僕のヒーローアカデミア~Eの暗号~ Phase1   作:エターナルドーパント

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『ひっさしぶりのEの暗号』
「王蛇も書くんだよ、おぅあくしろよ」
『分かってるよ。じゃ、早速・・・』
「『さてさてどうなる第45話!』」
「あ、コレ読む前にEVOLのコラボ回読んでね。でないと訳分かんなくなるから」


第45話・ライダー特訓!/血濡れのCにプレゼント

(出久サイド)

雄英高校の昼下がり。俺達は何時もと変わらず、楽しげに昼食を摂っていた。

「お、そうだかっちゃん。良いモノが出来たんだ」

「あ?何だ?」

俺に声をかけられ、激辛カレーのスプーンを握る手を止めて其方に目を向けるかっちゃん。

「あぁ、コレだ。昨日帰って、直ぐに創った」

取り出したのは、幾つかのメモリ。だが、その形は通常のメモリとは大きく異なっている。真ん中に括れが付いており、背部にレーンが付けられている。そのせいでロストドライバーやマキシマムスロットでは使えなさそうな、独特な形。

「あれ?この形って・・・」

麗日は何か引っかかるようだ。

「・・・まさかこのメモリ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なのか?」

俺達は昨日、平行世界に行っていた。そこは、シンフォギアに仮面ライダーエボルが入り込んだ世界。その世界でかっちゃんと麗日はライダーシステムの適合者となり、仮面ライダーとなったのだ。今差し出したメモリは、麗日が使う変身アイテム・・・クロコダイルクラックフルボトルに、どことなくシルエットが似ていた。

「ご名答!本来スクラッシュドライバーは、変身用のスクラッシュゼリーやクラックボトル以外のフルボトルを使って拡張攻撃・・・無生物系ボトル攻撃(ディスチャージ・クラッシュ)生物系ボトル攻撃(チャージ・クラッシュ)を行うことが出来るんだ。だが、この世界にはボトルが無い。だから、スクラッシュドライバーに対応したメモリを創ったんだよ。手始めに、《バード》・《ジュエル》・《ジェット》・《ヘリコプター》の4つを創ってみた」

「出久って本当に規格外だよね」

「三奈ちゃん、今更だと思うよ」

フランの言う通りだぞ~三奈。俺はドーパントなんだから。

「成る程な」

「コレを使ったらどうなるん?」

「よくぞ聞いてくれました!」

麗日の嬉しい質問に嬉々として答える。手に取ったのは、端子の逆側に翼を広げる鷹の造形がある、橙色をしたメモリ。

「まず《バード》。コレは個性把握テストで使ったよな。あんな感じだ。肩甲骨辺りからヴァリアブルゼリーで出来た翼、《ソレスタルウィング》が生成・展開されて、マッハ1,6で飛翔可能になる。まぁマックススピード出せる場所は限られるが・・・

そして、ソレスタルウィングで身体を包み込む事で身を守る盾にする事も出来るぜ」

「つまりすばしっこい敵や複雑な弾幕を張ってくる敵に対して有効で、更に追跡にも使えるって事だな」

「カツキ君の要約分かり易いわ~」

「次は《ジュエル》な」

俺は2つ目のメモリ、ジュエルを手に取る。これは薄い水色をしていて、端子の逆側にはラウンドブリリアントカットされたダイヤモンドの造形がある。

「コレは腕にダイヤモンド型の強固な盾を創り出すモノだ。更に盾にした後にかっちゃんの個性で吹っ飛ばせば、細かく粉砕した鋭い破片が敵に向かって散弾みたいに飛んでいく。結構使い勝手が良さそうなメモリだぜ」

さぁドンドン行こう。

「3つ目のメモリは《ジェット》。バードのように飛翔出来る翼、《ベルヌーイングフェザー》を生成できる。こっちはマッハ5,8で飛べるが、バードと違って小回りが効かない。それに、翼も変形できないな。

但し、小型の機雷搭載特攻用艦載機を大量にばらまけるから、それと飛行能力を合わせると、敵の飛行機を急襲したり、後は撤退時なんかにも使えるぜ」

にしてもアレだな。機雷搭載特攻用艦載機って、ガオガイガーに登場したソール11遊星主の一柱、ピアデケム・ピークが放った機雷艦載機を思い出すな。使いようによっては波状攻撃にも応用出来る。

「最後は《ヘリコプター》。コレは掌からヴァリアブルゼリーで出来た6枚のブレードウィングを出現させて、ホバリング飛行を可能とするメモリだ。他にもブレードウィングを高速回転させて敵からの攻撃を防いだり、腕に《ムラサメソード》として生成・装着して、敵を切り裂く斬撃武器として使う事も出来る」

