僕のヒーローアカデミア~Eの暗号~ Phase1 作:エターナルドーパント
『ん?どうしたデップー』
「王蛇は?」
『・・・筆がノらないし、尚且つヒロアカは先輩から漫画借り物だからさ、早く書き上げないと』
「・・・さてさてどうなる第46話!」
『泣くぞ?』
第46話・試験勉強/nascitaのeテロ
第46話・ヒーロー科のT/試験勉強
(出久サイド)
この前の特訓から数日。俺達は普段通りに登校し、適当にだべって時間を潰していた。主に、2人とのデートプランについて。すると、教室前の廊下から歩いて来る1人分の気配・・・あと38mだな。
「と、先生来たぜ。座っとこう」
俺の声に反応し、全員が半ば反射的に自分の席に座る。スパイダーが身体に馴染んできたから、
「お~し席に・・・付いてるな」
ビンゴ♪コレは暗い所とかで使えるな。
「え~夏休みが近付いてきているが、当然ヒーロー志望の君らが30日間、丸一ヶ月休める道理は無い」
「まさか・・・」
上鳴が額に汗を浮かべながら呟く。先生の行動パターン上、何かえげつない課題でも出されるのでは・・・と、皆が息を呑むのが聞こえた。
「夏休み、林間合宿するぞ」
『知ってたよヤッタァァァァァ!!』
おっとそう来たか。まぁ、休みすぎると筋肉が鈍るし、肉付いて動き難くなるし、何より身体が動きを忘れるからな。
「肝を試そ~!」
「私、また浴衣着たいな~♪」
「風呂ッ!」
「花火」
「風呂ッ!!」
峰田クドいぞ。つくづく思うんだが、何でアイツ受からせたんだよ雄英・・・そして三奈は肝試し、フランは浴衣か。シンフォギア世界のnascitaでも着てたもんな。
「ただし、その前の期末テストの不合格者は
「ん・・・」
「頑張ろうぜ皆ッ!」
・・・う~ん、コレ多分言わない方が良いな。アレ嘘だわ。不合格者も連れて行ってくれるみたいだ。まぁ林間合宿で職員が減る時にわざわざ学校に残すよりも、一塊にした方が安全・・・いや、どうだろうなぁ?
──その日の放課後──
「ここはアボガドロ数に・・・」
「アデニン・チミン・グアニン・シトシンのパターンから・・・」
現在、nascitaで勉強会中。三奈は生物が、フランは化学がそれぞれ不安と言っていたので、
「いや~、緑谷様々だな!」
因みにここにいるクラスメイトは恋人2人だけではない。今俺に声を掛けたのは切島だ。
「どう致しまして♪」
他にも麗日、砂籐、葉隠、常闇、上鳴・・・もうクラスほぼ全員が来ていた。と言うか来てないのは轟、障子、青山、口田・・・そして俺から名指しで「来るな」と通告されたにも関わらずnascitaに現れ、俺が叩き出した峰田だ。アイツはレックスに近付けちゃいけねぇ。何故なら、昔のイジメを想起してウィルが暴走するからだ。何でも、イジメから逃れる為に家出した先でレックスがセクハラされたんだとか。それを再現しかねないヤツは排除する他無いだろう。最悪nascitaがウィルスで汚染されちまう。
「だァから!ここは解の公式使わんでも解けるって言ってんだろ!習っただろうがタスキ掛け!」
「此方はこの数を当てはめれば・・・」
因みに俺とかっちゃんと八百万は教える側だ。八百万と俺は成績が同率一位だったからな。それに俺の場合、ちょっと検索すれば大抵の事は分かるから、そこら中に引っ張りだこだ。八百万は俺をカバーしてくれている。
「皆~、ドリンクとかいるかい?はい出久、メニュー配って」
「あいよ」
マスターに渡されたメニューを各テーブルに置いていく。ここはフツーのコーヒーと美味いパンケーキが売りだ。他にも、ピザを焼く為の石窯まで用意してある。造る時は手伝ったな~。『大至急nascitaに来てくれ!』ってメールが来て、駆けつければclosedの看板。入ってみたらセメントと大量のレンガを手に「石窯造るから手伝って☆テヘペロ」だもんなぁ。驚きより先に呆れが来たぜ。面白そうだったから手伝ったけど。その後、何やかんやで厨房の壁をデッカいハンマーでブチ抜いて、挙げ句の果てにゃ余った材料で煙突まで造りやがったんだ。まぁ、その時に作って食わせてくれたピザが身に染みるほど美味かったから、結局「造って良かった」ってなっちまったんだがな。
