-うん、よくやった、頑張った。
いいところまでいった。これって結構すごいんじゃないかな
ずっと待ってたのかもしれない。もういいよおわりだよ。
ねぇ私たち頑張ったよね。これでだめなら最初から無理だったんだ
精一杯やった何も残ってない。そういう時ってあるじゃん。
それでも…-
車を背に燃え上がるヘリとその近くで燃える『奴ら』を見る。
くるみは割れたドアガラスから手を入れて鍵を開ける。
カチンと音がし、気を失っている美紀を車の中に投げ入れる。
そしてドアを閉めて寄ってきた『奴ら』に構える二人
くるみは美紀のいる扉の近くにいる『奴ら』を、しおりはヘリ付近のまだ燃えてない『奴ら』を倒していく。
しおりは自分の近くに『奴ら』が全くいないことに気付きなにかを察したようにくるみのいる方を向く。
くるみのいる方にはこちらとは違い沢山の『奴ら』がいた。
しおりはそれをどうにかしようと、近くにある車がを思いっきり薙刀で叩く。
「こっちよ!こっちにきなさい!」
その音と声に気付いた『奴ら』がどんどんしおりの方へと向かう。
くるみはしおりの行動に唖然とするが、先に車の近くに残っている
『奴ら』を倒していく。
しおりはじりじりと寄ってくる『奴ら』を見て薙刀をぐっと握る。
一方りーさんは、シャッターの前にて三人の帰りを待つ。
シャッターからはパチパチと音がし、下にある小さな隙間からはうっすらと煙が入る。
「熱っ」
りーさんはシャッターに触れようとしたが熱くて触ることが出来なかった。少し不安そうな顔をしたままりーさんはゆきのいる地下二階へと戻る。
熱さで汗をかきながら寝息を立てて眠るゆき。
りーさんはタオルで汗を拭きゆきの手を握りながら顔を埋める。
「もうっ!」
りーさんは鏡で見た自分の疲れ切った顔を見て勢いよく鏡を閉める。
タオルを水で濡らし目元に置き上を向く。
すると寝ていたゆきがモゾモゾと動く。それに気付き慌ててタオルを外すりーさん。
「おはよ、りーさん」
「おはよう。よく眠れた?」
「すっきりした」
「そう、よかったわね」
ゆきは目を擦りながら言う。
「すごい訓練だったね」
「え……?」
「煙がばーっと出て」
「ええ、そうね」
ゆきの言葉を疑問に思うりーさん。
両手をばーっと広げて言うゆきにいつもとは違い笑顔を見せずに答えるりーさん。
ゆきはりーさんの隣に座るがどこか気まずそうだった。
「暇だね……」
「もう少し待ちましょ」
「こんなこともあろうかと!じゃーん!」
ゆきが暇そうにしているとゴソゴソとリュックの中を漁り始める。
その中から出してきたのはトランプだった。
「ね、何やる?ババ抜き?七並べ?大富豪?」
「すこし……」
「ん?」
トランプを開けてりーさんに何をして遊ぶのかを問いかけるゆき。
すると小さく聞こえたりーさんの言葉を聞き返す
「少し、静かにして」
「ご、ごめん」
りーさんはカーディガンの袖をぎゅっと握りながらゆきに言う。
それを聞いたゆきは慌ててトランプをしまう。
「……ねぇ」
「なに?」
「ごめんなさい、さっきの」
「……ううん」
しばらく間があき、りーさんが呟くとゆきはどこか気まづそうにふりむく。そしてりーさんの謝罪を優しく受け止めるゆき
「あの、りーさんだいじょうぶ?」
「うん。へいき……」
ゆきはどこか疲れているりーさんの顔をみて心配そうに問いかける。
りーさんは大丈夫だと答えるが目尻には涙が流れていた。
「ごめん……」
「うん……」
涙を隠そうと顔を埋めてゆきに謝罪をするりーさん。
ゆきはそんなりーさんを見て何が出来るかを考える
「そろそろいこっか?」
「どこへ?」
「くるみちゃんとしおりちゃんとみーくんを迎えに?」
りーさんはそんなゆきを見て、
「いやよ!いや!もういやなの!今から行ったってどうせもう!」
「りーさん……」
「ごめんなさい、ごめんなさい。私がこんなんじゃ、でももう無理動けない。」
りーさんは頭を抑えて涙を流しながら、今までゆきの前で言えなかった本音を叫ぶ。
そして泣き崩れながらゆきに謝罪をする。
ゆきはそんなりーさんをみて手をそーっと近づけりーさんの背中をさする。
「ごめん、なさい……」
「だいじょうぶだよ、だいじょうぶだから、ね」
りーさんを慰めるように優しく背中をさすり続ける。
しばらくするとりーさんは疲れていたのか眠りについた。
ゆきはりーさんの頭を膝に乗せて撫で続けていた。
するとゆきはりーさんの頭を近くにあったタオルに乗せて当たりを散策する。
「えーっと…」
コンテナをいくつか開けてりーさんの傍にコンテナから取り出した水の入ったペットボトルと板チョコ、そして
[ちょっと行ってきます。ゆっくり休んでね。ゆき]
と書かれた書き置きを置いていく。
ゆきはリュックを背負い、頭にはハチマキ。
そのハチマキにはペンライトをさしていた。
片手にバットを持ち階段を登る
するとゆきは後ろを見つめる
「うん。くるみちゃんとしおりちゃんとみーくん見てくる。大丈夫だよ、そりゃそうだけどさ、わたしねずっとりーさんとくるみちゃんとしおりちゃんに大変なこと任せてきた。だからたまには、ね?
うん、気をつける、それじゃね?さぁ行くよ!」
ゆきはバットを掲げて階段を駆けていく。
シャッターの前までたどり着いたゆきはシャッターに触れようとする
「あちっ」
あまりの熱さに驚き後ずさりをする。
シャッターを触った手に息を吹きかけ、シャッターの隙間を見る。
ゆきはバットの持ち手をシャッターの空いている部分にあてそこから開けようとする。
するとシャッターの奥からガタガタと音がした。
ゆきはそれに驚き後ずさりをしてしまうが深呼吸をしてバットを構える。
シャッターが開くと同時にバットを上に上げ振ろうとするが、
奥から現れたのは血塗れのくるみ、しおり、美紀の3人だった。
美紀はくるみのパーカーを肩にかけ、その美紀を支えるくるみ。そして熱くて触ることすらできなかったシャッターを片手で開けるしおり。
そんな光景を見たゆきは唖然とし、ゆきの姿を見た3人も驚く。
ゆきは慌ててバットを隠しハチマキをとる。
慌てた様子で言い訳を言うゆき。そんなゆきを見て不思議と笑いだす三人。
するとゆきは走り出し、しおりに抱きつく。
しおりはゆきを受け止め優しく撫でる。
-つまづく日はある。ころぶ日もある。泣きたい日もある。いっぱい
泣いて、いっぱい寝て、いっぱい食べて、もう一度立てばいい。いつ
かこの息が止まる、その日まで___________-