オーズの配信でテンションが佐藤太郎状態。ふと思うけど、ガメルとメズールの失われていたメダルは当初誰が持っていたのだろう?
順当に考えればハピバおじさんだけど……作中最大の謎である。
――――
――
「…………」
サキは机の前で呻っていた。
原因は赤点補習のプリントだった。彼女は運悪く数学で赤点を取ってしまった結果、ペナルティとして課題を出されてしまったのだ。
「ええ、と……まず頂点を求めるには、平方完成」
数式がすらすらと書き出されていく。
「で、ABCの面積を求める……」
シャーペンの先がそれぞれの点を行ったり来たりする。
彼女の額には冷汗が浮かんでいた。
「無理……」
無意識のうちに個性が発動し、シャーペンが割れてしまった。
助けを求めるためにスマホを取り出すも、ふと思いとどまる。
「これ、自力で出来なきゃまた……」
補習課題すらまともにできないとあってはこの先が思いやられる。仕方なく頭を捻らせることにする。
――グゥウゥ
だが腹の虫がそれを許さなかった。
「――――ああもう!」
彼女は勉強を止め、着替えを始めた。
部屋はきれいに掃除されており、クローゼットの中はきちんと整理整頓されていた。ヴィジランテ時代にまとっていたライダースーツもしっかりと残されている。
それまで着ていた服を丁寧にたたみ、ベットの上へ置く。
だが部屋の外は様子が違っていた。
廊下には脱ぎ散らかされた服が散乱し、リビングの方はコンビニ弁当の容器が積み重なっていた。全体的に埃が溜まっており、まるで彼女の部屋だけ別の家から持ってきたかのような印象を受けた。
「……行ってきます」
サキは玄関に置いてあった写真に向かって挨拶をした。
昔撮った写真で、
写真が嫌いだった、今は亡き父の映る唯一の写真だ。
彼女の父のヒーロー名は――ドラゴンナイト。
かつて巨大ヴィランと戦い、命を落としたヒーローだった。
――――
近くのバーガーショップ、そこはサキがよく利用する店だった。
「……よしっ!」
彼女は気分転換に携帯ゲームを行っていた。いつしか熱中し、注文したハンバーガーは放置されたままだった。
一段落し、それに手を伸ばすと空振りする。
「え……」
改めてお盆の上を見ると、何もない。
「おいしいガァ~」
代わりに、彼女のハンバーガーを勝手に食べている小男が一人。
「…………」
「ガァ?」
ヴィラン:バガモン
個性:バーガーメイク
ハンバーガーの具材を生成できる! そしてハンバーガーが大好物だぞ。
(犯罪歴:ハンバーガー食い逃げ、ハンバーガー窃盗etc...)
「――――ッ!! 貴様ぁッ!」
仮面をかぶっていないにもかかわらずグラファイト化したサキは怒りのままに個性を振るった。
テーブルが引き裂け、プラスティック片が飛び散る。
「ガァ!」
バガモンは尻尾を巻いて逃げ出した。
「待てッ!」
食べ物の恨みは何とやら、普段は優し気なオーラを纏っている彼女からは信じられないキレ具合だ。
相手も歴戦の食い逃げ犯、足の速さでは勝ち目が薄い。
サキが牽制に個性を発動しようとしたときだった。
\ガッチャーン! レベルアーップ!! (中略)バーガー⤴! バーガー⤵! ジュー・ジュー・バーガー!!!!/
バーガー店員のような姿をしたピンク色のゲンム――エグゼイドがバガモンの進路を阻むように立ちはだかる。
「みーつけた!」
「が、ガガァッ!」
エグゼイドは腕のケチャップ&マスタード銃を構える。
次々に発射されるバーガーの具材たちを調味料で固定し、ローラーブレードで躱しながら接近していく。
「こ、こっち来るなガァッ!」
「そうはいきませんよッと!」
\キメワザ! ジュージュー・クリティカルストライク!!/
エグゼイドの早業によって空中の具材たちが一瞬でハンバーガーにまとめ上げられる。
「――お待たせしました、お客様♪」
「ん、ガァ……ん、ンまいッ!」
\ゲーム・クリア!!/
音声が鳴った瞬間、バガモンが硬直してしまう。
「――ジュージューバーガーは、我が儘な客の要望に応えながらハンバーガーを作り上げるゲームゥ……新たに、私の才能が具ゥ現化したぁッ! ブエェハハハハハハ!」
呆然としていたサキは苦笑いを浮かべた。
まさかこんなところでクラスメイトに出会うとは、思ってもいなかった。しかもプライベートでもあんなノリとは思ってもいなかったのだから。
――――
「いただきまーす!」
クロトの同伴者、エミは大きく口を開けてチーズバーガーにかぶりつく。空腹のサキには堪える光景だったが気合で耐えた。
警察によって謎のヴィラン、バガモンは逮捕されあっという間に営業再開。その上ヴィラン出現によって野次馬などが客となり大繁盛だった。
「……しかし君がここにいるのは正直意外だったよ、竜ヶ峰 サキ。君のような人物がファストフードを嗜んでいるとはね」
「いや~……両親が共働きだから、ご飯は基本外食なんだよね」
サキは視線を逸らしながら答えた。単純に理由はほかにもあったが説明する義理は無い。
「それはそうと、君は何も注文しないのか? 見たところ、さっきのヴィランに食事を奪われたようだが」
「ええ、と……」
グゥ、と可愛らしく腹の虫が泣く。彼女は赤面しつつ質問に答える。
「もう手持ちがなくて……テーブル壊しちゃったから代わりの商品もらうのも申し訳なくて」
「ホゥ……ヌァラバ、私が神の恵みを与えてやろう」
クロトはおもむろに立ち上がり、並んでいる客を押しのけて注文をしに行った。
「あ、待って壇君! 私の事はいいから」
「お言葉に甘えなよ、お姉さん」
順番を無視したことで口論になっているクロトを止めようとするも、エミによって制止される。
「クロトは自分のゲームのファンには紳士なんだよ。前に“ドラゴナイトハンターZの大ファンがいたって”大喜びしながら帰ってきたことがあってね」
「――止せ、その先は最重要機密だ」
いつの間にやら購入を済ませていたクロトがバーガーその他諸々をお盆に乗せて運んできていた。
「あ、ずるい! 私にはポテト買ってくれなかった!」
「
断るのも申し訳ないのでサキは好意に甘えることにした。
「じゃ、じゃあ……いただきます」
食べ損ねていたお昼御飯がようやく彼女の口に運び込まれる。
いつもよりも少しだけ、ほんの少しだけ、美味しく感じた。
「お姉さん! ポテトちょうだい♪」
「うん、いいよ」
もしかしたら――
――――
――
――――???
ソウゴはふかふかのベットの上で目を覚ます。
「あれ……俺、なんでこんなとこに」
それは絵本の中に出てきそうな、
「――お目覚めですか、王様」
「え、王様……? 俺が?」
よく見ると、着ているのも高級そうなシルクの寝間着で、本当に王様になった気分であった。
「ここは現実ですよ。お食事の用意はもうできています、早くお支度を済ませてください」
ふわふわと、現実感のない夢のようだった。
でも――夢だった王様になっているのは、とても気分がいい。
「う、うん! わかった!」
(そっかぁ……俺、王様になれたんだ!)
召使に着替えを手伝ってもらう最中、ソウゴは終始にやけていた。
だが鏡に映る彼の表情は、なぜだが曇っているようにも見えた。
サキちゃんに研修医要素が追加された!
作者の“重いバックボーン与えたい病”がぐぐーんと悪化した!