ところどころめんどくさくて端折ったZE☆
クロトはどうやってポーズを攻略するのかな?
――――
――
衛生省の地下。拳藤はそこで拘束されていた。
「――起きろ一佳」
「ん……? っキリヤ!?」
「ばっ! 静かにしろッ!」
忍び込んできているのか、彼は周囲を気にしていた。
「(どうなってるの? なんか急に眠らされたんだけど)」
「審議官殿には後ろ暗い事情ってやつがあんのさ」
キリヤは全てを知っているがゆえに話すかを迷った。
一つの嘘が人を救うことがある、彼の信条が口を閉じさせた。
「……キリヤ、お前またウソつくのか?」
「っなんだよ藪から棒に」
「それなりの付き合いだし、多少は分かるよ」
ずっと座らされていたせいか、拳藤は少しふらついている。
「嘘はいいから、本当のことを言ってくれよ。私だって、知る権利はあるはずだ」
「自分は」
何も知らない、そう続けようとして口をつぐむ。
隠したらまた彼女は秘密を探ろうとするかもしれない。今度は命の危険もあるかもしれない。
そうだとしたら、教えてしまった方が――
「衛生省のトップ、陽向 キョウタロウは全人類をバグスター化しようとしている。ゲーム病のパンデミックを起こすことでな」
「なっ!? 衛生省はゲーム病を治療するんじゃなかったのか!?」
「自分の知る限り、そうじゃない。バグスター化した後に何をするつもりなのか、そこまでは想像ができない」
彼は静かにため息をつく。
こんなことなら関わるんじゃなかった。中途半端に関わったせいで何も知らないでいいヒーローの卵を陰謀に巻き込んでしまった。
「キリヤ、私は――まだヒーロー資格持ってないけど、黙ってらんないよ」
「んなこと言ったって仕方ないだろ」
「だからさ、許可を出して欲しいんだ。私が無事に脱出できるように」
心臓を鷲掴みにされたように感じた。
どうしてそんなことを言い出すのだろうか?
「まさか、バレてないと思ったのか――って、気付いたの今なんだけど」
「んだよ……脅かしやがって。悪ノリが過ぎるぜ」
「私を巻き込んだ罰だよ。それで? さすがに個性がないとここから逃げられないんだけどな」
自分の事を乗せようとしてくる拳藤に呆れてしまう。
「乗った。その提案、飲もうじゃないの」
彼女の言い分に説得されたということにして、許可を出してあげるしかないか。
「雄英高校ヒーロー科、拳藤 一佳。プロヒーロー“レーザー”の名において戦闘を許可する。ただし、正当防衛の範囲内で、だ」
部屋を抜け出すと、廊下の真ん中で仁王立ちしている人物がいた。
ピンク色のボブカットで、ファンシーな衣装の女性だった。ゲームキャラクターのポッピーピポパポにそっくりだった。
「コラー! 勝手に人質を解放するのはルール違反だよぅ!」
キリヤは拳藤を下がらせる。この相手は危険だ。
「まさか、バグスター研究がここまで進んでいたとはな……」
「それにワクチンを盗むのも大違反!」
ジャケットのふくらみを指摘され、彼は狼狽の色を見せた。これこそが衛生省に入った目的だからだ。
「やだなぁ……自分はそんなやましいことは考えちゃいませんよ」
「――ポパピプペナルティ、退場」
一気にドスの利いた声になった。反論は一切受け付けていないようだった。
\ガッチョーン…/
すぐさまベルトを装着しガシャットを起動させた。
\トキメキ☆クライシス/
そのゲームはゲンムコーポレーション製ではなかった。
マキナビジョン、ライバル会社の作った物だった。
「変身……」
\ガシャット☆ ――バグル・アップ! ドリーミグガール! 恋のシミュレーション☆ 乙女はいつもトキメキクライシス!!!!/
女の子のような姿の戦士に変身した。
「ポッピー:レベルX、参上☆」
「えらく、ノリノリじゃないの……」
\爆走バイク!/
「二速、変身」
\バクソウバイーク!!/
「乗れ、一佳」
「え、乗れって言われても」
「話は後だ、自分が何とかするから」
「――逃がさないよ~っ!」
――――
――
「大義の為の、犠牲となれ」
男が変身した戦士、ローグは拳を握り締めライドプレーヤーを迎え撃つ。
「な、攻撃が」
「利かない!?」
ローグには鉄壁ともいえる防御機構が搭載されている。
有象無象の攻撃などかすり傷にすらならない。
「ふん!」
ローグの拳が突き刺さり、ライドプレーヤーは大きく吹き飛ばされる。そして彼らの胸部パーツから警告音が鳴り響く。
