後半が増えてるので前編読んだ人は途中まで飛ばしてくださいね。
今回は面白い(断言)、我が最高傑作。今までのアバーズレーンを大体詰め込んだハッピーセット。
ところで折れた100円ビニール傘使ってるんですが骨組みを整えたら使えるので「一人じゃ仕事できない傘ちゃんかわいい」とか思ってます、変態だ…………。
さて、時系列としては3話の続き。頭おかしいよ。
後書き長すぎなんだよなあ…………。1400文字って。
あ、推薦とか特に許可要らないです。事後報告は有れば見に行きますが――――とはいえもう推薦は来ないと思いたい。まず推薦できねえからこれ。
「指揮官様、赤城にしますか? 私にしますか? それとも、ワ・タ・シ?」
「直球で言うけどアンタ頭は確かか?」
こういうことばっか言ってるから一行目でブラウザバックされるんじゃねえのかな。何の話って、
エンタープライズが見事に瑞鶴に追いかけ回されているので、「偶には他所でもすなるコミュニケーションといふものを、私もしてみむとてするなり」――――とか思いながら結局黒ストエロいよねって話を工廠の人としたわけだが、帰ってきたらそんな俺らよりやべーやつが居るのが俺の日常。頭がおかしくなりそうだ、もうおかしいけど。
いつの間に秘書艦ポジに居座ってるんだこの人。早く代わってもらえないとストレスで突然変異して現実改変とか取得しそうだからしっかりして。天草いい加減に四郎時貞。古○渚ちゃんと代われ、CV一緒だろうがオイ――――え、一緒なのかよ!?
「冗談ですよ、ふふ。お茶をお持ちしますね」
「ダメ」
「ど、どうしてですか?」
どうして私を虐めるの? みたいな顔してるんじゃねえよ。俺は女尊男卑のこの鎮守府でアウェーな人権無視をされてる側だからな。
――俺もな、別に赤城が何かすると決めてかかってる訳じゃないんだ。
「あの、この前お茶に何入れたか覚えてますか?」
「え? えっと、それはぁ…………」
モジモジしてんじゃねえよ先が読めてるからなすげえ気色悪いんだよ、分かるか? 分かれよ! 分かれって!?
――でもな。一つだけ言えることが有るんだ。
「キャッ、やっぱり言いにくいものですね…………」
「そらそうだテメエ媚薬ぶち込んだよなオイ、聞いてんのかコラ」
――赤城はな、「何かすると決めてかかる」じゃないんだよ。
別に決めてかからなくても何かするんだよ。もう俺と喋ってる時点で戦争は始まってるんですね?
とはいえ赤城の羞恥心という回路はかなり別次元の構造をしているのでその行為その物は全く気にしていない。どちらかと言えば俺と何をする気だったかとかを想像してるだろうから…………ぶっちゃけ俺でも引く。
一応言っておくが何もしてないぞ。指揮官を舐めるな、その程度の修羅場は死ぬほどくぐり抜けてきたんだよ。
「今回は入れていませんから。一回だけ、一回だけです」
「ヤクの密売人みたいなこと言っても駄目です、というか尚更アンタに注がせたくねえ」
すり寄ってくるな気色悪い! もっとマトモなこと喋りながら近寄ってきてくれないとウッって声に出るからな俺。
赤城を振り払って電気ケトルのスイッチを入れよう――――既に入っている?
「ちょっと待って、何か細工してないですよねコレ?」
「そんなまさか~、お帰りになったときにすぐに飲んで頂けるように配慮しただけですわ~」
あ、怪しい。まあ、幾ら赤城でも其処までは――――
「うわ何か翔鶴が落ちてきた!?」
外れた天井の床からうつ伏せで一眼レフに恍惚としている
眼をキラキラさせた翔鶴がカメラを眺めてふふふと気色の悪い笑い声を上げる。盗撮も此処まで来ると俺は好感持てるかな…………。いや気の迷いだわ今更引いてきた、現実に脳が追いついてない。
うわコッチ向いた、あっち行け。
「あ、指揮官も見ますか!? 赤城先輩のゲス顔!」
「見たくもないし何でゲス顔してたんだよ赤城さんんんんん!!!!????」
絶対なにかしただろ。赤城は首をブンブンと必死で振っているんだが冷や汗がスゴイよなあ!?
