もう少し短くするよう工夫します
戦士になれ、って、言われても……………話は色々聞いたことはある、でも、どれもこれも、逸話やらおとぎ話やら言い伝えやら、そんなもんばっかで史実なんかじゃないって言われてたな。話としては有名なんだけど、信憑性にはイマイチ欠けるし、都市伝説云々、色々言われてるし、なぁ…………
しかしそれでも、クラスのオカルト好きの仲良い奴にオカルト雑誌のページを見せてもらった時に『今年は伝説が現実になる!?戦士、今年現る』とかいう記事あったな……。
確か過去の文献を漁って戦士が現れる年代を算出してみたらたまたま今年、って話だっけかな。
これをふと思い出し、脳裏によぎるものがあった______________これは本当に起こったことなのではないか?
顔から血が少しずつ引いて行くのを感じる。
嫌な感じ、悪寒、謎の恐怖。
体が少しだけ震え上がるが、しかしその後、一瞬これを現実と捉えていただけの、ただの錯覚だ、と言い聞かせて思考を戻す。
考えてみろ、戦士の話が出たところでまだ実在が確認されたなんてなかったんだ。
そんなことばを、耳元で大音量リピート再生させるかのようにして、消えないように己に刷り込んだ。
そう、これはあくまで伝説、架空、仮説……
そんな、架空の存在になれ、と眼前の架空らしき少女が言ってきたわけで、当然信じがたい話、鵜呑みになんてできやしないんだ。
怪訝な顔でそんなことを考え、親指で顎を支えていた左腕を俯く己の
龍神の顔は引きつり、驚愕、先々の不安、しかしそれでいて僅かな嘲笑の意もあるような表情で、
「そんな、まさかな……。戦士なんて伝説だろ!それを、やれってか?」
考え自体は俺と変わらないみたいだ。
ニコリ、と、彼女は俺たちがあたかも全てを納得してるかのように、自信ありげに、
「はい、それをやってもらいます!!」
目を光らせながらきっぱり言い放った。
嘘をつく者の目ではなく、確信をもって言っていた。
これだけはっきり言われると、喉元まで『わかった、やる』と言う言葉が出てきて、何も考えずに首を縦に振りたくはなるな。
…………でも、だ。
左腕を下ろし、顔をあげて、
「…………さすがに信じられないな。」
「それな、超嘘くさいぜ……」
あまりにも唐突に、あたかも普通のこと当然のことのように話を提示した彼女に、俺らがきっぱりと断るような回答をするのは少し心苦しいが、どうしてもこうする要素しか思いつかない。
「……えっ?」
予想外の回答なのか、自信満々で嬉しそうに喋ってた彼女が固まった。
対してこちらは気が楽になり、硬くなってた口が動かしやすくなってたので、話を続けた。
「…………そもそも、ルヒエルとは初対面なわけじゃん」
「え、ま、まあそうですけど……」
「初対面の相手を信用できるか?」
「うっ」
彼女は、何か弱いところを突かれたかのような声をあげ、力なく頭が垂れる。
そんな事気にせず、俺は話を続け、
「それでいて、自分の正体を架空の存在のはずの天使と言って、本当に天使かどうかの証明やら証拠なんてものもないし」
「うぐっ……」
今度は腕も力なく垂れ、猫背に。
話を戻すが、彼女が正体不明であることに変わりなく、身分を表す何かが欠けている。
その欠けてる中、天使なんて自称されてみろ。
俺らは(客観的に見ると自分でも自分たちが馬鹿らしくなってくるが)半信半疑が続いているが、もっと酷いやつならその場で笑いこけて相手にせず無視して去っていき、もっと相手が悪けりゃ頭が悪いと見くびられ、そのまま変なところに連れていかれて
俺たちだって、現実味なく空から落ちてきてなけりゃ、ここまでこんな話の相手になってなかっただろう。
それに、だ。
「戦士なんざ都市伝説云々の類、全くもってお化けみたいな扱いして信じてない、なんて言うつもりはないけど、なーんか、無理があるんだよなぁ」
「うぐぐっ」
ルヒエル撃沈、とうとう地面にうつ伏せで倒れた。
……戦士に関して、『戦士がいた』なんて言える明確な証拠がやはりこの場にない。
信用に足る文献も見たことないし。
仮に国のお偉いさんが文書管理してるなんて言われても、ありきたりの噂話としてしか見れないし。
「あと、俺魔法使えないんだけど………」
最後の最後に、超根本的な問題ではあるが、そもそも戦士をするに値しないということだ。
どこに魔法使えない人間で超重要なポジションを任される人がいるのでしょうか、どこぞの体術を極めまくって死門まで開けるようになった熱血教師のような人しか俺は知らないのですが。
残念ながら俺はそのポジションに入れるだけのものはない!!
