がっこうぐらし!+(再編集中)   作:すぴてぁ

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第39話 それぞれ

ある日、ゆきはとある空き教室に[トーコゼミ]と書かれた紙をペタっとドアに貼り付ける。

 

「お、本格的だな」

 

「うん。ゼミだよゼミ!ミンミンだよ!」

 

「そりゃセミだ!」

 

ゆきのいる所に他の学園生活部の四人とるーちゃんがやってきた。ゼミをセミだというゆきにくるみが呆れたような顔でつっこむ。

 

「ゼミナールはセミナーだしセミでも合ってるかも……」

 

「もうりーさんまで……」

 

「諸君おつかれ!」

 

りーさんの呟きに美紀が呆れていると、サークルの五人がやってきた。千鶴は寝足りないのか欠伸をしている。

 

「トーコ先生、よろしくお願いします!」

 

「うむ。ささっ入って入って」

 

ゆきの言葉にトーコは頷き、全員を中に招き入れる。みんなが入っていく中、アキはヒカに小声で問いかける。

 

「いつからトーコゼミになったの?」

 

「さぁ…」

 

二人は不思議に思いながらもトーコゼミの中に入っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…というわけで、第一回あいつらの正体を探ろうの会議~!」

 

「わーどんどんぱふぱふ」

 

「あの、第一回なんですか?」

 

トーコ以外の全員は椅子に座り、前にはコピーしたパンフレットが置かれている。トーコはホワイトボードに会議の議題を書く。ソレをみたゆきは笑顔で拍手をする。くるみ、りーさん、しおりの三人がそんなゆきを見て心配そうにしている中、美紀は挙手してトーコに問いかける。

 

「うむ。考えてもしょうがないことは考えないことにしてるんで」

 

「それは……トーコだけ……」

 

「考える意味ができたってことですね」

 

「うん。君たちのおかげでね」

 

トーコの言葉を聞いてヒカがジト目で呟くと、その言葉を聞いた全員が呆れたような顔をする。そんな中しおりはトーコに問いかけると、トーコはパンフレットを見せる。

 

「生物兵器か……情報科学部だからわからないや。誰か生物学部いたっけ?」

 

「アタシ文系。ヒカは?」

 

「工学部……生物は苦手」

 

生物学部はいないかと他のサークルメンバーに問いかけるが、アキは無理だと言い、ヒカは苦手と言って首を振る。

 

「私、外国語学部だから生物は論外〜」

 

「私も法学部なので難しいですね…」

 

「稜河原先輩は?」

 

「リセは……文化人類学部だったと思います」

 

千鶴も六花も自分の得意分野ではなく、美紀はリセはどうかと聞くが六花は違うと答えて全員ダメだっと言うことでどうすることもできず沈黙が続く。

 

「とにかく…ウイルスが原因なら、このランダルコーポレーションってところに行くしかないね」

 

「ウイルスなのかな……」

 

「何がですか?」

 

「だってあいつら……食べてないのに……動いてる」

 

トーコは咳払いをして改めて話を進めランダルコーポレーションへ行くと言うが、ヒカがウイルスなのかと呟く。りーさんの問いかけにヒカは、『奴ら』は食べていないのに動いていると言う。

それを聞いていたしおりは顔を伏せる中、話は進んでいく。

 

「そうよねー待っていれば腐りきって止まるかと思ったら、全然そんな様子ないし」

 

「ただのウイルスでは説明がつかない?」

 

「じゃ、すごいウイルスなんだよ!」

 

「ゆき先輩は黙っててください」

 

アキと美紀が推測をするとヒカはそれを聞いて頷く。ゆきがすごいウイルスと言うと美紀は呆れた顔をしてゆきに黙っているよう言う。

 

「すごいウイルスか…まぁそうかも」

 

「エネルギー保存則が……」

 

「ウイルスでなかったとするとやっぱりオカルトかな?」

 

呆れながらもゆきの言葉に納得するくるみだが、ヒカは一人ぶつぶつと独り言のように小声で呟く。

トーコはウイルス以外だとオカルトだと推測する。

 

「えーアタシ怖いの嫌いー」

 

「わたしもー」

 