とりあえず何したのか吐かせようと距離を詰めると顔を真赤にしてあたふたした赤城が手を振って逃げ回る。
「あ、あの。ドキドキしてしまいますのでご勘弁を…………」
「あぁ!? 何いってんだこのヘンタイ空母ぉ!?」
男にガチ切れして詰め寄られて何でドキドキしてるの、それ恋じゃなくて恐怖ってことでいいのか?
「ストップ! ストップです指揮官様!? お話は勿論致しますのでまずは後輩の教育をですね…………」
「あ?――――ああ、そういうことですか。それは先に済ませて下さい」
有難うございます、丁寧な礼をした赤城がきりりと表情を切り替える。そういうテキパキした赤城は真面目に好きだよ、後の部分は大体こわいよ。
翔鶴が蛇に睨まれたカエルの如く固まっているのを良いことに赤城がしゃがみ込んで翔鶴に顔を突き合わせる。
「翔鶴、あなたね…………」
「あ、赤城先輩これには深い事情が…………」
「私を撮りたいと言うなら正々堂々撮りなさい!? 重桜空母としての矜持が足りないわ――――――けれど、私はあなたのその在り様は許容します!!!!!!!!」
「一生ついていきます赤城先輩――――――――いえ、赤城お姉さま!?」
「ああーもうめちゃくちゃだよ…………」
そうじゃない、確かに矜持が足りないというのは分かるけどそうじゃない。というか加賀も盗撮してた気がするがアレの判定は如何に。いや知りたくねえけどなそんな事!?
目を輝かせて赤城に羨望の眼差しを向ける翔鶴はもう何というか刑務所にぶち込みたい気分だがグッと堪えろ、俺は艦同士のアレコレまで口出してはならない…………ッ! もう若干手遅れだけど! 口出ししちゃってるけど!
「では泣き顔も一つ下さい!」
「無理よ!? 私を泣かせられるのは指揮官様だけですもの!?」
「俺はどっからツッコめば良いんだろうか…………」
俺は人を泣かせることはしないつもりで生きてるんでつまり一生泣き顔は見れないということなのだろうか。まあそれで良いんだけどさ。
落胆する翔鶴を死んだ眼で眺める。
扉が軽くぶっ壊れた!? 誰だ馬鹿な開け方をしたやつは、高雄か。どうせ高雄だろ!?
「おい待てお前、ただの指輪じゃないかコレ!?」
あ、気づかれた。蹴破ってきた加賀がそのまま俺の胸ぐらを掴む。
「そうだぞ~、ところで吐くからシェイクは辞めてくれ…………」
嗚呼ヤバイ、喉が変な液体でヒリヒリしてる。これは絶対ヤバイ感じのやつだよな。
顔を真赤にした加賀は俺の話を聞いていない。いやまあ怒られる理由は全然分かるんだけど、俺は女の子の胸元に吐瀉物ぶちまけるような趣味がないと言いますか。
――え? そういう奴もしかしている? ちょっとそれは引くな。
加賀が一瞬えげつなく引いた顔をした後手を離す。
「吐かれるのは流石の私も勘弁だ」
「だろ? それで次の罵声はまだ?」
楽しみにしてんだけど。
とも思えば加賀の顔が呆れに変わってその後いじけだす。ああ、面倒なやつだ。加賀が拗ねるとかなり面倒くさいのだ、コイツも所詮は赤城の妹だからな致し方ない所はある。
