がっこうぐらし!+(再編集中)   作:すぴてぁ

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第18話 きずあと

 

くるみはしおりを横抱きして息を整える。

 

「ミスった…」

 

走ってきたのだろうかまだ息切れをしている

背負ってきたシャベルと薙刀は落ちていた。しおりの呼吸も荒かった。

 

「______ッ」

 

美紀はそんなしおりの姿を見て言葉が出ない。

隣にいるゆきを見ると全身が震え青ざめているゆきがいた。

 

「ゆき先輩救急箱、放送室に!」

 

「う、うん」

 

ゆきはペちっと頬を叩き救急箱を取りに走り出す。

 

「気をつけて」

 

「だいじょうぶ!」

 

ゆきは走りながら美紀に手を振る。

美紀はくるみ達の方を再び向く

くるみはしおりを横抱きしながら立ち上がり放送室へ歩き出す。

りーさんはくるみに付き添うように隣を歩く。

美紀は廊下に置かれたシャベルと薙刀を抱えて後を追う

 

「……んだ」

 

くるみは顔を伏せながらボソッと呟く。

りーさんは全て聞き取れずくるみに聞き返す

 

「めぐねぇだったんだ」

 

くるみの言葉に目を見開くりーさん

するとくるみは何があったのかを話す

 

 

 

 

 

 

 

そっとくるみとしおりの方へ歩き出すめぐねぇ

歩くたびにピチャピチャと小さく音がする

 

「ちくしょっめぐねぇ……こんなとこにいたのかよ」

 

くるみは柱に隠れながら制服をぎゅっと握る。

しおりはその隣で目を見開きながら口元を抑えていた。

 

「なんでだよっどうしてだよっ」

 

くるみはシャベルを構えながら走り出す。

めぐねぇの目の前まで来てシャベルを振るおうとするがその手が止まる。

くるみはめぐねぇを思い出しシャベルを振るえなかった。

 

「あ…」

 

めぐねぇはぐぐぐと鈍い音を出しながら左手をくるみに振り落とす。

それに気付いたしおりは柱から飛び出しくるみの腕を握り後ろへと下がらせる。

しおりはめぐねぇの攻撃がくるみに当たらないよう盾になりそれをモロに食らう。

 

「しおりっ!」

 

その姿をみたくるみは目を見開き、しおりの名前を叫ぶ。

 

 

 

 

放送室にたどり着きソファにしおりを寝かせるくるみ。

りーさんは救急箱をつかい軽い手当をする

しおりは先ほどよりも呼吸が荒くなっていた

 

くるみは壁に寄りかかりながら床に座る。

未だに険しい顔をするくるみはパンフレットをもう一度見直す

 

「何かすることあるかな」

 

ゆきはそわそわしながらりーさんに問いかける。

 

「そうね……特に…」

 

「お湯を沸かしてきてください」

 

りーさんが何も無いと言おうとするが美紀が変わりに答える。

それを聞きゆきは部屋を後にする

すると立ちくらみを起こし倒れそうになるりーさん

 

「大丈夫ですか?」

 

それを支える美紀。

するとパンフレットを投げ捨て立ち上がるくるみ。

 

「くるみ…どこに行くつもり?」

 

りーさんは自分の前を通り過ぎるくるみを見て問いかける。

 

「避難区画には薬があるって書いてあった。取ってくる」

 

「待ってください。私が行きます」

 

美紀はくるみを止めるように言った。

しかしくるみは首を振り「お前じゃ無理だ」と呟く。

 

「数が多かったら戻る…」

 

「しおりさんだってそう言って…ッ!」

 

くるみの言葉に反応して部室を出ていく時に言ったしおりの言葉と重なる。目元には涙を浮かべていた。

 

「くるみ先輩がシャベルを振るえなかったのはめぐねぇだったからですよね?」

 

扉の前で立ち止まるくるみ。

美紀の問いかけに頷く

 

「私なら……大丈夫です」

 

美紀の言葉を聞き納得するりーさん。

しかし未だに答えを出さないくるみ。するとガラッと扉を開ける

その姿を見てダメだと言っているように感じ目を伏せる美紀

 

「しおりの薙刀…持っていけ」

 

振り向かず美紀にそう言うくるみ。

その言葉を聞き立てかけてある薙刀を手に取る。

 

「先輩、お借りします」

 

そう言って部室を後にしようとする美紀

既にくるみはいなかった

後を追いかけようとすると、りーさんが呼び止める

 

「美紀さん?ごめんなさい。こんな時なのに……あなたがあれを見つけなかったらってそればっかり思って」

 

「大丈夫です。私もそう思ってますから」

 

りーさんにそう言って扉を締める美紀

くるみを追いかけようと走り出す。

ふと横を向くと通り過ぎる間際に掲示板に貼られた体育祭のビラを見て微笑みをもらす。

 

