神のヒーローアカデミア   作:鮫田鎮元斎

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エボルトの外道感を感じ取ってもらえたら幸いです。


二人の天才6

――――

――

 

(どこだ、ここ……)

 

 赤茶けた砂漠が辺りに広がっている。

 

 空はぼんやりと赤く、それを黒雲がくまなく覆っている。

 

 地平線の先にはバベルの塔を思わせる建造物が建っていた。

 

 緑谷は自分の体に違和感を覚え、両手を見てみる。

 

 もやがかかったように何もなかった。それどころか全身が殆どない状態。

 

 

 

\ブラックホール!! ブラックホール!! ……レボリューション!!!!/

 

 

 

 突如として周りの風景が闇に飲まれていく。人々が穴に吸い込まれる。

 

「ファッハハハハハ!」

 

 それは禍々しい怪物だった。

 

 白と黒の対比で構成された鎧を身にまとっており、腰には特徴的なベルトがあった。

 

 

「――もうこれ以上、私の民を傷つけるなッ!」

 

 怪物に向かって果敢に立ち向かう女性がいた。

 

 顔は見えなかった。凛とした後姿からは、オールマイトに似た雰囲気を感じ取った。

 

「何言ってるんだ。これはお前らが望んだことだろう? 誰よりも力が欲しい、もっと優れた存在になりたい! その望みがこの状況を招いたのさ!」

 

\レディー・ゴー!!/

 

「ありがとよ、お前らのおかげで俺はもっと強くなれる」

 

 緑谷は助けようとした。だが体が存在しないせいで動くことができない。

 

\ブラックホール・フィニッシュ!!!! チャオ♪/

 

 一瞬で闇に飲まれる。竜巻のようなものが発生し、女性の体も一瞬で消滅してしまう。

 

「これ以上貴様の好きにさせぬ!」

 

 闇に緑色の光が浮かび上がる。

 

 突如として振るわれた剣が怪物のベルトを破壊する。

 

「ぅ!?」

「我が星と共に滅びよ――エボルト!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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――

 

「――んん……?」

 

 目が覚めると、見慣れぬ天井が。

 

「よかった、目が覚めたのね」

 

 メリッサの声が聞こえた。

 

 起き上がると、研究室のような所で眠っていたことに気付く。

 

「大丈夫? どこか痛いところはない?」

「あ、はい……変な夢を見たくらいで」

 

 

 突如として何かの出来上がる音が聞こえる。

 

 

 

 

「――――ヒャッ(⤴)ホホイ!!」

 

 

 

 

 

 奥の方からとんでもない奇声が響いてきた。

 

「うわっ!?」

「気にしないで――いつもの事だから」

 

 案内されるままに中へ入っていくと、巨大な機械の前で歓喜しているセントの姿があった。

 

「デクくん、最初に会った時の怪物覚えてる?」

「オールマイトの攻撃が効かなかったあの……」

「そ、あれはスマッシュと言ってパンドラボックスから発生するガスの影響で生み出されるの」

 

 ウキウキしているセントが装置からボトルを出した途端、急にテンションが下がった。

 

「なんだ、ハズレかよ」

「私たちはそのガスを回収して浄化する。このボトルみたいにね」

 

 彼女が取り出したのはドラゴンのボトルだった。

 

「じゃ、じゃあパンドラボックスって」

「――危険かもしれないな」

「わっ!」

 

 素の状態に戻っていたセントのギャップに緑谷は驚いて飛び上がった。

 

「危険だけど、上手く扱えば平和のための力になる。科学の善悪を決めるのは、あくまで周囲の思惑だ」

「……でも、昔は科学は戦争の道具として使われたって」

「ああ、悲しいことにそれは事実だ。かつて科学は争いの道具だった」

 

 彼はスーツの裾を正しながら言った。

 

「だとしても――人々が“ラブ&ピース”の心を忘れなければ、きっと大丈夫だ」

「ラブ……愛と平和」

「天才の言葉だ、ありがたく胸に刻んでおきな」

 

 

『――誰よりも力が欲しい、もっと優れた存在になりたい! その望みがこの状況を招いたのさ!』

 

 

 夢で怪物が叫んでいた言葉が脳裏で鳴り響く。

 

「良いことしか言わなければ完璧なイケメンなのに」

 

 メリッサがぼそりと呟く。

 

「じゃ、パーティで会おう」

「スルー!?」

「おいおい、時間に遅れそうになってるのにふざけたりするかよバカ」

「え――わっあと30分!?」

 

 緑谷が気絶している間にそれだけの時間が経ってしまっていたようだ。

 

「じゃ、またあおう! See you!」

 

(あれ、結局腕輪はずれてないし……)

 

 緑谷の胸に得も言われぬ不安感が生まれるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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――

 

 

「――ム、体調は大丈夫なのか?」

「うん、ごめん心配かけちゃって」

 

 スマホを見たところみんなで集合してから行くことになっていたようで、緑谷も飯田たちと合流したのだ。

 

 まだ来ていないのはクロトと爆豪だけだった。

 

 彼らより先に、ドレスに着替えた女性陣も遅れながらやってくる。

 

「オフッ!?」

 

 峰田が突如として鼻血を噴き出した。

 