「本物だと思っていたのに…………やって良い冗談と悪い冗談が有る」
「悪かった悪かった、今回は俺が悪いから何か補填を効かせるよ。何が良い?」
今回ばっかりは俺が悪いからな、心は弄んじゃダメよ。
俺が何が良い、と言う前に加賀の目が妖しく煌めく。今回は何も言わないとも、全面的に折れるつもりでそういう言い方をしたんだからな。
「何でもと言ったか?」
「言ってないけど倫理的にオーケーなら例外はあるけど一個だけ聞く」
加賀が悪い顔付きで笑う。やっぱり幾ら言っても一航戦は元悪役臭が凄いし、俺も不用意な発言を理解した上でするとかいう自殺行為は控えるべきだと今思った。
「そうかそうか…………ふふっ。保留だ、時期が来れば教えてやる」
恐ろしいことだな、いつの日かこれに静かに頷いた自分を俺は殴りに行きたくなるんだろう。
さて、今更加賀は赤城と翔鶴を見つけたらしい。は?、とでも言わんばかりの顔でイチャつく二人に歩いていく。
「何をしているんだこれは」
「盗撮してました」
「盗撮するぐらいなら真正面から撮りなさいと説教していました」
「指揮官、私は帰っていいか…………?」
帰っていいよ、正直な所。
げんなりした顔で二人を見下ろしていたかと思うと、加賀は電気ケトルのもとにテコテコと歩いていって注ぎ口を見る。
「おい、お前これを飲んでいないだろうな」
「え、何で」
「ふむ、これは忠告するべきか――――――注ぎ口に盛ってあるぞ」
「おい、赤城。またか? またやったのかお前――――おい、上官が聞いてるぞ? さっさと答えろ」
テヘペロじゃない。やって良いことと悪いことがある。
「つい出来心で☆」
「おいおいおいおい――――お前には再教育が必要らしいな、赤城」
「あぁ! 厳格な軍人に戻ってしまった指揮官様――――――これはこれでイイ、ヤハリウンメイノヒト…………」
「おい加賀、この馬鹿の部屋にある俺に関する物を全部捨てておけ」
「いやぁ!? そんな殺生な!? ああでも罵られるのは大変素晴らしいのでもっとお願いしてもよろしいでしょうか!?」
やかましい。流石に俺も怒っているぞ。
馬鹿みたいに俺に関するものが散乱しているのはとっくに知っているからな、正直敢えて泳がせていたのだがそういうことをするなら相応の罰は必要だ。
「自分の体は大事にしろ、阿呆が――――――はぁ、怒ると疲れるので勘弁して下さいよ」
そういうのは遊びじゃ済まないからね、いや弱み握るのも大概っちゃそうなんだがまあギリギリセーフかな。俺の中ではだけど。
ダメなものはダメだよ。俺の私物盗むとかはまあ俺の被害で済むから良いんだけど、俺に襲われたとか取り返しつかなすぎるからな。
「おい、急に元に戻るとギャップで吐き気がする」
「加賀ひどくない?」
「指揮官こわ~い」
「お前は恐れを知ろうな?」
翔鶴がニヤニヤして口から血を流したまま俺をからかう。お前は何でも良いからそろそろその血の出処を診てもらわないか?
