神のヒーローアカデミア   作:鮫田鎮元斎

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一旦未完としたこの作品も一応のエンディングを迎えられた。

読者の方には感謝しかないです。


神のヒーローアカデミア25 『トゥルーエンディング(後編)』

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「フゥゥゥ!!」

 

 ゲンムのパンチがクロノスを吹き飛ばす。

 

 両手がベルトで固定されているせいか不格好な姿勢で飛ばされていく。

 

「何故だッ! 何故私の邪魔をするッ!?」

「決まっている……私の才能を、消そうとしたからさァッ」

 

 本当に狙っていたのはクロトではないのだが、そんなことはお構いなしだった。

 

 ゲンムの攻撃により、クロノスは宇宙空間へと放出される。

 

 ロケット噴射によりそれを追いかけ、月めがけて腕を伸ばした。

 

「私の才能はもはやこの星には収まりきらないィ!」

 

 それは月にめり込み、それごとパンチを繰り出した。

 

「うぐおッ!」

 

 地球の大気圏を突破し、そのまま雄英高校のUSJ付近に墜落した。

 

 施設は半壊し、大きなクレーターを作った。

 

 そのおかげでもぎもぎは焼却され、再びポーズのコマンドが使用できるようになる。

 

\ポーズ……/

 

 時が止まるも、ゲンムは止まらない。

 

「なにっ!?」

「無駄だァ……宇宙に時の概念は通用しなァい」

 

 クロノスはゲーム管理者としての強さはあるが、製作者としての強さは持ち合わせていない。

 

 故に、すべてを作り出す神には敵わないのである。

 

「これこそ、最高神たる私の才能なのさぁッ! ブァハハハハハ!!」

 

\ガッチョーン……カミワザ!!/

 

 負けじとクロノスもベルトのBボタンをクリックし必殺技の体勢に入る。

 

\キメワザ……/

 

「私は――不滅だァァァァッ!!」

 

\GOD MAXIMUM CRITICAL BLESSING!!/

 

\CRITICAL CREWS-AID/

 

 上から襲い掛かるゲンムのキック、下から押し上げるクロノスの蹴り。

 

 両者は大きくせめぎ合い――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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――

 

 

 

『――続いてのニュースです。衛生省の雄英襲撃事件から一週間経過しましたが、昨日、衛生省の解体が閣議決定されました。さらに警視庁の調査ではバグスターウイルスの散布の容疑も』

 

 カフェの店内にあるテレビでは、衛生省の不祥事が報道するニュースが流されていた。

 

 キリヤはそれを聞き流しつつ、英字新聞を広げる。読むというよりは声を掛けられなくするための工夫なのだが。

 

 結局のところ、陽向 キョウタロウの事を悪く言う人間は多くは無い。陰謀説だったり、黒幕がいる説の方が指示されている。

 

 彼は俗にいう名医だったのである。

 

 すべての患者に対して真摯に向き合い、ただ病気を治すのではなくアフターケアまでが治療、と考える人であったらしい。

 

 だが彼の人生はある患者を救えなかったことで狂ってしまう。

 

 患者の名は二条 エム。交通事故の急患で運ばれてきて手術を行うも、彼が生きることを拒否するかのように失敗してしまったのだ。

 

 そのことが陽向の心に影を落としたのかもしれない。

 

 もしかすると、元々壊れる寸前だったのかもしれない。

 

 一つだけ、確実に言えることがあるとすれば、彼自身は全ての人間が健康で暮らせることを祈っていたことだ。

 

 全人類のバグスター化という手段は間違っていたが、病にかからず死ぬことのないバグスターという生命体は、まさに彼の望む永遠の健康という考え方だったのだろう。

 

「……真相は闇の中、かね」

 

 

 キリヤは衛生省から逃走に成功していた。

 

 追っ手のバグスターは途中から姿が見えなくなっていたのだ。

 

 拳藤を警察に保護させ、雄英高校に向かったがすべては終わっていた。

 

 壇 クロトの手で陽向 キョウタロウ暴走は止められ、ライダーシステムの副作用で消滅してしまっていた。

 

 

 

 すべてはキリヤの推測でしかない。

 

「――あ、いた」

 

 顔をあげると、外で拳藤が手を振って彼の事を呼んでいた。

 

 支払いを済ませ、彼女の下へ向かう。

 

「どうした、自分になんか用があるのか?」

「い、いや……渡したいものがあってさ」

 

 と、差し出されたのは紙袋だった。

 

 中をのぞいてみると、少しオシャレなサングラスが入っていた。

 

「いつもの奴じゃかっこ悪いだろ? 少しくらいオシャレなのでもいいか、って」

 

 恥ずかしそうに彼女が俯いているのを見て、少しだけ穏やかな気分になった。

 

 キリヤはずっとあっていない妹の事を思い出した。

 

 丁度、拳藤達と同じくらいの年代なのだ。

 

「……どうだ、似合うか?」

 

 早速それをかけてみる。

 

「う、うん……まぁまぁ、かな」

 

