに大人しくなった。

 

「ふん……神と共に戦えることを光栄に思うがいい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

\マイティアクションX!!/

 

 

 

 

 

 

 

「足を引っ張るなよ研修生。サキ,行くぞ!」

「っん!」

 

 

 赤い,ドレスのようなヒーロースーツ。

 

 白い骨のような,竜の仮面。

 

 個性によるダメージを軽減する烈火のガントレット。

 

 竜の牙のような武器。

 

 

 それが,ヴィジランテではない,ヒーロー,グラファイトの戦闘装束。

 

 

 

 

 

「グレードゼロ。変身!」

 

 

 

 

\ガッシャット! ガッチャーン! レベルアップ! マイティジャンプ! マイティキック! マイティーアクョーンX/

 

 

 

 

 

 神々しさは無い。

 

 だが神の処女作にして最高傑作。

 

 マイティアクションXのプロトタイプのプロトタイプ。オリジンだ。

 

 

 これこそ,“無個性ヒーロー”ゲンムの,基本形態。

 

 

 

「――――グラファイト,そしてゲンム! プロヒーロー“ブレイブ”の名において,戦闘を許可する!」

 

 





多分続く。
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