神のヒーローアカデミア   作:鮫田鎮元斎

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遂に完結です!
長い間お付き合いいただきありがとうございました!
















アナザーエンディング18 『それぞれのエンディング(後編)』

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 第二次ゲムデウス事件。

 

 この事件を境に日本のヴィラン犯罪は沈静化の一途をたどっていた。

 

 勢力を拡大しつつあった敵連合、その思想に共鳴したヴィランたちは雄英高校の林間合宿を襲撃。その際にゲムデウス事件の首謀者、ジョニー・マキシマによってVR世界に捕らわれ昏睡状態に。

 

 救助に駆け付けたヒーロー、警察はこれ幸いにとヴィランたちを捕縛したのである。

 

 さらに、同時期にゲンムコーポレーションから発売されたカメンライダークロニクル。これによって引き起こされた事件――通称『神野の悪夢』。

 

 No.1ヒーロー、オールマイトと敵連合の首謀者であるオール・フォー・ワンの激突。地球外生命体エボルトとi・アイランド出身のヒーロービルドとの決戦。

 

 神野に住んでいた住人にとっては悪夢としか言いようのない事件であったが、日本国民にとっては新たな時代を予感させる事件であった。

 

 事件をきっかけにオールマイトは引退し後進の育成に専念することを表明、そしてオールマイトにも負けない強さを誇ったヒーロー、ビルドの登場。

 

 ――平和の象徴はオールマイトだけではない。

 

 その事実が人々に勇気を与え、悪に諦念を与えることなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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 事件から五年の月日が経過していた。

 

 カメンライダークロニクルは巨悪の逮捕に貢献する結果になったとはいえ、少なくない犠牲者を出してしまっていた。

 

 その結果、ゲンムコーポレーションの社長だったクロトの父――マサムネは辞任、刑務所で服役することとなった。

 

 人の命を奪うゲームを発売してしまった上に敏腕社長のマサムネを失ったゲンムコーポレーションは一時、倒産の危機に陥っていた。

 

 そんな中、高校生ながら二代目社長に就任したクロトは、新たなゲームを発売することで窮地を乗り切ることとなる。

 

 

 

『――次のニュースです。ゲンムコーポレーションから発売されたゲーム、“ヒーローズ・クロニクル”が今、世界中で大ブームを巻き起こしています――』

 

 ニュース映像に映るのはゲンムコーポレーションの新ゲーム“ヒーローズ・クロニクル”。

 

 プレーヤーがヒーローとなって()()()()を救うゲーム。

 

 最大の特徴は――カセットごとにプレイできるシナリオが違うということ。

 

 既に一千万本近くのカセットが販売されているが、同じシナリオをプレイしたという報告はいまだに出ておらず、そのバリエーションの豊富さに世界中のゲーマーは魅了された。

 

 さらに、シナリオごとのボリュームもさることながら、ゲームオーバーとなれば二度とそのシナリオがプレイできない――コンティニュー不可の仕様もまた、ゲーマーたちの心を掴んだ。

 

 ヒーローズ・クロニクルはその販売本数に対してクリア報告が極端に少なく、さらに豊富なサブシナリオを全て踏破出来たものは世界中でも片手で数えられるほどしかいなかった。

 

 その奥深さと難易度からのめり込む人が続出、プレイしたいがために会社を辞めるという者も続出し社会問題となっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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 ゲンムコーポレーションの収録スタジオ。

 

 そこでは日々、新作ゲーム用の音楽が作成されていた。

 

「――ああ、もうっ!」

 

 雄叫びと共に企画書が放り投げられる。

 

 耳郎は次から次へとやってくる作曲依頼に頭を抱えていた。

 

「ウチ、本業はヒーローなんだけど!」

 

 雄英高校ヒーロー科、A組。彼らは一年の前半こそトラブルに見舞われたものの、それ以降は平和な青春を送り、全員が無事ヒーロー免許を取得し卒業した。

 

