砂漠の悪魔《パチモン》 作:ロールプレイヤー
科学が進歩し、誰もが気軽に宇宙旅行に行ける時代。
人々は争う事を辞めず、想像を絶する超兵器が幾つも生み出され、自身の肉体さえも科学の力によって手を加えた。
次々に生み出される兵器とコミックスヒーローさながらの超人的な力を振るう兵士達。
戦争は激化し、地上は汚染物質が蔓延した。
人類は地上を捨て、地下に潜った。
疲弊した人類は数百年の間は平和に過ごして居た。
しかし、人間は学習しない生き物の様で、すぐに地上での悲劇を忘れて地下で争った。
人類は着々と数を減らし、絶滅まで後一歩となった現在。
日本の関東地方の地下都市で生き残った上層部の人々はとある計画を実行に移した。
一か八かで生存している自分を含めた人々をコールドスリープさせ、地球環境が回復した遥か未来の地上で人類が生きていく為の計画である。
計画が着々と進む中でさらに戦争は激化する。
そして、争いにより炎上した事を機会に関東にある西の地下都市は、大きく離れた関東の地下施設で計画を実行に移す事になった。
地下施設では居場所を失った4千人規模の人間がコールドスリープを行う為に卵の様なカプセルに寝かされていた。
「では、皆さん。
二万年後にまたお会いしましょう」
計画の最高責任者の言葉によって、ゆっくりと起動するカプセル。
眠る期間は約二万年……成功するかも怪しい計画に誰もが不安を抱く。
中にはこのカプセルが自分の死に場所と思い聖書や、十字架を胸に抱いている人も居る。
恐らく、ほとんどの人はこのカプセルが自分の棺桶と思っているのだろう。
恐怖と不安に揺れる中、人々はカプセルの中からゆったりと鳴り始めた音楽に夢の世界へと誘われる。
四千人の人々が眠りに落ちた事をカプセルが確認すると、その蓋をゆっくりと閉めた。
だが………。
五十年、二百年と順調に時間が過ぎた頃に小さな悲劇は起こった。
なんと、一台のカプセルが誤作動を起こしたのだ。
―――――――――――――――
俺の名前は
自然回復した地上を開拓し、人類繁栄の為に計画に参加させられた男だ。
地下都市の運営に関わる役員の息子というだけの理由で棺桶にしか見えないカプセルに寝かされる事になり、上手く行けば地球の環境が回復した二万年後に俺は目を覚ますはずだった。
しかし…これはどういう事だ?
目覚めて数時間は経過しようとしているのに、俺以外の周りカプセルは未だに閉じっぱなしだ。
開く気配がまるでない。
「正常に動いているよな……」
隣のカプセルに取り付けられた電源ボタンを見ても起動中のランプが点滅している。
コールドスリープを行う前の講習で責任者の説明があったから正常に稼働している事は間違いない
対して、俺のカプセルの電源ボタンは赤いランプが点滅しており、エラーを知らせている。
どうやら周りが以上が発生したのではなく自分だけに異常が発生したようだ。
俺は地上に上がった後の生活をサポートする為に備え付けられたタブレットを取り出し、カプセルが誤作動した際の緊急マニュアルを表示させ指示に従った。
マニュアルの指示に従い、コードをカプセルに繋げる。
これによってカプセルが正常化すれば、俺は他の人々と同じように再び眠りに着くことが出来る。
だが……無情にもビー、ビーとエラー音がタブレットから鳴り響く。
その後、何度もマニュアルに従って様々な行動をしたが、カプセルは一向に正常化する事はなかった。
俺は絶望し、頭の中が真っ白になった。
…………。
カプセルに死んだように横たわる俺だったが、強い空腹感に襲われた。
強い空腹感に我慢できなくなった俺は体をゆっくりと起こして、開拓の為の物資や食料のある倉庫へと向かう。
倉庫は、カプセルのある部屋の奥にあって入り口の横にある認証システムが承認する事で扉が開く。
俺はタブレットのコードを呼び出し、認証システムにかざした。
ピピッと電子音がなると扉のロックが解除され、重い扉はゆっくりと開いた。
「…扉は正常なんだな」
重い溜息を吐きながら、倉庫の中へと進む。
倉庫の中には開拓用の重機や簡易トイレや風呂。
それぞれの生活をサポートさせるための沢山のロボットに敵勢力との戦闘に備えた武器。
コールドスリープしている人間の中に軍人も居るようでカスタマイズする為のパーツや設備も完備されている。
そして、人間同様に生きたまま保存されている動植物達。
俺達の為に保存された食料は一番奥にあった。
野菜に肉と言った食材から、菓子や栄養剤などのエネルギー補給用の食べ物まで食料保存機によってしっかりと保存されている。
俺はカロリーを摂取できるクッキーブロックを食料保存機のモニターにあるメニューから選択して取り出し、包装された袋を破ってかじりついた。
…………。
カロリークッキーを摂取した事で幾分か落ち着いた俺はタブレット端末を使用して何時に目覚めたのかを調べる為、日時のアプリをタップした。
表示された年月日と自分が眠った日を計算し、今が何年後かを調べたあまりの結果に愕然とした。
「二百年…」
たったの二百年。
二万年という長い時間を眠るはずであったのに自分はたったの二百年で目を覚ましたのか?
ふざけるなよ。
なんで、俺だけがこんな目に合わなくてはならないんだ!!
俺に孤独死をしろってか!?
冗談じゃない!!
どうせならやりたい事をやりまくって、死んでやる!!
その為に、まずは力が必要だ!!
力がなくては何もできない。
俺は寂しい孤独死を回避する為に生活サポート用の人型ロボットを起動させる。
起動スイッチを乱暴に押した事によって、ロボットが稼働する。
『生活サポート用ロボット《M26》です。
料理・炊事・洗濯から医療・建築まで幅広く貴方をサポートさせて頂きます』
「今すぐ俺に軍用のナノマシンを投与してくれ」
『了解しました。
では私に付いてきてください』
俺のオーダーに従い、ロボットが倉庫の横にある扉を開ける
その扉の上には《医療》と書かれたプレートが取り付けられており、文字通り医療関係の道具や薬品が一式保存されているのだ。
M26は最新の機体なのだろう。
奴は軽やかな動きで扉を開け、無数にある機材を選び取り付けられたタブレットやキーボードを素早く打ち込んでいき投与する際の規約が表示されたタブレットを俺に見せる。
『軍用のナノマシンを投与される際の規約です。
了承する際は《はい》にタップをお願いします。
承諾された瞬間、貴方は戦闘が開始された場合に指揮官の命令に従って出撃していただく義務が発生します。
出撃の際には拒否権がありませんので慎重にお考えください』
忠告するロボットを無視して俺は迷うことなく《はい》をタップする。
その指揮官様は後、一万と九千年以上も眠っているのだ。
出撃義務はもう、俺には関係ない。
つまり俺は誰の命令にも従う事もなく、軍用ナノマシンによって伸ばされる寿命と強化される超人的な身体能力を行使する事が出来るのだ。
『ではナノマシンによる軍用の生態強化を行う為、横になってください』
投与する為の機械の側方面から診察台の様な物が現れたので、ロボットの指示に従って横になる。
『それでは、軍用の生態強化を開始しする為に麻酔を投与します』
ロボットが取り出した小型の注射器によって痛みを感じる事なく麻酔を投与された俺はすぐに意識を闇に落とした。