神のヒーローアカデミア   作:鮫田鎮元斎

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はい、投稿をさぼっていたらゼロワンが始まって終わりそうです。
楽しみに待っていた読者の方々には申し訳なく思います。

だが私は謝ら(ry



社畜は忙しいのよ。


アナザーエンディング11

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――――X年前

 

 

 

「いってぇっ!」

 

 竹刀が脳天に直撃する。

 ヒイロは頭を押さえて蹲る。

 

「弱すぎる! そんなんじゃ強いヒーローになれないぞ!」

「だから俺はヒーローにならないって言ってるだろ!?」

 

 加賀美家は代々医者の家系である。超常が発生する前から名医を排出し続けており、彼らの両親はもちろん、祖父母、叔父叔母、親戚各所に優秀な医者として活躍する人がいる程だった。

 そんな中、ヒイロの兄龍牙――のちのヒーロードラゴンナイト――は医者になる道を選ばず、ヒーローを志していた。

 

「いや、なるんだ。お前の個性は俺よりもヒーローに向いている! だからヒーローにならなければならないッ!」

「俺の夢は“世界で一番のドクターになること”なんだッ!」

 

 二人の目指す道は異なるものの、龍牙はヒイロを巻き込んで組手を行っていたのだった。

 ……傍から見ればただの兄弟げんかである。

 

 打ちのめされるのはいつもヒイロの方であり、本気でやり返しても彼の実力は龍牙に及ばなかった。

 

 数年後、龍牙は士傑高校のヒーロー科に、ヒイロはとある進学校の普通科に進学した。

 そして前者はヒーロー免許を取得しヒーロー“ドラゴンナイト”に、後者は世界でも有数の外科医となった。

 

 ドクターヒーロー“ブレイブ”が誕生するのはまだまだ先の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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\ステージ・セレクト/

 

 小太刀と剣がぶつかり合う。

 

 両者の力が拮抗するも、僅かに忍者の方が押し勝つ。

 

「くっ……!」

 

 ヒイロが変身したブレイブはレベル2、それに対して忍者のレベルは50。

 

 技量でいくら勝っていてもスペックの差は歴然であった。

 

「やめておけ、お前は俺には勝てないさ」

「そう言われて引き下がるヒーローが――いると思うのかッ!?」

 

 忍者は仮面の裏で冷笑した。

 

「お前がヒーロー……か、変わったな」

「!? なん、だと?」

 

 ブレイブは僅かに体を強張らせる。

 

「昔からお前はずっとヒーローになることを拒み続けていた。それが今じゃヒーロー……どういう風の吹き回しだ?」

「なぜ……そのことを」

 

 動揺を見せた一瞬、その隙に小太刀が振り下ろされ、反応が遅れたせいで攻撃がブレイブの装甲を掠めた。

 ライダーゲージが一気に削れ、レッドゾーンに突入した。

 

「俺は偽物ではない。まぎれもないお前の兄、加賀美 龍牙だ」

「ッ……そんな、馬鹿な……」

 

 警告音がしきりに鳴り響く。

 それはブレイブ――ヒイロの動揺を示しているようにも感じられた。

 

「俺はあの日、確かに生死の境をさまよった。どのヒーローも俺を助けようとはしなかった」

 

\ガッシューン……/

 

 忍者はガシャットを腰のキメワザスロットに挿入した。

 

\ガッシャット! キメワザ!!/

 

「救ってくれたのはジョニー・マキシマだけだった。そして俺は――彼の思想に共鳴したのだ」

 

\HURRICANE CRITICAL STRIKE!!/

 

 両手に構えられた小太刀が高速で回転し竜巻を生み出す。竜巻はタドルクエストのガシャットを破損させ、変身を強制的に解除させた。

 

「見ろ。これが俺とお前の差だ。俺は子供のころからヒーローとして戦うことを想定して鍛錬してきた。非情な選択を強いられることは数え切れないほどあった」

「…………」

 

