僕のヒーローアカデミア~Eの暗号~ Phase1   作:エターナルドーパント

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大変お待たせいたしました!ハイスクール王蛇の方に集中していて・・・
と、取り敢えず、どうぞ。


第40話・職場体験S/一人の音楽

──職場体験当日──

 

「お前ら、コスチューム持ったか」

雄英高校の最寄り駅にて、相澤が声を上げる。この日、ヒーロー科の一年は、それぞれの選んだ体 験 先(ヒーロー事務所)に行き、これから一週間プロの仕事を体験させてもらうのだ。

「ハーイ!」

「伸ばすな芦戸。それと、コスチュームは絶対に紛失するなよ。本来は公共の場じゃ使えないモンだ。じゃ、各自解散!」

相澤の言葉で全員が自分の行き先に向かう電車のプラットフォームへ向かう。

「三奈、フラン!ちょっと」

「ん?どったの出久」

「何~?」

そんな中、出久は三奈とフランを呼び止めた。

「まず、これ渡しとく。急拵えで出力は低いがな」

そう言って出久は懐から取り出したモノを2人に渡す。

「こ、これって!」

「出久のロストドライバー!?」

出久が2人に渡したのはロストドライバーに()()()()ドライバー。

違いは、ロストドライバーでは右だったスロットが左になっている事だ。

「これはロストドライバー・マイルド。出力を少し低く設定してあるから、戦闘時の手加減に余り気を割かなくても良くなる」

そして、紅いメモリを取り出してフランに手渡した。

「フランにはタブーメモリを。

禁忌と魔女、そして魔女狩りの記憶を内包している。相性が良いはずだ」

「でも、何で?」

「お前らの行き先考えてみ?」

「「あぁ~・・・」」

そう、実は2人とも永遠亭の場所は知らないのだ。なので、今までは出久のボーダーメモリで行っていた。

「だから、コイツも渡しとく。これは新しいメモリだ。名前は『ゲートメモリ』。

門の記憶を内包していて、行ったことのある場所へのテレポートゲートを開く能力を持っている。

それと三奈。ガイアドライバーとアシッドメモリを使っても、お前の成長は期待できなさそうだ。

だから、これからはジョーカーを使ってくれ。身体能力強化のメモリだ。済まないな」

「大丈夫だよ。わかった」

三奈はガイアドライバーとアシッドメモリを出久に返し、変わりにジョーカーを受け取る。

「じゃ、頑張って来いよ。チャオ♪」

出久はそう言って、プラットフォームに向かった。

 

一方、皆さんが最も気になっているであろう爆豪はと言うと・・・

 

「一週間宜しくね!爆豪君!」

「・・・おう、麗日」

何と麗日と同じガンヘッド事務所だ。麗日と同じく、格闘術を身に付けたいのだという。まあそれだけとは限らないが・・・

「緊張するね~!」

「落ち着け。出久が才能ありの太鼓判押すお前なら、多分大方は大丈夫だろ」

と、彼らしからぬとても優しい言葉をかける。さて、何時くっつくか・・・

「あれ?爆豪君、今日何か優しくない?」

「う、ウッセ!ほっとけ!」

少し赤く染まった顔を逸らす爆豪。これはもう少し掛かりそうだ。

「あ、もしかしてお腹減ってる?蝗の佃煮食べる?」

「い、蝗ォ?・・・まぁ、貰っといてやる・・・ウマッ!」

「えへへ、調べて作ってみました♪」

どうやら麗日のかなりマイルドになった狂 気(昆虫偏食)にも対応できているようだ。お似合いである。

 

(出久サイド)

 

