神のヒーローアカデミア   作:鮫田鎮元斎

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何で本編を更新しないのかって?

こっちがクライマックスだからだ!


二人の天才9

――――

――

 

 

 これは、まだデヴィット・シールドがエボルトに支配されていなかったときの話。

 

「――発掘品の調査依頼だって?」

「ああ、父さんが言うには火星から持ち帰られた物らしい」

 

 友人のタクミが大真面目に言うのでデヴィットは思わず吹き出しそうになった。

 

「いや、笑い事じゃないさ。事実、超常黎明期は宇宙開発が盛んだったからね」

「だとしてもそれが今頃になって発掘はおかしくないか?」

「異能解放軍のせいらしい。記録が確かならな」

 

 真剣な友の瞳に、いつしか彼も本当なのではないかという思いが生まれた。

 

「もしそれが本物だとしたら、科学が大きく進歩しそうだな」

「ああ、よろしく頼むよ。デイブ」

 

 

 

 彼の娘、メリッサが無個性だと診断されたのはその次の日の事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――

 

 

 

「これがパンドラボックスか……!」

 

 タクミの父シノブが発見した“パンドラボックス”

 

 白い手袋をはめたデヴィットはそれに手を触れる。

 

「見たところ地球の素材と何も変わらないが……まがい物なんじゃないか」

 

 だがどこを探しても楔や釘などのパーツは見つからず、どのようにして箱の形状を保っているのか不明だった。

 

「僅かだかガスを放出してる。デイブが来る前に採取は済ませてあるんだが……凄いぞ」

 

 と、タクミは実験動画を見せる。

 

 ガラスケースにガスを注入すると、中のラットに異変が起きた。

 

 突然痙攣し、消滅する個体。凶暴性をあらわにする個体。体を変化させる個体。

 

 仮説など鼻で笑うような結果が現れた。

 

「な――っ」

 

 デヴィットは思わずボックスを落としそうになった。

 

 これのガスが生物に異変をもたらしている。その事実に悪寒が走る。

 

 幸いにもガスマスクをしていたためすぐに危険とはならないが。

 

「これをもし……人体に投与したら」

「ああ、等身大の――怪物、異形型の個性に似た力を発現させるだろうな」

 

 個性。

 

 それは先天的に得るものだ。どんな手を使おうとも後天的に個性を与えることなどできない。

 

「――ブ? デイブどうかしたのか?」

「い、いや……原理が少し気になってな」

 

 もしこれの研究を進めたら、メリッサにも個性を与えることができるのではないか。

 

 そんなことは、とても言えそうになかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 研究を続けること一カ月。

 

 デヴィットの体に異変が現れる。

 

『やっちまえよ、人体実験』

 

 気が付くと、見知らぬ場所にいることが増えた。明らかに自分の個性以上にできないことをやってのけることが多々あった。

 

 そして頭に声が響く、幻聴が聞こえるようになった。

 

「駄目だ……そんなことをしたら」

『いいじゃねえか、メリッサの為だろ?』

 

 何の個性も持っていない。子供たちの世代ではかなり珍しく、ほとんどないと言ってもいい。

 

 学校から帰ってくるといつも笑顔だが、内心では悩みを抱えているに違いない。

 

『お前の研究は無個性で悩む人の救いになるはずだ! 初めは非難を受けるかもしれないが、きっと科学の発展に貢献するとも』

 

 頭の声は甘い言葉で心を惑わせてくる。

 

『それに、お前の親友は研究を進めているぞ』

 

 決め手となったのは、その言葉だったのかもしれない。

 

 パンドラボックスから放出されるガス――ネビュラガスと名付けられたそれを、人体に投与した。

 

 正確にはガスを摂取してしまうように仕向けた。機器の不調を理由とした事故に見せかけたのだ。

 

 

 その日から次第にデヴィットの心は蝕まれていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――

 

 

 

 唐突だが、俺――エボルトの話をしようか。

 

 俺は星狩り族と呼ばれる生命体、お前らの言う地球外生命体ってやつだ。

 

 数多の惑星を滅ぼし、そのエネルギーを吸収する。滅亡させた数は、言うならステータスみたいなもんさ。より強大な文明を滅ぼせばそれだけ箔が付くのさ。

 

 なに? 外道だって? よく言われるぜ。

 

 いろんな惑星の、いろんな言語でそう罵られたッけか。

 

 ま、俺にいわせりゃお前らも同じ穴の貉だ。同じ星に住む生き物を喰らって、彼らの生活なんかお構いなしに争い、環境を壊す。一人な分俺の方がマシじゃねえか?

