社畜によく効く小説です、笑って疲れも忘れちまえ。
この小説を読んだら多分だけど世界が広いって再認識できる。
「今日も平和だなあ」
「そうだな指揮官」
さて、平和とはなんぞや。勿論広辞苑とか引かねえぞ、あんなの文字数稼ぎにもならん。
死人が出ないこと? 争いがないこと? いがみ合いがない? まあ色々あるけど、今回は取り敢えず「争いがないこと」としよう。
とすると俺達は実に平和だ。潮風はベタついてイラつくし、ウミガモはキャーキャー喧しいし、空晴れ渡りすぎてサンシャインで干物にされそうな今日だがそれでも平和と言うなら平和。そういやロングアイランドってとっくに干物ですけどサンシャインの最初の犠牲者なんですかね…………。
「争ったり働いたりするよりずっとこういう時間が大事だ」
「いや、働いてくれよ?」
何だ急に、俺がそれほどサボる男に見えるか!? 見えるな!
静かに目を閉じると、そこには凄惨な戦争の記憶――――とかは特に思い出さないというか思い出したくないと言うか。まあ何ッ回でも言うけど最近は平和だからな、セイレーンも適当だしコッチも適当という疑惑が有る。
いいんだよ、皆ゆるゆるならそれで終わり!
「ドンパチやってる時間なんて無けりゃ良いのになあ。怪我とかされると今でも焦るし」
ついてくるだけで指揮をするという立場は中々ダメージの来るポジショニングだ。目の前で撃たれても俺が飛び込んだ所で時間の無駄なのだ、そういう細かい現実は我儘とは言え辛いものは辛い。
年端も行かない少女に戦わせて俺は安全マージン取って傍観、とか単純にクズ臭い。でも俺が何かした所で、とか考え出すともう俺の頭はサンドウィッチマン。問題はいつも理不尽に俺をサンドしてくる。上手くもなけりゃ美味くもねえんだよコンチクショウ。
じゃあ平和だけで良いじゃないか。だろ?
「それは勿論そうだ…………なあ指揮官。私だって今すっごい大事なこと言ってるのは分かるんだ」
分かってくれればこれ幸い。
偶にこういうこと言ったら「行動に移せやこの主人公」だとか「結局ゲスじゃねえか」とか心無い感想とか絶対来るもんな。こっちは人間でそれなりに必死でそれなりに弱いんだとご理解いただきたいものだ。
「うん、私も気の利いた返しをしてやりたいんだけど先に一つ良いか?」
「何?」
「私のマントに潜り込んでそんなこと真面目に言うなよ!? 反応に困るっていうか恥ずかしいから辞めてくれ!」
「やだー! ここ安心するんだー!」
あったかいし何か良い匂いするから俺は此処に住むんだ! 誰にも邪魔はさせんぞ!
無理やりマントに潜り込むとクリーブランドの体が僅かに後ずさる。
「本当にコレ誰かに見られたらどうするんだよー!」
「知るか俺を労えぃ!」
自分で言いながらこういうのを職権濫用で言うんだろうなって冷静に見つめている自分がいる。でも俺は止まらねえ、俺の指揮官魂が燃える限りは俺は止まらねえからよ…………!
逃げ回ろうとするクリーブランドに抱きつく形でがっちりロック。見た目はさながらドヘンタイだが実際ドヘンタイだしやっぱりドヘンタイなんだよな俺って。
――ああ、俺は見ての通りドヘンタイだ。ヘンタイじゃないぞ、ドヘンタイだ。常識なんてブラジル相当の何処かにポイ捨て済みだ。
二次元は良い、好きだ。夢とかロマンとか欲望とか気持ち悪いオッサンの良からぬ妄想の塊。まあコレ全部いっしょじゃないのか、まあ良いや。
俺はその二次元にやってきてしまってからというものの、若干狂った。若干じゃないとか言うな。
「何でそんなこの謎空間に固執するんだよ!」
「バブみが尊いからだ!!!!!!!!!」
えぇ…………。自分で言っておきながらさっぱり道理通ってねえじゃねえか、まあやるけどな。
怯える兄貴姉貴を追いかけ回す男、その名はスパイダーマッ!
マントごと両肩を抱いて執務室を走り回られる。見せてもらおうか、ユニオンの艦船少女の性能とやらを!
