がっこうぐらし!+(再編集中)   作:すぴてぁ

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第11話 ただいま

 

あれからしばらくだった頃、くるみとりーさん、しおりはゆきと少女を車へ運んだ。

りーさんは救急箱を取り出し2人の手当をする。

くるみとしおりは、ショッピングモールから持ってきた食料や衣類などを車の後ろにあるトランクへ運ぶ。

 

りーさんに手当された2人は後部座席で眠っている。

 

「そっちはどう?」

 

「…噛み傷はないみたい」

 

「そっか、よかった」

 

「そのうち目を覚ますと思うわ……」

 

くるみが荷物を運び終わり、りーさんに2人の状態を確認する。

2人に噛み傷はなく、軽い擦り傷で済んだようだ。

 

「こんなんもあったぜ」

 

くるみがじゃらっと出したのはおもちゃの手錠だった。

 

「ほんと何でもあるわね。じゃ、念のためね」

 

りーさんはそう言ってくるみから手錠を受け取り2人の片手に付け車の椅子にある骨組みにもう片方を付けた。

 

 

 

 

 

 

「くるみ…ほんとに大丈夫?」

 

「心配すんなって。大丈夫大丈夫」

 

車がショッピングモールから出発して数分、しおりはくるみに心配そうに声をかけた。

今現在車を運転しているのはりーさん、そして助手席にくるみが座っている。

そしてそのくるみの膝の上にしおりが座っている状態であった。

 

「やっぱり…私後ろに…」

 

「ダメよしおりさん。2人に噛み傷がなくても、もしもの事があるでしょう。」

 

しおりが後ろへ行こうと提案するが、それを止めるりーさん。

りーさんの言っていることは一理ある。

なので何も言い返せないしおり

 

「2対1だから、このまま学校まで戻るぞー」

 

「…うん」

 

結局反対票の方が上回り、この状態で帰ることになった。

 

するとくるみはしおりに1冊の手帳の様なものを手渡した。

 

「これ…」

 

「こいつのポケットに入ってた。代わりに読んでくれないか?」

 

「でも…いいのかな?」

 

「緊急時だし、しゃーねーだろ」

 

「…うん」

 

しおりはそう言い、生徒手帳をパラッとめくった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-あの日、授業が早めに終わって。でも空があんまり青くてきれいだったから、まっすぐ帰るのがもったいなくなってちょっとだけ寄り道をした-

 

少女…直樹美紀は、友人の祠堂圭と共にショッピングモールへ向かった。

しかし、

 

「……今の」

 

「な、何?」

 

圭が異変に気付いた。

 

「窓のほうだ!」

 

美紀は圭を連れて、窓から外の方を見る。

その先にあったのは普通だったら絶対にありえない光景だった。

 

「なにこれ……」

 

圭はそれを見てぞわっと寒気がした。

美紀はそんな圭の手を掴み走り出した。

 

2人は避難経路を探すが人混みができ、迷ってしまった。

 

「どっちだろ……」

 

「う、上!」

 

美紀はエレベーターを指さしそちらへ向かう。

上へ上がるボタンを何度か押し続け、美紀と圭のいる階へ到達する。

 

エレベーターの扉が開き、先程まで焦っていた表情が一気に和らいだ。

しかし、そのエレベーターの中血でべっとり赤く染まっており床には何人もの人が息絶えていた。

 

するとその中にいた一体が『奴ら』に変化し圭の右足をガシッと掴んだ。

 

「あ……」

 

美紀が困惑している中、圭は視点を足元に移した。

そして『奴ら』が足を掴んでいることに気付き、

 

「きゃぁぁぁぁぁぁ」

 

「圭!」

 

恐怖のあまり叫びだし、無理やり足から『奴ら』の腕を外す。

 

 

美紀と圭はエレベーターから離れようと走り出した。

周りを見ると、『奴ら』に囲まれグチュグチュと異様な音を出しながら暴れる人がいた。

しかし2人は気にしている暇もなくその場を後にした。

 