しかし何処を切ったのだろうか、僅かな興味で俺が翔鶴の方に歩いていったそのとき――――突然こちらに走ってくるブーツの足音。
「指揮官愛してる、何も言わずに匿ってくれ! そしてケッコンしてくれ!」
「匿うのは良いけどケッコンはしねえからなこのグレイゾーンゴーストがぁッ!」
文節滅茶苦茶だよお前、遂に言語能力を失ったか。
エンタープライズが目を潤ませながら礼をして扉の後ろに隠れる。それでも礼をする辺り、コイツラを見限るのもなーんか違うんだよなあ。俺が甘すぎるのだろうか…………。
加賀が隠れているエンタープライズに意地悪そうに笑いながら扉を閉める。今ミシッって言ったけど大丈夫かなコレ。
――――結果から言うと大丈夫じゃなかった。突如として始まった襲撃に扉はいよいよくっついているだけという有様、さて誰に弁償させてくれようかねこれは。
「「エンタープライズは何処だぁッ!!!!!!!!!!!!」」
「高雄と瑞鶴のアンハッピーセットに俺も思わずゲロを吐きそうだぜハハハハハハ殺してくれぇ!?」
「おい指揮官、縋り付いてくるな! 私にそんな泣き言を言うんじゃない!」
エンタープライズが勢いよく開いた扉にぶつかりそうになってビクビクしている。良い子だ、そのまま後ろを向かせずに帰らせるから大人しくしてるんだぞ~…………。
入って来るや否や竹刀を肩に下げた瑞鶴が俺に詰め寄ってくる。変な返答をしたら殺されそうな剣幕に思わず俺も後ずさってしまった。
「グレイゴーストは何処」
「え? ナ、ナンノハナシカナー」
((((この人嘘下手すぎない?))))
煩いな、お前らの心の声が透けてんだよ。
「何処に隠れてるのかって聞いてんのよ来ヶ谷ぁッ!」
本名で呼ばないでくれますかね!? びっくりするだろうが!?
竹刀をビシビシ肩に当てる瑞鶴は完璧にヤクザのそれ。高雄まで俺に詰め寄ってきていよいよ女子大生によるオヤジ狩りみたいな絵面になる。
「コッチに来たのは分かっておるぞ! エンタープライズが頼るなどそなた以外に誰が居る!?」
「お、お姉ちゃんとか」
「「あ、確かにそうだな」」
よっしゃコイツラ最高に馬鹿だった! そのまま帰れぇ!?
瑞鶴と高雄がこっちに背を向けてヒソヒソと話し合う。エンタープライズは足が見えないように器用に扉と箪笥に足を引っ掛けて隠れてるのだが、正直一瞬のミスで見つかるなコレ。
――――――随分と長い秘密会議が終わった後、二人同時にこちらに振り向く。
「悪かったわね指揮官、他を当たってみるわ」
「いや確かにそうだったな、思いつきもしなんだわ」
コイツラマジで馬鹿だな~。口に出さないように必死で取り繕いながら笑って誤魔化す。
「ま、まあ取り敢えず俺仕事しなくちゃいけないからさ? せめて他を当たってから来てくれないか?」
あ、しまった。話が続けられなくて首を絞める発言をしてしまったぞ。
周りにヘルプを求めるが全員苦笑いをして部屋の隅の方へ逃げていく。嘘だろお前ら、俺のこと好きなんじゃないのかよぉ!? いや今すっげえ情けないこと言ったな俺。
そうだな、と二人して頷いてしまう。うなずくな。
「では――――――何処だエンタープライズゥッ――――――!」
どっかに二人して走り去っていた。
「た、助かった…………愛してる指揮官」
「お礼代わりに愛を囁くな、新手の羞恥プレイかよ」
持ちネタみたいに連発するんじゃない、お前はもっとこう――――――イケメンになってくれ。お願いだから。
羞恥プレイという単語が最初理解できていなかったのか、キョトンとした顔をした後に首をブンブンと振って否定を始める。
「そ、そんな訳――――――無い! 無いぞそんな事はない絶対無い、無い無い尽くしで無の飽和が起きるくらい有り得ないからな!」
「図星だな、ふふ――――」
「ウソつけ絶対図星だゾ」
「ちがっ――――――なんで否定できない引っ掛かりが有るのかな、もう!?」
あたふたとするエンタープライズを見て加賀が楽しそうに笑う。お前相変わらず混沌が好きなのな。
すると横から赤城の憔悴しきった罵倒がエンタープライズに飛んでいく。
「何いちゃついてるのよ、私も混ぜなさい!?」
「赤城さん、別に俺の追っかけするのは良いから手段は選んだほうが良いよマジで」
完璧に言動がドルオタのそれなんだよなあ…………。まあBLで間に挟まりたいっていう感じのかなりアレなタイプのドルオタに見えるが。
追っかけ、という単語にピクリと耳が動いて考え込み始める。ありゃりゃ、こういうの言われたら真面目に考えちゃうタイプの人か。
エンタープライズが耳を真っ赤にしながらしたり顔で腕を組む。
「フッ、これがヒロイン力の違いというやつだ――――残念だったな、赤城」
「いやお前も大概ヤベー奴だし少なくともヒロイン力はゼロだぞ」
「なっ!? そんな事はないぞ、多分!!!!!」
多分っていう時点でなあ。大体何でお前がマトモなやつって扱いなんだよ、最低でも兄貴姉貴くらいのレベルまでは行かないと普通とは呼ばないんだぜ?