 同級生の大半はヒーロー事務所のサイドキックとして雇われることとなり、中にはいきなりヒーロー事務所を構えた爆豪(つわもの)もいた。

 

『――耳郎 響香。わが社で君の才能を生かさないか?』

 

 どのヒーローのサイドキックになるか、迷っている彼女に差し出しだされた悪魔の誘い。

 

『あー……音楽の仕事かぁ……』

 

 差し出されたのは契約書。

 

 ゲンムコーポレーションの専属アーティストとしてのスカウトだった。

 

『嬉しいっちゃ嬉しいけど……』

『悩む必要はない。我がゲンムコーポレーションも、来年度からヒーロー事業を始めることとなる』

 

 クロトの口から語られたのはゲンムコーポレーション参加のヒーロー事務所立ち上げ計画だった。

 

 社長であるクロト自身がヒーロー免許を取得したため、彼自身が所属するためのヒーロー事務所を立ち上げる。

 

 ヒーローとしての所属はゲンム直属の事務所、アーティストとしては本社の所属とする。

 

『つまり、君はヒーローとして活動しながら、ミュージシャンとしての活動もできる。悪くない話だろう?』

 

 普段のクロト節は鳴りを潜め、穏やかな口調で説明される。

 

 のちに耳郎は語る――『普段の調子じゃないってことは、何か企んでる。そのくらい気づくべきだったよね』と。

 

『はぁ……そこまで言うなら』

 

 

 現実は甘くなかった。

 

 デビュー当初こそ、ヒーローとしての活動がメインで音楽の仕事は副業だった。

 

『――次のPVについてなんだが――』

 

『――新作ゲームのサウンドが――』

 

『――この“ボーズ・オブ・テラ”、企画段階でわかる駄作だが……私としては手を抜きたくない、いいサウンドを頼むよ』

 

 次から次へと舞い込む作曲の依頼、演奏の依頼。

 

 気が付けばヒーロー活動はおまけで、ミュージシャンとしての活動が主となってしまっていた。

 

「――おつかれ! 差し入れとか、いろいろ持ってきたよ!」

 

 悶える耳郎の下へエミがやってくる。

 

 元々ウマが合っていたのか、二人はゲムデウス事件後も交流が続き、今では中の良い友人同士となっていた。

 

 彼女は兄のエムと共にゲンム所属のプロゲーマーとして活躍しており、天才兄妹ゲーマーとして一躍有名になっていた。

 

「……ありがと」

 

 耳郎は力なく返事をし、背もたれへ身を投げ出した。

 

「……こんなはずじゃ、なかったんだけどな」

 

 行き詰ってるときほど愚痴が出るもので、耳郎は愚痴りながら差し入れのドリンクを手に取る。

 

「あはは……しょうがないんじゃない? だってほら――」

 

 エミはスマホの画面を見せる。

 

 再生されているのは――五年前、1-A組の文化祭動画だった。

 

「響香が歌ってるこの動画、もう1億再生行きそうだし」

「……マジで?」

 

 そこでは、かつての自分が全力で歌っている姿が映っていた。

 

 懐かしさと共に、過去の自分の胸に宿っていた熱がよみがえってくる。

 

「ヒーローズ・クロニクルもさ、よくシナリオが褒められるけど、メインテーマも結構人気だよ? サントラだって結構売れてるしさ」

 

 今度はヒーローズ・クロニクルの主題歌を作っているときの、苦い思い出がよみがえる。

 

 完成した譜面にダメ出しをしまくるクロト。彼曰く――『ダメダダメダダメダッ!! この程度では――私のッ! ッ集大成である“ヒーローズ・クロニクル”の魅力を半分も引き出せていなァいッ! キョウカァ! 君の才能はこんなものだは無いハズだァッ!(原文のまま)』

 

 三日三晩かけ、完成したメインテーマは――今や世界中で聞かない者はいないほどの有名楽曲となっていた。

 

「これ、少ないけど響香へのファンレター。“音楽で人を助けるヒーロー”ってのも、私は悪くないと思うけど」

 