まんまビッグボルフォッグのムラサメソードだぜ。

「意外とエグい!」

「人間相手にゃ使えねぇだろソレ」

「・・・まぁ、ロボット使うような敵が出た時には重宝するだろ。そういう時に使ってくれ。それぞれ2つ創ったから、1人1つずつな。あと、コレはメモリホルダー」

俺はその4本をテーブルに並べ、更にもう1組と左右1本ずつのメモリホルダーをバッグから取り出した。電王先輩のガッシャーホルダーみたいな感じだ。それを受け取り、かっちゃんはズボンのベルトに、麗日はスカート内側から縁にそれぞれ装着する。因みに、ホルダーのフックはどっち共表側に付いていて、かっちゃんは一旦ズボンとベルトの間に入れて、ベルトの内側から引っ掛けて装着した。

「よし、じゃあ今日の放課後に練習かな」

「「了解」」

 

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(NOサイド)

 

「で、俺達同伴で特訓がしたいと?」

「えぇ、そうです。それに、2人の力も見て貰った方が良いと思って」

「成る程ねぇ」

放課後の特訓室。そこには、オールマイトと相澤と出久、そして準備運動をする爆豪と麗日の姿があった。今しがた事情の説明を終えた所だ。

因みに『一緒に居たい』とゴネる三奈とフランは、『今度の土日にデートする』と言って先に帰らせた。

「しかし、平行世界ねぇ・・・俄に信じられんが」

「こんな得の無い嘘は吐きませんよ。それに、ライダーシステムはこの世界の技術力ではとても造れはしない。俺が創れるのも、メモリシステムと精々ゲーマーライダーシステム位です」

「さて、新しい仮面ライダーか。楽しみだな!」

「オールマイトさん、あんまりはしゃがないで下さい」

「分かってるさ相澤君!勿論、ジャッジはするよ!」

因みにオールマイトは体力がかなり回復した。出久が初めて会った頃よりも、トゥルーフォームに肉が付いてきている。

「よし、ホレ2人共!」

「よっ」「ほっ」

出久は頃合いを見て、2人にスクラッシュドライバーを投げ渡した。即座に反応し、2人共危な気無くキャッチ。すぐさま装着する。

【【スクルァァァッシュ・ドォライバァ~ッ!!】】

「この音声必要無いだろ?」

「コレばっかりは造った人の趣味なんで」

どうやらトコトン合理主義の相澤には、この音声の良さが解らないらしい。

─ピキピキピキッ─

【デンジャー・・・】

そう言ってる間に、それぞれが容器のキャップを正面に合わせてドライバーに装填。

【ロボット・ゼァリー!】

【クゥロコッダイルッ!】

──ガコンガカコンップシュー!(ギュアァーンッ!!)ガコンガカコンップシュー(ギュアァーンッ!!)──

そして爆豪は目の前を指差し、麗日は素立ちのまま少し俯いて・・・

「変身ッ!」「変身・・・」

ガコンッ!プシューッ!(バリィン!ピシィピシィピシィッ!)

爆豪は指を上に向け、麗日は前を見据えて、それぞれレンチレバーを叩き下ろす。

─ガシャッガチャンッ!─

すると2人の周りを、何処からとも無く現れたヴァリアブルファクトリーが囲った。

【【潰レルッ!(割レルッ!)】】

そしてその中をヴァリアブルゼリーが満たし、麗日のファクトリーの横にはワニの顎が出現。

【【ナァガレェルッ!(喰ワレルッ!)溢レッ出ルッ!(砕ケッ散ルゥッ!)】】

そして爆豪のファクトリーが捻れてスーツとして身体に密着、麗日のファクトリーは顎に噛み砕かれ、中を満たしていたヴァリアブルゼリーが急激に硬質化してスーツを形成する。

【ロボット・イィン・グゥリッスゥ!!】

【クロコダイル・イン・ローグ・・・】

最後に、爆豪のスーツの背中からヴァリアブルゼリーが噴出して頭部のバイザー、胸部のアーマー、肩のマシンパックショルダーを、麗日のスーツはヘルメットに付いているワニの顔がバイザーを噛み砕いて各部の白いひび割れ模様をそれぞれ作った。