「………あ、それなら確か何とかなったような……」
「マジで!?」
態度一転、こんなにうまい話が転がり込んでくるとは……
「はやく、早く何とかしてくれ、な、な、な!!」
「ちょ、ちょっとま、う、うわあっ、ゆゆゆゆ、揺らさないで下さ……ううっ!」
彼女の肩を両手でつかみ強く揺らしまくって急かした。
だってこれほどおいしい話はないんだ、なにせ生まれて十三年、一切の魔法を使えなかったんだし!
「早く、早く!! さっきまで信用してなかったこと謝りますからお願いします天使さん!!」
「ちょちょちょ、まっ、ストップ!!!」
我ながら気移りするのが早すぎる気がしないでもないが、一刻も早くしてもらいたいという一心でルヒエルを高速で揺らしまくる。
「はやくして頼……」
「…………おい、創太!」
興奮が冷めない俺に、冷水をぶっかけるような言葉が届く。
そのまま止まった俺はくらくらになったルヒエルを離して龍神のほうへ視線を寄せた。
「なーにその気になってんだよ、全く………都合のいいこと聞いたくらいで気変わりするか?」
正論。
「確かにそうだけど……な、なら俺が魔法使えるようにしてもらったら信用するってことにしようよ……」
「……わーったよ、じゃあそうするか」
少々納得のいってないような表情でため息をつかれた。
ちょうどいいことに、これで是非を決められる。
「じゃあ『自称』天使さんよ、こいつを魔法使えるようにしてやってくれ」
「頼む、ほんと頼む!」
俺は藁にすがる気持ちで、対して龍神は皮肉を込めた、凍った笑いを交えて頼み込んだ。
「……うう、わかりました。じゃあ……」
振り回された彼女は白い布袋を魔法で引き出し、そこに手を入れてドラえもんさながら、何かを取り出そうとする。
………………………する、が。
……………………見つからない、みたいだ。
「あ、あれぇ……み、見つからない…………なんで、え、ど、どこだぁ……」
「「……」」
「ええ、あ、どこだぁ、見つからないよぉぉ……」
「「……」」
どうやらドラえもんを上回るポンコツだったみたい。
「……ほらな、創太、見ての通りだ。」
「…………むぅ」
時間にして五分程。
時間切れってやつだ。
「ううっ、信用してもらえないんですか……」
力なく地面に伏した彼女の声はくぐもっていた。
ついでに彼女に残る信頼のかけらも地に落ちた。
うん、もう信用しないです。
彼女は地に伏したまま、はぁ、と最後の力を振り絞り溜息をつくと、今度は文句ありげなのかゴモゴモと小声を出し、手足をばたつかせ地面をポカポカと叩き出した。
なんか、駄々をこねる子供みたいだな……
だが駄々をこねたいのは俺とて同じで、期待をあっさり裏切られたわけだ。
繊維のように複雑に絡まった悲しい気持ちが俺を包み込んだみたいで、明るいのにもかかわらず視界が薄暗く感じるようだ。
そんな中、近くを通行人が通る。
当然のことながら、ちょっと視線が痛い。
そちらをチラと見ると、オバさん2人が何かコソコソ話してるので、耳を傾けてみたところ……
『…………ちょっと、何あれ?』
『うわっ、地面に寝転んでるわよ……どう見ても小学生でもないのに、恥ずかしくないのかしら?』
……恥ずかしいです、はい。
『きっと教養がないのよ、ほら、かわいそうな子よ……』
『あら?よく見ると女の子が寝てて、男2人が囲んでるわよ……。もしかして、レイp……』
『うわぁ、こんな真昼間に……警察呼ぼうかしら?』
……違います!!
決してそういうわけではない!!
ああ゛っ!!
これと同類だと思われたくないし、これを信用しかねるのでさっさとどっかに行きたい!
でも俺たちとてこの娘を放っとくわけにはいかないし、この感じだと行くあてがないだろうし!