「多くは言わん、後五分!」
「イヤ! 絶対イヤ、指揮官のためにも私は断固拒否するからな!?」
んなことあるかぁバカモン。俺のENゲージ的なアレがパンパンになってメイドインヘヴンするに決まってんだろがい。
いつも疲れてんだからさ、偶には(?)こういう事しとかないと俺だって潰れちまうんだよってか御託とかどうでも良いからそのあったか空間に俺を帰還させろ!
「良いから黙って潜らせんかい!」
「このヘンタイ! 女誑し!」
「サイッコーの褒め言葉よお! むしろ興奮する!」
何とでも言うがいいさ! それでも俺は指揮官でお前は――――――
「…………ねえ、指揮官様?」
「はい」
そうして俺は正座させられている。
真っ黒も良い所な格好の女のスカーレットの瞳に俺は石化状態だ。毒女、神話的毒女、メドゥーサじゃ。
もう予想がついたのかもしれないが赤城。となるとこれも言うまでもないところはあるかもしれないが――――――
「マントですか!? このマントが指揮官様を誑かす邪魔者なのでしょうか!?」
「ええっと、その。あの、このぅ…………oh」
この通りなにか違う。マントを引っ張り回されているせいでクリーブランドが目を回してぐえーとか言いながら揺られている。凄い剣幕で脅してる感じがさながらヤクザなんだけどこの人怖くない? そしてクリーブランドが不憫過ぎる、大体俺のせいだけどな?
「羽織ではダメなの!? 答えなさいよクリーブランド、私はこの胸に指揮官様をうずめさせて差し上げる気概は勿論持ち合わせているわ。どうしてお前なの!? ねえどうして!? 答えなさいよ!」
「違う、そうじゃないぞ赤城さん!」
突然大声を出す形になって赤城がぴくっと耳を立てる。
驚かす形になったのは悪い気分がするが目の前で暴論が跋扈してるんじゃ俺も黙ってる訳にはいかない。世の中には通さなきゃいけない『正義』ってもんが有るわけで、赤城はそれを破ったのだ。
ならば俺が、今此処で『正義』を為すしか無い。
「――――アンタじゃ、ダメなんだよ」
「え?」
「恥じらってる兄貴のマントという届かぬ彼方にこそ栄えあり! アンタの開きっぱなしの胸元に飛び込むのなんざ勝負にもなってねえんだよ阿呆が――――――――ッ!!!!!!」
そもそも土台が違うんだよ馬鹿野郎! 致命的にジャンルエラーというのも有るけどな!
それ唯の赤ちゃんプレイだから! 俺が求めてるのは恥じらってる美少女を辱める合法的陵辱行為だ――――――俺最低だなぁ!?
「そ、そんな――――――!」
昼ドラよろしく自供しそうな感じで倒れ伏す赤城、待ってそんな深刻なショックを受ける内容ではなかったように思われますが一体?
しまった俺が冷静になってきた、上を行く意味不明さに我に返って真顔になってるんだけど。
だが止まる訳にはいかない――――コイツは何も分かっちゃいない!
「分かるか赤城さん、アンタの懐にダイブしてもそれは唯の赤ちゃんプレイに過ぎぬ! しかも難易度もぶっちぎりで低いしジャンルは違うわでお門違いってやつなんだよ! 男の夢舐めてんのかアンタ!?」
「男の夢って何なんだ指揮官…………私は公共の場所で叫べないし出来ないような事の総称じゃないと思うんだけど…………」
それはそれで需要はあるだろうが今欲しいのはそれじゃない!
男はワガママなんだよ! 欲しくない時と欲しい時が有るの!
「俺が欲しいのは普段勇ましくて、偶に乙女で兄貴なクリーブランドのマントの下という微妙にガードの硬い空間に居座ってヘヴン状態になること!」
「本人の前で真顔で言って良いことじゃないな…………」
だって考えてみろ、ああお前らもだ! 画面の前のお前だよ、おい読み飛ばすなよおいコラ!?
艦○れであえて言うならならば愛宕と大和で比べろ! 大和にダイブするほうが――――何というか心許されてる感凄くない!?
いや俺も何言ってるかもうわかんねえけど! そうなんだよ、萌えってそういうもので出来てることを積極的に受容していけ!?
「アンタじゃどうあがいても超えられないキャラ属性の壁なんだよ!」
「あ、良いところに。エンタープライズ、この惨状を何とかしてくれ」
「……………はぁ。良いだろう、二人纏めて説教だ――――ッ!」
あ、エンタープライズサァン!?