【【ブルルルラァァァッ!!(オォォルァアアアッ!!)】】

─キャァァァァァァァァッ─

「喧しい変身音声だなぁオイ」

「いやいや、格好いいじゃないか相澤君!」

「オールマイトはこのセンスが分かると見える」

嬉しそうな顔をする出久。そして出久もロストドライバーを装着し、エターナルエッジを構えた。

「さてと・・・Are you ready(覚悟は良いか)?」

「「出来てるよ・・・ッ」」

「っかぁ~ッ!痺れるね!」

2人のクール答え方に、風呂上がりのビールを飲んだような声を上げるオールマイト。やはりこの人のツボはライダーネタのようだ。

「さてと、始めるぜ!変身ッ!」

【エターナル!~♪~♪】

そう言って出久はエターナルに変身し、2人に向かって駆け出した。

 

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─────チャージ・メモリィ!(ディスチャージ・メモリィ!)─────

─ツブレェナ~イ!チャージ・クルァッシュ!(ディスチャージ・クルァッシュ!)

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(出久サイド)

 

「お前ら筋良いな」

「そうか?」

「流石にちょっとばっかしキツかったよ。カツキ君のタフネス凄いね」

言う割には、ルナトリガーで弾幕をぶっ放されたのに無傷な麗日。しかし、その装甲の白いひび割れが増えている。攻撃には当たったらしい。かっちゃんはすごかった。ジュエルとヘリコプターを使ってほぼ完璧に防いでたし、被弾しても直ぐに立て直していた。

「よし、今日はここまでだな」

「了解」

「は~い」

変身解除っと・・・さて、評価を聞こう。

「では先生方、感想をどうぞ」

「では私から」

手を挙げたのはオールマイトだ。

「まず爆豪少年だが、持ち前の反射神経がかなり生かされた動きだった!避けられないモノはあえて被弾し、その衝撃をバックステップで受け流したりするのは良い判断だったな!アドバイスだが、へそから下の高さから来るモノは足裏で受けた方が良い時もあるぞ!」

成る程、目立った問題は無しって感じか。

「それに、掌をすぼめて爆発を一点に集中させたアレ。アレは周りの建物への被害も減らせて、更に狙いも絞れるから威力が上がる!実に良いアレンジだったぞ!」

「ウッス!」

「じゃ、次に麗日」

おっと、相澤先生は結構な辛口審査員だからな・・・

「お前は、比較的回避が苦手だな。だがそれを途中から自覚して、避けられないモノはガントレットで弾いたり胸部装甲で受けたりしていた。尚且つ、バランスが崩れたら一旦わざと倒れ、ハンドスプリングなどを使って立て直す思い切りの良さ。これらは高評価できるポイントだ」

ほう、あの相澤先生が・・・

「だが、アイテムの扱いが少々荒いな。例えばあのジュエル・・・だったか?のシールド。あれは弾幕に対して斜めに受け流すのが正解だ。そうすれば斜面にそってエネルギーが逃げるから、シールドの耐久力も長持ちする。次からは、その辺を意識して立ち回れ」

「はいっ!」

やっぱりプロは指導が上手くて助かるな。

「じゃ、そろそろ時間だから。全員退出」

「ありがとうございました」

 

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──────

─────

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───

 