 やはり恥ずかしそうにしていた。

 

 少しだけ魔がさして、急に顔を近づけてみる。彼女は驚いたのか、ぎゅっと目を閉じてしまう。

 

 そういうこと、をするつもりは無かったので、耳元でささやく。

 

「ありがとな」

「っ!? え、ああ」

 

 何かを期待してたのか、拳藤はがっかりと肩を落としている。

 

「ははっ。あれ、ノせられちゃった?」

「ッ! からかうなよ!」

 

 どうやら怒ってしまったようで、叩かれた。

 

「――じゃ、自分はこれで」

 

 キリヤは彼女の頭に手を触れ、個性を発動させた。

 

「リプログラム:消去」

 

 彼の二つ名は“潜入ヒーロー”――普段名乗るときは“爆速ヒーロー”としている――ありとあらゆる組織に潜入し、その悪事を暴き立てる。

 

 どんなに仲の良い協力者を得ても、最後には記憶を消して一切の痕跡を抹消する。

 

 たとえ相手が自分の事を好いてくれていても、だ。

 

 

 彼女の記憶を置き換え、『二条 キリヤが編入してきてから今まで』をなかったことにした。

 

「…………?」

 

 きょとん、としている彼女に背を向けて歩き出す。

 

(……こんな嘘吐きに、引っかかるんじゃねえぞ)

 

 その姿は、瞬く間に人ごみに紛れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――

 

 

 キリヤは衛生省から入手したワクチンを手に、壇 クロトの屋敷へとやってきていた。

 

 そこに住む妹にこれを投与し、個性が生み出すウイルスを無毒化する。

 

 衛生省へ潜入した目的はこれだった。

 

 すべては妹を救うために。

 

 だがその考えは、クロトと妹のやり取りを見ていて変わった。

 

「……なんだ、えらくノリノリじゃないの」

 

 彼はワクチンの入ったガシャットを置き、静かに立ち去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――

――

 

「どうしたの、またゲームのテストプレイ?」

「ああ、その通りさァ……私の才能が、また一つ具現化した」

 

 見られていることを知らず、二人は中庭にいた

 

「これこそはマイティアクションXの続編――その名も“マイティブラザーズXX”」

 

 エミは差し出されたガシャットのラベルを見て愕然とする。

 

 これはどう見ても――自分が昔書いたファンレターの中で思い描いたゲームだったのだから。

 

「なんで……」

「昔、一通のファンレターが私に届いた。それは引き裂かれていた物をつなぎ合わせていた物だったが、十分に思いは伝わってきた。そして新たなゲームのアイデアに、私の才能は大きく刺激を受けた――ぜひともこれを考えた人物に会いたい」

 

 だから、あの時。

 

 自殺しようとしていたエミを助けることができたのは、ファンレターを誰かが出したおかげだったのだろう。

 

「まさか、こんなにも才能の溢れる君が、屋上から飛び降りるとは思ってなかったが」

「っはは……」

 

 彼女は笑ってごまかした。

 

「ゲームの内容は、言うまでもあるまい。双子の君にふさわしいゲームだ……私の設計通りなら、いや、これ以上はネタバレはすまい」

 

 言いたいことが分かる気がした。

 

 このゲームを使えば、もしかすると。

 

\マイティブラザーズXX/

 

 ゲームエリアが展開されていく。

 

 彼女はゲーマドライバーを装着し、ガシャットを装填した。

 

「……変身」

 

\ダブル・ガッシャット!!/

 

 深呼吸し、レバーを開く。

 

\ガッチャーン! ダブルアーップ!!/

 

 不思議な感覚に襲われた。

 

 まるで自分の中にもう一人、誰かがいるかのような錯覚。

 

\俺がお前で! お前が俺で! (We are!) マイティ!(マイティ!)ブラザーズ・ダブルエーックス!!!/

 

 

 エミの姿はグリーンのヒーローだった。

 

 そしてそのヒーローには相棒がいた。

 

 まるで鏡写しのような、オレンジ色のヒーローが。

 

「……ここ、は?」

 

 オレンジの方は戸惑うように自分の姿を見つめている。

 

 

「これこそ神からの恵み……私は命でさえ創造する。君はそれを許したくはないだろうが、拾いなおすことのできる命があるなら、拾うべきだと思うがね」

 

 積もる話もあるだろう、とクロトは気を利かせて屋敷へと戻っていった。

 

「全く、私の才能は恐ろしいッ! ブゥヘヘヘヘヘヘ」

 

 ……最後の一言は余計だったが。

 

 

 

 

 しばらく二人は見つめ合っていた。

 

 かける言葉が見つからないのだろう。

 

 先に口を開いたのはエミの方だった。

 

「……おかえり、エム」

「ああ、ただいま、エミ」

 

 二人には、それで十分だった。

 

 お互いに変身を解き、静かに抱き合った。

 

 

 

 ……神の高笑いが、背後で響いていたが。



























































これで終わると思った?

残念、まだ真のエンディング(アナザーエンディング)があるのです!

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