 

あれからさらに離れ、2人は衣類の置いてある店に入っていた。

 

「わっ」

 

「停電!?」

 

すると急に辺り一面が真っ暗になった。

 

「痛っ」

 

美紀は足元が見えずコンセントに足を引っ掛けてしまった。

 

「大丈夫?」

 

「うん」

 

圭が心配そうに聞き、答えるが美紀は明らかに疲れ切っていた。

圭はそんな美紀を見て何かないかと辺りを見回した。

すぐ目の前にあったのは試着室だった。

 

「こっち!」

 

圭は美紀を連れて試着室の中に入り、誰も居ないことを確認してカーテンを閉めた。

 

2人は体を縮こませながら身を寄せあった。

すると、外から呻き声のような声が聞こえそっとカーテンを開け、隙間から覗く。

 

「ひ」

 

その視線の先にいたのは、『奴ら』に囲まれガリガリと骨を食らう音のようなものを出しながら助けを求める女性の姿があった。

 

そしてしばらく経たないうちに女性は事切れてしまった。

すると、みるみる肌の色が青く変色しまるで『奴ら』のようになってしまった女性がギギギと普通の人だと絶対に出さない音を出しながら起き上がった。

 

その姿を見た2人は一気に顔が青ざめてしまった。

 

-何が起きたのか本当に理解できたのはもう少し先だった。

ただ何か、取り返しのつかないことが始まったことだけはわかった-

 

 

 

 

あれからどれくらいの時間がたっただろうか、何者かがこちらに向かってくる足音が聞こえた。

それに気付いた美紀は足元にあったハンガーを手に取り構える。

 

「おい、誰かいるのか?」

 

男性の声が聞こえた。

それを聞いた美紀はそっとカーテンを開ける。

目の前にいたのは、懐中電灯を持った男性だった。

 

 

 

 

 

「ほらほら、疲れたでしょ座って座って」

 

男性は美紀と圭をある場所へ連れていった。

そこには、若者から老人…男女が数名いた

 

「よかったなぁほんとによかった」

 

1人の老婆が軽く会釈をしながら言った。

 

「今日の捜索はここまでにします」

 

リーダー格の男性が全員に聞こえる声で言った。

 

「あの……すいません。私たちまだよくわからないんですけど、何がどうしたんですか?」

 

美紀がリーダー格の男性に問いかけるが、男性は頭をボリボリ掻きながら何も答えなかった。

 

「誰か知ってる人は?」

 

辺りの人にそう聞くが、誰も知っている人はいなかった。

 

「バチがあたったんだよ。みんないい気になって…地獄があふれたんだよぉ……」

 

老婆が十字架を握りしめながら言った。

 

「まぁこんな具合だよ。悪いけどあとで身体検査させてくれるかな。あれは噛まれると感染るんだ」

 

「感染る……」

 

「とりあえずは安心していいよ。あいつらは階段が苦手だ」

 

「他の人は…」

 

「これで全部だ。たいていのやつは停電で下に降りたからな」

 

「そうですか……」

 

 

 

それからその日の夜が来た。

下から取ってきた寝具を部屋に人数分敷き、その日は眠ることになった。

 

「おやすみ」

 

「うん、おやすみ」

 

 

-テレビで見たような避難生活。布団だけやたら高級なのが奇妙だった-

 

美紀は眠りにおちるが、ふと目を瞑ると先程見たあの光景を思い出し、眠れずにいた。

 

 

-避難できたのは十一人。みんなで協力して住みやすくしていった-

 

 

あの日から数日、最初は食料と布団しかなかった部屋がどんどん華やいでいった。

 

ベッドやタンス、新しい食料などもどんどん仕入れて行った。

さらに、それぞれの個室を作れるくらいの広さも確保出来るようになった。

 

そして圭や他のみんなにも笑顔が生まれるようになった。

 

