セ「科学者たちの住む人工島、I・アイランドがヴィランたちによって占拠された。天才物理学者であり、プロヒーローの葛城 セントは果敢に立ち向かうも、ブラッドスタークの卑劣な作戦により敗北を喫してしまう」
メ「あれ、意外に普通なあらすじね」
セ「原作だって戦争編はシリアスモードだったろ? こっちもちゃんとシリアスにいかなきゃ苦情が来るんだよ」
メ「いや原作ってどういう意味よ?」
セ「おっと、ここから先はお子ちゃまのメリッサにはまだ早かったな」
メ「ちょっと子ども扱いしないでよ! 精神年齢5才のくせに!」
セ「はいはい」
メ「ぅ……なんかムカつく対応」
セ「シリアスモードだからお前と漫才する余裕はないの――水面下で動くヒーローの卵たちは次々と困難に遭遇する! 果たして彼らはこの試練を乗り越えられるのか!? さあど」
メ「どうなるチャプター3!?」
セ「……やっぱそういうとこガキだよな」
――――
――
爆音が響き渡る。
エンジンブロスは紙一重で攻撃を躱してブレードを振るう。
切っ先が僅かに腹を掠め、爆豪は大きく距離を取る。
すかさずリモコンブロスがそれを追撃しようとするも、轟の氷結で妨害される。
「目障りですね!」
「そりゃこっちのセリフだ」
二人のブロスの連携は下を巻く程優れていた。まるで歯車がかみ合っているかのような流れる動きだ。
たった一つのブレードを共有して使うため次の攻撃が全く読めない。
「っ!」
加えて個性の反動がじわじわと体を蝕んでいく。
爆豪の方もきっと同じはずだ。
せめてコスチュームだったら五分の戦いができたかもしれない。
「私たちは幼いころから戦う訓練を受けてきた。あなた方とは年季が違う!!」
轟は顔のやけど跡が疼くのを感じる。
幼いころから訓練を受けてきた――それは自分にも言えることだ。もう立ち上がれなくなるくらいの辛い特訓を受けさせられてきたのだ。
「奇遇だな――」
炎が巻き上がる。
轟が左側の個性を発動し、火炎放射を放った。
「個性二つ持ちだとッ!?」
アーマーに不調が出たのか、リモコンブロスの動きがおかしくなる。
「英才教育は俺もだッ!」
氷結による温度の低下に加え、炎による急激な加熱で大爆発が起きた。
「ぐっ――!?」
エンジンブロスはそれをもろに喰らい変身を解かれてしまう。
「これで二対一だ」
「調子に乗るなクソガキッ! 兄貴――」
ただで転ぶつもりは無く、白のボトルをリモコンブロスにパスする。
\ギア・エンジン――ファンキーマッチ!!/
それを銃に装填し、引き金を引いた。
\フィーバー!!!!/
青と白の歯車がぶつかり合い、アーマーが進化する。二人のブロスが合体したヘルブロスへと進化する。
\Perfect!!/
「言ったでしょう。年季が違うって」
「丁度いい――俺も温まってきたとこだ!」
すかさず爆豪が攻撃を仕掛けるも、防御力が格段に上がっているせいか有効にならない。
「クソッ! 見た目の変化は伊達じゃねえってか」
「……これは私たち兄弟の切り札――もし負けるようなことがあれば、私たちは“処分”されてしまうでしょうね」
処分。
その言葉が暗示していることを、爆豪も轟も推察してしまう。
「負けたら殺される、ってことか……?」
「だとしたら、大人しくしてくれませんか」
いつもは「死ね」だの「殺す」だの言っている爆豪も、実際に相手が死ぬとあっては怖気づいてしまう。
「うん、良い子で助かりますよ」
\ファンキーフィニッシュ!!!!/
ヘルブロスの必殺技は、突如としてカウンターを受けて失敗する。
「――ナニ手ェ休めてんだ、コラ」
ボロボロのグリスはその拳から血を流しつつ立つ。
擦り切れたシャツを脱ぎ捨てると、引き締まった肉体があらわになる。
「おいそんなことしたら」
「知らねぇよンなこと」
グリスはベルトを装着し、ギラついた笑みを浮かべる。
「第一、ヴィランの言ってることが本当とは限らねえだろ」
その言葉にヘルブロスが動揺する。
「ホラな、図星だ」
\ロボットゼリー!/
彼は挑発するように指を向け、こちらへ曲げる。
「変身」
\(中略)ロボット・イン・グリス!! ブラァッ!!/
「やっぱ慣れねえもん使うもんじゃねえな……こっちの方がしっくりくる」
黄金のアーマーを身にまとい、グリスは仮面の下で笑みを浮かべる。
「心火を燃やして、ぶっ潰す!」
“ノースヒーロー”グリス(本名:沢渡 カズミ)
個性:
興奮すると異常なアドレナリンを放出。戦えば戦うほど強くなるしハイになっていくぞ! ヤッちゃえバーサーカー!
