神のヒーローアカデミア   作:鮫田鎮元斎

50 / 58
アナザーエンディング10

――――

――

 

 

 

 

 ゲムデウスが暴れまわる。

 

 ビルは次々と倒壊し人々は悲鳴を上げて逃げ回る。

 

「ッ!」

 

 それはかつてソウゴが夢で見た光景そのものだった。

 

 ヒーローたちが対抗するも,オールマイト級でなければ戦うことすらできない。トップヒーローたちが分散している今では到底討伐などできないだろう。

 

 

『――お前には王の資格がある』

 

 顔を思い出せない男はそう言った。

 

『王となり,この世界を救うのだ』

 

 

(でもどうやって)

 

 ソウゴが迷っていると,チキンのような頭のヴィランに襲い掛かられる。それはゲムデウスの副産物として生まれたものであった。

 

「うっ」

 

 

 思わず身構えるも,ストールによる攻撃がヴィランを蹴散らす。

 

「っあんた!」

「ご無礼をお許しください,我が魔王」

 

 例の不審者が傍に現れ,“あのベルト”を献上してきた。

 

「ですが,今の貴方にはこれが必要――使い方はもうご存知のはず」

 

 それをソウゴは恐る恐る手に取る。

 

 時計を思わせるモニターに両サイドのスロット。脳内にあの老人の戦う様子が浮かんだ。

 

「俺は……」

 

 しかし同時に,無個性だとあざ笑われた記憶も蘇る。

 

 何もできない,何にも成れない。ヒーローにも,ヴィランにも――王にも。

 

 本当にあの老人はソウゴの未来の姿なのだろうか?

 

 あれは自分の事をよく知る第三者なのではないだろうか?

 

 

 

 

 

 

「キャァッ!」

 

 

 

 彼が躊躇っていると,小さな悲鳴が聞こえてきた。

 

 見れば,鳥頭のヴィランに親子が襲われていた。そしてそれをゲムデウスが押しつぶそうとしているのだ。

 

「っやめろ……!」

 

 気が付けば体が動いていた。

 

 無個性が何をしたって変わらない。それどころか足手まといになるのがオチだ。行ったところで無駄――それでも無我夢中で走った。

 

 理屈なんて関係ない。とにかくあの親子を助けたい。

 

 

 

「ヤメロォォッ!!」

 

 

 

 ソウゴの放った声が具現化し,ゲムデウスの体を阻む。

 

 彼が手を伸ばすと,それに応えるようにヴィランの時が止まる。

 

「へ……?」

 

 ヴィランが止まった隙を突いて親子は逃げ出した。その直後に止まった時が動き出す。

 

「――多くのヒーローはデビュー前より逸話を残す!」

 

 不審者はいつも携行していた本を広げて読み上げる。

 

「この本によれば,時和 ソウゴもまた,その覇道において多くの逸話を残してきた。これらすべてには共通してこんな言葉が添えられる」

 

 

 

 

“気が付いたら体が動いていた”

 

 

 

 

「……俺にも,できるのかな。王様になって――世界を救うこと」

「それは私にはわからない。ただ君の未来を導くだけだ」

 

 ソウゴの目つきが変わる。

 

 手にしていたベルトを装着し,ポケットから時計型のアイテム――ライドウォッチを取りだす。

 

\ZI-O/

 

 それを起動しベルトのスロットに装填,ロックを外して腕を大きく回す。

 

 特に意識をしたわけではなかったが,その姿はあの老人と奇妙なまでに一致していた。

 

「変身!」

 

 ベルトが回転し,鐘の音が鳴る。

 

\RIDER-TIME/

 

 その瞬間,世界の運命が大きく動き出す。

 

\カメンライダー! ZI-O/

 

 時計を思わせるアーマー,顔には丁寧に“ライダー”の文字。

 

 

 

「祝え!!」

 

 

 不審者は高らかに宣言した。

 

 

「全ヒーローを凌駕し,時空を超え過去と未来をしろしめす時の王者! その名もジオウ,まさに生誕の瞬間である」

 

 

 

 吟遊詩人のような向上に,ソウゴは少しだけ引いていた。

 

「そういえば,君の名前を聞いていなかった」

「……私の名はウォズ,君を魔王となる未来へ導く家臣だ」

「魔王,か……なんか嫌だけど,世界を救うためならなってやるっ!」

 