 

 ともかく、俺は火星を滅ぼすことに成功したが、手痛い反撃を喰らっちまったんだ。

 

 仕方がないから復活の方策をあれこれ考えていたら、よその星の奴がご都合よくやってきてくれた。

 

 俺は一族の中でも頭の回転が速い方だからすぐにピンと来たぜ。これは大チャンスだってな。

 

 で、その生物に憑依したら面白いことが分かった。

 

 

 そいつの故郷――地球ってのは争いのオンパレード! 何もしなくとも勝手に滅びていきそうだったんだ。

 

 計画が出来上がるのはすぐだった。もっとも愉快で醜く、屈辱的に滅ぼす、それが今回俺が立てた目標だ。意外と大事だぜ、こういう細かな設定はな。

 

 ――が、すぐに台無しになっちまった。

 

 

 なぜかって? 例の光る赤子だよ。超常ってのが起きてニンゲンは急に進化をはじめちまった。

 

 俺が憑依したイスルギってやつも検査の標的になった。

 

 ここでバレたらすべてがおじゃんだ。すぐさま俺はボックスに避難した。

 

 

 

 

 

 

 

 どれだけ待ったか。結構長かったが、埋められちまったパンドラボックスを掘り返してくれた奴がいた。危うく俺の意識が消滅する寸前だった。

 

 後は――お前らの考えている通りさ。

 

 デヴィット・シールドに憑依し、力の復活を求めた。

 

 計画は大幅に修正せざるを得なかったが、おおむね順調だ。

 

 後はベルトを取り戻すだけでよかったんだがな――!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――

――

 

 

 

『――俺のベルトをどこへ隠しやがった! 葛城 タクミィッ!』

 

 エボルトの叫びが響く。

 

 彼の問いに答えることのできる人物は、心を完全に折られて機能していない。

 

『クソッ! また計画が狂いやがった――どこまで俺をコケにしたら気が済む……地球人!』

 

 感情のないはずのエボルトも、はらわたが煮えくり返る思いだった。

 

「――パパを返せッ!」

 

\Wake up burning! Get Cross-Z Dragon!! yeah!!/

 

 変身したメリッサは生身のエボルトに殴りかかる。

 

 が、それはすぐに見切られて止められる。

 

『チッ……まあいい。この島を破壊すれば見つかるはずだ』

 

 そして反撃に赤い炎を照射した。

 

「っ!?」

「メリッサさん! ――ワン・フォー・オール・フルカウル!!」

 

 緑谷がすぐさま動き、炙られていたクローズを救出する。

 

『下らねえ策を見せてくれた礼をしてやる……お代は要らねえぜ』

 

 エボルトが取り出したのは二本目の赤いドライバー。

 

 自分自身で模倣した劣化品だ。

 

『ま、手前らなんざ10%でも十分滅ぼせるさ』

 

\コブラ! ライダーシステム!――エボリューション!!/

 

 ベルトを装着し二本のボトルを装填する。

 

 ビルドドライバーの様にレバーを回転させると、これまたビルド達と同じようにアーマーが形成される。

 

\アーユーレディ?/

 

『変身』

 

\コブラ! コブラ! エボルコブラ!! ファッハッハッハ!!!!/

 

 コブラと天球儀を組み合わせたようなアーマーの姿となる。

 

 これこそがエボルトの本来の姿。

 

「なんで、私たちと同じアイテムを」

『逆だよ』

 

 お返しと言わんばかりにエボルトの拳がクローズのみぞおちに命中する。

 

「かは……っ!?」

『お前らが俺の真似をしたんだよ』

 

 その一撃は強力で、クローズを即座に変身解除に追い込む。

 

 緑谷も個性で対抗しようとするも、超スピードを発揮するエボルトについて行くのが精いっぱいであった。

 

「スマァァァッシュ!!」

 

 裏を読んだその拳も、いとも簡単に躱されてしまう。

 

『やっぱり本領発揮とは行かねえなぁ……』

「ぐっ!?」

 

 片手間にあしらわれ、緑谷は無様に地面を転がっていく。

 

『さて、手始めにこの塔をぶっ壊すか』

「――まだよッ!」

 

 メリッサは這いつくばりながらコンピューターまで行き、自分のヒーローライセンスをカードリーダーに通した。

 

 すると全ての電源が落ち、再起動した。

 

「私たちのライセンスには、緊急時に、I・アイランドの警備システムを再起動させる機能が付いてる……!」

『だからなんだ?』

「ゥッ!?」

 

 エボルトの触手が彼女の体を貫く。

 

 毒素が注入され、彼女は苦しみだす。

 

『お前のハザードレベルは4.2……随分上げたみてえだが、こうしてしまえば何の問題もない』

「わたしじゃ、ないわ」

 

 階下から破砕音が聞こえてくる。

 

 それもどんどん近づいて来ているのだ。

 

『あん?』

「世界で、一番強いヒーローが、助けに来てくれる」

 

 

 床が吹き飛んだ。

 

 

 

「――もう安心してくれッ! なぜかって?」

 

 煙と共に巨体が姿を見せる。

 

 

 

「 私 が 来 た ッ! 」

 

 

 

 

 

 平和の象徴が立ち上がる。

 

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