もうヤケクソでそんな事考える。
とにかく気まずいので、顔をしかめて、
「龍神!とにかくどっか行くぞ!!」
「俺もさっさと行きてえけどよ、こいつどうする?」
「……なんで信じないんだろ○$%÷々〆♪.……呪おうかしら……神様に頼んd……」
「あーっ!めんどくせぇ!けど連れてく!!」
もうヤケクソ、ほんとヤケクソです。
「まあ落ち着けや、らしくない……あっ、いいこと思いついた。」
「ん?何?」
「まあ、移動しなくても、『見えなくして』続きやろうや。」
そう言って龍神は魔力を練り、右手を開き地面につけると、
『
魔法陣が展開され、そこから出る光に包まれる。
一瞬眩しくて、目を細めて体を構えるが、瞬く間に光は無くなったのであたりを見渡す。
俺たちのいた場所も何も変わらないように見える、そこにある建物、道路、人、空の全てが変わらない。
しかし、決定的に変わった点が一つある。
それは、
『うっ…………あら?き、消えたわ……』
『ほ、ほんとだわ……
そう、原則
これが、龍神の持つ三属性のうちの一つ『
ちなみに今使われたのは、魔法陣範囲内の魂を持つ生物を、肉体ごと生き霊にして、霊体だけが存在できる不可視の並行空間をその場に形成し、閉じ込めるという魔法だ。
この状態だと、同じ魔法にかかった人、霊全般、同属性の魔法を使える人、霊視ができる人、カメラで撮影される、一部の瞳術瞳力で無ければ実体を捉えることができなくなるのだ。(霊感が強いと気配だけは感知できる)
また、地面を除いて体は基本全て透過するようになるというおまけ付き。
おばちゃんたちは案の定その場を後にした。
こうなったからにはもう、心置きなく話を進められるだろう。
「はぁーっ、これで話進められる……」
「……ああ、そうだな」
二人で疲れたのでその場に胡座で座り込んだ。
「…………呪う、なにしよ、フフフフフフ」
ルヒエルはまだ愚痴ってる、というか、呪うとか言ってるけど、大丈夫かこれで?
「ちょ、物騒だなぁ……やめてくれよ、呪うとか」
「いいじゃないですか……主は何をしてでもやらせればいいとおっしゃっておりますし」
「にしても物騒すぎるぜエセ天使さんよぉ……」
「……じゃあ信じてくれますか?」
「「それはない」」
「…………そうですか。では、『
彼女の右手から魔法陣が現れ、そこから奇麗な水晶のようなものでできた、尖ったものが出てきた、おそらくこれが『聖釘』いうものだろう。
「「……………!」」
物自体はわずか2,30cmほどの長さだが、そこからあふれ出る気配はそんなものではない。
恐れざるを得ない、恐怖というよりかは、畏怖に近いもの。
あまりの神々しさに、怯まざるを得ないし、言葉を放つことさえ許してくれないほどだ。
今、時間は無限であるかのように引き伸ばされ、何もかもが長く感じる。
そして視界も歪み、重力は下からだけでなく、様々な方向から働くようだ。
空間に酔い、今すぐ倒れてしまいそうだが、体は鋼鉄製の自分の型にはめ込まれたかのようで、立つことしかさせられない。
ただ唯一、歪まずに目に映るのは聖釘のみである。
……ルヒエルが歪む空間の中を、亀に化けてゆっくりと獲物に近づく獅子のようにこちらに迫る。
後ずさりできない俺たちは無限大の時が経過するのを待つしかない。
しかし、長い長い時間をかけて、遅く遅く迫ってきているはずなのに、彼女は気づけばもう目の前だ。
歪みはとうとう体の間隔までもゆがめてしまう。
今、体は体でない。
視覚は当然のことながら、聴覚、嗅覚、痛覚、味覚までもが狂い、耳障りの妙な音、心地の良い音が不定期に入れ替わるように聞こえ、何もないのに刺激臭や柑橘系のさわやかな香り、腐卵臭、ラベンダーの香り、焼香のにおいなどが鼻を目まぐるしく駆け巡り、全身のあらゆるところが痛めつけられたり、切られたり、さらには性感帯を愛撫されるような感覚を外からも内側からも与えられ気がおかしくなりそうになり、口に何も含まないのに辛み、甘み、酸味などを感じるのだ。