 

 少年は覇道を歩み始める。

 

 それは,王となる道だ。

 

「これなら――できる気がするッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――

――

 

 

\ガッシャット! ガッチャーン……レベル・アーップ/

 

 今までのガシャットとは違い,現実世界では何も起こらなかった。

 

 その代わりに仮想世界で変身する。

 

\天地創造の力! 未来のゲーマー! マイティクリエイター――V! R! X!/

 

 VRゴーグルを装着し,コートを纏った姿。それがエグゼイドクリエーターゲーマーだった。

 

「っ」

『響香ちゃん!?』

 

 ウイルスの負荷で耳郎は膝をつく。

 

「だ,大丈夫……ちょっと驚いただけだから」

 

 スタート地点はビルの屋上だった。どこからどう見ても日本のビル街の景色で,ここが仮想現実の世界であることが信じられなかった。

 

「すご……本当に,これがゲームの世界なの?」

『噂には聞いてたけど,想像以上だね』

 

 踏みしめた地面の感触は,プレイ用マットではなく本物のコンクリートのようであった。

 

「よしっ!」

 

 エグゼイドは一気に駆け出し,空へと身を投げ出した。

 

 体中がすくみ上るような臨場感に彼女はひそかに胸を高鳴らせた。

 

 空中でガシャットを取り出して足場を描く。

 

 それに乗った瞬間,トランポリンのようにたわんで飛び上がる。

 

『た,たーのーしー!』

「って楽しんじゃだめじゃん!?」

 

 エミははしゃぎまくっているが,本来は囚われた人々を助け出すミッションが待っているのだ。

 

 当然それは一筋縄でいくものでもなく。

 

「――――そこまでだヴィラン!」

 

 全身タイツのようなヒーロースーツに身を包んだ少年が攻撃を仕掛けてくる。エグゼイドは咄嗟に空中にバツ印を描いて防御する。

 

「この世界は破壊させないわよ♪」

 

 魔法少女のようなコスチュームのヒーロー(実年齢不明)が杖から魔法を放つ。炎のようなそれを“水”と書いて相殺する。

 

「ここは俺たちの楽園だ」

 

 バッタの異形型を思わせる人物がうなだれながら姿を現す。

 

「ここでハ! 俺たち,HERO!!」

 

 侍のなりそこないのような少年が片言で叫んだ。

 

 

『もしかして――』

「みんな自分からこの世界に捕らえられた……てこと?」

 

 ガシャットを構える。想定外の事態にエグゼイドは戸惑っていた。

 

「みんな! 行くぞッ!」

 

 大きな盾を構えたリーダー格の男が号令をかける。

 

「アベ(以下自主規制)」

「いやそれ別の作品だからッ!?」

 

 

 

 救出作戦は波乱の幕開けとなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――

――

 

 

「やれやれ,この世界に俺の出る幕は無いか?」

 

 マゼンタのトイカメラを首からぶら下げた男がぼやく。

 

 彼はゲムデウスによって破壊される街並みを撮影し,オーロラのようなものを呼び出す。

 

「だがまあ,少しくらい手を貸してやるか」

 

 そこから現れたのは三人の男。

 

 忍者,クイズ番組の回答者,一昔前の青年。

 

「じゃ,あとは頼んだ」

 

 カメラの男がオーロラの向こうに消え,三人の男たちは破壊される街並みを見つめる。

 

 忍者は瓢箪を取り出し,その中身をベルトへと変える。

 

 クイズ回答者は胸元のペンダントを引っ張りベルトを呼び出す。

 

 青年がスパナを取り出すと自然とベルトが出現する。

 

「「「変身!」」」

 

 忍者はベルトの手裏剣を回転させ,回答者はクエスチョンマークのカードを装填し,青年はスパナとドライバーをベルトに装着する。

 

\ダレジャ? オレジャ! ニンジャ!! ――シノビ! 見参!/

 

\ファッション! パッション! クエスチョン!! ――クイズ!!/

 

\デカイ・ハカイ・ゴーカイ ――仮面ライダーキカイ/

 

 

 三人は各々の戦う姿へと変身を遂げる。

 

「“忍”と書いて“刃の心” 仮面ライダーシノビ,見参」

「救えよ世界,答えよ正解」

「鋼のボディに熱いハート,仮面ライダーキカイ!」

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。