「…………バカなのか?」
アハンもっと罵って。そんなお前が俺は大好きだ。
「もっと、もっとぉ!」
「逆効果…………だと?」
そんな引くところだろうかね、今更感有るぞ。
俺を豚以下の何かを見るような目で見てくるエンタープライズ…………これはこれで。最近自分でも自覚が生まれてきたんだけど、相手が女なら俺は何をされてもある程度無敵なポイントが存在するらしい。
一緒に正座させられている赤城がギリギリと歯を食いしばってエンタープライズを睨んでいる。これは不味い、逃げろエンタープライズ。
アイコンタクトは届かない、無念。
「大体赤城、君も君だろう」
「…………何ですって?」
ああもう修羅場の匂いがプンプンとしてるぅ!
火花が! 火花が散ってるよ! なあ兄貴、俺達だけでもう駆け落ちしちまわないか!?
こっちにもアイコンタクトが届いてなぁい!? 顔を赤くするどころかキョトンとした顔で俺を見るな、そういうキュート極振りのモーションは別の時にやって下さい!?
「…………ふふっ、ふふふふ。ははははははっ!」
「うわ赤城さんはどうしたんだよ?」
「「私達にもさっぱりだ」」
待ってくれ、
ちょっと赤城の顔を見てみる――――――うわ、これはマジで洒落にならんことをする赤城の顔だ! 目がヤバイ、メインストーリー以来のすごい顔だ!
赤城が上を向いて呼びかける。
「加賀、来なさい!」
天井が綺麗にぽとりと一枚落ちてくる――――かと思えば加賀が音もなく落ちてくる。何やってんのお前!?
「はっ、姉様。例のブツですね」
「お願いね」
おい妹さん、ちゃんとこの暴走機関車を止めてくださります!?
忍者よろしくのモーションで天井裏に飛び登った加賀が消えていく、お前は赤城の側近か何かなのか?
ってか一体何を持ってこさせて――――とか言ってる間に帰ってくる。早いな、命令からわずか五秒。普段からそれくらい機敏に動けってんだ。
降りた加賀が丁寧に普通の――――ノートだよなアレ。それを手渡す。
「ありがとう、愛してるわ加賀」
赤城の言葉に加賀はまるで動じずそのノートをガン見してる。何なんだそのノート。
「あの、赤城さん。それは一体?」
「はい? ああ、これは――――――この鎮守府の所属艦のプライベート且つ『知られたくはない』情報を集めたノートです」
「うーん加賀も纏めて終わってるなあウチの馬鹿連中は!?」
碌でも無いノートだ、俺の力で奪えるなら奪い取って今すぐライターで燃やしたい。
加賀と赤城の愛という概念に対して俺は多大な不安感を募らせてていく日々なんだが本当に大丈夫? 愛故に共に落ちるじゃなくて愛故に引っ張り上げるべきだと思うぞ、加賀?
完璧跪く形になってる加賀が憐れで仕方ない。
「なあ加賀、辞めよう? 俺もそのノート結構気になるけど流石に止めよう?」
俺の声を聴くなり加賀が申し訳なさそうに俺の顔を見てポツリポツリと返す。
「違う、違うのだ指揮官…………」
「違うって?」
「私も弱みを握られているだけなのだ…………」
「赤城さんそろそろ愛の形を再定義しないと現代社会に乗り遅れてますよ! もしもし聞いてます!?」
愛が歪み倒して最早修復不可能な領域ですね!? 妹の弱みを握らないとさせられないことをさせるなよなホント!?
エンタープライズとクリーブランドが敵意剥き出しで臨戦態勢を取るが、ちょっと待て――――――そんな情報を奴等は隠しているとでも?
――知りたい。いやダメだ、流石にそれはダメだ。
加賀が応戦するのだが、当然のように艦載機を出してて俺もおこにならざるを得ない。
「お前は軍の金を何だと思ってるんだ!」
「知るか! 私の生命が懸かっているのだ、形振りなど構うものか!」
「えー、それでは読みましょうか…………ふふ」
凄い剣幕をしたエンタープライズとクリーブランドを加賀が見たこともない動きでいなしていく。普段よりよっぽど動けてないかお前?
というか全員多分大真面目なのにバックグラウンドが馬鹿すぎて言葉が出ないぞどうする。
――まあ、取り敢えず止める一手を指してみるか?