顔を覆って悶絶しているエンタープライズを赤城が歯をギリギリと鳴らして睨む。まずいなコレ、また戦争が起きてしまう。
特にあのパチモンデスノートが引きずり出されたら不味い。二次被害が尋常じゃないんだよなアレ、俺はその二次被害が見たいというゲスな欲求と戦わなけりゃならないからホント大変だ。
偶に欲に負けそうになる、だってさぁ!? 俺だっていっつも叱る側に回れるような精神構造じゃないんだよ本当はさぁ!?
「言わせておけばあなたね――――――」
「ええい、貴様ら纏めてろくでもない情報をばらまかれたくなければ静かにしろ!」
「よくやった加賀!」
何処からともなく取り出したパチモンデスノートで周りを牽制し始める加賀。控えめに言って救世主、映像はさながら破壊神。
メイン常識枠来た! これで勝つる!
「最終兵器加賀さんと呼ぶが良い」
最終兵○彼女の話だろうか。
「言ってることイミフだけどイケメンスマイルカッコイイケッコンしてーッ!」
「むしろケッコンさせろぉ!?」
うわ怖。あまりに圧が強いので加賀ちゃんのファン辞めます。2-4-11。
しかし最後にはこの面子で一番信用できるのは加賀だということが今決まった、信頼するぞ。エンタープライズと赤城を止める破壊兵器として存分に力を振るってくれ。
赤城の顔が明らかに「裏切られた女幹部」のそれになる。そんな悲しそうな顔せんでも……。
「何ですって――――――どういうつもりかしら、加賀!?」
「止まれ。ツテが有ってな、赤城のアレな情報も盛り沢山だ――――――どうだ、もしや本気で指揮官にゴミを見る目で見られたい訳でもあるまい?」
「いえそのシチュは大いに興味がありますが此処は大人しくしておきましょう」
良くも悪くも欲に正直すぎるぞ赤城。もう俺とすることなら何でも良いのか、だとしたらアンタも愛が重すぎるという他ない。
加賀の口が裂けんばかりに歪んだゲス嗤い。やっぱりお前ら姉妹だよな。
っていうか赤城が止まってるし情報自体はマジらしい。まあ既に期待してないから別にどんな情報が出てきても俺は受け入れるつもりだよ、赦すつもりはないだけで。
加賀が俺を見て溜息をつく。
「全く…………これぐらい指揮官なら何とかしろ。私が居なければ五回は死んでいるぞお前」
「多分誰も見てない所で俺は無数に死んでることになってるから大丈夫」
むしろこの鎮守府で生きていけるとでも? 何度でも死ぬし蘇るよ、それが理不尽ギャグってもんだ。
ピクリと動いたエンタープライズをニヤつきながら加賀が制止する。
「こらこら、許可もなく動くものではない。バラまくぞ」
「指揮官、助けてくれ。何の捻りもなく脅迫されている」
「まだネタが残ってる方にも責任はある」
エンタープライズが目を丸くした後、納得したようにうなずく。
「確かにな!!!!!!!!」
「開き直るな!?」
――ああ、俺が平常運転な理由? そりゃあ包み隠さず生きてるからバラ撒かれても「まあそりゃあね?」ぐらいで済む情報しか無いだろうからな。もともと変な人で通ってるんだよ、悲しい話。
加賀のノートのレイアウトに首を傾げつつ尋ねる。
「それで加賀、その物騒なノートで何をしようと?」
「お前を助けたのだ、コレを機に本物の指輪でも頂戴しようと――――――」
すかさずノートを没収。
「あ、ちょ! こら返さないか!」
「ほれほれ、背が低いでちゅね~」
170は超えてるからな、165も行かないだろう加賀では届くまいフハハハハ!
