僕のヒーローアカデミア~Eの暗号~ Phase1   作:エターナルドーパント

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エピソードのEです。そして今回、人によっては好かれなさそうな話の流れです。そういった人には先に謝っておきます。すいません。
ではどうぞ。


第31話・雄英体育祭3/氷火のE

「で、何だ?話って。俺ちょっと行きたい所があるんだが・・・」

スタジアムに繋がった通路の中で、出久が轟に問い掛ける。

「・・・気圧されたよ。自分の誓約(ちかい)を、思わず破るくらい・・・」

冷たい威圧感を纏って、轟が口を開く。

「誓いっつうと、頑なに炎熱()側を使わなかった事か?」

「・・・うん、そうだよ」

轟の顔がまた憎悪に歪み、口からは肯定の言葉が紡がれる。

「そうか・・・なぁ、図々しい事この上無いのは承知で聞くが・・・何があったのか、話してくれないか?まぁ当然強制はしないが・・・」

「・・・・・・」

出久はダメ元で聞いてみる事にした。やはり嫌なのか、轟の表情が曇る。

「・・・はぁぁ、うん、当然だよね。気になるのは・・・私の父親(エンデヴァー)、知ってるよね。万年二番目のNo.2ヒーロー・・・私は、アイツを否定する為に、炎熱()を封印してるんだよ」

「否定?どういう事だ?」

出久がそう聞くと、轟は皮肉るような笑顔を浮かべる。

「人に話すのは初めてだけど、良いよ。教えてあげる。あの父親()が、()()にやってきた仕打ちを・・・」

父親の事を『あの男』と形容するあたり、もう親と思ってもいないのだろう。そして、轟は再び口を開いた。

 

「アイツは、病的なまでに向上心が強くてね。ヒーローとして破竹の勢いで名を馳せたけど・・・それだけに、生ける伝説(オールマイト)が目障りで仕方なかったらしいんだ」

「・・・」

出久は轟が語る事を黙って聞く。

「そして自分ではオールマイトを超えられないと気付いたアイツは、次の策に出た」

「・・・繋がった・・・そうか・・・個性婚(品種改良)か・・・ハァ、なるほどな」

出久は早くも気付き、溜め息をついた。

「物分かりが良くて助かるよ。その通り。"超常"が起こって、第二~第三世代間で問題になったアレ・・・個性の遺伝を利用して、子供を自分の上位互換にする為だけに配偶者を選んで、結婚を強いる。倫理観の『り』の字すらない、前時代的発想。あんなのでも、金と実績だけはあったからね・・・母さん側の親族を色々手回しして丸め込んで・・・母さんの"個性"を手に入れたんだ」

「・・・・・・」

「私をオールマイト以上のヒーローに育て上げて、自分の欲求を満たそうとしている・・・そのために、幼少期から英才教育と称した、対象()の身体の事なんて度外視した暴力的な戦闘訓練。止めようとした母さんは何の躊躇も無く殴りつけた・・・そんな生活のせいで母さんは心を病んで、今尚入院中。

記憶の中の母さんは何時も泣いている・・・入院する直前なんか、『お前の左側が憎い』って、私に熱湯を浴びせたよ」

「ッ・・・!!」

この話に流石の出久も目を見開き、歯を軋ませる。

「だから、私は戦いでは絶対に炎熱(左側)は使わない。アイツの個性なんて無くても・・・ううん、母さんの個性だけで1位になる事で、アイツを完全否定する」

「・・・・・・」

「ゴメンね?時間とらせて。でも、私は左側は使わずに、君を超えるから・・・」

話し終えた轟は立ち去ろうとする。

「・・・なぁ、轟」

が、出久が呼び止めた。

「ん?何?」

「お前の気持ちは良く分かったよ。だが、俺は容赦なんてしない。本気で叩き潰してやるから、それまでにそのバンバラバンに腫れた指、キッチリ治して貰ってこい。冷やして我慢してたんだろ?」

「・・・分かってるよ」

そう言って、轟は今度こそ立ち去った。

「・・・さて、その辺適当に歩き回っとくか・・・」

出久はそう呟き、その場を後にした。

 

(出久サイド)

俺は取り敢えず、観客席の方に行ってみる事にした。もしかしたら知り合いが居るかもしr

「あれ!出久じゃないか!!」

お、この女でありながら男気に溢れた声は・・・

「おう、『勇義』か。久し振りだな。あ、それとも此処じゃ『星熊斬鬼』の方が良いか?」

「いんや、勇義で大丈夫さ!騎馬戦1位おめでとさん!」

駆け寄ってきたのは額に角を生やした大柄な女性。彼女はプロヒーロー『音撃戦士・星熊斬鬼』こと星熊勇義。勇義の個性は日本人なら知らない者は居ないであろう有名な妖怪、『鬼』だ。今は赤銅色の防弾ライダースーツに所々アーマーが付いたコスチュームを着ている。だが、筋金入りの機械音痴の為、バイク所かスマホさえロクに扱えない。

