[感染対策は初期の封じ込めが重要であるが、それに失敗し、感染が爆発的に増加した、いわゆるパンデミック状態が引き起こされた場合______]
「何、これ」
美紀はじっとマニュアルを読む。
その内容に美紀は目を見開く
[対応できる資源、人員ともに限定_____]
[_____厳密な選別と隔離を基本方針とすること。]
淡々とマニュアルを読み進める美紀。
「どういうこと……」
「みーくん!」
すると美紀の肩をポンッと叩くゆき。
美紀はそれに驚き椅子から転げ落ちる
それを見て驚き慌てるゆき
「お、脅かさないでください」
美紀は咳払いをしてゆきに言う。
「ゴ、ゴメンネ」
「す、すいません。ちょっとびっくりしました」
「何、読んでたの?」
「…怖い本です」
美紀はふーっとため息をつきながら答える。
「こ、こわい本?」
「すごーく怖い本です。読みますか?」
怖い本だと聞き震えながら聞く。
美紀はそんなゆきに近寄り威圧をかける
「えんりょしとくね。じゃまたね!」
ゆきは耐えきれず部屋を後にする。
「はい……どうしよこれ」
美紀は再び椅子に座り、マニュアルを見つめる
すると扉がノックされた。
扉が開くとゆきがいた。
「どうしました?」
「あのね。なんか悩み事があったら相談してね」
「え?」
ゆきの言葉に目を見開くゆき。
「わたしじゃ頼りなかったらりーさんでもくるみちゃんでもしおりちゃんでもいいし、とにかくみんなで考えよ?」
「…そうします」
「う、うん。ごめんね変なこと言って。まったねー」
ゆきはそう言って部室を後にする。
「…まいっちゃうなー」
「ちょっと待ってなんだこれ」
「これが……めぐねぇの荷物の中に?」
「はい、本に挟まってました」
美紀はりーさんとくるみ、しおりを呼び出しマニュアルを見せる
「めぐねぇが……最初から知ってたってことか?そんなわけないだろ」
くるみは歯ぎしりをする。
そして美紀の胸倉を掴む
「くるみ…落ち着いて」
しおりはくるみを落ち着かせる。
「そういう可能性もありますが、低いと思います」
「根拠は?」
「表紙を見てください」
そう言って美紀はマニュアルを指さす。
《以下の場合のみ開封すること》
・校長およびその代理よりの指示があった時
・A-1警報の発令時
・外部よりの連絡が途絶し十日以上が経過した場合
「渡されて持ってたけど、内容までは知らなかった…」
「そんなところでしょうね」
「こんなことになって思い立って、開けてみたらってことか…」
くるみの顔が険しくなる。
その度に汗が滲み出る
「言ってくれればよかったのに」
ぽつりと呟くくるみ。
「落ち着いたら言うつもりだったのでは」
美紀はそうくるみに言う。
するとくるみは美紀の胸倉を再び掴み、壁にぶつける
「さっきからわかったみたいに…!」
くるみは耐えきれず美紀を睨みつける。
「……くるみ!」
しおりは今までにないぐらいの大きな声で叫ぶ
それをきいてはっと我に返るくるみ。
美紀から手を離した。
一度深呼吸をして自分を落ち着かせる。
くるみはしおりの声がした方を見て唖然とした。
しおりは口元を両手で抑えながら目元に涙を浮かべる
そんなしおりの姿を見て自分が何をしたのか理解した。
しおりとくるみは互いに黙り込む。
そんな二人の横で話を戻すりーさん
「よく見せてくれたわね」
りーさんは首元を直している美紀に言う。
「正直迷ったんですけど……私も学園生活部の部員ですから」
「そっか」
「はい」
美紀の言葉に軽く返事をするくるみ。
しかしまだ表情が暗かった
「で、だけど…」
「ここを見てください」
美紀はマニュアルに記載されている地図に指さした。
「地下二階?非常避難区域?」
「これ、まだ行ってませんよね?」
「すごいじゃない。いい物ありそう!」
「はい」
美紀の言葉にぱあっと表情が明るくなるりーさん。
「あれ、どこから入るのかしらこれ?」
ふと疑問に思ったことを美紀に問いかけるりーさん
「ここです。シャッターありますけど…」
「一階だな。ひとっ走り行って見てくるよ」
くるみはシャッターがあることが分かり椅子から立ち上がる。
シャベルを背負う。
「一人で大丈夫?」
「あの、私も行きます」
くるみを心配するりーさんと美紀だが
「偵察だからな、一人のほうが楽だよ」
と言い同行を断るくるみ。
そして部室の扉に手を掛ける
「…さっきは悪かったな。ちょっと頭に血がのぼった…」
「いえ…あの…気をつけてくださいね」
「ちょっと見てくるだけだよ」
くるみが微笑みながら美紀にそう言う。
そして部室を後にした。
[くるみさん…あんなに急がなくても]
[めぐねぇのことが気になるのよ。どうして隠してたのかって]
[りーさんはどう思いますか?]