「ふふふ…地獄の底からあふれた……」

 

『きゃー』

 

怖いのが苦手というアキとゆきを見てトーコは両手をわきわきと動かして不気味に笑いながら囁くと、アキとゆきは互いに抱き合い悲鳴をあげる。

 

「それ映画の話ですよね?」

 

「まぁ現実がこうなっちゃうとね」

 

「いい加減だね」

 

「いい加減大好きー」

 

『大好きー!』

 

美紀の問いかけにいい加減な返しをするトーコを見てアキがため息をつくといい加減大好きと言うと、それに同意するようにゆきと千鶴が言う。

 

「オカルトだとすると……どうすればいいんでしょう?」

 

「映画だとね、そうだね…悪と戦う?」

 

「あく?」

 

「世界を恨む悪の化身みたいなのがいて、それと戦うとか救うとか……」

 

オカルトだったらどうなるのかとトーコに問いかけるりーさん。トーコは、映画の場合の内容を簡単に話す。

 

「悪を救う、ですか」

 

「悪とは悲しいものだからね」

 

「目玉壊すマンみたいだね!」

 

「その通り!」

 

悪を救うと言う言葉にすこし驚いたような顔をするりーさん。ゆきが目玉壊すマン見たいだと言うと、トーコはゆきを指さしてその通りだと言う。

 

「目玉壊すマンはね、目玉壊すんだよ。だけどやつには悲しい過去があるんだ」

 

「ダリオマン気づくかな……」

 

「アーシアガールが間に合えば!」

 

急に目玉壊すマンとダリオマンの話を始めるゆきとトーコの二人。話を続けていく中ゆきは涙目になる。

 

「あー目玉なんとかマンの話はもういいから。ほんっとごめんね」

 

「いえ、私たちこそ…」

 

「んじゃさ、その悪ってのはどこにいるのかな」

 

アキとりーさんが二人の会話を無理やり止めて謝罪をし合う中、くるみは話に出てきた悪がどこにいるのかを考える。

 

「高層ビルとか?」

 

「研究所?」

 

「わたしボードにまとめるよー」

 

みんなでどこにいるのか考えを出す中、ゆきはボードにまとめると言って席を立ち上がる。

 

「水割りとか飲んでそう」

 

「悪の計画をたててるのよ」

 

「猫なでてる」

 

意見を聞いてそれを全部絵にしてボードにまとめる。

 

「これだね!」

 

「違うと思います…」

 

確かに言われた通りに水割りも書いたし、悪の計画書も持っている。そして膝には猫。しかしゆきの絵がゆるすぎるせいか美紀は違うと言って首を振る。

 

「と、とにかくランダルを目指すということでいいんでしょうか?」

 

「急がなくてもいいけどね」

 

「そう。ここも……ランダルね避難所なら……」

 

「探せば何かあるかもって?」

 

りーさんは話を戻すようにトーコにランダルに行くことを再確認する。ヒカも自分の考えを言うと、それに続くように言ったアキに頷く。

 

「しばらくお世話になってもいいんでしょうか?」

 

「もっちろんさ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会議が終わり、トーコは自室でテレビゲームをしていた。そんな中扉越しにノック音が聞こえた。

扉が開くとそこに居たのはくるみだった。

 

「なーにー」

 

「…あの、トーコさんは…」

 

「タメでいいよ」

 

敬語で話すくるみにタメでいいと言ってテレビゲームのコントローラーを渡す。

くるみはそれを受け取り隣のクッションに腰を下ろしテレビゲームをする。

 

「……今日あいつらとさ、話したんだ」

 

「あいつら?」

 

「武闘派」

 

「えっ!?」

 

ゲームを黙々とやっている中、トーコは武闘派のやつらと話をしたことをくるみに話す。くるみは、武闘派のやつらと話したことに驚く。

 

「べ、別に戦争してるわけじゃないからさ、話くらいするよ」

 

「あ、うん」

 

「武闘派とボクたちの縄張りが接する共有部分にある会議室があってね、そこに呼び出されたんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トーコはアキと千鶴を連れて会議室へと入る。そこに居たのは、革ジャンを着た男性タカヒト、黒髪の女性アヤカ、茶髪のサイドテールでおどおどした雰囲気の女性シノウがいた。

