2-B 教室
ー家計簿って頼もしい。つけているとなんと来週のことがわかるのだ!
この部活が始まった頃は明日のこともわからなかった。来月のことはまだよくわからない
来年、私たちはどうしているだろうー
りーさんは家計簿を書いていると、
「電気、足りてないわね」
「あー雨多かったもんな」
前の席で本を読んでいるくるみが言った。
最近は雨が多く困っていた。
「物資も減ってるし早めに取りに行った方がいいかも」
「わかった」
すると、教室の扉が開いガラッと勢いよく開き、
「学園生活部ちゅうもーく!」
「んー?」 「何かしら?」
くるみとりーさんはゆきの声に反応して何かと聞いた。
「肝試しやろ、肝試し!」
「はぁ?」
ゆきが机にだんっと手を出しいった。
「え、よくない?夜の学校でハラハラドキドキだよ!」
ゆきの目は輝いて見えた。そして周りも。
「いきなり何言いだすかと思えば…」
「あれ、くるみちゃんもしかしてお化け苦手?」
ゆきはくるみを指差しぷぷーと笑ってる。
「ちげーよ」
「大丈夫だよわたしと一緒に特訓すればお化けなんて!」
「おーまーえーなー」
くるみはゆきの襟元を掴んでいる。とてもお怒りのご様子。
しかしりーさんは、
「あらいいじゃない」
ゆきの意見に賛同した。
「!!」 「でしょ?」
くるみはりーさんの意見に驚いたが、ゆきは反対に喜んでいた。
「そうと決まったら準備ね」
「うん。手伝うよ」
「ゆきちゃんはめぐねぇに伝えてきてくれる?」
「わかったー」
そう言うとゆきは教室を後にした。
「…いいのか?」
「ゆきちゃん?気をつければ大丈夫よ」
そう言うとりーさんは再び家計簿に目をやった。
「いいならいいんだけどさ…」
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夜
「きっもだっめし、きっもだっめし」
るんるんと先頭を歩いているゆきと、その後ろをとぼとぼ歩く三人。
「ちょっとは緊張しろよ」
「ゆきちゃんは怖くないの?」
くるみとりーさんはゆきに問いかけた。
「うーん。本物のお化けに会ったら怖いかな。でも、学校でしょ何もでないって」
「うん」
せいらはピタッと立ち止まり言った。
「この時間学校は誰もいない」
せいらはボソッと言った。
「う……」
「だから、誰もいないはずだけどもしいたら……」
せいらはまるで悪巧みをしているかのような悪い笑みを浮かべていた
「い、いるわけないじゃん」
ゆきとくるみはせいらの声に怯えている。りーさんだけはニコニコしていた。
「そうだね」
せいらの顔がぱっと明るくなった。
「知ってる?幽霊ってすごく寂しがり屋で人の声に寄ってくるんだって」
せいらはそう言うと、「ほいっ」と小さく呟いてラジカセの電源をポチッと入れた。
「じゃ、つけちゃだめじゃん!」
ゆきが慌てた様子でせいらに言う。
「あれー幽霊なんていないんじゃなかったっけ?」
くるみがニヤニヤと笑いながら言った。
「も、もちろんだよ!でもさ、万が一ってことが…あるよね?」
ゆきが慌てた様子で言った。
「そうだね…だからこれはここにおいてあっちの階段から行こうか」
せいらはここよりもさらに奥を指した。
「せいらちゃん頭いい!」
「みんな揃ってるわね」
せいらの指した方へ向かうとめぐねぇがいた。
「はーい」
ゆきはボソッと小さい声で言った。
「肝試しもいいけど無茶しないでね」
「めぐねぇもっと静かに!」
ゆきは再びぼそぼそと言った。
「はいはい…で、組分けはどうするの?」
「せ、せっかくだからみんなでいかない?」
もじもじとしたゆきが、りーさんにしがみつきちらっと見ながら言った。
「そうね。そうしましょうか」
「わーい!」
ゆきはりーさんにぎゅーっと抱きついた。
「じゃあ五人一緒にいくわよ。はぐれないようにね!ええ〜と…まず最初は…」
「最初は購買部、次は図書室。みんなで何か証拠の品を取ってくるのよ。もしはぐれたら声を出さずにこの階段まで戻ることいい?」
「うん」
りーさんはめぐねぇの声を阻みながらみんなに言った。
めぐねぇはしょぼんとしている。
「じゃ、みんな……」
「行きましょ」
りーさんが再びめぐねぇの声を阻み先へ進んだ。
めぐねぇはまたしょぼんとしている。
「めぐねぇはやくー」
五人は最初に購買部へ向かった。
「幽霊……いないよね」
ゆきはりーさんにしがみついている。