[そうね…なんかわかる気がする]
[私がめぐねぇだったら……責任感じちゃうから]
[責任ですか?]
[知らなかったとはいえ自分もそっち側の人間だったってことだから]
[そんなの…めぐねぇのせいじゃないじゃないですか…]
「もちろんそうよ。そうだけど、でもあとからこんなの知ったら…」
「ショックでしょうね」
「うん……」
りーさんと美紀は机に寄りかかりながら話す。
「でもねめぐねぇ、いつも明るくて……元気で……私たちが不安にならないようにって」
するとりーさんはぽろっと涙を流す。
「めぐねぇ苦しかったよね。そんなことない、めぐねぇは何も悪くないって……言ってあげたかった」
りーさんは目を擦りながらめぐねぇへの思いを美紀に話す。
美紀はりーさんの肩に手を乗せて、
「気持ちはきっと…伝わってると思います」
すると先程まで黙っていたしおりが部室を出ようとする。
その手には薙刀が。
「しおりさん…もしかして…」
「くるみを追います…」
そう言って扉に手を掛けるしおり。
「しおり先輩…」
「大丈夫…危なくなったらくるみと一緒にちゃんと帰ってくる」
「しおりさん…でも」
りーさんはしおりを止めようと手を掴みぎゅっと握る。
「それに…くるみに、謝りたいから」
「そんな…しおり先輩が謝ることなんて、悪いのは私なんです」
「さっきりーさんも言ったけど、見せてくれて…ありがとね」
しおりはそう言って部室を後にする。
そして扉をそっと閉めて深呼吸をして一階へ向う
一方くるみは『奴ら』を一体倒し更に奥へ進もうとする。
すると背後から名前を呼ばれ振り向くと気まずそうな顔をしていたしおりがいた
「なんでいるんだよ…りーさん達と待ってろよ」
くるみはしおりに戻るよう言い聞かすがしおりは首をフルフルさせる
「くるみが心配だから…一緒にいく」
「おまえいつからそんなに言うやつになったんだ」
くるみは苦笑いをしながらしおりに問いかける
「言いたいことがあったら言う…そう言ったのはくるみ」
そんな答えを聞き「やっぱかなわねーな」と笑いながら言う。
そしてすっと手を出して
「行くぞ!早く安全確認して持ってけるもん持ってかないとな」
しおりは微笑みながらくるみの手を握る。
しばらく沈黙が続きながらも一階へ向う二人
最初に話を振ったのはくるみだった
「さっきは悪かったな…」
「ううん…私もくるみと同じ気持ちだから」
「泣かせないって決めたのにな…」ボソッ
「何か言った?」
「なんでもねーよ!にしても久しぶりに聞いたなーしおりのあんなにでっかい声出すの。小学校以来かな」
誤魔化すように話を逸らすくるみ。
しおりはその話を聞き顔を赤らめる
「うー///からかわないでよ…」
「ははっ悪い悪い…っと着いたな」
そう言ってくるみは視線を正面に向ける。
そこには地図通りにシャッターがあった。机でシャッターが閉まらないようにしてあった。
くるみは懐中電灯を付けて中を覗く。
何も居ないことを確認して繋いでいるしおりの手を引っ張る。
中は真っ暗で懐中電灯を灯しながら進んでいく。
階段を降り、地下へ向う二人。降りた先は水が溜まっており、歩くとピチャッと音がする。
柱に隠れながらペンライトを奥へ投げるしおり。
すると奥からぴちゃぴちゃと音がした。
その音に気づいた二人は懐中電灯を音がした方へ向ける。
向けた先には足がありそこからどんどん上へ光を向け、ついに顔を映した。
くるみとしおりはその顔を見て目を見開き唖然とする。
しおりは声が出ず、くるみは持っていた懐中電灯を落とす。
「おっひるーおっひるごはーん」
ゆきは昼になり学園生活部の部室に入る。
そこに居たのはハンカチで目元を拭くりーさんと美紀だった。
「あれ、りーさんどうしたの?」
「ううんなんでもないの」
「そうです何でもありません」
「ふーん?」
りーさんと美紀の答えに少し疑問に思いながらも納得するゆき
「そうねお昼にしましょ」
「くるみちゃんとしおりちゃんは?」
ゆきは今この場にいない二人に着いて問いかける。
「くるみさんとしおり先輩は…」
美紀が応えようとすると部室の扉の向こうから音が聞こえた。
三人はそれに反応して扉の方を向く
りーさんが扉をそっと開けるとそこにいたのは、
息を切らしながらしおりを横抱きしていたくるみだった。
くるみに抱かれているしおりの表情は険しかった。
しおりの右腕には『奴ら』のものと思われる噛み傷があった
「ミスった……」
くるみが息を整えて最初に言った言葉はそれだった。
その言葉を聞いて目を見開く三人。
-私たちがああなったら始末してました?
わからないわ。その時になってみないとね-