レンは比較的冷静になっていた。
石の殻に籠った彼は、自分の命が安全になった事を理解した。そして、この石の殻が自分の能力である、と理解した。
ー死ぬのは恐ろしい。しかし、今までの人生では一生触れる事の無かったであろう大量殺戮が目の前にある。つまり必要なのはこの世界に可能な限り早く順応する事。
そこから自分の能力の調査を始めた。時折聞こえてくる爆音と振動で鈴が死んだ事も分かった。
ここで分かったのは、[直接触った石や金属を移動、浮遊、変形されられる]という事であった。ただこの内[金属]は、レールを少し曲げられる程度だったため、戦闘に役に立たないと判断した。
外の状況を確認するため、石の殻の隙間を広げる。
鈴が、いた
鈴を取り囲んでいる鳥達が黒い塊の様な物を吐き出す。鈴が避ける。しかし背後に飛んで来ていた攻撃を何発か食らう。鈴の体が飛ぶ。鳥達が飛び立つ。鈴に向かって行く。
ー全ての石で鈴を囲め!
声にならない叫び声とともに飛び出す。地面に手をついて、石を増やす。石で自分を囲いながら鈴のもとへ走った。
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立て続けに衝突音が響く。しかし予期していた衝撃は無く、代わりに誰かが近寄って来たのが分かった。
「おい!生きてるのか?」
声ですぐにレンだと気付く。体を仰向けにする。黒い物で私とレンが囲まれていく。
ー騒々しいな。随分元気じゃないか。
背中が痛い。足も手の関節も肩も痛い。どこで無くしたか大切な肥後の守も無くなっている。
「ふざけてる場合か!状況を理解しろ!」
声が震えている。
「そもそもお前は何で生きている?どうやってこの状況で生き残った?」
ー落ち着きたまへ少年。今必要なのはあいつらと戦う手段ではないかね?
体を起こす。折角拾った命だ。ここから必ず生還してやる。
ーさて、レンのその能力の詳細を教えて貰おうか。
何か言われる前に畳み掛ける。と、ずいと詰め寄られる。
「お前は馬鹿か?あんな爆発力を持つ相手に勝ち目があると?」
ーいや、あのバカ烏爆発は使って無い気がするけど
レンが一瞬黙る。
「じゃああの爆音は?電車を切ったのは?」
ーえっと。爆音は多分私。あと電車は車両的に最後尾の方にいる黒い親玉の仕業だと思う。そいつを周囲一帯ごと爆破できれば勝てると思う。
深いため息が聞こえる。
「分かったよ。俺の能力は、触った石を操作する、みたいな感じ。これもそれで作ってるっぽい。」
私達を囲んでる物を指差す。
「但し条件。チャンスは一回ね。何故か知らないけどこの中にいれば攻撃がそもそも来ないから。一回やってみて無理だったらここに籠って救出を待つ。」
救出なんて来ないだろうに。純心だね。
ーはいはい。レン様の仰せの通りに。
レンがため息をつく。