顔を真赤にしてぴょんぴょん跳ねる加賀はレアだな――――――向かいの棟のグリッドレイと目線を交わす。「バッチリです」、だそうだ。やったぜ。
「はいはい、揉め事の元は破って燃やしちゃおうね~」
「ああ!? 私がどれだけ苦労して情報を集めたと…………」
「うるさい、口答えすると杏仁豆腐没収するぞ」
ぐぬぬ、と拳を握りながら悔しそうにこちらを睨む。
「良いねぇその表情! その調子で目を潤ませて頬を染めながら頼むよ、最高に興奮する」
「クソ、このドヘンタイ! クズ! バカ! 女誑し!」
「最高の褒め言葉さぁ! もっと言ってくれないか!?」
悪いが捨てるプライドも持ち合わせてないし罵倒されるのは得意分野でね!?
とはいえ俺が理不尽なことをしたことが殆ど無いからか、赤城とエンタープライズに関しては肩の力は抜けているように見える。まあね、実際燃やす気だし。
こういうの奪い取って勝手に嗜むやつ居るよな、アレは駄目だ。読むなら真正面から堂々と読まないと。
「多少ギリギリアウトなスキンシップを取るのは俺がモテモテ主人公ゆえ仕方がないことなのだが」
「凄まじい自画自賛だな指揮官」
「おっとエンタープライズ、下手なことばっか言うと興奮するがお口をチャックだ。今お前達は俺の掌の上にいるんだぜ?」
何ちょっと嬉しそうなんだよ。俺そっち系に目覚められても対応しかねるからな、俺は基本甘やかすタイプだし。
様子のおかしいエンタープライズは放置。
「あんまり過激すぎるのはやめよう。特にこれはやばすぎる」
モラルハザードが起きるからなこれ。
「フッ、お前とて読んでいたくせに」
「今だって読みたいの我慢して大人な対応してるんだから静かにしてよ!? 読みたくなるに決まってんだろこんなおもしろノート!?」
正体を表したな、と言わんばかりの加賀の呆れ顔。我々の業界ではご褒美です!
「とにかくこれは俺が厳重管理するから! 良いですね!?」
「あ”ぁ”~~~~し”ん”と”…………」
椅子にもたれかかると溶けるように下にずり落ちていく。
アレから大変だった。駄々をこねる加賀を宥め、揉める赤城とエンタープライズを止め、満身創痍で焼却炉に向かって完全焼却。どれ一つとっても無駄に体力と神経を使わされて面倒この上ない。
ついでに失血ショックを起こしていた翔鶴を運んだりもした。
何がスゴイってさ――――――今言った仕事の一つたりとも指揮官の業務っぽく無い所だよな。
「私は諦めんぞ、何時か必ず本物の指輪を見つけ出してみせる…………!」
「まだ言ってんの? 絶っっっっっっっっっっっ対見つけられないから安心しろ」
見つけられないし開けられないし理解が出来ないし誰も知らない場所に在る。見つけた時はソイツを――――消すしか無いだろうな、多分。
赤城と加賀はセットで秘書艦にしないと事故る関係上、今は赤城だけが演習の結果報告を聞きに行っている。ぶつくさ言ってる加賀は俺に「何も入ってない」茶を注ぐだけのお仕事。
とはいえ美味い飲み物が有れば仕事も多少は進む。
書類仕事をぐったりしながらこなしていると加賀が不思議そうな顔で俺の眼を覗き込んでくる。
「何故そう頑なにケッコンを拒む。別に世間で言う婚姻とは違うだろう」
「うん? あぁ~それはな…………何となく俺が嫌なんだ、そういうの」
加賀は意味が分からん、という顔をして無言で俺に説明を要求する。まあ分からんだろうな。
「俺にとっては娘とか妹みたいなもんなわけで、決して女として見るもんじゃないってこと」
「何だそれは、お前のような兄が居てたまるか」
俺もお前みたいな妹は御免だ。縋ってくるし。
「それに――――そんなもん無くても信頼関係は作れるはずだ。加賀は俺が裏切る、とか想像できるか?」
「いや、全く」