「加賀、なら運用費用はお前持ちだ。大好きな杏仁豆腐とは当分バイバイすると思え」
「何…………だと………………?」
加賀の顔に困惑と絶望、哀愁が漂う。
そして、涙ぐみながら加賀が叫ぶ。
「失うものなどとうに無し! 覚悟しろユニオンの腑抜けどもぉ!」
「――――――えぇ!? 何でだよ真顔になっちまっただろうが!」
「要らないことを言うものではないぞ、指揮官!」
要らないことを言ったらしい、っていうか止まってくれよ。頼むからこれ以上罪を重ねないで?
いや俺だってこんな殺生なことは言いたかないんだけど、これでもまだどうにもならない金がかかるんだ。一応俺だって助け舟は出してやりたいけど、いや何で俺が出す必要あるんだよ巫山戯んなもっとマシな事に貯金を使わせやがれ!
でも何やかんや助けちゃうしこうして俺の金が露と消えていく。これ以上加賀追い詰めてやるのも可哀想じゃないか?
「八つ当たりだこのぉ! 火傷しても知らんからな――――ッ!」
「自覚有るなら辞めような?」
「もう止まれないのだ、お前にも分かるだろうそれくらい!?」
分からねえよ、俺には止まるべきライン引きは一応有るんでな。え、ユルユルじゃないかって? うるせえ。
二人がかりにちゃんと戦ってるのは圧倒的成長だぞやったな加賀、でもお前のおやつはもう無いんだ…………。
とんでもないドンパチが繰り広げられている入口あたりの関係か、いや多分ただの嫌がらせなのだが赤城は嫌に大きな声で朗読に入る。中々のど畜生ムーブじゃないか、気に入った。殺すのは最後にしてやる。
「え~ではまずクリーブランド!」
「あ、おいちょま――――――」
「えぇっと…………夜な夜なクソ痛ポエムを書いている。しまっている場所は――――――」
あ、クリーブランド死んだ。へたりこんでぐずっている姿に流石に俺の良心メーターが振り切れる。
それと同時に可愛いなとか慰めてやりてえなあとか、この流れでエンタープライズのアレな話も聞きたいなあとか黒い俺も脳内を蠢き出した。
「赤城さんもう良い、辞めてやれ。とっくに戦意喪失してるから、あとで俺が何でも言うこと一つ聞くから辞めてやれ。な?」
「何でもですか!? 録音は致しましたよ指揮官様!?」
「何で常にテープレコーダー持ち歩いてんだよアンタはよぉ!?」
えっと、それはぁ。とか言ってもじもじする赤城。チョット待って引き攣った笑顔しか出来ない超嫌な予感がする。
「指揮官様の声をつなぎ合わせてですね――――「さあ次はエンタープライズのを聞きたいな~俺ぇ!」
不味い、俺の中で赤城が「マジで近寄ってはいけない人」になってしまう所だった。例えそうだとしても俺は指揮官、彼女達にちゃんと寄り添う義務があるのだ。
そのためには他の艦を犠牲にしたり
「なっ!? 指揮官!?」
許容できないものから目を背けることも
「昨晩も――――ああ、思い出すだけで滾ってしまいます…………」
必要なのだ。すいませんホントはそんな事考えてもなければ聞きたくなかっただけだしエンタープライズの話も気になったから都合よく誤魔化しただけなんです俺はどう見ても最低だけど頑張ってる日も有ったから許して神様。
神に赦しを乞う内に赤城がページを捲っていた。嗚呼、此処まで来て尚少しwktkしている俺がいる。最低極まる――――――ハハハハ自分のクズさを認めちまえばむしろこの状況は最高の高だなアァン!?
