がっこうぐらし!+(再編集中)   作:すぴてぁ

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事情により前の話を飛ばさして貰います。




第7話 えんそく

-走るのはどこだってできる。練習だっていつだってできる

 

でも、この緊張感はかけがえがない。

 

スタートの合図を待ち受けるこの一瞬-

 

 

「くるみちゃん準備いい?」

 

「おう、いつでもいいぜ」

 

ボロボロの廊下、そこにいるのはタイマーを持ったゆきと屈伸しているくるみ、そしてゆきの隣にいるしおり。

 

「じゃあいくよ、よーい」

 

ゆきが手を上げるとくるみはぐっと助走準備をする。

 

「どん!」

 

合図と同時にくるみが走り出しゆきとしおりのいる所を通り過ぎた

 

通り過ぎた時にゆきはタイマーを止めた。

その先で息を整えているくるみ

 

「タイムは?」

 

くるみがゆきにそう聞くと、

 

ゆきは「ん」とタイマーを見せた。

 

「あちゃぁ」

 

「どしたの?」

 

「タイム、だだ落ちだ。練習さぼってたからなー」

 

「鍛え直さないとダメだなこりゃ」

 

落ちたタイムを見て落ち込むくるみ

それを見て疑問に思ったゆきは、

 

「あのさ、くるみちゃん……もしかして……」

 

「シャベルつけてるけどいいの?」

 

「あ、そうだった!」

 

「忘れてたの?ほんとに?」

 

ゆきに勘づかれたくるみは黙り込む

 

「…………」

 

それを見ているしおりはジト目で何も言わなかった

 

「くるみちゃんの愛には妬けちゃうよ。もうシャベルと結婚しちゃいなよ」

 

ゆきはニヤニヤしながら言った。

 

「いやほら、道具は体の一部になるまで使いこなすって言うだろ。奥義開眼ってやつ?」

 

くるみは慌てながら言った。

 

「どうする?シャベルなしの計る?」

 

「いや、いい。これならいける」

 

ぎこちなくくるみはそう言った。

するとシャベルを構え

 

「遠足でも何でもこい!」

 

そういうが、ゆきにはなんの事だかわからず見ていた。

さっきまで全く喋らなかったしおりは、

くるみの肩に手をのせ

 

「くるみって…嘘…下手」

 

「……うるせえ」

 

 

 

 

 

 

2日前

 

学園生活部の部室で朝食の準備をしているりーさんとしおり

 

「おはよー、あっごはんだ!」

 

「おはよ」

 

「おは…よう」

 

「ゆきちゃんどれにする?」

 

りーさんがゆきにそう聞いた。

机には缶詰が置かれていた

 

「あ、大和煮まだあったんだ」

 

ゆきはそれを手に取りぱかっと開けた。

 

「朝から牛!ぜ、贅沢」

 

ゆきは喜びのあまり震えている

 

「昭和かよっあ、鮭貰うぜ」

 

「はーい、それじゃ」

 

『いただきまーす』 「……ます」

 

 

 

 

 

 

 

「ふっふふ〜ん、ふふふっふ〜、ふふんふ〜ん♪」

 

みんなが朝食を食べている中ゆきだけはとても機嫌が良かった

 

「ゆきちゃんは朝からご機嫌ね」

 

その姿をみたりーさんがゆきに言った。

 

「うん、すごいこと思いついたからね」

 

「何かしら?」

 

りーさんがそう聞くとゆきはごくんっと口に入ってたものを飲み込み

椅子の上に立ち、

 

「遠足いこう!遠足!」

 

「ん、遠足?」

 

「そろそろ遠足の季節じゃない?」

 

「そういやそうだな」

 

ゆきの言ったことにそこまで反応しなかった3人

 

「ふっふっふーわたし気づいたんだ」

 

「学校を出ないで暮らすのが学園生活部でも、学校行事なら出たことにならない!」

 

ゆきはどやっとキメ顔で言ったが3人はキョトンとしている

 

「よね?」りーさんに聞くがりーさんは何も言わない

 

「よね?」くるみに聞くと、くるみはそっぽを向いた

 

「よね?」しおりにも聞くがしおりは何も言わずご飯を食べている

 

「いやいやおかしいだろ。遠足って部でやるもんじゃないだろ」

 

くるみが呆れた顔でゆきに言うが、

 

「くるみちゃんは頭が固いね!わたしたちの後に道はできるんだよ!」

 

「ぬぅっ」

 

キリッと言ったゆきにくるみは何も言えなかった。

 

「それなら提出用の文書作りましょめぐねぇに見てもらわないと」

 