「あぁ!ありがとな!お?今日()()持ってんだな」

「おう!何たって、あたしの専用武器だかんな!」

そう言って勇義はベルトで背負っていた三叉槍のようなギターを構える。実は勇義は個性とは別に、その個性によって発生した妖力を使ったもう一つの能力を持っているのだ。

「いっちょ、此処で掻き鳴らしたいね♪」

「間違っても()()()だけは使うなよ?スタジアムが全壊する」

『増音術』。読んで時の通り、自分の発生させた音を超増幅させる能力。しかし何故か声は増幅出来ない為、何時も楽器を魔改造した武器を使う。

「で?ギター以外はどうだ?」

「おう!和太鼓とトランペットもバッチリだ!」

「機械音痴の癖に楽器に関しては相変わらず物凄い器用だな」

「ハハハ!じゃ、あたしゃコレで!」

「おう!またな!」

そう言って勇義は立ち去って行った。

「さて、腹も別に減らねぇし、もうちょいブラつくか「いーーずーーくーー!!!」な!?ちょまっデゥオア!?」

何か俺の腹にミサイルみたいな何かが飛んで来た!!?

「こ、こらフラン!何やってるの!!」

「いててて・・・ん?誰かと思ったら・・・フランにレミリアじゃねぇか!」

「えへへ~、久し振りだね、出久♪」

あはは・・・この2人は、前に話したレミリア・スカーレットと、その妹のフランドール・スカーレット。今年でレミリアは17歳、フランは15歳だ。

「相変わらず、元気だなぁフランは・・・俺が特殊だから耐えられただけだからな?俺以外にはやるなよ?」

この2人は吸血鬼(ヴァンパイア)の個性持ちで、勇義と同じく個性によって発生した『魔力』によって追加能力を獲得している。レミリアは高次予測、フランは物質崩壊点(クランブル・ポイント)発見だ。因みにレミリアは2年飛び級して、今はもう現役ヒーロー。

「大丈夫だよ!だって出久以外にはしないもん♪♪」

・・・ん?

「あぁ~・・・その、フラン?取り敢えず、その、退いてくれる?この絵面は、流石にちょっと・・・」

取り敢えず、未だに貼り付いているフランに離れて貰わねば。ここに三奈が来ようものなら確実に修羅場に・・・

「ねぇ、出久?その子・・・誰?」

「ッ!!?み、三奈!?」

来た。噂をすれば来た・・・

「ねぇ、答えてよ。その子、誰なの?」

ヤバい、ヤバいヤバいヤバい!目のハイライトが完全に死んでらっしゃる!

「あ、あの・・・ヴィジランテ時代にちょっとばっかり世話になったレミリアと、くっ付いてる方はその妹のフランです」

「・・・ふ~ん、そうなんだ・・・浮気じゃ無いんだよね?」

「そんな訳無いだろ!?」

・・・殺されねぇかな俺。

「・・・プッ、アハハハ!!分かってるよ!冗談冗談♪」

「・・・へ?」

三奈が一気に明るい笑顔で笑い出した。

「はぁ~お腹痛い。出久本気でビビっちゃうんだもん、笑っちゃったよ!」

「・・・心臓に悪い!演技力高すぎだろ!」

ほ、ホントに心臓に悪いわ。

「フフフ、私を下した狂戦士も、恋人の前ではタジタジね。三奈さんよね。出久の事、宜しくお願いするわ」

「分かってますよ!所で、狂戦士って?」

というか、俺がテンパってる間に女子で話し始めたよ。

「あぁ、恋人ならアナタも知っているでしょう?『あの日』の事」

「ッ!!・・・はい」

「私達と会ったのはその後だったらしくて。テロ組織を壊滅させたのは良いけど、その疲労で倒れてたのよ。それを助けて連れて帰ったら、目を覚ました途端にパニックを起こしちゃってね。私の屋敷で大暴れしてくれたのよ。まぁ、人に怪我を負わす事だけはしなかったけど」

「あぁ~・・・」

三奈がジト目でこっちを見てくる・・・。

「あ~、その節は申し訳なかった。それと取り敢えずフラン、そろそろ離れて?」

立ち上がれはしたけどまだフランはくっ付いたままだ。

「はぁ~い・・・」

よ、漸く離れてくれた・・・

「ねぇ、さっきから気になってたんだけど、何でフランちゃんはそんなに懐いてるの?」

「あぁ~、休ませて貰ってる間に『何か面白い話とか無い?』って言ってきてな。兄さん達の話をしたら気に入ってくれて・・・調子に乗って他の仮面ライダーの話をしたら懐かれちまったんだ。まぁ、その時は二度と会うことは無いだろうと思ってたから、ついな?」

