がっこうぐらし!+(再編集中)   作:すぴてぁ

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第26話 ひなん

 

 

屋上のフェンスを片手で握り、もう片方で胸を抑えるりーさん。

 

「……りーさん?」

 

そんなりーさんを見て不安そうに声を掛けるゆき。

 

「……なに?」

 

少し間をおいてゆきの方を向くりーさん。

りーさんの顔がいつも通りなことに安心したような顔をするゆき

 

「えっと、みーくんとくるみちゃんとしおりちゃん、迎えにいったほうがいいんじゃないかな?」

 

「そうね」

 

ゆきの言葉に同意するりーさん。

りーさんは立ち上がろうとするが足ががくんっと下がる。

足元を見ると、りーさんの足が震えていた。

 

「先、行っててくれる?」

 

「う、うん……」

 

りーさんは胸を抑えて深呼吸をする。

ゆきに先に行くよう言うが、ゆきはそんなりーさんを見て不安そうにしていた。

ゆきは屋上の扉へと駆けていくが一度止まり、りーさんの方を向いて再び走り出す。扉を開けてりーさんに手を振り扉を閉めるゆき。

それに答えるように手を振り返すりーさん

 

ゆきが出て行ったのを確認して手を降ろす。

するとりーさんの目から涙が流れていた。

 

「どうしてっ!なんでこうなるのよっ!なんでっ!なんでっ!こんなのどうしようもっないじゃないっ!もう、やだよっ」

 

りーさんは辛そうに深呼吸をしてゆきの前で言えなかった本音を叫び出す。叫ぶ度にフェンスを叩く。

燃えるヘリを見つめて静かに涙を零す。

 

すると後ろから音がした。後ろを振り向くと、屋上の扉を勢いよく開けたゆきがりーさんの前に立っていた。

 

「ゆき……ちゃん……」

 

「よしっ!よかったりーさん元気出たんだね」

 

「え……?」

 

なぜゆきがいるのかと疑問に思うりーさん。

ゆきはそんなりーさんにずかずかと近寄る。ゆきの言っている事の意味が分からずゆきを見つめるりーさん。

 

「だってほら立ってる」

 

ゆきが指さした先にあったのは先程まで震えて立てなくなっていたりーさんの足が立ち上がっていた。

 

「一緒にいこ?」

 

ゆきはりーさんの手を包み込むように握る。

りーさんがゆきの手を見ると自分の手を包み込んでいる手は震えていた。

 

「…うん」

 

りーさんは目元を擦りゆきに答える。

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆきとりーさんは片手で口を抑えながら部室を目指していく。

階段を下り廊下を進んだ先にある部室の扉を開けて中へ入る

 

「はぁー」

 

「……煙、結構強かったわね」

 

「窓からは?避難梯子あったよね」

 

「……ちょっと難しそうね」

 

扉を勢いよく閉めて、吸っていた息を吐くゆき。

りーさんはリュックにありったけのペンライトを詰める。

ゆきの問いかけに答えるように窓から外の様子を見て、避難梯子がかけられるかの確認をする。しかし下の階の窓には爆発に反応して寄ってきた『奴ら』が大量に腕を伸ばしていた。

ここから脱出するのは無理だと答えるりーさんに少し残念そうに言うゆき。

 

「頑張っていきましょ?なんとかなるわよ」

 

「うん!りーさんがいれば安心だよ」

 

「…そう」

 

りーさんはペットボトルに入った水をハンカチに垂らす。

そのハンカチをゆきに渡してゆきを安心させるように言う

ゆきはハンカチを受け取り、りーさんとなら大丈夫だと言う

 

「……そうだ、校内放送」

 

「放送?」

 

「避難訓練。くんれんかさいですーってやつ。みーくんたちにも聞こえるかなって」

 

ゆきはふと呟くと、疑問に思っているりーさんに避難訓練の放送を流すことを提案する。ゆきの提案を聞いているとりーさんはなにかを思いついたようだった。そしてゆきの手を掴む。

 

「ゆきえらい!」「えへへー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人はハンカチで口を抑えながら今度は放送室を目指す。

放送室にたどり着き、放送器具を操作するりーさん

 

「タイマー7分くらいでいいかな?」

 

「タイマーとかってあったっけ?」

 

「ないか、ならこれなら」

 

と言いりーさんが出したのはスマートフォンだった。

りーさんはスマートフォンを操作して録音アプリを表示する

 

「さ、ゆきちゃんお願い」

 

「はーい」

 

ゆきにスマートフォンを向け、校内へ流すための声を録音する。

 

「あとは再生を7分後にセットして」

 

録音が完了してタイマーのセットをするりーさん。

スマートフォンをマイクの近くに置き、放送の電源を入れて静かに放送室を後にする。

 

 

 

 

 

 

ゆきとりーさんは階段を下り下へと向かう。

廊下には煙が広がっていて前がよく見えなかった。ゆきはりーさんのカーディガンの袖を掴みながら進む。

するとずるっと手を離してしまい咳き込むゆき。

そんなゆきを支えながら先へ進む

 

廊下の奥を覗くと『奴ら』が何体か徘徊していた。

廊下の奥にペンライトを投げ捨てる。

 

-早く……行かなきゃ……でもどこ……どこ……-

 

 

 

 

 

『訓練火災でーす。訓練火災でーす』

 

先程録音した放送用の声が学園中に響く。

 

「……いそがっ」

 

その放送を聞き急いで脱出しなくてはと急ぎ出すりーさん。

りーさんのカーディガンを掴み廊下の奥を指さすゆき

 

「あっち……」

 

ゆきの震えた指の先には誰かの人影があった。

 

『くるみちゃん、しおりちゃん、みーくん聞こえる?』

 

「え……誰……」

 

廊下の奥を目を細めて見るが誰かは分からなかったりーさん

 

『わたしたち先に避難してるね』

 

-待って……待って……あ……-

 

りーさんはゆきを支えながら人影を追いかけるように歩き出す

その人影に手を伸ばすが届かずその代わりに何かが指先に当たる

地下へ行くためのシャッターだった。

 

-ここって……-

 

りーさんとゆきはシャッターの隙間から這いつくばるように入り階段を下り地下へとたどり着く。

階段に腰を降ろして口を塞いでいたハンカチをゆきから外してあげるりーさん。ゆきは顔を真っ赤にしながら呼吸をする

 

「シャッター閉めないと煙が来るわね。すぐ戻るわ」

 

りーさんはゆきにそう伝えてシャッターを閉めに上へ上がっていく。

 

「ありがと、めぐねぇ……」

 

 

 

 

『安全な所に避難してまたあとで会おうね!』

 

 

 

 

 

 

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