そんなことに構うことなく、ローグはベルトのレンチを再び下した。
\クラックアップフィニッシュ!!/
ローグの足がライドプレーヤたちを挟み込み、そしてライダーガシャットを破壊する。
「「「ぐぁぁあっ!」」」
変身が強制的に解除され黒服の姿に戻ってしまった。
「……大丈夫か?」
「は、はい」
耳郎は変身を解除したローグに支えられて起き上がる。
「くそっ……衛生省をなめるな!」
「……そちらこそ、何の罪もない少女をかどわかそうとして大丈夫なわけはないだろう?」
「なん、だと?」
革ジャンの懐から名刺を取り出して投げつけた。
「ん!? 国際ヒーロー連盟事務総長:
「この人が、あの」
ノーベル平和賞を親子二代で受賞したことで有名な樋室 ゲントク、このひげ面の男がそうなのだという。
「貴様らの権力がどれほど強かろうと、俺には緊急時において国家と同等の権限を持つ。貴様らに問おう――その大義は何だ?」
「うっ……!」
ただでさえ強面なのがさらに圧迫感を与え、エージェントたちは気絶する寸前であった。
――――
――
「まさか仮面ライダークロニクルを使いこなす奴がいるとはなァ」
ゆっくりと歩み寄ってきたクロノスを前にクロトは不敵な笑みを浮かべる。
クラスメイト達はクロトの話を聞き、全面的な味方となっていた。
「聞き分けのない子供は嫌いだよ」
「う、うるせえ! お前なんかなぁ……お前なんか……」
威勢の良かった峰田も、だんだん委縮して縮こまっていた。
「私は貴様らの魔の手からエミを護り――彼女を陽の当たる場所に戻すのみィ!!」
クロトはゴッドマキシマムを構える。
「貴様など、完成したこのガシャットの錆にしてくれる」
\ゴッドマキシマムマイティ・エーックス!!!!/
「自分で作った装備の性能を忘れたのかね?」
クロノスは焦らずにABボタンを同時押しする。
「みんな来るよッ!」
\ポーズ……/
緑谷の号令で防御に動くも、直後に止まる。
格闘術のモーションに入っている麗日、酸を放出している芦戸、腰に手を当てて砂糖を摂取している砂藤、右手に裂撃をチャージするサキ、そして自慢のもぎもぎを出鱈目に投げつける峰田。
すべてがフィギュアの様に静止してしまう。
「ふん……邪魔なことだ」
目の前に浮いているもぎもぎを払いのけようと触れる。
「ん!?」
しかしくっついてしまって離れない。
それもそのはず。クロノスのポーズはあくまで時を止めるだけ。物質の性質は変わらずに残っているままなのである。
エネルギー弾の熱量は感じようともアーマーのおかげで何も感じない。
だが粘着質な物は防ぐことはできないのである。
「くそっ! 離れろ!」
もがいているうちに両手に張り付き、咄嗟にベルトのボタンに触れ、ポーズが解けてしまう。
\リ・スタート/
止まっていた時が動き出す。
酸や直接的な攻撃を躱すも、更なる拘束を喰らってしまう。
「ホウ……峰田君のもぎもぎ。その様子ではポーズとリスタートを繰り返すしかないなァ」
「! オイラの個性……へ、へへん! 今日は快便だったから一日はそのままだぜっ!」
\マキシマム・ガッシャット!!/
何事もなかったかのようにクロトは変身を再開する。
「くっ!」
\ポーズ……リ・スタート/
負けじとポーズをするも弾力のせいで同じコマンドをもう一度押してしまう。
「くそっ! くそぉっ!」
\ポーズリ・スタートポーズリ・スタートポーズリ・スタートポーズリ・スタートポーズリ・スタートポーズリ・スタートポーズリ・スタート/
タイム連打の様にクロトが動き、変身が完了すると同時に滑らかな動きとなる。
\ゴッドマーキシマーム・エーックス!!!!/
「無駄なあがきはよせ。この私に、もはやポーズは通用しない……」
その言葉はクロノスにとって死刑宣告に等しかった。
「私の新作ゲームのテストプレイにご招待しよう」
~解説コーナー~
・国際ヒーロー連盟
この世界ではヒーロー免許の発行を認可する国際的団体。各国がここに所属しており、ヒーロー規則の多くを設定している。この組織に所属しているメンバーは各国のヒーローを裁く権限を与えられ、緊急時には国家に対する捜査権を所有しており、いかに国家組織と言えどそう簡単に逆らえない。なお国家捜査を行うと山のような始末書を書かねばならない。