「そういうこと。俺だって加賀を信じてる訳だしそれでジューブン、ジューブンなのだ。しかも此処でケッコンすると揉め事の元だし」
そう言ってもらえる関係で俺は十分だ、それ以上なんて求める気がない。
いつか戦争が終わりゃ普通に生活できるんだろうし、その時に俺よりよっぽどマシな男を連れてきてくれればいい。ただし俺は厳しいがな…………そこら辺の軟弱者には渡さん。
「…………信じてる、等と気軽に言わないことだな。これだから女誑しは」
「ん?」
「何でも無い。それで、いつまでサボる気だ」
うわ、急に仕事モードに戻った。
「今見てて思ったけどお前らのインナーえっちだからそろそろデザイン変えない?」
「殴っていいか」
「何で!?」
「何というか、裏切られたと言うかさっきまでの私に謝れ。大体肌を見せてはならんのか」
「駄目だよ」
この後は赤城が帰ってこないの良いことに、数十分ほど如何に艦の服装がえっちかについて話し続けたのだが、帰ってきた返答は
「そんな目で見ているお前が素直に気持ち悪い」
とのことだった。正直興奮した。
「ところで、何か聞かせたいことは決まったかね?」
「ケッコンが駄目なのだろう?」
「駄目ですね」
さっき真面目なお話してまで駄目な理由説明したからね、絶対ダメ。半裸で逆立ちして鎮守府一周してこいって言われたほうがマシ。
俺の返答を聞いた加賀が何度か頭を振り払って考え込んだり、地団駄を踏んだり忙しなく動いたと思ったら、そっけない顔でボソリと
「じゃあ、もっと体に触れてくれ…………」
「え?」
思わず聞き返す。何じゃそりゃ。
もう一回言わせるのか、と顔を真赤にされる。ゴメン俺にはよくわかんないわ真面目に。
「お前は女の体に触れるのをやたらと避けるだろう…………余所余所しくて嫌だ」
「分かったいくらでも触ってあげる!!!!!!!!!!」
もう頭をめっちゃ撫でてあげたよね。
――いやね? 昔にちょろっと読んだ雑誌とかで、「気軽なボディタッチは嫌われる」みたいな事書いてあったから敢えて避けてたのよ。
娘に「お父さん気持ち悪い」って言われたら三日ぐらい引きずるだろ…………俺ああいう目には遭いたくない…………。
加賀が辞めろと俺の手を何度も振り払う。嫌だね、尊さ100万点あげちゃう。
耳撫でてやったり色々しているとガタガタ揺れた扉がとうとう倒れた。赤城がスゴイ気持ち悪いニヤつき顔で横のエンタープライズに捲し立てる。
「どうですか私の妹は!? 最高に可愛いと思うでしょうエンタープライズ!?」
こいつら救いようがない馬鹿だなーと思って眺めているとエンタープライズが拳を握って涙ぐみながら叫ぶ。
「認めよう――――――今はお前が尊いッ!!!!」
「うわなんか言ってるぞこのグレイゾーンゴーストさん」
超ハイテンションな赤城があたふたとする加賀の手を持って穢れ混じりの炎をともした瞳で半狂乱に告げる。
「しっかりテープレコーダーで録音したわ加賀! 責任を持って何度でもリピートするから安心して頂戴!?」
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!」
あ、加賀が顔を真赤にして倒れた。これは――――頭に血が上りすぎたらしい。
――ま、こんな感じが俺の鎮守府らしいか…………。いつになったらコイツラ落ち着くんだろうね。ハハハハハ、笑えねえよ。
さて。取り敢えず盗み聞きするなっていう初歩的な説教から入るとしよう。
この小説でキャラ概念が壊れた人が多すぎるので失踪します、有難うございました。
前後編を纏めた理由は「後編が畳む内容でほぼ全部だったので前編と続けて読まないとつまらない」為です。感想くれた人は何か因果おかしくなっててスマン。
此処からアズレンに入るのは何もかもが間違いだからな?