新幹線で45分、目的の駅に着いた。俺はそこから徒歩で目的の建物を目指す。

「さて、グラントリノ・・・検索しようにもキーワードが少なすぎてろくに絞れやしなかったが・・・どんな人だ?」

何せあの平和の象徴(オールマイト)の脚が生まれたての山羊か子鹿みたいになる程だ。覚悟はしておこう。

「ここ・・・だよな・・・?メッチャボロッボロだぞこのビル。大丈夫なのか?」

目的の住所に来てみれば、まるで「オレノカラダハボドボドダァ」という叫びが聞こえてきそうな程に見事にボロックソなビル。

「住所は合ってるし・・・失礼しま~・・・ウェイ!?・・・って何だ、ケチャップか」

扉を開けると、何と老人が床を真っ赤に染めて倒れていた。一瞬敵の襲撃にあったかと思ったが、あの独特の鉄臭い血の臭いがしない。

その代わりにトマトの匂いがするから、多分ケチャップをブチまけたんだろ。

「ったく、おいお爺さん!起きてますか?」

「起きとる!!」

「おぉ起きてた」

ガバッと起き上がるご老人。元気だねぇ。

「あぁ~たた~。ソーセージの切ってないヤツにケチャップぶっかけたの運んでたら、コケた~」

んなこったろうと思ったよお爺ちゃん。

「誰だ君は!?」

「雄英の緑谷出久です」

「何て!!?」

「緑谷出久ですよ!あなたが!指名したんでしょ!!」

「誰だ君は!?」

大丈夫なのかこのジジィ・・・か~な~り出来上がっちまってるぞオイ。

「飯が食いたい」

「今し方アンタの座布団になっちまったソーセージならあるぞ」

何だこの漫才・・・

「俊典!」

「それオールマイトや」

「知っとったんか」

「地球上の総てを知ってはいる。全部閲覧なんてとても出来たもんじゃないが」

やっぱりオールマイトの先生ってのは間違いねェな。

「で?どんなモンなんだ?」

「・・・俺の実力の話なら、まぁそこらのプロヒーローが束になろうと、せいぜい俺を少々仰け反らせるのが精一杯だろうな。プロヒーローのそのまた上澄みならどうか知らんが」

オールマイトなら、もしかしたらデカいダメージ喰らうかもな。

「じゃあコスチューム着なさい」

早速実践で見ようってか。

「・・・あいな了解」

そして俺はアタッシュケースを開け、コスチュームを取り出し慣れた手つきで着替た。ドライバーも装着する。

そして・・・

「コレコレ♪」

要望書に追加しておいた『多目殺傷籠手(マルチアタックガントレット)・インセクト』だ。たった3日で良くもまぁ此処まで完璧に仕上げたな・・・ってI・アイランド製か。成る程。

「準備出来たかい」

perfect(完璧だ)

手短に答え、俺はグラントリノに向き合う。

「じゃ、まずは生身ので能力の小手調べ!?」

 

─ドゴンッ!─

 

チッ、外したか。何てスピードだよ。

「あっぶないな君!殺す気か!?」

「実戦訓練ってのは殺す気でやる訓練のことを言うんだよ。知らねぇのか?」

「戦場仕込みってのは恐ろしいな!」

そりゃな。俺をそこらの『よーいどん!』でしか始められない(リハーサルしか出来ない)奴らと一緒にされちゃ困る。

「今度はコッチから行くぞ!」

ッ!?凄いスピードで壁や天井に着地しては次のジャンプを繰り返しt

 

─ゴンッ─

 

っと、インセクトのお陰でギリギリ後頭部への蹴りを受け止められた。さて今度は・・・

「コッチの性能テストもさせて貰おう!」

そう言って俺は両手の中指を根元まで握り混み、グラントリノに向かう。

「ぬぅ!?」

警戒して跳ぶ!その前に!

 

─カチッシャキン!─

 

何度でも刺す(インフィニット・スパイン)!!」

「ぬおぉ!なんだそりゃ!?」

俺の連打(ラッシュ)を紙一重で交わしたグラントリノが驚愕の声を上げる。何故なら俺の拳には・・・

「よけますわな~、そりゃ・・・」

鋭い針が中指と薬指の間から1本ずつ生えているからだ。しかもグラントリノの後ろにあった壁は見事に穴だらけ・・・鳥肌立った。集団恐怖症にはキツいなこれ。

「よし!君の実力は解った!」

「では、戦闘終了と言うことで・・・っておいグラントリノ、レンジ踏み潰してるぞ」

恐らく何度でも刺す(インフィニット・スパイン)を避けた時にあそこに着地しちまったんだろう。

「何だよその武器・・・おっそろしい」

「これはこの『インセクト』の内蔵武器の1つ、『雀蜂(ワスプ)』だ。他にも色々あるぞ。見るかい?」

そう言って俺はワスプを収納する。しかし、見事に要望通り。俺の力でも全然針が曲がってねぇ。チタン合金か?そこそこ軽いし。

「どんなのがあるんだ?」

「まず、コレには3つの内蔵武器がある。それぞれ、人差し指、中指、薬指の根元のボタンを押せば、ガス圧で自動展開、収納する。ワスプは中指な。そして・・・」

 