「では指揮官様のお望み通り――――」
「待ってくれ、待て待てよ待てと言ってるんだオイコラ巫山戯んな赤城!?」
エンタープライズが口調を保てていない。どんな内容なんだ、尚更気になる。どんだけヤバイことをしてるんだお前は。
「通す訳が無いだろう?」
加賀がドS化してきた。えげつねえ、コッチに一歩たりとも進めさせてねえぞ。
というか段々ノリノリになってきたな、所詮姉妹というか生粋のヴィラン気質というか…………。
「ええっと…………? へぇ~? グリッドレイの指揮官様の盗撮写真を買い取り、しかもお得意様待遇――――――へぇ~????? エンタープライズ、これはホントかしらぁ?」
「エッチョ、エンプラサァン!? っていうかグリッドレイさっきから食堂からコッチ撮ってるだろ、絶対裏取るから首洗って待ってろ!?」
睨むとグリッドレイが逃げていった。馬鹿め、鎮守府内にいる時点で俺の掌の上だっての。
あたふたとして耳まで真っ赤にしたエンタープライズが顔を覆って弁明を始める。
「ち、違うのだ指揮官! グリッドレイが余ったからどうしても買って欲しいと言うから…………そ、それだけなんだ!」
いやおかしいだろそれ、エンタープライズ相手にグリッドレイがゴリ押しで売りにくるとは思えん。
アイツだって相手は考えてるはず、キャラじゃないやつにはそんな事しても儲けが出るわけないし――――じゃあ、本人から買いに行ったのが自然だろう。
青褪めているエンタープライズの動きが緩慢になって、ご満悦な赤城の一挙一投足を目で追う。赤城の最高に面白いって顔が怖い。
ふふ、とヤバめの笑いと共に目線で俺に「まだ行きますか?」と問いかけてくる。もう好きにしろと目を閉じておく。
俺もアンタと同類だ、アンタに説教を垂れる権利なんぞ無いだろうさ。
「指揮官様――――エンタープライズの項目、A4用紙に文字びっしりですよ?」
「オイオイオイ、アイツ死んだわ(主に俺の中で)」
「アアアアアアアアアアアアアアアッ!」
愛が重いッ! エンタープライズ涙目になるぐらいなら最初からするな!
「ええっと、感謝の手紙と称した愛の重すぎる手紙を夜に書いては捨てている。現在252回目のトライだそうです」
「おおう、重いなそれ」
「後は…………え、飼っているメダカに指揮官様の名前をつけている?」
「急に尊い! グハァ!」
何それぇ! 俺が買ってあげたあのメダカかな!? いやホームセンターで備品調達するって言った時に欲しいって言ってたからね!?
ちょっと俺の理性飛んじゃうよそういうことばっかりしてるとぉ!?
赤城はその行為の意味がわからないのか首を傾げている。くそ、これだから地でヤバい奴は。並の男は卒倒だぞそれ。
ってかエンタープライズが撃沈してる。逆に加賀が抱き抱える形で支えてる訳だが、これを見ても赤城の良心は痛まないというのか?
「これは何でしょうか? いーぐるに指揮官の話ばかりしている?」
「それ弱みじゃなくて尊みリストです!」
え、ってか情報源どこだよ其れ。まさか加賀の独自調べ? 相当赤城につけこまれてるとしか思えない徹底した調べっぷりだけど。
――いやいや、やっぱり加賀ノリノリだろ。脅されてるからっていう名目で嬉々としてやってただろコレ。
「なーにが誠実に生きるよ。指揮官様、コレはとんだ女じゃありませんか」
「ちょっと俺もビックリしてる。愛が重い、死ぬ」
逆に今までこれを隠し通してきたスキルに敬服すら送りたい。此処まで来ても有能さが垣間見える辺り、俺はこれからも『艦隊の事に関しては』信頼していこうと思う。いやむしろそっちだけで見ると信頼度はずっと増した、俺が思うよりお前は凄いんだろうな。
でもたしかにこれは死ぬな、これA4用紙にビッシリだろ? 隠す辺り…………なあ?