─チリンチリン♪─

「おぉ出久!チャオ♪」

「チャオ~♪」

ここは、()()()()()『カフェnascita』。もう日が低い時間帯である事もあって、店内にはここのマスターである石動惣一しか居なかった。

まぁ好都合だがな、なんて事を考えながら、俺は何時ものカウンター席に座る。

「この時間は空くな」

「そりゃお前、もう直ぐ閉店だからな」

そう言いつつ、コーヒーを出してくれるマスター。優しいね。

「・・・あ~、やっぱマスターのコーヒーは良いね。ホッとする」

「そりゃどうも♪」

俺はコーヒーが好きな訳じゃないが、ここのコーヒーは割と好きだ。

「ふぅ、ごっそさん。さてと・・・本題だ」

「こんな時間に来るもんだから、何かあると思ったぜ」

そう言って隣のカウンター席に腰掛けるマスター。

「今回はマスターに・・・いや、()()()()()()()()に用があってココに来た」

「・・・へぇ~、内容は?」

俺はエターナルエッジとボーダーメモリを取り出した。そして、マキシマムスロットにボーダーを装填。

【ボーダー!マキシマムドライブ!】

「よっと」

そして、ピンクと紫が混ざったようなエネルギーを纏った刃を振り下ろす。すると空間が裂け、スキマゲートが開いた。その中に手を突っ込み、俺は目的のモノを取り出す。

「ふ~ん・・・コレは?」

俺が取り出したのは、黒地に牙を剥いたブラッドレッドのコブラがペイントされた小箱。言わずもがな、異世界のエボルト(石動惣司)から受け取ったものだ。

「コレは、トランスチームガンだ。その《コブラボトル》を使って変身・・・いや、『蒸血』出来るアイテムだよ」

「はははっ!俺へのプレゼントって訳かい?出所が気になるね~」

「異世界」

「・・・は?」

「だから、平行世界から持ってきたんだよ」

「・・・」

流石に絶句するマスター。まぁ、そうなるわな。

「・・・う~ん、お前が言うって事は本当に異世界の産物なんだろうが・・・ま、いっか」

「いいんかい」

全く、テキトーだなぁマスターは。

「なぁ、使ってみて良いか?」

スチームガンとボトルを手に取り、まるでクリスマスプレゼントを渡された子供みたいな声色で聞いてくるマスター。もう26にもなるのに、可愛気があるねぇ。

「あぁ。ボトルを何回か振って、キャップを開けたらスチームガンに装填しろ。それからトリガーを押し込めば良い。音声コードは、さっき言った『蒸血』な」

「あいよ」

 

─カチャカチャカチャッカシッ─

─ガキャコンッビィチュンッ─

 

【コォブラァ・・・】

認証音声が鳴り、ダーティな待機音が流れ始める。そしてマスターは、右手に持ったスチームガンを顔の横まで上げて・・・

 

「蒸血!」

 

【ミスト・マァッチ・・・】

トリガーを引き、素早く下に下ろす。すると銃口から黒煙が発生し、見る間にマスターの身体を包み込んだ。

【・・・ココッ・コォブラ・・・コォブラ・・・】

そしてその煙の中で2~3度スパークが走り、そのシルエットが変わる。

 

【ファイヤー!】

─ドパ~ンッ!ピュルルルルルパンッパパァン!─

 

最後に金と銀の火花が散り、黒煙が霧散した。その中から表れたのは───

 

──鮮やかな赤色の装甲──

 

──関節や指の装甲はブラッドレッドとでも形容すべき暗い赤色をした、どこか宇宙服にも似たスーツ──

 

──コブラを模したトルマリン色のバイザーと胸部装甲──

 

──首にマフラーのように巻かれて、そのまま胸部のサイドに下ろさた、汚染水を垂れ流す工場を連想させる下向きのパイプ──

 

紛れもなく、狂気の血蛇(ブラッドスターク)であった。

『お、良いね!ん?声が・・・』

「あ、デフォルトでヴォイスチェンジャー入ってるからな」

『へぇ、そりゃ便利だ♪』

この男、石動惣一・・・又の名をブラッドスタークは、ヒーロー協会お抱えの()()()だ。ヒーローでは手に負えない(ゴミ)を、闇に紛れて屠り去る掃除屋(クリーナー)にして狩人(ハンター)・・・コイツの存在を知るのは、ヒーロー・ヒーロー協会共に極一部のみ。その個性、《毒素生成》により、犠牲者が見つかる事は無い。しかしその強過ぎる毒性故に、腕に付いたブラッドレッドの水晶体のような生成器官以外に付着すれば、惣一の身体でさえ破壊してしまうのだ。それを防ぐ為、スーツに装着した特殊タンクに毒素を詰め込んで活動していた。因みに特殊タンクの内側にはタコの粘液から造られた塗料が吹き付けられていたらしい。曰わく、唯一この毒素が苦手とする物質なんだとか。

『うおっ!コレがスティングヴァイパーか!使い勝手が良さそうだなぁ♪』

「お気に召して何より」

腕からスティングヴァイパーをニュルニュル延ばしてはしゃぐブラッドスタークに、俺は返した。

「じゃ、俺もう帰るわ。ハイ、コーヒー代」

『いや、今日は良いよ。こんな良いモン貰っちまったしな♪』

「あ、そう。じゃあお言葉に甘えて。チャオ♪」

『チャ~オ~♪』

─チリンチリン♪─

軽く挨拶を交わし、俺はnascitaの外に出る。辺りはもう薄暗い。春ももう直ぐ終わるというのにかなり涼しい夕闇の中、俺は帰路を急ぐのだった。

 

to be continued・・・




「まぁ、そら居るわな。お抱えの殺し屋」
『他のss読んだ時に出てさ。あ、コレ絶対アリだわって思ったから出した』
「で、タコの粘液は?」
『単純に原作スタークの《俺タコ嫌いなんだよ!》から持ってきた』
「ふ~ん。じゃ、締めるか」
『唐突だな今日も。せ~の!』
「『次回もお楽しみに!』」

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