体という自分の入れ物は歪み、形がなくなってしまったかのようである。
感じる時間の長さは異常極まりない。
『―
白い光が高度な多重魔法陣を形成し、溢れ出る魔力を集中させた。
それだけでなく、大気中の魔力までも吸収し、畏れの塊として牙を向けてくる。
『
俺らの足元から突如として木が生え、勢い良く成長しながら枝で俺たちを縛り上げ、十字の磔にした。
その俺たちの両手両足に、聖釘の光から放たれた杭が刺し込まれ、激痛が走る。
「「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!!!!!!!!」」
ようやく音を上げられ、この時、幸か不幸か体を縛っていたような緊張はほどけていた。
しかし、目の前の歪む景色は変わらない。
それどころか、耳には様々な声が聞こえる。
赤ん坊の泣き声、賛美歌、断末魔、中世の人々のような台詞、性行為時の淫らな喘ぎ声、天皇万歳の大声、玉音放送、恐竜の遠吠え、海のさざ波の音等々、目、耳ともにおかしくさせられる。
焦る、どうやってこの場を乗り切るか、焦り焦り呼吸が荒くなり、瞳孔は開きっぱなしで尋常じゃないだけの汗が滝のように溢れ出る。
手足から流れ出る血が地面に滴り、その度に木は徐々に成長を遂げていく。
「ふふふ、それは『セフィロトの樹』、生命の樹そのものの種子を召喚して、創太さんと龍神さん二人の血から生命力を得て呪殺することのできるの」
不気味な笑顔をこちらに向けて狂気に満ちた笑いを見せる。
病んでる、そんな感じだ。
「はやく『戦士になります』て言わないと、どんどん木が成長して血を搾り取られますよ、フフッ」
確かに先ほどより締め付けがきつい。
「ほーら、速くしてください、私だってあなたたちをぶち殺すのは本望ではないんですよ」
少々艶やかに淫らに体をくねらせて、誘ってくるようにこちらへ問うた。
「……………なら、は、早く魔法を使えるようにしてくれよ」
「……………確かに」
もとはといえばこいつが魔法を使えるようにするといっておいて結果そうならなかったからこうなっているのだ、俺は何も悪くはない。
「はやく、かはっ……魔法使いたいから……」
「え、えーと」先ほどの狂気があたかも嘘であるかのように元に戻る。
そして彼女はまた袋の中をガサガサとまさぐり
「……………………やっぱないから言うの待つ」
「「悪いのお前のドジじゃねぇか!!!」」
なんだよあいつ、期待ばっかさせやがって!
「う、うるさいうるさーい!!わ、私のドジだけど言わないほうも悪いもん!!」
「あ゛―っ、やってられない!!龍神、焼き払えるか?」
「そうだ、そうすれば!!」
『
予測済みのことで何度も見たことがあるが、相も変わらず驚いてしまう。
龍神の体から火が出てやがるんだもの。
異常という言葉がしっくりくるが、これが少なくてもこの世界の基本(スタンダード)であり普通のこと。
これらの
だから驚き、そしてわずかに嫉妬してしまう、毎回毎回、慣れたはずで慣れていない。
火は木へ燃え移る。
そして勢いを増して燃やしていく。
…………だが、何故か木から煙がでない。
それどころか燃え盛る炎を自ら消して言っているかのようである。
冷や汗を垂れ流す龍神を無視して、どんどん木から炎の手は引いていき、挙句の果てには完全に沈下されてしまった。
炭のようになったところは一か所もないどころか、むしろ太くなっている。
「んな、馬鹿なっ!!!!」
これくらいなら余裕で焼き切れるはずなのにっ!!!
「無理ですよ、神級の上位魔法でも使わない限り生命の樹なんて一か所も燃やせないですよ、なんせ無限の命を司る樹ですから」
そんな、チートすぎんだろ、こいつ……
「ほらほら、はやくしないと絞りつくしちゃいますよぉー」
激おこ天使さんはちょっとSっ気を無理に漂わせてくる。
悪役よりも悪役してるんじゃねぇか?