別人と認識したりして自己防衛おじさんになってどうぞ。艦これがスナックだとするとアズレンはキャバクラ、ぐらい浮世離れ感有るのでこんな闇闘技場みたいなゲームじゃないよ。
最高傑作だと思う。何というか、「アバーズレーン」を体現してる話だなあって。珍しく杜甫kuresuが自分の作品に満足したレアケースだよ、どうですか?
ところで読者層は「社会人が多め」で「シリアスとギャグの両方が激しいやつが好き」だと思いますが違いますか? 4年規模のリサーチで読者層はざっくり掴んでいるつもりなんですが。
以下無駄話。暇じゃなけりゃ飛ばしてどうぞ、結構恥ずかしいことを凄え文字数で書いてる。
――いやー、にしても書き始めてから随分遠くまで来ました。気に食わないと消す性分でログはないんですけど2014年9月11日――――ぐらいが初投稿じゃねえかなあ。
初めて書いた小説は平均評価4.20という面白い代物でした、ログ残してたら読みながら笑い飛ばしてる。酷かったなあ、中学生の厨ニ魂って怖いよ。
さて、とはいえ今では平均評価が8以下で情緒不安定になったりそうでもなかったりという所までやってきた。ランキング10位まで行ったしね、こりゃすげえや。我ながら小説だ け は根性有るな。
変態の知り合いは増えましたし、貴方のようにやりたい放題の後書きも読んでくれる人もいるらしいよ。前置きで散々予防線張ったのに読んでくれて有難うございます。
また、この小説に限らず、作品の一つでも読んでくださった方に御礼申し上げます。これ読んでる奴は――――ええと、まだまだ続くからついてこい。
推薦もらったら引退するだろうなあと思って日陰でガラクタいじりをするような四年間だったので、偶にはマジの長話です。phes2氏から推薦もらったくせに全然辞める気起きねえなあ…………。
ってか今初めて兄貴神の名前書いたね俺? 読んでるか知らないけどえげつない渾名で呼んでてすんません、目標なんで呼び方が思いつかないんですよね。呼び捨てはつらい、本人の許可降りても怪しい。メジャーリーガーに野球少年が喋ってる絵面のイメージ。
後な、何となく書くの躊躇ってるお前そうお前だよ。俺でも続くんだからお前も続けられるに決まってる、だから――――――エンタープライズを書け! これ言いたかっただけだよハハハハハ!!!!!!!
楽しければ続くから取り敢えず挑戦してみよう。相談くらいは乗る、役に立たないの見えてるけどな。
では1200文字超過の場違いなしんみり後書きを読んでくれた貴方。これからもよろしくしなくていいので、次回も笑って読んで下さいね。
――真面目モード終わり! これからは速くて数日更新にするよ。今回みたいなヒューマンエラーが出てもアレだしじっくり作ってみようかなって。
にしても最近は色々と上手くいくもんだ、何でだろうか。日頃の行いは悪い筈なのだが。
ところで最近、兄貴神が女なのでは思い始めたんだけど俺疲れてんのかな…………んなわけ無いだろ。
いっそハーメルンの住人を全員美少女だと思い込めば俺のアヴァロンなのでは?(狂気)