-気がつくとたくさんのものをもらっていた。楽しいこと、暖かいこと、希望-

 

「負けられないよね」

 

そう言って薙刀をぎゅっと握る。

すると先にはくるみがいた待っていたようだ

 

「…なぁちょっといいか」

 

「どうしたんですか先輩?」

 

先程よりは落ち着いている顔をしたくるみが美紀に言う

 

「なんで庇ったと思う…」

 

そう呟く。

美紀はしおりのことを言っているのだと思った。

美紀はくるみの顔を見て答える

 

「大切だからじゃないですか…しおり先輩にとってのくるみ先輩は」

 

その言葉を聞き目尻に涙を浮かべるくるみ。

目元を隠すように手で抑えて上を向く

しかし隠しきれず涙が零れる

 

「なんでだよっ…くそっ、あたしが…守るって…」

 

「あの…先輩」

 

「ちょっとだけ…昔の話をさせてくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

これはまだくるみもしおりも小学生だったとき

 

二人の家の近所にある公園。

そこに居たのは泣いている小さな女の子

その近くには同い年位の男の子が二人いた。

 

「ふぇ……返して……」

 

「へっやーだよ!」「取り返してみろよ!」

 

男の子が持っているのは星がついたブレスレットだった。

女の子は取り返そうとするが力及ばず

涙が溢れ出す、

 

「こーらーっ!しおりをいじめるなー!」

 

「げっ!?恵飛須沢だ!」「ちっ逃げるぞ!」

 

くるみが遠くから走ってきたことに気づきその場から逃げざる男の子達

去り際にブレスレットを投げ捨てる

 

「大丈夫か!何もされてないか!」

 

「うぅ……うん…」

 

くるみはしおりの背中をさすってあげる。

くるみが来たことに安心して目を擦るしおり

するとくるみは落ちていたブレスレットを拾いしおりの腕に付ける

 

「大丈夫だ。あたしがずっと守ってやる」

 

「うん…!」

 

その言葉を聞き笑顔になるしおり。

二人の腕には星が輝くブレスレットが揺れる

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんなことがあったんですね」

 

「あいつは覚えてないかもしれない…けどな、あたしはこの約束だけは守ってきた…けど、その約束を今日破っちまった…情けない」

 

「そんなことないです!」

 

するとくるみの言葉を否定するように叫ぶ美紀。

それに驚き美紀の方を向く

 

「先程も言いましたが、くるみ先輩を大切な人だと思ったから庇ったんです!しおり先輩を助けて謝ればいいじゃないですか…」

 

美紀の言葉に目を見開きながらも笑いをもらすくるみ

 

「ははっ…まさか後輩にここまで言われるとはな…」

 

「行きましょう先輩。薬を取ってしおり先輩を助けましょう!」

 

そう言って走り出す美紀

くるみもそれに続き走る

ゆく道を阻む『奴ら』が二体

 

「あたしが先に行く!止まらず走れ!」

 

そう言ってくるみは走る速度を上げてシャベルを振るう。

『奴ら』はその場に倒れ動かない

その間を走り過ぎる美紀

急ぎ階段を降り息を整える

 

「はぁ…はぁ…」

 

「もう他の『奴ら』はいなかったぞ」

 

美紀の後を追いかけてきたくるみ。

二人はシャッターの中を覗く

先程と変わらず真っ暗な地下を進む。

そして懐中電灯を向けた先には…めぐねぇがいた

 

 

 

 

 

 

 

 

二人が地下へ向かっている間、りーさんはお湯でタオルを濡らしてしおりの汗を拭く。

ゆきは一度しょんぼりとした顔をするが

 

「もーしおりちゃん、タイミング悪いよね。今日の晩ご飯カレーだよカレー!早くよくならないとわたしがしおりちゃんの分も食べちゃうよー。また遠足いこうよ、今度はおべんと持ってさーあとバレンタインみんなでチョコ作ろ!家庭科室借りてさ!」

 

「だからね…早くよくなってねしおりちゃん」

 

笑顔でこれからのことを話し出すゆき。

りーさんはそんなゆきをみて微笑む

 

「ゆきちゃん、しおりさんはきっと良くなるわ。ここは私が見てるから、廊下を見てきてくれる?」

 

「らじゃ」

 

ゆきは敬礼をして放送室を後にする。

そんなゆきを見て微笑みながらも懐からおもちゃの手錠をとる。

しかしりーさんは付けようか戸惑っている様子だった。

 

息を荒らげて呼吸するしおりを見て。

 

 

 

 

 

 

 

ゆきは扉に寄りかかりながら目元を擦る。

 

「しおりちゃん……」

 

 

 

 

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