僕のヒーローアカデミア~Eの暗号~ Phase1 作:エターナルドーパント
・・・後半はちょっとニヤニヤ出来るかも。
出久は、パニクっていた。
何故彼女が此処に?何時から居た?等と思考している内に、少女──芦戸三奈は口を開く。
「ゴメンね?・・・勝手に・・・聞いちゃって。アタシ、半年位前から、ここにこっそり入って、身体、鍛えてたんだ。そこら辺に転がってる、ダンベルとか使って」
出久はそれを聞いて納得した。確かにここならトレーニングアイテムには困らないだろう。この時間帯なら誰も来ないから、邪魔される事もなく、トレーニングが出来る。何より、ここならタダだ。実際出久も訓練時代、ここで良くトレーニングしたものだ。
「そんでね、さっき、ちょっと走ってたんだ。そしたらさ、あんたの歌が、聞こえてきたんだよね」
そう言って彼女は手を離し、出久の正面に向き直る。
「・・・マジかぁ、『time』でバレたかぁ」
「タイムって言うんだね、あの歌。そしたら、その人が来て、誰だろう、知り合いかな?って思ったんだ」
「で、その人を俺が〈オールマイト〉って呼んだから、驚きと好奇心でつい話しを聞き込んじまった・・・と」
「うん・・・」
話している内に、三奈も落ち着いてきたようだ。
「マジかぁ・・・全ッ部、聞かれてたかぁ」
出久が彼女に気付かなかったのも仕方ないだろう。何せあの出来事は心を直接抉るトラウマ。
歌いながら瞑想でもして、心を落ち着けないと、到底話せたもんじゃない。
「エターナル、あんた、辛かったよね・・・アタシ、その辛さは解らないけど、褒められて当然の事してるのに、逆に責められるっていうのは、苦しい事だっていうのは、わかるから。だからね・・・」
彼女は少し口ごもった
「?何だ?」
「あの時、アタシを助けてくれて、〔ありがとう〕!!」
「ッ!!」
顔が赤くなるのが、解った気がした。
「どんなに世間が
「・・・何で・・・そんな事・・・」
出久は聞いた。何故そうするのか、と。そして彼女は返した。
「・・・あんたが、『助けを求めてる』・・・そんな気がしたから」
「ッ!!・・・あ、あぁ・・・」
目頭が熱くなり、涸れたはずの涙が溢れそうになる。すると・・・
─ムギュッ─
「!!」
三奈は、少し背伸びをして、出久の頭に手を絡め、抱き締めた。強く、優しく。
「もう、大丈夫。ほら、オールマイトも、空気読んで、離れてくれたしさ。今は、思いっきり、泣いて良いんだよ・・・」
「!・・・うぅ・・・うあぁぁぁぁぁぁッ!!」
(そうだ、京水姉さんも言ってたっけ・・・辛かったら、泣いて良いって・・・)
その一言で、完全に決壊したらしい。
出久は、泣いた。
今は亡き兄弟の言葉を思い出し、彼女の
三奈は出久が泣いている間、ずっと優しく頭を撫でていた・・・
因みにオールマイトは、
「くっ、彼に起こる事は、何から何まで、ハンカチが手放せんなッ!!」
と、塀の向こうで一人、男泣きをしていた。
───
──
─
「・・・ありがとう!かなり楽になった」
一頻り泣ききった出久は、さっきの疲れた顔とは違う、生き生きとした顔をしていた。
「何言ってるの!ヒーローは助け合いでしょ?ヒーローになるんなら、今からでも助け合わないとね!それに、この前助けて貰ったから、コレでおあいこ!」
「!・・・あぁ、そうだな!」
出久は笑った。彼女に、欲望の力で戦った先輩ライダーの面影をみて。
すると・・・
「・・・あぁぁぁぁ!!」
「えッ!?何!?」
彼女は突然、叫んだ。出久もコレには流石に驚く。
「アタシ、あんたの名前・・・まだ聞いてなかった・・・」
「・・・あぁ、確かに言ってねぇし、俺も君の名前聞いてなかったわ」
割と今更な事だった。そして出久は名乗る。
「俺は、緑谷出久!出久って呼び捨ててくれ」
「わかった!アタシは芦戸三奈!こっちも三奈でいいよ!」
そう言って、互いに遅れた自己紹介をした。
「はぁぁ、良かった!」
「?どしたの出久?」
三奈はキョトンとする。そして次の瞬間出久は・・・
「いやぁ、漸く、
「・・・ふぇ?」
とんでもない爆弾を投下した。この男、良くも悪くも正直なのだ。
「・・・ふえぇぇぇぇぇぇ////!?!?」
時間差でその言葉の意味を認識したのだろう。キョトンとしていた三奈の顔は、一気に真っ赤になった。
「ほっほほッ惚れたって、いッいい何時!?」
「半年前に助けた時。あの時の三奈の笑顔に撃ち抜かれたぜ」
何でもない事のようにカミングアウトする出久。余程嬉しかったのだろう
一方三奈は・・・
(何でそんなサラッと惚れたって言えるの!?あれ?そう言えばアタシしょっちゅう出久の事考えてて会いたいとかも思っててえ!?え!?て事は私も出久のこと・・・)
大パニック状態だった。更に、自分が自覚無く
「そう言えば、三奈って、どこの高校受けようと思ってるの?」
「ひゃいッ!?ゆ、雄英だけど?」
「ワオ一緒!!」
「い、出久も雄英なの?」
「あぁ、ヤッパあそこが、一番手っ取り早い!」
この二人、志望校も同じだったようだ。
「なんか、途中から私ほっぽりだして一気に青春に走ったね君達」
オールマイトも戻ってきた。
「すまんすまんオールマイト。惚れた子だったからつい、な?」
「も、もう出久ったら///」
(この二人もう付き合うの時間の問題じゃないかな?)