 それだけでなく野郎どもは軒並み顔を真っ赤にした。あの轟でさえ顔を背けていた。

 

「……似合わない?」

 

 恥ずかしがっているのはサキだった。

 

 ひざ丈の真っ赤なオフショルダーのドレス。髪はドラゴンのような髪飾りで纏めてあった。

 

 普段と違うのは、その豊満な胸を一切隠さず、むしろ強調しているところだろう。

 

「い、いや……そうじゃなくて」

「――ごめんおまた、せ……?」

 

 別行動だったメリッサがやってきて固まった。

 

「……サキちゃん、だよね?」

「? うん」

 

 質問の意図が分からずサキは困惑していた。

 

「昼間はそんなに胸無かったわよね? もしかしてそういう個性?」

「ち、違いますっ!」

 

 彼女の胸が普段はちんまりとした大きさまで縮んでいるのは確かに驚くべきことだろう(本編第七話参照)

 

「まーそう思う気持ちはわかる」

「サキ姉のスタイルは不思議なくらい変わるんよね……」

 

 耳郎、麗日はいつもの事なので納得するようにうなずいていた。八百万は真っ赤になる野郎どもを白い目で見ていた。

 

「みなさん……私たちは雄英高校の代表ですのよ? もう少し、こう品格というものを」

 

 このフリーズ状態はクロトがやってくるまで続くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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――

 

 

 

 パーティが始まった瞬間だった。

 

 オールマイトがゲストとして登壇し、乾杯の音頭をとろうとしたところで会場の照明が落ちる。

 

「ン――!?」

 

 参加していたヒーローはヴィランの出現を警戒するも、警備システムの不調で捕らえられてしまう。

 

『紳士淑女の諸君! ご機嫌うるわしゅう!』

 

 ガーディアンを従え入ってきたのはブラッドスターク。ライフルモードのスチームガンで照明器具を破壊し、参加者の悲鳴を嬉しそうに聞きながらステージに上る。

 

『たった今、この瞬間からI・アイランドは俺たちが占拠した』

 

 スタークは蹲るオールマイトに銃口を向けて腰を下ろす。

 

『人質はお前らだ。無駄な抵抗はおすすめしないぜ?』

「――そう言って大人しくすると思ったか?」

 

\マックス・ハザードオン/

 

 セントはガーディアンを蹴散らしながらベルトを装着しハザードトリガーを起動する。

 

『誰かと思えば、随分立派になったじゃないか――セントくん」

 

 最後は変声を解除して情に訴えかける。

 

「そっちから出向いてくれるのはありがたいよ――スターク!!」

 

 小細工など彼には通用しない。黒く細長いボトルを振り、半分に折る。

 

\ラビット!/

 

 ベルトに挿入しレバーを回転させる。

 

\ラビット&ラビット――ビルドアーップ!! ガタガタゴトゴットンズッタンズッタン――Are you ready?/

 

「変身」

 

 二つの鉄板にプレスされセントの体が変化する。そして彼が指を鳴らすとウサギのアーマーが装着されていく。

 

\オーバーフロー! 紅のスピーディジャンパー! ラビット・ラビット! ヤッベーイ――ハエーイ!/

 

『随分威勢がいいがな――人質がいることを』

「悪いけど俺の一番嫌いな人でね!」

『んぐっ!?』

 

 ハエーイと言われた通り、ビルドは高速のパンチでスタークをモニターにめり込ませる。

 

『くっ――普通は躊躇うとこだろうよ!』

 

 スタークは二匹の大蛇を召喚しビルドを襲わせる。

 

「フルボトルバスター」

 

 対するビルドは巨大な剣を召喚しそれを迎え撃つ。

 

 同時にガーディアンも次々と始末していく。

 

『やるなぁ!』

 

 次の号令で黒いスマッシュが出現する。

 

 かなりの強敵なようで、さすがのビルドも苦戦している。単純にパワー負けしているのだ。

 

 彼は攻撃を躱しながらボトルを引き抜き、もう一度伸ばす――同時にそれを投げ上げスマッシュとのつばぜり合いを挑む。

 

 ボトルは宙を舞いながらシェイクされ、モードが切り替わる。

 

\タンク!/

 

 押し負けると見せかけてボトルをキャッチし、折ってベルトに装填。

 

\タンク&タンク/

 

「ビルドアップ」

 

 無数の青い戦車がやってきてスマッシュを迎撃する。

 

\鋼鉄のブルーウォーリアー! タンク・タンク! ヤッベーイ――ツエーイ!!/

 

 強烈なパンチがスマッシュに命中する。

 

 先程まで劣勢だったのが一気に逆転する。

 

『ほう……使い分けか、大したもんだが――これならどうかな!?』

 

\フルボトル! スチームアタック!!/

 

 狙われたのは、恐怖で蹲っている女性だった。

 

「!」

 

 ビルドは戦闘を中断し、女性を庇う。

 

「へ……?」

『当然、お前ならそうするよなぁ』

 

 ダメージを負いすぎて変身が解除されてしまう。

 

 崩れ落ちるセントをスタークはネコ掴みする。

 

『さて、人質のヒーロー諸君。これの様になりたくなかったら大人しくしてな』

「くそっ……!」

『じゃ、案内してもらおうか――最上階の保管室にな』

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