─ジャキン!─

 

今度は両肘から巨大なニードルが飛び出す。

「薬指は『巨針蟻(ディノポネラ)』だ。コレはアマゾンに生息する巨大な針蟻の名前にちなんでいる」

 

─シャコンッ バシャッ─

 

最後に、手首から肘までの装甲が展開、鋭い刃となる。

「人差し指の武装(これ)は、流石に見た事あるだろ?」

コイツはかなり有名だ。都会っ子でも一度は目にした事があるだろう。更にいうと、コレは他と違って形が原種のまんまだ。

「・・・蟷螂(カマキリ)、か」

「正解ッ!コレは『蟷螂(マンティス)』だ。更に、エターナルエッジにスパイダーメモリを装填して、糸張り巡らせて超気流感知(エア・ディテクション)なんてのも出来る」

説明が終わり、俺は蟷螂(マンティス)も収納してインセクトを外す。

「・・・どうやら、俊典の言っとったことは本当らしいな」

「オールマイトは何て?」

良い予感はしないが・・・

「『彼を人間だと思ってるとエラい目に遭います』だとよ」

「んなこったろうと思ったよ(2回目)」

もう認めてるよ。俺が人外の沼に首ヒタヒタまで浸かっちまってんのは。だからってこれはヒドいんじゃねェの?

「俺は飯を買ってくる!掃除宜しく!」

「えいえい、行ってらっさい」

さて、掃除掃除・・・って・・・

「あぁーあ、ケチャップ乾いてカピカピだよ・・・取り敢えず、ソーセージは捨てて・・・って繋がってるからめんどくさいな!」

まぁ、無事に捨てられたし、後は少し蛇口開けて・・・

【オーシャン!マキシマムドライブ!】

「コレが楽だよな」

この前の洗車みたいに水流操作で水をかける。その水は外の排水溝に直結させた。こうすればモノの1分でピカピカだ。

「さて・・・スパイダーの練習でもするか」

【スパイダー!】

掃除を終えた俺はイスに座ってエターナルエッジを取り出し、スパイダーを装填する。今回はマキシマムではなく、身体中にうっすらと流すように・・・

「よし、次は糸だ。フンッ!」

 

─バシュッギィィィィイ、ガキン─

 

俺が力を込めると、エッジの刃が射出され、刃とグリップの間に糸が縒り合わさった細いワイヤーが張られる。そして、その糸から伝わる情報に集中・・・集中・・・

「・・・スゴい・・・」

解る。このビルの総て、通りを走る車、歩く人々、そして風さえも・・・良い。いい気分だ・・・。

 

 

何時間そうしていただろうか。無意識に立ち上がったり、座ったりを繰り返しながら、俺は観測を続けていた。と・・・

「帰ってきたな」

俺はタイミングを見てドアを開ける。

「おぉ、気が利くな。ありがとよ」

ビンゴ♪

「いやなに、実験の途中で帰ってきたのが判ったもんだからさ。荷物持ってるご老人の前のドアあけるくらい苦じゃねェし」

もうね、この通りに入った瞬間から判ったよ。これ元々集中力が異常な俺だから使えるもんだな。今なら集中力なんて操作すら出来るし・・・後天性集中力操作自在とでも名付けようか。

「オレは寝る!」

「いきなりだなオイ・・・あぁ~でも、確かに真っ暗だな」

爺さん何処行ってた&俺何時間集中してた。

「ってもう寝てらっしゃるよ・・・」

早いな~。

(ゼット)(ゼット)!」

「本当に寝てんのかよ。色んな所回ったけど寝言でゼットて叫ぶのは初めてだぜ」

等と五代雄介みたいな事を言いながら、俺はヒーローコスチュームから普段着の方のNEVERコスに着替える。

そして、ビルから出て近所の公園へ向かった。

「久々に・・・弾き語りでもしてみるか」

【ボーダー!マキシマムドライブ!】

俺はスキマからギターケースを取り出し、少しギターのチューニングをしてから・・・

 

─♪~♪~♪~─

 