 そして忍者は新たにガシャットを取り出す。それは紅色で、ラベルにはタドルクエストに似た絵柄のキャラクターが描かれていた。

 

\タドル・ファンタジー/

 

 それを起動し、再びキメワザスロットに装填する。

 

\ガッシャット! キメワザ!!/

 

「さらばだ、ヒイロ――お前は進む道を間違えた」

 

\TADDL CRITICAL SLASH!!/

 

 表は炎、裏は氷の力を持つ剣、ガシャコンソードが魔王のようなキャラクターと共に召喚される。それを手にし、クロスするように二つの斬撃を繰り出す。

 爆発が起きる。

 

「……俺は、ドクターだ」

「! 何ッ?」

「俺は多くの命を救ってきた……そして救えなかった命も、数え切れないほどある……!」

 

 粉塵の奥から光があふれる。基盤の露出したタドルクエストのガシャットが光り輝いているのだ。

 

「人を救えるのはヒーローだけじゃないッ! 俺は人を救うためにドクターになったんだッ!」

 

 ガシャットが排出され、外装が変化する。

 大理石を思わせる白、グリップは黄金、しかし元が破損していたためか基盤はむき出しとなってしまっている。

 ヒイロはそのガシャットをつかみ取り、起動さた。

 

\タドル・レガシー/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 医師免許を取得し、ヒイロは数々の患者の命を救ってきた。その手腕は正に神業と言えるもので、いつしか天才外科医と呼ばれるようになっていた。

 

『初めまして、竜ヶ峰 (みちる)です』

 

 多忙な日々を送る中、兄が恋人を連れてきた。向こうはヒーローではなく警察官で、さらに結婚を前提とした付き合いらしい。

 

 物腰柔らかで、強引で頑固な兄とは正反対な人――だと感じていたのは初めのうちだけだった。

 

『差し入れ、持ってきたよ。疲れた頭には甘いものが一番だよヒイロ君』

『いえ、折角ですが俺は甘いものが苦手で』

『うるさい食え』

『むごぉっ!?』

 

 彼女はよくケーキを差し入れてくれた。しかし甘いものが苦手だと何度断っても、構わずに持ってくる。そして断ろうとすると問答無用でそれを口に押し込んでくる。

 彼女はおしとやかなゴリラだった。

 

 彼女の個性は“充填”――エネルギーを蓄えることで不眠不休でも構わず働くことができるという、社畜が欲しがりそうな性能を持っていた。

 その個性は警察の仕事に生かされ、犯人を逃がしたことは一度もないという。

 

『私だって、ヒーローになりたかった……でも、この個性じゃ難しかったんだよね』

 

 彼女の個性の成長は高校入学までで止まってしまったらしい。とある高校のヒーロー科に入学したものの、個性伸ばしの授業で成果が出ず、仮免も取ることができなかったそうだ。

 

『だから、ヒイロ君がうらやましいよ。そんなヒーロー向きの個性持ってて』

 

 彼女は度々ヒイロに愚痴を言っていた。

 

『それでいて頭がいい? 神様って不公平だよ。いっそ、医者とヒーローを両立してみてもいいんじゃない?』

 

 ドクターでヒーロー、悪くないかもしれない。少しだけそう思ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「――昔からヒーローが嫌いだった」

 

 ヒイロは変化したガシャットをゲーマドライバーに装填した。

 

\ガッシャット!/

 

「ヒーローは事件解決しかできない。傷ついた人を治せないし、時に自分が傷つくことさえある」

「仕方のないことだ。その身と引き換えに平和を維持できるのならばな」

「ならばそのヒーローは誰が守る!? 自分の命さえ守れない人間に、他人の命など救えはしないッ!」

 

\ガッチャーン!!/

 

 破損したガシャットでは本来変身できない。しかし、ヒイロの個性は奇跡を起こす。

 

「変身っ!」

 

\レベルアップ! 辿る歴史! 目覚める騎士! タドールレガシー!!!!/

 

 レベル2の姿から純白の鎧をまとった姿へ。

 素体となるスーツは錆びているかのように赤茶けていた。

 