 

「それで、今回は何の用かな?」

 

「そっちに女が行っただろう」

 

「全部独占するのはずるいんじゃない?」

 

トーコが話の内容を問いかけると、タカヒトは女が行っただろうと言う。タカヒトの言う女は学園生活部のことだろう。

アヤカは独占はずるいと言う。

 

「知りませんよーアンタらがボウガン撃って追い回したんでしょ?」

 

「威嚇のはずだ」

 

「当たるとこだったよ」

 

「高上には罰を与えよう」

 

あの日、ボウガンの男性高上が襲ったところを双眼鏡を使って見ていた千鶴は当たるところだったとタカヒトに言うが、タカヒトは高上に罰を与えると言ってため息をつく。

しばらくの間沈黙が続く中、タカヒトが口を開く。

 

「こちらの不手際があったのならすまなかった。だが、新しい発見物は分かち合う約束だ。身柄はともかく物資や情報はどうだ?」

 

「あの子たちの物資はあの子たちのだよ」

 

「面白い話が聞けたらそっちにも伝えるよ」

 

タカヒトは身柄はいいと言ってその代わりに物資や情報の提供を求めるタカヒトにアキはあの子たちのものだと言って教える気はなかった。トーコは面白い話が聞けたら教えると言って今は伝えるような内容はないと言う。

 

「わかった。お願いしよう」

 

「話はそれだけよ」

 

「あの…お茶どうぞ」

 

すると先程まで何も話さなかったシノウがお盆にお茶が入った湯のみをのせてトーコとアキに渡す。

 

「ありがとう。シノウ元気?」

 

「あ……」

 

「勧誘はやめてね。シノウちゃんは大切な人材なんだから」

 

「勧誘とかって別に……」

 

アキはシノウに元気かと問いかけるが、シノウはお盆で口元を隠して黙り込む。

アヤカは勧誘はやめてというが、ただ話しかけただけのアキはむっとした顔でアヤカを見つめる。

 

「うん。話はわかったからまた連絡するよ。いか、アキ、千鶴」

 

「う、うん……」

 

トーコはお茶をグビっと一気に飲んで会議室をあとにする。アキはシノウを見つめながらもトーコについて行き会議室を出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やなやつらだなー」

 

「まぁねー。でもさ、あっちに行ってもいいんだよ?」

 

「あたしら…邪魔?」

 

武闘派との会議の内容を聞いていたくるみは武闘派をやならつらと言う。それに納得するトーコだが、くるみに向こうに行ってもいいよと少しすすめ気味に言うが、くるみはそれを聞いて自分たちは邪魔かと問いかける。

 

「ちかうちがう。ボクらはわりとゆるいからさー身体検査とかしてないし」

 

「身体検査?」

 

「武闘派は外から帰ってきたら毎回検査するんだって。アキが言ってた」

 

「……ふーん」

 

身体検査をすることを聞いてしおりのことを思い出すくるみ。もしもしおりのことがバレたらどうなるんだろうと思いながらもトーコの言葉につまんなそうに返す。

 

「だからまぁ向こうのほうが安心っちゃ安心かな」

 

「トーコさんは…」

 

「トーコで」

 

「トーコは怖くないの?」

 

くるみはトーコに怖くないのかと問いかける。

 

「そりゃ怖いけどさ、毎日ギスギスするのも嫌じゃん?」

 

「……うん。あたしはやっぱりこっちがいいかな」

 

「そっか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

りーさんとるーちゃんが廊下を歩いていると、トーコの部屋からゲーム音と盛り上がるくるみとトーコの声。

 

「もう。ご飯の時間なのに」

 

「ゆ…り…」

 

りーさんが二人に呆れていると、りーさんの名前を呼ぼうとするるーちゃんの声。りーさんは目を見開き、膝をついてるーちゃんの目線に合わせて抱きしめる。

 

「ゆう…り?」

 

「りーねーでいいわよ。ご飯一緒に食べましょ」

 

「うんっりーねー!」

 

るーちゃんは今までで一番の笑顔で答えた。

 

 

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