「では、パンケーキとミルクティーをお願いしますわ」
「あ、俺もパンケーキ1つ!」
砂籐はパンケーキ、八百万はそれに加えてミルクティーか。良いチョイスだ。
「あたしはピザ風石窯パンで!」
「おっ!流石は出久のガールフレンド、お目が高いねぇ♪そいつぁペパロニピザと並ぶ、この店の人気メニューなんだ♪」
お、嬉しそうだな~マスター。あの顔が見れるから、手伝った俺も嬉しいんだ♪
「じゃあペパロニピザLサイズ2つ。後タバスコソースも」
「爆豪君!こんな時間にそんなに食べて、夕食が食べられなくなったらどうするんだ!」
「うっせーなバカマジメ!このテーブルのメンバーも腹減ってるだろうから分ける為のLサイズ2つじゃボケが!」
((((優しい))))
(えへへ、ぶきっちょで優しいカツキ君、かわえぇな~♥)
丸くなったな~かっちゃん。周りと分け合うっていう発想が当然のように出て来るのが素晴らしい。
「あ、それとミルクティー一杯。アイスで」
「承りましたっと」
そう言って準備を始めるマスター。まずテーブルカウンターの下に付いた棚から、パンケーキの生地が入ったボウルを取り出した。そして玉杓子で4杯掬い、別のボウルに移す。そしてベーキングパウダーを少量加え、フライパンを4つ火にかけてそれぞれ玉杓子1杯垂らした。次に石窯横の棚から大きく丸めた生地を2つ取り出す。同時に窯に火を入れ、その生地をナンのようにペタペタと両手で捏ねて伸ばして・・・
「よっ!ほっ!」
『おぉ~!!』
出たよ、ピザが人気な理由の1つ、マスターのピザ回し。何度もゴム生地で練習したらしく、そのパフォーマンスは最早プロレベルだ。そしてあっと言う間に生地を2枚仕上げ、その上に茶色い粉末を薄くかける。隠し味の類かな?
「よし次!」
マスターは急いでコンロに戻り、ポンポンッと両手でフライパンを振るってパンケーキをひっくり返した。良い感じに焼き色が付いていて、甘く芳ばしい香りが流れてくる。
「オッケィ♪」
そしてまたマスターは軽やかな足取りで生地の方へ。もう皆はマスターから目が離せなくなっているな。
「ほいほいっと♪」
生地にトマトソースとチーズをかけ、更にペパロニとバジルの葉を乗せる。そしてオリーブオイルを垂らして、すぐさまそれを石窯に投入した。
「む、無駄が無い。素晴らしい動きだ!」
「何年かかるんだよ、あそこまで行くのに・・・」
「ここ1年だ。相当頑張ったってさ」
『ウソ!?』
「いや、マジマジ」
いやはや、凄いねぇマスターは。と、言ってる間に次の工程に移ったな。マグカップとグラスを出して、ポットに茶葉と沸騰した熱湯を入れ、そこから蒸らす。その間にミルクタンクからカンロレードルでミルクをカップとグラスに注いだ。そこからまた石窯の方に移動し、横の棚からさっきよりも小振りな生地を取り出す。その生地の裏に小麦粉を塗り、上にはトマトソースをかけてペパロニを3枚乗せた。そしてアルミカップにチーズを入れ、それと共に生地を窯へIn。いい匂いだな~・・・
「よし!まずはパンケーキ2つ完成!ハイど~ぞ!」
そう言って砂籐と八百万にパンケーキの乗った皿を渡す。
「では、頂きますわ」
「頂きます!」
2人はフォークでパンケーキを切り、口へ運ぶ。その瞬間、2人とも目を見開いた。
「な、何てふわふわ且つしっとりしたパンケーキ!絶品ですわ!」
「そ、それだけじゃねぇ!表面は強めに焼いて少しサクッと、中はふわっと!完璧だぜ!」
おう、これは素晴らしい食レポだ。良いもの食って舌が肥えた八百万が絶賛するとは、マスター凄いな。
「ヘイお待ち!ペパロニピザ2つね!はいハバネロソース」
「うおぉぉ待ってましたぁ!」
真っ先に飛びついたのは上鳴。ピザを一切れ取って持ち上げると、これでもかとチーズが糸を引いた。
「うっひょ~!頂きます!」
─ザクッ─
「ッ!?ウェェェェェイッ!!」
おっとアホになったか?