ちょっとこう、何か励ましてやろうと歩み寄ると――――――顔をムクリと上げたエンタープライズが突然ニヤリとする。
「ど、どうしたエンタープライズ?」
「はは、はははははははッ!――――――もう隠す必要も無いのかと思ってな!」
「開き直ってんじゃねえよ!?」
髪色のせいで顔が闇バ○ラのそれと同じ。もうやけくそなんだろうな、だってその瞳からは涙は流れてる。本当は辛いところも有るんだろうな。
――まあ強がってるが色々来てるんだろう、ウン。
同情はしよう、理解はしないけど。
「引いたか!? 気色悪いか!? 恐ろしいか!? さあどうとでも言うと良いぞ指揮官、バレたからには如何なる評価も私は受け入れるつもりだ!」
決意が硬すぎる。メンタル強者だなお前。
――まあ、でも。
「いや。それでも今までお前が仕事してきたり、頑張ってくれたのは変わんないから評価は『人間的に好き』で変わらないぞ」
エンタープライズ感涙。表情が思いっきり崩れる。
「し、指揮官…………ッ!」
「いやでも引いてるのは引いてるし、今後お前の顔を見るたびちょっと後ずさってもそれは許せというか当たり前だろ普通そうなる」
「上げて落とすとは高度なプレイだなクソッ!? だがそれでも評価の揺らがないあなたが好きだ、愛してる! ケッコンしてくれ!」
「イヤです愛が重すぎます…………」
「カハァ!!!!!!!!!」
うん、何かゴメンな…………。俺に見えないようにすればセーフなわけだし、何というか頑張れ。
加賀が完璧に倒れ伏したエンタープライズの首の脈を測るような動作を見せた後、俺に悲しそうに顔を向けて静かに首を振る。いや絶対死んでないだろ何でそんなノリノリなんだ加賀。
「くっ――――指揮官、だが私もタダで死ぬつもりなど毛頭ない。少し耳を貸してもらえるだろうか」
「うん? まあ好きにしてくれ、死に際ぐらい大体の言うことは聞いてやる」
加賀の肩に寄りかかったエンタープライズの口に耳を寄せる。妙なことをしたら即頭をぶっ叩く用意はしてある。
エンタープライズが小さな声で
「赤城もあんな風に私を言っていたが、夜中に指揮官の部屋を物色しているぞ? 鍵は変えたほうが良い」
「アンタもかあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
結論から言うと此処は死体しか転がっていない惨状となって明石に発見される事態となるのだが、もうそれは忘れていい。
「散々な目に遭ったぞ、全く…………」
いかにもな溜息をついて俺の机に茶を置く加賀だが、お前は明らかに被害軽いと思うんだ。杏仁豆腐こそオサラバしたとは言え、俺の見る目が殆ど変わってないのはお前だけだと思うぞ。
ところで何故加賀が茶を置いているかと言うと、他のやつが軒並み工作艦送りになって消去法で加賀が秘書艦だからだ。アレから色々あったんだよ…………聞いてくれるな。
「ってかお前の弱みって何なんだよ」
「どうしてお前に教えなくてはならない」
ま、そう返すわな。だから手も考えてある。
「教えてくれたら杏仁豆腐は用意してやると言ったら? 勿論口外はしねえぞ」
加賀が俺の顔をちらりと見て大きな溜息。
ああ、お前は乗るしか無い。パット見お前のリターンが大きすぎるからな、俺もメリット小さすぎて内心笑ってる。
「――――フン、下らん交渉をする。良いだろう」
どうせ給料使う暇ねえしな、本当は元から払えるだけは払ってやるつもりだったわけだがものは言いようよ。
少しだけ加賀が尻込みした後、座ってる俺に耳打ちで話したのはこうだ。
「五航戦の子を盗撮……コホン、観察していたのをバラすと言われた」
「お前も中々だな」
「煩い、文句が有るか。元より私は狂人だろう」
自覚は有ると言われたが、そういう問題ではないんじゃないかなそれは。
どうでした? ずっとこんな感じ。ざっくりとした注意点。
・嫁が見えたら逃げろ、大体狂ってる。
・オタク語録とか出てくる。サブカル大事。
・感想欄がカオスになるはずだが好きに絡んで。鉄血を推す奴とか天上人の作者とか居るけどここでは平等におかしい。
・性癖を採用する。キャラは勘弁、育ててないと難しい。
・前書きと後書きは無理に読まない方が良い、本人も「コイツなんなんだよ」って思ってる。
同じギャグ二回読むとかキツイだろうけど、だからって放置するのも焦れったいだろうと思って敢えて書き直した。復旧とかより一秒でも長く笑えたり、「コイツラバカだなあ」って思える時間が大事。遅かったのはダクソとlolとFGOのせい、坂本龍馬カッコイイ。
あ、次回は愛宕出します。進水おめでとうってことで。
後サン・ルイの愛ボイスでリアルに「ウッ」って言ったことをご報告。分かった、責任取るよ…………(愛放置で酷使するクズ)。モナークが口調に比べて承認欲求お姉さんで思わず肯定したくなってる今日此の頃。出そうかな…………(そうやってまた開発艦ばっかり)。
というかエンタープライズ君、赤城だったらブチのめす気有るってどうよ…………。あ、うちでは口喧嘩は多いけど仲は良い方です。百合一歩手前、いつもこうなってるんだよな俺の女同士の関係って…………。
――――改めて、もしくは始めまして。
我らが狂気の鎮守府ギャグストーリー、「アバーズレーン」の世界へようこそ。