――――
――
「――――くっエンストか!」
飯田の技、レシプロバーストは高火力を出せる反面、エンストして行動不能になるという欠点が存在していた。
「ぁっ……!」
サキの個性、裂撃もまた、使えば使うほどダメージがある。
「ヤオモモ、弾を!」
「っ……」
八百万も疲労が蓄積され弾を創造できなくなる。
「おいらの頭皮がァ……」
「うぇーい……」
峰田、上鳴のコンビも個性の限界が来ていた。
「……(駆動音)」
ガーディアン達に包囲される。もう抵抗する余地は無かった。
「――真打登場ってな!!」
\マザルアップ!!/
突如として変身音が聞こえた。
\赤の拳(強さ!) 青いパズル(連鎖!) 赤と青の交差! パーフェクトノックア――ウト!!!!/
「パラドクス・レベル
「え、何で?」
「話は後だ!」
\ガシャコン・パラブレイガン!! ――回復!/
助っ人に現れたパラドクスは自身の武器に回復効果を付与し、疲労した面々に向けて照射する。
「超協力プレーで、クリアするぜ!」
――――
――
「せやぁっ!!」
轟音が響き渡る。
マッドローグは地面に叩きつけられて痙攣する。
「――フェーズ4」
すぐさま起き上がり、クロトや麗日に標的を変更する。が、超高速の動きはいとも簡単に見切られてエグゼイドに捕獲される。
強烈なアッパーが入り、ローグの体が浮かび上がる。攻撃の当たり判定が調整されて多段ヒットとなった。
「ハイパームテキは、ありとあらゆる攻撃が効かない主人公最強の無双ゲームゥ! その力をもってすれば、この世のヴィランなどすべてがザコキャラ同然なのさァ!」
「壇くん何もしてへんのに威張りすぎてへん?」
ドヤ顔で解説したクロトに麗日がツッコんだ。
そう言っている間にも、エグゼイドは次々と攻撃を命中させマッドローグを追い詰めていく。
「フィニッシュは必殺技で決まりよ!」
\キメワザ!!/
エグゼイドの全身にエネルギーが再装填される。
\HYPER CRITICAL SPARKING!!!!/
それは一瞬だった。
ライダーキックが命中した瞬間、外れたように見えたものの、数秒遅れて攻撃が無限にヒットし、大爆発起きた。
「――スベテハ、ナンバジュウコウノ、タメニ」
変身が解除されたマッドローグは、およそ人間とは思えない音をあげて倒れ伏す。ベルトは粉々に砕け、ボトルが転がった。
「なに、もしかして人間じゃなかったの?」
その体から煙が上がり、時折火花が散る。
「――このロゴは……南場重工か」
「? なんなんそれ?」
「世界を股にかける軍需会社だ。主に兵器開発を中心に事業を展開している」
立場上会社に詳しいクロトは険しい顔をしていた。
「南場重工は立場上ヴィランに兵器を売ることは無い……何より最新兵器など国家予算レベルの資金力が必要だ――と、なると考えられることはただ一つ」
アンドロイド(?)の首筋にはU-23のナンバー、恐らくは製品番号なのだろう。
「急ぐぞ麗日 お茶子。ヴィランのバックには南場重工が付いている」
――――
――
「――あのベルト、自分で作ったのか?」
『うん? もちろんそうだ。この頭には並の科学者をはるかに凌ぐ知能が入っていてな。あの程度なら材料さえあればすぐ作れたさ』