「こ、この生地のサクサクかつ中はモッチリした歯応えに、トマトソースの甘味と酸味!そしてこの濃厚なチーズの味と風味!っく~たまらねぇ~!!」
「しかもこの香り・・・ナツメグ?ナツメグッスか!」
お前ら食レポ上手いね。と、かっちゃんも食ってる。良い顔して食ってるよ。あ、2枚目はハバネロソースかけた。
「お茶子、あ~」
「ん?あ~むっ」
かっちゃんナチュラルにあ~んしやがった!肝太いなオイ!
「もぐもぐごっくん。うん美味しぃッッッ!?んむぅ~っ!」
「くはははは!」
あ、かっちゃんが食わせたのって、ハバネロソースかけたやつだ。
「むぅ~・・・」
「いやワリィ、ゴメンって」
睨む麗日と、食べかけのピザをかじりながら平謝りするかっちゃん。そしてそれを全員が見ていた。
「青春ね、ウィル?」
「そうだねぇレックス」
ウィルとレックスは微笑みながら、温かい目で見守っている。
(アイツ等何時の間にくっつきやがったんだよ畜生ッ!)
あぁ、峰田を追い出して正解だったな。アイツよりもまだマシな上鳴が泣いてやがる。ヤツがいたらどうなった事か・・・
「ほいっと、ミルクティーね!ホレ爆豪君、アイスミルクティー」
「どうも」
マスターからグラスを受け取るかっちゃん。そこからマスターは八百万にも渡しに行った。
「悪かったよお茶子。ほら、コレ飲め」
あ!ミルクティーは辛さを緩和できる!コイツ、計算済みか!
「・・・美味しい・・・もうしないでね?激辛」
「わぁった。もうしねぇよ」
「・・・なら、許す」
良いイチャイチャっぷりだよ。
「出久」
フランが肩をポンポンと叩いてきた。
「ん、フラン?・・・あぁ。ほれ、あ~ん」
「あ~むっ!んふふ~♪ありがと♥」
「どう致しまして」
あぁ可愛いなぁもう・・・
「さて、お待たせ三奈ちゃん」
「待ってたよ~♪」
最後にマスターが持ってきたのは、赤い色をした石窯パン。その色はペパロニとトマトソースの色で、良い香りが漂ってくる。
「そしてここに・・・」
マスターはペンチを取り出し、皿に乗っていたアルミカップを挟む。そして、その中のとろけたチーズをパンの上にかけた。
「うわぁ~美味しそ~♥いただきま~す!」
─ぱりっ─
お、良い音が鳴ったな。
「ん~♥」
わぁ、眩い笑顔だ。ん?
「三奈、口元に付いたぞ」
そう言って俺は親指で三奈の口元に付いたソースを拭い、そのまま舐め取る。
「出久、あ~ん♥」
三奈はそう言い、俺の方にパンを差し出してきた。
「お、有り難いねぇ。じゃ、あ~むっ」
俺は好意に甘え、パンを少しかじり千切った。
「んん、美味いな」
このソースの絶妙な酸味、チーズのコク、更にパン生地に入った麦粒・・・何より、このシチュエーション。あぁ、最高だ。
「ふぃ~、流石にこの数はちと疲れたな~。ちょっと休憩~」
でんっと椅子に腰掛けるマスター。まぁ、あの作業量だからな。
「お疲れさんマスター。ありがとな、メッチャ美味いよ」
「そう言ってもらえると光栄だな。だがコレは、石窯造りを手伝ってくれたお前のお陰でもあるんだ」
「ははは、そりゃどうも♪」
こうして、俺達の勉強会は幕を閉じた。最後は仲良く頭割りだ。八百万は万札しか持ってなくて笑われてたな。
そして2人と約束していた休日のデートで来たとき、文やんの部下の椛さんがここでバイトをしていて驚いたのは、また別の話。
to be continued・・・
「イチャイチャと飯テロじゃん」
『書いてて腹減った』
「それはお前が悪い。そして八百万の嬢ちゃん、万札しか持ってないってヤバくね?」
『正直あの子なら全く違和感が無い』
「確かにwさてと、ソロソロ締めるか。せ~の!」
『「次回もお楽しみに!」』