「な、なるほどね・・・」

「あ、言い忘れてたわ。騎馬戦1位通過、おめでとう」

「おぉ、ありがと・・・なぁ、ちょっと気になったんだが・・・フラン、もしかして『出久のお嫁さんになる!』とか言ってたか?」

「え?」

うん、三奈がまた驚いたな。というかまだしっかりハイライト仕事してるって事は、さっきのは本当に演技だったんだな・・・。

「ふぇっ!?」

え?あのリアクション・・・まさか・・・

「ええ、言ってたわね。今頃思い出した?」

「いや、なかなか離れなかったし、離れるのスッゴい渋ってたし・・・」

「お、お姉様!止めてよ恥ずかしい!!」

あ、否定はしないのな!?

「・・・でも・・・出久には、三奈ちゃんが居るし・・・無理、だよね・・・さっき、浮気って言ってたし・・・恋人同士なんでしょ?」

ど、どうしよう、フラン泣き出しそうになってる・・・

「・・・フランちゃん、ちょっと来て」

「ぇえ?」

「良いから♪」

え、三奈?どうするつもり?

(ゴニョゴニョ)・・・」

「え!?本当!?」

「うん!本当!」

「や・・・やったー!ありがとう三奈ちゃん!」

・・・なんか、一瞬で解決してくれましたけど・・・これ絶対俺に何かあるパターンですよね・・・?

「あ、アタシ達もうすぐレクリエーション競技なんで、これで。行くよ出久!」

「お、おう・・・」

そう言って三奈は俺と腕を組んで引っ張って行く。

「あ、そうそう。さっきのだけどね。アタシをほったらかしたりしないなら、アタシは出久のハーレムは大歓迎だよって言ったんだ♪」

「・・・は?・・・は!?ハーレmむぐ・・・」

「シーー!」

おっと、口抑えられた・・・ていうか三奈ってこんな器大きいんだな。にしても・・・もしハーレムになったとして、その場合は結婚とかどうするつもりなんだ?まぁ責任は取ろうと思うが・・・

「何惚けてんの出久!行くよ!」

「おっちょ、ま、待ってくれよ三奈!」

・・・まぁ、その時はその時か・・・もしバレたら峰田に呪われそうだな。

 

to be continued




「クッソ羨ましいぞぉ出久ゥゥゥゥゥ!!!」
『いや、何かスマン。完全に向こう見ずに趣味で書いてるからこうなった』
「クソゥ!クソゥ!何だよ!せっかくお届け物の依頼受けてやったらコイツはもォォォ!!!」
『悪いけどもう解説入って良い?』
「アァーもう良いもんね!俺ちゃん吹っ切れちゃうもん!」
『良かったぜ。じゃ、質問どうぞ』
「何で出久はモテるんだよ!?」
『ヤッパリそれか。全然吹っ切れて無いじゃねぇか。俺の趣味だ、良いだろ?』
「チックショーーーー!!!」
『ホラホラ次々!』
「フランちゃんはロリかぁぁぁッ!?」
『年相応だ。巨乳って程でもねぇが、そこそこ出るとこ出てるぞ』
「うん!いいねぇ!じゃあ能力は?フランちゃんの能力の詳細プリーズ!」
『おお、フランの能力は物質崩壊点(クランブル・ポイント)、つまり物体の絶対的な弱点を見つけ出す能力だ。そこを壊されれば、どんな物質でもたちまち壊れる。元ネタはベターマンの攻撃力最強の形態、『フォルテ』の能力だな』
「お前、色んなモノ入れるよな~」
『別に良いだろ?後レミリアの能力は、簡単に言うと『デジャヴをハッキリ認識する』能力だ』
「???」
『・・・デジャヴってのは色んな説があってな。俺はその中の一つ、寝ている間に見た夢の未来シミュレーションが偶然当たったけど、夢そのものは覚えてないから何故か経験した事があるように感じる、っていう説に基づいたモノだ』
「・・・あぁ~、でレミリアはその予測をしっかり認識出来るって事か」
『そう。前に読んだ小説であった、レミリアの能力に関した考察でな。運命を操る程度の能力の本質は、これから起こる事を予測して、自分に都合の良い運命に向かうように行動出来るって能力なんじゃないかって。
その分イレギュラー(予測不能)に弱いから、戦いながら次々メモリを変える事で無限大のバリエーションを生み出すエターナル(出久)とは相性が悪かったんだ。
因みに、2人の見た目は悪餓鬼さんっていう人の作品内の姿に近いかな』
「な~るほど、良く分かったわ。じゃ、今回はこの辺で!チャオ♪」
『次回も宜しくお願いします!お楽しみに!』

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