雷撃が私自身の体の周りの見えない障壁に当たって殆んどの威力は消える。こいつらは許さん。体に力を入れる。
「ちょっ、今のは単純にカウンターが発動しちゃっただけでしょ。」
「もういい、逃げるぞ。」
ハンドガンが刀の腕の紐を撃ち抜いて切る。と同時に四角いブロックを地面に落とす。
長方形の黒い霧が現れ、奴等が飛び込んでいく。霧は奴等が消えると同時に消えた。
ー逃がした。
「いや鈴お前人間殺すつもりだったのかよ。」
ー殺しはしないさ。ボッコボコにする程度さね。
辺りを見回す。車の音も人の声も聞こえる。遠くで爆発音もする。しかし、なんとも言えない静けさが辺りを包み込んでいた。
ーさて、こいつらだけど、
電車を指差す。血塗れの烏と人間が散乱している。あと一歩で自分もそちら側に行っていたのだの思い、鳥肌が立つ。
ーそのままにしておくのは何と無く後味が悪いんだけど、何か出来ないかね。
「何もしない方がいいんじゃない?誰も自分の見るに耐えない肢体なんて見て欲しくはないだろ?」
ーそんなものかな。
体の傷の回復をする。スピードは遅いが、着実に回復出来ている。
「結局あいつは何だったんだ?」
黒い影を指差す。
ーうーん。恐らくは空間魔法の窓?的なヤツ。んでこう透明な枠があってさ。多分こいつらの通り道。触らぬが吉だよ。
リュックを見つけ、拾い上げる。色々と汚れたシャツを脱ぎ、代わりにリュックに入れていたパーカーを羽織る。
ーレンスマホ使えるでしょ?ここの写真とってトウィットゥァーとやらに挙げて。
「トイッターはやってないよ。拡散しろってこと?」
ー伝わったから良かとやね。
冷たい視線を感じるが無視する。
ーここの住所的な奴とか敵の特徴とかも宜しく。
レンが持っていた刀を貰う。振るっても何も起こらない。
「持ってくの?」
ーいや、こんな重い武器は使ったこと無いからいいや。
近くの地面に刺す。まぁ墓標の代わりに位なるだろ。それにどうせあいつらが取りに来るだろうしな。
ーさて、
手に力を込める。人がギリギリ一人通れる程度の黒い円が現れる。
ー私は自分の命を賭けてでも守りたい人の所に行きたいと思ってる。
レンの目を見る。
ーどうする?私について、ちゃんと繋がってるかすら分からないワームホールに飛び込んで地獄を見るか、
ガラス張りの街並みを指差す。
ーここで独り来るか分からない助けを待つか。
レンがリュックを持ち上げる。
ーどっちにする?
おもむろにチャックを開くと、ひっくり返して中の教科書類を放り出した。
「お前と違って俺には自分の命を賭ける様な相手がいないもんでね。」
リュックに十数個の石を入れていく。
「どうせ長くない命だ。お前が主人公の物語に賭けてみようじゃないか。」
随分肝が据わってるな。私としては好都合ではあるのだが。
ー引き返せないよ?
レンが頷く
鈴の方へ向かう
二人が黒い円の中に消えた