-仕事は男女分業。男性は下の階への遠征、女性は家事を担当した-

 

 

 

 

 

「おーい。戻ったぞ」

 

男性陣が遠征から帰ってきた。

リーダーを先頭に、後ろから衣服や食料を入れたダンボールを運ぶ男性達。

 

「これはおまけだ」

 

と言いリーダーが手に取ったのは1本のワイン。

その後ろにもビールなどのダンボールがいくつもあった。

 

 

-リーダーはいつもおまけを持って帰る。役には立たないけど楽しい何か-

 

「今夜はパーティーだ!」

 

リーダーのおまけに喜ぶ大人達。

盛り上がっているうちにパーティーが企画された。

 

全員で着々とパーティーの支度を進める。

 

 

「それじゃ…」

 

「カンパーイ」

 

リーダーの掛け声に合わせみんなでグラスを手に取りパーティーを始める。

 

「お前らも飲む?」

 

もう既に酔っている男性が2人にワインを差し出す。

 

「わ、私は……」

 

「ワイン苦手だから」

 

美紀が困っている中圭はキッパリと断った。

 

「あれ、リーダー手どうしたの?」

 

酔っている女性が隣に座るリーダーの手に絆創膏が貼られているのを気にした。

 

「さっき、カナヅチでな」

 

リーダーはそう言うと絆創膏を貼られた左手をサッと隠した。

 

「あーんかわいそう」

 

女性はそう言うとリーダーにべたべたと抱きついた。

それを見た圭はムッと睨みつけている。

 

「もうほんと気になるよね。美紀ちゃんもそうおもうでしょ?」

 

男性はそう言って美紀の肩に手をのせる。

 

「そ、そうですね…」

 

「はいはーい美紀ちゃんちょっと」

 

「あ、ちょっとすいません」

 

圭は美紀から男性を引き剥がしずるずると引きずりながらその部屋を後にした。

 

「酔っぱらいって初めて?」

 

「うん」

 

「まともに相手しちゃだめだよ」

 

「わかった。ありがと」

 

 

 

 

 

それから数時間後、パーティーは終了して酔っている大人達はその場で睡眠し、美紀と圭は自室で就寝した。

 

すると泡を吹いて倒れているリーダーの左手がどんどん青く変色していった。

 

 

異変に気付いた美紀は目を覚まし圭を起こす。

 

「圭、圭起きて」

 

「ん、なに?」

 

圭は目を擦りながら目を覚ます。

 

「きゃああああ」

 

するとパーティーが行われていた部屋から悲鳴が聞こえた。

 

「待ってどこ行くの」

 

圭はパーティーの行われていた部屋へ走り出した。

しかしパーティーが行われていた部屋は既に火の手が周り、近くにいた人達の姿はなかった。

 

「圭……」

 

「…燃えてる」

 

圭はその光景を目の当たりにして涙を流した。

美紀は息を飲み、

 

「こっち!」

 

圭を連れて、先日作った避難所へ入った。

美紀は小型の懐中電灯を着け誰もいないことを確認した。

しかし、ドアの向こうからドアを叩く『奴ら』の音が聞こえた。

 

「圭手伝って」

 

「うん」

 

2人は部屋にあるものを使い、『奴ら』の進行を防いだ。

 

-こうして私たちは生き残った。あの日から圭は笑わない。

 

「生きていればそれでいいの?」

 

今日、圭が出ていった。私は止められなかった-

 

 

 

全てを読み終えたしおりは生徒手帳をパタンと閉じる。

 

「なんか書いてあったか?」

 

「ううん…何も」

 

「そっか」

 

しおりはくるみの問いかけに目を逸らしながら答えた。

するとしおりは後ろを向き寝息を立てているゆきと美紀をみる。

 

「わたしたち…結構、運良かったんだね」

 

「そりゃそうだろ…見ろ学校だ」

 

「…ただいま」

 

「おかえり」

 

 

 

 

 

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