セントは少しでも時間を稼ごうと話を振った。
『が、駄目だ! 俺のベルトの10%程度の性能しか発揮できないんでな。やはり本物が欲しいんだよ――分かったら早くしろ』
が、その目論見はすぐに見破られ銃口を頭に押し付けられる。
(くそっ……せめてボトルがあれば)
一本でもフルボトルを持っていれば、奪われたベルトを取り返してこの状況を打破できる。
が、一つ残さず奪われてしまっているのだ。
『しかし、お前も天才を自負するだけはあるなァ……父親が成しえなかったことをこうもたやすくやってのけた』
挑発するようにビルドドライバーを見せつける。
『“会長”も随分関心があったようだぜ……これさえあれば戦争に革命が起きるってな』
「戦争に使わせるつもりはない」
『お前なら、そうだろうな。だがこうして現物が作られてしまった以上、そうはいかない。この貴重な一本を国は喉から手が出る程欲しがる』
フルボトルは全部で30セットある。単純計算で30本のドライバーを作成すれば30人の“ビルド”が誕生する。
「違う! 俺はそんなことの為に“プロジェクト・ビルド”を進めたんじゃない!」
「いいや違わないさ。これは“無個性”のお前が戦うための“兵器”だ」
デヴィットの声で言われてセントの体が凍り付く。
『天才ならわかるだろう? ビルドドライバーを具現化することの危険性が。プロジェクト・ビルドが明るみに出ることの重大さが。いい加減認めちまえよ! お前は
「黙れッッ!!」
セントの悲痛な叫びが響き渡る。
『ククク……ありがたいぜぇ。一時はどうなるかと思ったが、これで心置きなく地球を滅ぼせる。この地球人に取り付いて正解だったな』
「――どういう、こと?」
愉悦に浸っていたスタークの耳に、懐かしい声が聞こえた。
『おお! 誰かと思えば、我が愛しの娘よ!』
窮地を切り抜けてきたのか、メリッサの体はボロボロだった。
「取り付いたって、まさか、パパは」
――――Piiii!
ロックの解除された音が響く。
『おお! 待ちかねたぞ』
壁に並んだロッカーが一つ開き、スタークは触手を使って中身を取り出した。
『冥土の土産に教えてやろう。俺はデヴィット・シールドではない。本当の名は』
「地球外生命体、エボルト!」
護衛のガーディアンを破壊し終えた緑谷が叫ぶ。
『どこのだれかと思えば、火星の死にぞこないか……まぁいい』
スターク――改めエボルトは変身を解除し、挑発的に笑って見せた。
『もう一度“ショー”を見せてやるよ』
そしてケースを開き、お目当てのブツを取り出そうとして、気付く。
中身は一枚の紙きれだったのだ。
『――“悪いけど地球は破壊させない”だと……一体どういうことだッ!』
もはや必要のなくなったケースを乱暴に投げ捨て、エボルトは感情をあらわにした。
『俺のベルトをどこへ隠しやがった! 葛城 タクミィッ!』
~どうでもいい解説のコーナー~
・U-23
南場重工製のアンドロイドの機体名。七三分けの髪型にシャープな眼鏡(伊達)をかけた姿が特徴。スーツだったりどこかの制服だったりコートを着ていたりと差異はあるものの、基本スペックはすべて同じ。超頑丈な会長の杖を膝蹴りで折れるくらいのパワーを兼ね備えている。動きがぎこちなかったり滑舌が悪いのはご愛敬。
名前の由来は