「んふふふ…」

 

ゆきはごそごそと何かを出した

 

「じゃーん!」

 

ピラッとゆきが出したのは提出用の紙だった。

 

「むぅ」

 

それを読んだくるみはぐうの音も出なかった

 

「そうね、これを見てもらったらいいんじゃないかしら?」

 

「うん、ごちそうさま!聞いてくる〜!」

 

ゆきはガタンと椅子から立ち上がりぴゅーっと部室を後にした。

 

 

[さて、どうしましょうか]

 

[めぐねえ待ちだなゆきに任せようぜ]

 

[あら、ずいぶん積極的になったわね]

 

[あぁゆきも調子いいみたいだしな]

 

 

 

「めぐねぇいるー?」

 

ゆきは職員室の扉をあけた

誰もいない職員室でゆきは笑った

 

 

 

「オッケーだって!」

 

ゆきは学園生活部の部室へ戻り、めぐねぇの答えをみんなに伝えた

 

「あら、よかったわね」

 

「よしじゃあいっちょやるか」

 

「ん…」

 

 

 

 

 

そして今日がその日、くるみは空き教室に避難用の梯子を垂らした

くるみは髪を結び、

 

「よし」

 

 

 

 

 

少し前、空き教室にて

 

「玄関からじゃ無理だな」

 

りーさんが黒板に駐車場までのマップを書いていた

 

「三階からまっすぐ降りれば駐車場まで150mだけど、シャベル背負って全力疾走よ?」

 

「いけるいけるさっきタイム計った」

 

「本当に一人でいいの?しおりさんも一緒に行った方がいいんじゃ」

 

「しおりはそっちにつかせるよ。なんかあった時に何とかなるだろ」

 

「そうだけど……気をつけてね」

 

少し心配しながらもくるみに鍵を渡すりーさん

 

「任せとけって」

 

 

 

 

 

 

 

くるみはそっと避難用の梯子を降り地上1歩手前で止まり、

 

「よーい」

 

そこから地面に飛び

 

「どん!」

 

走り出した。

 

『奴ら』を避けながらめぐねぇの車を目指した。

それを阻む一体の『奴ら』

 

くるみはシャベルを抜き取り、しゃがみシャベルを振り回した

 

駐車場へたどり着いたがめぐねぇの車がどこかわからず戸惑うくるみ

 

「くそっ落ち着けっ」

 

ガチャガチャと鍵を入れようとするが焦って上手く入らない

 

「入った!」

 

カチンと音がし、車のドアが開くようになったが後ろから『奴ら』が

 

「くっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃りーさん達は、

 

昇降口のバリケードを一部外し外へでる3人

 

外の柱に隠れくるみを待つ。

校門辺りには『奴ら』が徘徊していた

 

それを見て息を呑むりーさん、そんなりーさんの隣にいるゆきは全く動じない。

しおりは辺りを警戒しながらくるみを待つ。

 

「大丈夫だよ」

 

りーさんを心配したのか、ゆきはりーさんの手を握った。

すると、

 

「早く乗れっ!」

 

急ブレーキをして昇降口へたどり着いたくるみ。

 

「もう遅いよ!」

 

「行きましょ」

 

ゆき、りーさんが車に乗り込み、それを確認したしおりが助手席へ乗った。

 

「しっかりつかまってろよ」

 

「待って。し、シートベルト」

 

「そう言えばくるみ、運転は?」

 

ふと疑問に思ったりーさんがそう聞いた

 

「そうだよ。くるみちゃん運転出来るの?」

 

「まぁ任せろって、いつもと感覚が違うけど」

 

「違う?」

 

くるみの言葉に疑問に思ったゆき

 

「いつもはハンドルコントローラじゃなくてパット派だからな」

 

「ちょっとくるみ、それってゲームじゃ」

 

りーさんが言いかけたが、くるみはミラーを調整して目を輝かせた

 

『ひーっ!』

 

ゆきとりーさんが焦っている中、しおりだけは平常心だった

 

「しおり、テク鈍ってないだろ?」

 

「…まぁ、でも本物は…流石に…」

 

「大丈夫だって!しおりはあたしと違ってハンドルコントローラだろ?」

 

「そう…だけど、そうじゃ……ん、もういいや」

 

諦めたしおりは何も無かったかのように話を終わらせた。

 

「任せろって、あたしの華麗なスピンを見せてやる!」

 

「スピンは……流石に…ダメ」

 

 

 

 

『奴ら』を何体か引きながらも校門を目指す。

 

そして、学園生活部が乗る車は学校を抜けた。

 

 

 


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