でもこのままじゃ死んでしまう。
なんとか漬け込んで、せめて樹だけでもほどくようにしねぇと……
痛みは増していく、意識も少し朦朧とする。
それでも考えろ創太……何とか乗り切る方法はあるはず……
考えろ、俺にあるのは丈夫さと頭なんだから……
まず奴、洋JCくらいの
そういやあいつドジだったな。
意外に簡単に何とかできそうな気がする。
「な、なあ……かはっ……っ」
まじか、吐血しやがった。
こりゃマズいな…………はやくしねぇと……。
「何ですか創太さん、早死にでも……?」
「ちがうちがう!!もしも、もしもだ、もし俺らが『戦士になる』って言ったとして、
「当然、解除しますが、それがどうかしましたか?」
「へぇー」
よくもまあ自信満々で言えるな。
「な、なんですか……?」
「本当にドジに解除できんの?」
嘲笑ってやった。
すると地雷を踏んだのか、すぐ反応して
「なにいってるんですか!!!で、できるに決まってんじゃないですか!!!」
顔を赤くして必死である。
「ほんとぉ?」
「ほんとです!!なんなら証拠見せますよ!!」
そういって右手を翳すと、俺たちに刺さる聖釘は再び彼女の手元で一つになり、それを消すと自然と俺たちを縛る生命の樹は消えていった。
それから俺たちは目を合わせる。
「ナイス、創太」
「予想A、大成功」小声で成功を祝った。
ちなみに予想Bはこのポンコツが魔法を解除できないというオチ。
そうはならなかったのは嬉しい限り。
「ほら、どうですか!!ちゃんと私でもできるんですよ!!」
と、自信満々の鳥頭が誇ってきた。
「おー、すごい!!やればできんじゃん」
当然棒読み。
「いやーん、それほどでもぉー」
「おかげで助かったよ」
「ああ、俺からも例をいうぜ、鳥頭天使さん」
「え、ええ、あっ、あ゛――――――っ!は、嵌められたっ!!」
まさかこんな単純なノリでここまで親切にしてくれるとはね……
「じゃあなー馬鹿天使―」
「ま、まてぇっ!の、呪うぞぉ!!」半べそかきながら天使らしくない言葉。
「はいはい、勝手に呪ってろ、天使らしくない言葉使わないでさっさと帰って小鳥のクソの上で寝てな!!」
「りゅ、龍神さんのほうがらしくない言葉ですよぉ!!」
『生霊空間解除!』
さっきの空間は消え、元の空間へ戻ってきた。
ああ、さっき生命力を吸い取られたせいか体がふらつく。
まあ、天使らしいのはなんとなくわかったが、あの天使はほっといて帰ろう、ほんとに今度は死ぬ。
それに魔法使えるようにならないのでは関わる意味がまるでない。
重い体を動かして、帰路に就く。
しかし、歩いてすぐに違和感に気づく。
悪寒。
これ以外の何物でもない。
隠す気のない気配は前から。
「ちっ!マジかよ!!こんなんじゃ動けねぇじゃねえか!!」
龍神が舌を鳴らす。
「ど、どうする……?」
まったく、今日はなんでこんなにやばいことが起こるんだよ!
ふらつく頭は正常な判断にかけ、後ろに戻るという選択をなかなかとらせてくれない。
「……創太、やべぇぜ、後ろの天使も消えてやがる」
振り向くと確かに消えてやがる。
「そりゃ、あいつは生命力とられてないし」
「だよな……」
そのまま、また前を向く、が……「グルルッ!!」
理解ができなかった。さっきまで目の前になかった気配の正体が現れた、大口を開け、今にも喰わんとしているのだ。
「「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」」
恐怖で頭が犯される。後ろに下がろうとするが、生まれたてのヤギのような脚にはとっさの動きは厳しく、そのまま尻餅をつく。
おわった、ほんとに……でも現実を受け止めたがらない。
眼前の化物はそんな俺たちに迫り、牙から唾を垂らして俺たちに飛び掛かる。
…………視界が落ちる。身構えてこんなことをしても意味ないのに……
そして鋭い何かが振り下ろされる音が聞こえる。
ああ、食われた……………………そう、悟る。
「……………………グエェェッ!!!!!!」
しかし、悲鳴を上げたのは俺らでない。
「……っ!」
目を開けると、そこにいたのは真っ直ぐ縦に切られたのか、血飛沫を体の軸から噴き出す化物だった。
「お、おい、龍神」
「…………ま、まじかよ!」
そしてよく見ると、化物の前で立つ
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
少女はその場で化物をさらに横に切る。
「グウウゥゥッ!!!」
悲鳴を上げる化物を背に「二人とも、大丈夫ですか?」
化物があげる血飛沫が十字架を
それを背にこんな優しい言葉をかけてくる