「っ成程、お前の個性は衰えていないということか」

 

 忍者――風魔はクナイを構えなおす。

 

「たとえお前が俺の兄であったとしても、この社会を蝕む腫瘍(ガン)ならば――切除するのみだ」

「できるのか? お前に」

 

 ブレイブはガシャットをキメワザスロットに装填、必殺技を発動する。

 

\キメワザ!!/

 

「俺に――切れないものは、ないッ!」

 

\タドル・クリティカルストライク!!!!/

 

 ブレイブは翼を纏い、浮遊する。

 そして強力なキックを繰り出す。

 

 風魔はそれを両腕を交差させることで受け止める。

 

 まばゆい光が周囲を包む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――

 

 

 

 

 

 

 巨大(ヴィラン)ゲムデウス事件。

 メディアは命がけで人々を救ったヒーローを称賛……しなかった。

 

 話題となったのは一日二日のみ、それ以降は大きな話題となることもなかった。

 それどころかネットではオールマイトと比較し、無能なヒーロー扱いする風潮も生まれてしまっていた。

 

 夫を失った悲しみといわれのない誹謗中傷を受け満は心を壊し、幼かったサキの面倒はヒイロが見ざるを得ない状況となっった。

 サキは死んだ父の影を追うようにヒーローを目指した。

 未熟な体で無茶な鍛錬をし、個性を鍛えようとして毎日けがをしていた。

 

 

 ――(ヴィラン)がいる限り、ヒーローはいなくならない。

 ――敵によって奪われる命は、力ない一般市民だけとは限らない。

 

 ヒーローが死んだところで大きく取り上げる人間は少ない。なぜなら、ヒーローとは常に死と隣り合わせの仕事だからだ。

 

 ならば――誰がヒーローの命を守る?

 

 人の命を救うためにヒーローになるのならば、ヒーローの命を守ってもいいはずだ。

 

『――いっそ、医者とヒーローを両立してみてもいいんじゃない?』

 

 彼は決意した。

 人の命を守るヒーローになろうと。

 

 敵によって奪われる命が一つでも少なくなるように、この個性を使おう。医者としての腕をささげよう。

 

 それが――"ドクターヒーロー"ブレイブの原点(オリジン)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 風魔のライフがゼロになる。

 自動的に変身が解除された。

 

 

「……俺に切れないものはない、か。人の“決め台詞”を勝手に使いやがって」

 

 加賀美 龍牙の個性は"切断"

 物体に切断エネルギーを纏わせ、ありとあらゆるものを引き裂く。

 

「違う、俺が手術(オペ)をする自分を鼓舞するために言っていた言葉だ」

 

 次第に龍牙の体が粒子状に分解されていく。

 同時に、映像が乱れるようにその体にノイズが走る。

 

「な、に?」

「やはり、偽物だったか」

「どういう、意味だ?」

 

 ヒイロは変身を解く。

 二人のいる空間が、元の病院の廊下となる。

 

「お前の体は何らかの個性で再現されたものだった、ということだ。たとえその記憶が本物だとしても、な」

「なぜそんなことが分かるッ!?」

「……あんたを検死した医者が、俺だからだ」

 

 確認をしたのが自分であれば、間違えようがないだろう。

 

「……そうか、お前は――ドクターでもあったな――」

 

\ゲーム・オーバー……/

 

 ゲームオーバーと共にその体が消滅する。ゲーマドライバーと紅色のガシャットが床に落ちる。

 

 ガシャットのラベルに書かれているのは“タドルファンタジー”

 魔王が勇者を倒し、世界を征服するゲーム。

 

 彼はそれを白衣のポケットにしまうと、手術室へと急ぐのだった。

 

 

 






ゼロワン、終盤に向けてかなりしんどい展開ですね。
お仕事五番勝負がいらなかったと言われていますが、この展開に必要だった気はしますね。クソ長い気もしますが。

圧縮される前のストーリーが見たい……


……え、続き?
…………大丈夫、あと少しで完結できますって!
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