 エミから手紙を受け取る耳郎。

 

 ――個性のことで悩んでいたけど勇気をもらえた、聞いたら元気がでてきて立ち直れた……そこには様々は感謝の言葉がつづられていた。

 

「“音楽で人を助ける”、か」

 

 彼女は自然と笑みを浮かべていた。

 

 投げ捨てた企画書を拾うと、再び読むのを再開する。

 

「ま、ヒーローが飽和してる時代だし、そういう方向性もアリか」

 

 ヒアヒーロー――イヤホン=ジャック。

 

 その名がヒーローとしても有名になるのは、もう少し先の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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――

 

 

「――ああ、今回も頼むよ」

 

 ヒーロー飽和社会。

 

 極端に減ったヴィラン犯罪に対し、ヒーローの数はまさに飽和している状態だった。

 

 近年では日本国内での活動を諦め、犯罪率の高い海外へ活躍の場を広げるヒーローが少なくなかった。

 

 しかし、そんな中卑劣な方法で活躍しているヒーローがいた。

 

 ヒーロー名:フェイカー。

 

 彼はヴィランと手を組み、犯罪を自作自演し活動しているヒーローだった。

 

「……これで、当面の活躍は間違いなし。今期のビルボードチャートもいいところまでいけるぞ♪」

 

 彼のように自作自演で活躍しているふりをするヒーローはじわじわと増えてきており、ヒーロー連盟も頭を悩ませていた。

 

「おーい、帳簿をまとめておいてくれよっ」

 

 フェイカーは鼻歌交じりに事務所へ戻り、サイドキックに呼びかけ、自分は高級そうなソファに腰かけスマホを眺める。

 

「……?」

 

 しかし、いつまでたっても返事がないことに疑問を覚えたフェイカーは作業スペースの方を見る。

 

「なっ! お前、ゲンムか?」

「……初めまして、かな?」

 

 普段、サイドキックが仕事をしているはずのそこにはクロトが一人座っていた。

 

 腰には既にゲーマドライバーを装着しており、後はガシャットを装填するだけで変身できる状態だ。

 

「お前っ! いくら同業だからってアポなし訪問するやつがあるかっ! 俺のサイドキックはどうした!?」

「彼なら既に、“ゲンムヒーロー事務所”に転職済みさァ……随分と心を痛めていたよ、君の悪行に、ね」

「!」

 

 フェイカーはその言葉を聞くや否や個性を発動、戦闘態勢になる。

 

 

 ヒーロー『フェイカー』

 

 個性:悪意

 

 自身の悪意を力に変える! 悪い奴にもってこいな個性だ!

 

 

 

「学生時代じゃ注目株だったみたいだが、お前に世間の厳しさって奴を教えてやるよ」

「ほぅ……並々ならぬ力を感じるな」

 

 フェイカーの力に臆することなく、クロトは仁王立ちとなってガシャットを構える。

 

 二本分の厚さで、“幻夢無双”のロゴが刻まれていた。

 

「当然だ! 俺は悪意を力に変える――その気になれば、かつてのオールマイトに勝るとも劣らない個性を持っている!」

「それは好都合――新ゲームのテストプレイにもってこいだ」

 

 彼の創作(クリエイション)に終わりが訪れることは無い。

 

 そこにゲームを楽しみにしている人がいる限り、彼のゲーム製作は終わることは無い。

 

 そしてゲームのファンを傷つける不届きものがいる限り、彼のヒーローとしての戦いが終わることは無いのだ。

 

「この私の自信作だ。存分に楽しんでくれたまえ……」

 

 クロトはガシャットのロゴを回転させガシャットを起動した。

 

 

\幻夢無双/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――神のヒーローアカデミア・完――――



















これにて『神のヒーローアカデミア』完結です! 本当は他のキャラの顛末も書こうと思いましたが、だらだら書いててもダレるので割愛しました。
長い間お付き合いいただき(半分近く放置してましたが・・・)ありがとうございました!
また機会がありましたらお会いしましょう!
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