僕のヒーローアカデミア~Eの暗号~ Phase1   作:エターナルドーパント

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今回は、出久に自分の状態を理解して貰います。
どうぞ


第3話・地球のLⅡ/先人との会話

あの後、病院から戻った出久は、夕飯、入浴を済ませ、既にベッドに入っていたが、何となく身体が軽くなっているような気がしていた。

 

(あれから妙に身体が軽い・・・殴られた所が治ったのと、関係あるのかな・・・)

 

そう思いながら、出久は目を閉じ、眠りについた・・・はずだった。

 

「・・・ここは・・・」

 

目の前には白い空間に大量の本棚が浮かんでいる。どうやら今は、克己は『検索』をしていないようだ。

 

「『地球(ほし)の本棚』・・・でも、僕は寝たはず・・・なんで?」

 

「俺が、お前の精神を地球の本棚(ココ)に来るように誘導したからだ」

 

そしてやはり、克己が突然背後から現れる。

「ほう、もう驚かないんだな」

 

「流石にもう慣れましたよ」

 

克己の言葉に出久が答える。やはり時間が開いたからか、前よりもかなり落ち着いていた。

 

「それで、詳しい事を教えてくれるんですよね

 

「あぁ。教えてやる」

 

それから、質問タイムが始まった。そして、だいたい次の事が解った。

 

・克己はこの世界の人間ではなく、不死身の傭兵団『NEVER』のリーダーだった事

・この本棚では、キーワードを入力することで、様々な事を検索できる事

・平行世界の兵器『ガイアメモリ』の事

・こちらで言う(ヴィラン)のドーパント、ヒーローの仮面ライダーの事

 

「なる程、だいたい解ったよ。それと、気になることがあるんだ」

 

因みに敬語じゃなくなっているのは、克己が「硬っ苦しいからいい」と、タメ口OKを出したからだ。

 

「昼間殴られた所が治ったことと、それから身体が妙に軽くなったことか?」

 

「うん、コレって何なの?克己さんはわかる?」

 

出久はもっともな疑問をぶつける。すると返ってきたのは、予想だにしない答えだった。

 

「あぁ、簡単だ。お前が拾ったメモリ、『メモリーメモリ』が腕に刺さっただろう。それで、お前はドーパントになっているんだよ。勿論今もな。しかも過剰適合らしく、俺がここからどうやっても排出させられなかった。恐らく、一生そのままだな」

 

克己は何でもないことのようにさらりと言ってのけた。

 

「え!?ど、ドーパント!?でもそれって、毒で心も身体も壊れていくんじゃ・・・」

 

「お前は例外らしい。俺もこんな事例は聞いたこともないがな。過剰適合すれば、普通は必要以上の力を引き出しすぎてしまい、その負荷で身体と自我が急速に破壊される。だが、メモリーはお前が気に入ったらしい。その『記憶を司る』力で、お前に流れる毒素データを、ドライバーで濾過(ろか)した時と同程度まで抑えている。それに、地球の本棚(ここ)にアクセスできるのも、そのメモリのおかげだ」

 

「そう、だったんだ・・・ありがとう、メモリー」

 

出久はそう言い微笑んで、左下腕部を優しく撫でる。

 

「肝心の能力だが、俺が検索した結果、

・本棚へのアクセス権、閲覧権の取得

・映像資料の閲覧可能化

・思考の超加速

・身体能力向上

・A~Zt2メモリやロストドライバーなど、資料内の特定のデバイスの具現化

・本棚で経験したことの本体へのフィードバック

この6つがお前の能力だ」

 

「え?ちょっと待って、3つ目と5つ目は具体的にどういう能力なの?」

 

「3つ目は・・・例えば、事故にあった奴なんかが撥ね跳ばされている間、周りがスローモーションで見えるというだろう?あれを、意図的に起こせるようになる。

5つ目は、俺の使っていたモノなどの変身デバイスを作り出せるという能力だ。全く、財団Xやミュージアム(彼奴等)がこの世界にいなくて良かった」

 

「じゃぁ、ぼ、僕も・・・戦えるの?ッ!」

 

そう言った瞬間、出久はまた凍らされた(・・・・・)

「戦いを舐めるなよ。その程度では、お前は戦えない」

 

その言葉を聞き、出久は解った。この人の言う通りだと。だが、この少年は、そこで止まるような根性はしていなかった。

 

「・・・お願いします、僕に、『戦い方』を教えて下さい!」

 

何と出久は、一切躊躇無く土下座したのだ。

 

「僕は、力を手に入れた。でも、このまま戦えなかったら、きっと後で、死ぬほど後悔するッ!それに、仮面ライダーの話を聞いて解った。今のヒーローは、英雄(真のヒーロー)じゃない!僕は仮面ライダー(彼ら)みたいな、本当のヒーローになって、人々の笑顔を守って、涙を拭えるようになりたい!」

 

出久の言葉に、克己は正直圧倒された。こんな小さな子供が、こんな短期間で、ヒーローや正義とは何か、そして、それに近づくためにはどうする事が最適な行動かを見極め、躊躇無く実行したのだから。

 

「フッ、フフッ・・・フッハッハッハッハッハッ!!!」

 

「な、何で笑うんだよ克己さん!」

 

「いやなに、勘違いするな。良い物を見せて貰った。合格だ」

 

「え?」

 

克己は笑った。驚かされたのだ。今この世界で、多くの者がヒーローの意味を忘れているのに、こんな小さな子供が、ヒーローとは何たるかをほぼ理解できている。本当に嬉しい、最高の驚愕だった。

 

「良いだろう。お前には、俺達(・・)が直々に特訓を付けてやる。だが、キツいぞ。本物の傭兵の訓練だからな。『もう嫌だ』『やりたくない』などと言わないと誓えるか?」

 

「多少の苦痛は、覚悟の上だ!」

 

出久の瞳には、迷いなど欠片も無かった。克己は感じた。コイツは本気だ、と。

 

「よく言った!では、明日の夜、ベッドに入ったらここに来い。今日は、もう戻るんだ。明日から、地獄の特訓だぞ。覚悟・・・はもう決めているな」

 

「宜しくお願いします!」

 

そう言って、出久は本棚から戻っていった。

 

(克己サイド)

 

「お前達、話は聞いたな。明日から、彼奴は同士(なかま)だ。それぞれ、頼むぞ」

 

克己は、目の前の4人に語りかける

 

「解ってるよ」

 

「任せろぉ!」

 

「克己ちゃんの決定ですもの!当たり前じゃない!そ・れ・に、あの子の決意が燃えたぎりまくったあの眼!嫌いじゃないわッ!」

 

「・・・roger・・・」

 

彼等は、平行世界で、こう呼ばれていた。死を超えたもの(NEVER)、と。

 

to be continued




はい今回は解説回でした!あ、能力は一応、納得のいく物を考えました
5つ目の能力に関しては、翔太郎がドライバーを装着すると、フィリップの方にもドライバーが現れるあれをモチーフにしました。解釈的には、データ人間であるフィリップの身体に組み込まれたデータが具現化してるのかな、って感じです。
6つ目は、フィリップが閲覧したダンスを完璧に踊ったところからです。

さて、次回も閲覧、宜しくお願いします!チャオ~♪

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