「それじゃ避難訓練の無事終了を祝いまして、かんぱーい」
『かんぱーい』
五人が合流してしばらくした頃、ヘリの方へ向かっていた三人の怪我の手当を終えて地下二階のコンテナから飲み物やお菓子を取り出しシャッター前で避難訓練後のパーティをはじめた。
ゆきの掛け声と共に飲み物が入ったコップを掲げる五人。
パーティがはじまりみんなが飲み食いをする。みんなの顔は自然と笑顔が戻った。
「ん?ポテチもうない?」
「ん?」
「取ってくるね」
ゆきはポテチを取ろうと袋に手を入れごそごそと漁るが何も無かった
袋を逆さにしてパサパサと中身を出そうとするが出てきたのはのこりかすだけだった。
地下二階のコンテナから新しいポテチを取りに行くため立ち上がり階段を駆けていく。
四人はそんなゆきの姿を見てほっと一安心する。
「それにしても…今度ばかりはもう……」
「わりぃわりぃ」
「ごめんね、りーさん」
「ご心配おかけしました」
りーさんが頭を抱えながら呆れて三人に言う。
くるみとしおりは笑いながら軽く謝罪をするが美紀は頭を下げて謝罪をする。
「無事だったからよかったけど、何があったの?」
「いやぁあれはヤバかった」
持っているシャベルと薙刀から零れる血。
それを持ちながら息を荒らげて呼吸をするくるみとしおり。
二人に向かい歩いてくる『奴ら』。その中にはヘリの近くにいたのか燃えている『奴ら』もいた。
倒しても先に進めないこの状況にどうしようかと悩みながら薙刀を構えるしおりと迫ってくる『奴ら』に舌打ちをするくるみは互いに背を合わせていた。
「ん?」
近くにあった放送用のメガホンのような柱から『ザザッ』っと音がした。それに気付き音がするほうを向く二人。
『訓練火災でーす』
『くるみちゃん、しおりちゃん、みーくん聞こえる?』
『わたしたち先に避難してるね。安全な所に避難して、またあとで会おうね!』
大音量で聞こえたゆきの声に驚く二人だが、よく見ると近くにいたほとんどの『奴ら』がゆきの声がする方を向いていた。
それを見てにっと笑い止まっている『奴ら』に向かい走り出す二人
「ゆきの声だったからな、あんときゃびっくりした」
「それ、私も聞こえました」
「よかった、役に立ったのね」
「立った立った」
りーさんはここに来るまでの経緯を聞き、ゆきの提案した訓練放送が役に立ったと言われ安心したような顔をする。
くるみは役に立ったと言いながらぐびっと飲み物を飲む。
「今外はどうなってるの?」
「しばらくは安全だと思うよ」
「そそ、あいつら結構よく燃えるみたいでさ。だいたい燃え尽きたんでこっちに来れた」
「そう。よかった……」
しおりとくるみから外の状況を聞き、安全だと言われて安心したように一息つく。
「たっだいまー」
「大盤振る舞いだな」
「たまにはいいでしょ」
地下二階からゆきが帰ってきた。
その手にはポテチや他のお菓子が沢山抱えられていた。
「そうね。でも汚さないようにね」
「ゴミ袋取ってきますね」
「待った!」
美紀がゴミ袋を取りに行こうとその場から立ち上がろうとする所をゆきが止める。
「どうしました?」
「汚しちゃいけないのは、ここだけじゃないよね」
「はぁ?」
「そもそも!学園生活部にとって一番大切なのは何だかわかる?」
「えっと…学校かな?」
「そう!」
ゆきは指を振りながら四人に問いかけると、しおりが少し呆れながら答える。
「だから、感謝の気持ちを込めてみんなでお掃除するのどうかな?」
ゆきの言葉を聞き四人は黙り込みしばらく考える。
互いに顔を見合わせる。
「そうね、いいんじゃないかな」
「よし、ぴっかぴかにしてやるぜ」
「じゃ、手分けして掃除はじめよっ」
それからしばらくした頃、学園生活部の五人はシャッターから出て一階を歩いている。五人の手には掃除道具があった。
しかしゆき以外の表情はどこか暗かった
「相当火が回ったなぁ」
「屋上、大丈夫かしら」
「使えるものをサルベージしていきましょう」
「まずは三階からだね!」
ゆきはぴょーんと走り出す。
「ちょっ先輩待ってください」
そんなゆきを慌てて追いかける美紀。
二人をみてどこか心配そうな顔をする三人
ゆきは三階の廊下を歩く。
歩く度に手を振っている。ゆきにとっては沢山のクラスメイトや友達がいるのであった。
自分の教室の扉を開けせっせと作業を始める。
黒板を掃除し、机を端に寄せ、モップがけをする。
「どんどんきれいにねー」
とても楽しそうに教室の掃除を進めるゆき。
すると机の方からガタッと音がした。
「ん?誰?」
ゆきは音に気付き机の方へと歩き出す。