実はオールマイト、さっきから展開されるこのピンク色の雰囲気によって、戻るタイミングを見失っていたのだ。
「んっんん!所で二人とも、雄英受けるんだって?実は私、今年から雄英教師なんだよね」
「「マジで!?」」
「マジマジ、君達のような子なら大歓迎だ!エターナルの事も、正体は出さずに、『情報を掴んだ』って感じで、さっきの君のエピソードをテレビで言ってみるよ。丁度、来週の時事番組で、噂のエターナルについてどう思うかってテーマで議論するらしいし。その番組、私も出るしね!」
「お!それは有り難い!オールマイトの影響力なら、認識もかなり変わるだろうからな!」
「あぁ、待っててくれ。所で芦戸少女、私のこの姿の事は・・・」
「解ってるって!秘密だよね!オールマイト!」
「あぁ、察しが良くて助かるよ」
三奈もそこら辺のお約束は弁えているらしい。
「・・・所で、出久。お願いがあるんだけど」
「ん、どうした?三奈」
「あの・・・お願い!アタシにここで、特訓付けて下さい!」
三奈は出久に頭を下げる。
「キツくて良いなら付けるが「良い!」・・・即答か。よし解った!明日から夕方五時半、ここに来い!親御さんには、友達と特訓しに行くって言ってな」
「その話、私も乗ろうじゃないか!」
オールマイトもかなり乗り気で入ってくる。
「よし!じゃぁオールマイトもさっき言った時間に頼む!三奈!」
「ん?」
出久は三奈に右手を差し出した。
「絶対、雄英合格しようぜ!」
「!当たり前!」
その言葉で右手に込められたら意識を察した三奈は、その手を握る。
「あ、そうだ!先輩の、おまじないっと」
そう言って出久は、フォーゼのやっていた『ダチの証』をやる。
「?出久、今の何?」
「おう、今のは、友情とか、絆のおまじないみたいなもんだ!」
出久はそう説明する。
「!・・・そっか、絆、か・・・///」
三奈の顔が赤くなり、頬も緩む。
「青春してるとこ悪いが、二人共、そろそろ家に帰った方が良いぞ?もう何時の間にか11時だし」
ヒーローとして、流石にそこは見逃せないようだ。
「あぁ、じゃ、その前に、オールマイトにプレゼントだ!」
そう言い出久は、あるメモリと、エターナルエッジを取り出した。そして、
【ジーン!マキシマムドライブ!】
「おりゃッ」
「ぐおッ!」
何とエターナルエッジをオールマイトの腹に突き刺したのだ。
「い、出久!?何してるの!?」
三奈は出久の正気を疑う。だが・・・
「安心しろ。オールマイトも、痛くねぇだろ?」
「あれ?本当だ・・・」
オールマイトの腹に傷などは無かった。
「タンパク質を摂取し続ければ、身体の
出久はこの一瞬でとんでもないことをサラッとやってのけていた。
「ッ!そ、それは本当なのか!?」
「本当だ。そうなれば、また固形物も食えるだろうさ」
「・・・ありがとう・・・君には、感謝しか無いよ」
「良いって事!あ、そうだ!連絡先交換しとこうぜ!来い!スタッグフォン!」
そう言って出久が右手を上に伸ばせば、
「え?出久何それ、クワガタ?」
「でもあるし・・・」
出久はスタッグフォンから擬似メモリを抜く。するとライブモードだったスタッグフォンが見る見るうちに変形し、ゴツいガラケーになった。
「俺のケータイでもある」
「「何それスゴい!」」
三奈とオールマイトの声が重なる。
その後、連絡先を交換し終え、各自家に帰った。その顔は、とても生き生きしていた。
to be continued
はい!こうなるのはもう始める前から決めてました!どうでしょうか。
次回はもう入試回まで跳びます。ではまた!