めぐねぇはまだしょぼんとしている。
「油断は禁物よ」
りーさんがそう言うと、くるみは購買部の扉を開けた。
「えっと証拠の品だっけ」
「そうよ」
りーさんはそう言うと、制服やシャンプーなどをリュックへ詰めた。
「何取ってもいいの?」
「いいのいいの、ちゃんとお金は払うし」
りーさんはそう言うと、レジにお金を置いた。
「わーい」
ゆきは、走り棚を見て回った。
「チョコレートと〜ホテチと〜うまか棒と〜」
ゆきはパパパっといろんなお菓子を取っていった。
「くるみ…それ、どうするの?」
せいらがくるみにそう聞いた。
くるみが今持っているのは高枝切りハサミ。
「いや、武器にならないかなって」
「……使えんの?」
「だよな…」
そう言うとくるみは高枝切りハサミを元の場所に戻した。
すると、
「くるみちゃん〜せいらちゃん〜見て見て。これ20倍に膨らむんだって!!」
目が輝いているゆきがいた。
「おいおい何に使うんだよ」
「持って帰ろ。」
ゆきはリュックに風船を詰めた。
「みんな証拠の品は取った?」
「おう」
「じゃ次は図書室ね」
りーさんはリュックを背負うと次へ移動した。
図書室
りーさんは、図書室の扉を開けた。
図書室も、ガラスは割れ、本が散乱していた。
「く、暗いね。電気つかないかな」
ゆきが少し怯えた様子で言った。
「そしたら肝試しじゃないでしょ。あ、足元気をつけてね」
「うん」
ゆきは足元にあるガラスの破片を割った。
「あ、先行ってて。あたしらこのへん見てるから」
くるみはそう言うとせいらと共に扉の前で待機することにした。
ゆきとりーさんが奥へ向かったのを見届けるとくるみはせいらに問いかけた
「さっきのラジオ、アイツらを向こうに引きつけるためだろ?」
「そうだけど…それが?」
「ゆきが肝試しやりたいって言うから準備しといてくれたのか?」
隣にいるせいらの方を向いてそう問いかけた。するとせいらはバツが悪そうにくるみから視線をそらした。
「お前、だいぶ丸くなったな」
「そう?」
「最初に比べたら大分な」
せいらはそこから先は何も言わなかった。
「りーさんは、何の本持ってくの?」
ゆきはりーさんに問いかけた。
「教科書と、問題集…」
「うっ…りーさん勉強好きだもんね」
「いいえ。これはゆきちゃんの分よ。わからないところあるって言ってたでしょ」
りーさんは不吉な笑みを浮かべている。
するとゆきは慌てた様子で、
「あうーわ、わたしも本探してくる〜」
「あ、ゆきちゃん」
りーさんが呼んだ時には、すでにゆきはいなかった。
ゆきは、漫画の棚へ行き、ごそっと取っていった。
すると、
「いたいた」
「あ、めぐねぇ」
「だめでしょ走ったら」
めぐねぇはゆきに注意した。
「ごめんなさーい……あれ?」
「え…?」
ゆきは何かに気付いたのか奥に目をやった。
めぐねぇもそれに気付き目をやった。
すると、
「「!!」」
『奴ら』が一匹徘徊していた。
「だ、誰?」
「しっ!」
「……っ!」
めぐねぇは、ゆきの口を抑え、隣の棚を壁にし、『奴ら』が通り過ぎるのを待った。
『奴ら』が過ぎ去るのを確認し、
「ここでじっとしてて。絶対に声出しちゃだめよ」
めぐねぇはそう言うと、『奴ら』が向かった方へ行った。
ゆきはそわそわしながらもっと奥へ移動し、うずくまっていた。
すると、奥から「ゴスッ」と大きな音がした。
ゆきは泣きそうになるが、するとぬっと影が現れた。
そして、ゆきの目の前が明るくなった。
「おーいたいた」
「だめじゃない勝手にはぐれちゃ」
「大丈夫…?」
くるみ、りーさん、せいらがゆきに近づいた。
ゆきは安心したのかうるっとし、
「ご、ごめんなさーい」
がばっとゆきは泣きながらりーさんに抱きついた。
「あら、揃ってるわね」
めぐねぇが本棚の奥からひょこっときた。
「めぐねぇ!どこいってたの!?幽霊は?」
「幽霊?あぁ居残りしてた生徒ね。今送ってきたわ」
「でも声出しちゃだめよって…」
「だって、あなたたちがいると叱る時説明が面倒だし」
「ひどーい!」
りーさんは二人の会話を聞きながら微笑んでいた。
「で、肝試しは楽しかった?」
りーさんはゆきに問いかけた。
「楽しかったー来年もやろ?」
ゆきは微笑みながら言った。
「来年……そうね、約束よ」
「やくそくー!」
するとゆきはすっと手を出した。
四人はそれに答えるように、ゆきの手に自分の手を乗せた。