そこに居たのは一体の『奴ら』。しかし爆発に巻き込まれたのか全身が黒く焦げていて片手片足が無かった。
「ヒューヒュー」と呼吸のようなことをしているがゆきを前にして動かなかった。
「…………うん。掃除してるの。当番じゃないけど、そそ部活動みたいな」
ゆきに取ってはクラスメイトに見えており、話しかける。
すると、ゆきが話している間に徐々に近づく『奴ら』
片手がゆきの足元まで近づくと、ゆきの中になにかが過ぎる。
それは、楽しく話をしているクラスメイト。
「うあぁぁぁあぁぁぁぁあぁーーーーつ!」
ゆきの中でなにかが壊れ足元にいる『奴ら』をモップで叩く。
なんども叩いていると『奴ら』は動かなくなった。
ゆきは端の方でしゃがみ、怯え教室から逃げるように走り出す。
-学校が好きだ。学校ってすごい。物理実験室は変な機械がいっぱ
い。音楽室、綺麗な楽器と怖い肖像画。放送室、学校中がステージ何
でもあってまるで一つの国みたい。こんな変な建物ほかにない。中で
も私が好きなのは__________-
ゆきが慌てて走り、息を荒らげてたどり着いた先にあったのは、学園生活部の部室だが、爆発のせいで貼られてある学園生活部の紙が半分以上燃えてしまっていた。
「あ……う…ぁ…うああああーーーーつ」
泣き出してしまったゆき。
「先輩、ゆき先輩!」
ゆきの声を聞き慌ててやってきた美紀。
「み、みーくん?」
美紀に泣いているところは見せられず下唇を噛みながら美紀に背を向け目元をごしごし擦るゆき。
「せんぱい……」
ゆきは近づく美紀に笑顔を見せようとするが涙が止まらなかった。
そんなゆきを見て涙を流す美紀。
「あーーーーんあぁぁぁーーーんっ」
ゆきは美紀に抱きつき再び泣き出す。
美紀はゆきを抱きしめながらその場に座り込む。
一方屋上の菜園の様子を見に来たりーさん。
しかし菜園にも火の手が回り育てていた植物のほとんどが燃えてしまっていた。
「あーあ、家計簿もういらないわね」
りーさんはフェンスに寄りかかり呟く。
ゆきと美紀はの二人は部室内の掃除をしていた。
二人とも目元が赤く腫れ上がっていた。
「あった」
「あ、運動会の」
「うん」
ゆきは足元に落ちていたものを拾う。それは運動会の時に使ったボールだった。
そのボールも黒く汚れていたためゆきが雑巾を使い汚れを拭き取る。
「いっぱいあったよね」
「……そうですね。あ、これ……」
美紀はダンボールを開ける。その中に入っていたのは製作途中の卒業アルバムとポラロイドカメラだった。
卒業アルバムは汚れはもちろん、燃えることも無かった。
「よかった……」
ゆきは、卒業アルバムが無事だったことを喜び卒業アルバムをぎゅっと抱きしめる。
すると『パシャッ』とシャッター音がした。
音がしたほうを向くとカメラを持った美紀がいた。
「ちょっ今のなしっ」
「いい写真ですよ」
「なーしー」
ゆきは写真を貼ることを止めるように美紀に言うが美紀はニヤニヤ笑いながらゆきを止める。
珍しく顔を赤らめるゆきを見てどこか楽しそうにしている美紀だった
「はぁ…こりゃ無理かな」
くるみとしおりはヘリ付近の駐車場を片付けにきていた。
しかし近くにあった車はほとんどが燃えてしまっていた。駐車場を区切るためのフェンスも焦げていて一部には穴が空いていた。
「そういやよーお前、なんでわざと『奴ら』がそっちに行くよう仕向けたんだよ」
くるみはタイヤを足で抑えながら外れた車の部品を拾い片付けるしおりに問いかける。
しおりはしばらく考え、いつのことか分かったのか「あー」と言う。
「だってくるみの所にいっぱいいたから手助けしてあげたの。だめだった?」
「いやだってよ、約束とか守ってやりたいとかいろいろ…」((ボソッ…
しおりに言おうとするが直接になると言えず、途中からぼそっと小さく呟き始める。
その顔は赤くなっていた。
「ん?ごめん、途中から聞き取れなかった。もう1回」
くるみの言葉が聞き取れずもう一度言うよう頼むしおり。
「っ…あーもーいいだろ!早く片付けて戻るぞ!」
慌てて話を終わらそうとするくるみ。
そしてしおりから離れるように別のところに向かう。
くるみが何を言いたかったのか分からずじまいで首を傾げながらも作業を続けるしおり。
くるみは進んだ先であるものを見つけた。それはヘリの搭乗員らしき人物の遺体だった。
「ん?」
くるみは搭乗員の下にあるものを見つけ、搭乗員の遺体をどかす。
それは白いケースだった。
「……んー」
ケースを開け、中を覗くとそこに入っていたのは地図と拳銃だった。