「目の♪前を行き~交うヴェクトルスペイス♪何処ォで、始まり♪何ォ処で、終~わ~る♪」

まずはtimeだ。これは寂しげな雰囲気だから弾き語りし易い。

「destination・time!わ~か~れば~か~りを♪繰り返す♪時は引き千切れたまま♪」

やはり夜風に当たりながらの弾き語りはいい気分になる。

「ただう~し~な~う~なら~・・・」

ふう。一人きりで歌ってみるのも、偶には良いモンだ。で・・・

「ゾグギダ・・・ボバギ・ロバ?」

コソコソ隠れる事も無いだろうに。

「ジャザシ、ゴラゲン・レパ・ガザルベンバ」

そう言って、暗闇の中から赤い赤いアイツが現れる。

「ザセザゴラゲパ!?」

「ジゴブバサンギシャ!デッドプール!」デーデッデ~ン♪デデデン♪

俺が叫ぶと、デップーは流暢なグロンギ語で答える。ノリノリだな、デップー。

「ガギバパサズ・ン・ギンシュヅビボヅブシ・ザバ」

「ゴセグ ゴセザ!」

だろうな。やっぱり、コイツは愉快だ。

「ゴギ。キョグバサ、三奈・ド・フラン・グ永遠亭・ン・ダギベンザ。レンドグゾ・ビデジャデデブセ」

「パガデデスガ、出久」

なら良い・・・さてと。

「ゴギ・・・()()()()()ンヅバギバダパ、ゴボゲダバ?」

「ザギジョグブザ、ロンザギバギ。ドグバギダバ?」

「・・・パスギ・ジョバン・グ・グス。ギヅゼロ・ヅバゲス・ジョグビ・ギデゴベ」

「・・・パガダダ。ロヂガスブ・ジョグビ・ギドブ。アマゾンズ・ビロ、ヅダゲデ・ゴボグ」

「ガガ。ダロンザゾ、デップー」

俺がそう言うと、デップーは闇の中に消えていった。もし聞かれてても大丈夫なようにグロンギ語で話したが・・・

「人の気配は無し。良かった・・・戻るか」

そう言って俺はギターをスキマに仕舞い、グラントリノのビルに戻った。

 

to be continued




「・・・何か言う事は?」
『・・・遅くなって済まない』
「そうだよ!何してた!!」
『ハイスクール王蛇書いてた』
「なら良い!解説だ!今回のガントレットについて説明するんだよおうあくしろよ」
『へいへい。名前は多目殺傷籠手(マルチアタックガントレット)・インセクト。人差し指、中指、薬指の根元にあるそれぞれのボタンを押すことで、対応する箇所の内蔵武装をガス圧で展開、格納できるマルチウエポンだ。ガスボンベは手首に付いてるぜ』
「成る程な。じゃ、それぞれの武装と、それを使った技を頼む」
『まず最初に使ったのは中指の雀蜂(ワスプ)だ。針の長さは大体中指くらいだな。必殺技は2つ、相手の急所を確実に外しながら筋肉を刺突、破壊する何度でも刺す(インフィニット・スパイン)と、再生力持ち用の必殺神経刺突撃(クリティカル・スティング)。後者は神経の場所を的確に突き刺して動作不随をおこす技だ』
「おっそろしいなオイ。で、次は・・・」
『薬指の巨針蟻(ディノポネラ)だ。あの弾丸蟻(パラポネラ)さえも捕食する最大の蟻にして最強の昆虫だな。コレは肘から長い針が飛び出すってもんだ。長さは手首から肘先指1分手前ぐらい(雀蜂と同様、曖昧ですいません)。これで突き刺す巨針蟻刺突撃(ディノ・スパイン)が必殺技。因みに雀蜂と巨針蟻はポイズンメモリのマキシマムで、モチーフになった生物と同様の猛毒塗布出来るぞ。刺されたら大量に注入される』
「俺ちゃんでも死ぬかも」
『その前に痛みで発狂するぞ。ディノポネラよりマシと言われているパラポネラですら、手を刺された人は「鉈があったら手首切り落としてた」って言うぐらいだからな。たった2~3ccでこれだから、こんな毒針で刺されたら、訓練された軍人でもまず正気ではいられないだろう。使うかどうかは未定だが』
「最後は蟷螂だよな。これあれだろ?オーズのカマキリアームだろ?そう言えば出久の正解ッ!ていうあれ、完全にエボルトだろ」
『そういう事。だから説明することが無いんだよな・・・因みに、今回の蟷螂以外の武装は、『アラクニド』という漫画から引っ張ってきました。元々出久って集中力過剰みたいな精神疾患持ってると思うんですよ(原作見ながら)。それが進化して集中力操作自在になりました』
「じゃ、今回はこれで!」
『前回と今回のグロンギ語、翻訳できるかな?チャオ♪』

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